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農業のデジタルトランスフォーメーションとは?3つの目的や事例を解説

2021.04.22

農業のデジタルトランスフォーメーションは、生産現場の少子高齢化問題の解決策として年々注目されつつあります

2021年3月、農林水産省は「農業 DX 構想」と題し、現状の課題や今後の取り組みについて発表するなど、農業デジタルトランスフォーメーションへの積極的な姿勢をアピールしました。

しかし、具体的な目的や活用方法はイメージしにくい場合がほとんどです。

そこで今回は、農業デジタルトランスフォーメーションの概要と3つの目的を解説。

実際に農業デジタルトランスフォーメーションを導入した企業の事例なども紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

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農林水産省でも進める農業のデジタルトランスフォーメーションとは

デジタルトランスフォーメーションとは、言い換えると「IT技術の発達により、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」こと。

DX」という略称でも知られています。

IT技術によって業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立する」と表現するとよりイメージしやすいのではないでしょうか。

現在、経済産業省や厚生労働省など、様々な政府機関がデジタルトランスフォーメーションに関する取り組みをおこなっていますが、今回では農林水産省が進める内容について紹介します。

政府が制定するガイドラインの詳細については「デジタルトランスフォーメーション推進ガイドラインとは?概要と活用方法」を参照してみてください。

農業デジタルトランスフォーメーションの目的3

農林水産省が発表した「農業 DX 構想」では、農業デジタルトランスフォーメーションには主に以下の3つの目的があるとしています。

1.労働力不足への対応

日本では農業従事者の高齢化が著しく進んでおり、65歳以上の基幹的農業従事者は既に全体の7割に到達

若者の後継者不足と、日本の農業ならではの人間の労働力に頼る生産体制により、現場の労働力不足は深刻な課題となっています。

農林水産省はこのまま労働者不足が顕著化した場合、「現在の生産水準を維持することはもとより、農地や農業施設などの生産基盤を維持することが困難になることも予想される」としています。

2.生産の効率化

労働力不足と共に課題とされているのが、生産の効率化。

先ほども紹介した通り、日本の農業ではまだまだ人間の労働力に頼る生産体制が一般的です。

そこで、ロボットやAIIoTを活用し、デジタルトランスフォーメーションを進めることで生産の効率化が期待されています。

3.付加価値の高い商品を生み出す

デジタルトランスフォーメーションを活用すれば、消費者のニーズをデータ化し、より付加価値の高い商品を生み出すことが可能になります。

例えば、

  • 安全
  • 安心
  • 美味しさ
  • 新鮮さ
  • 健康
  • 自然体験
  • 苦労や思いなどのストーリー

などです。

ただ商品を提供するだけでなく、そこから得られるプラスの価値を提供することで、農業者が適正な対価を得られることが期待されています。

農業デジタルトランスフォーメーションが目指す姿

政府は農業デジタルトランスフォーメーションが目指す姿を「デジタル技術を活用したデータ駆動型の農業経営により、消費者の需要に的確に対応した価値を創造・提供できる農業」としています。

この概念は「FaaSFarming as a Service)」とも呼ばれ、民間企業においても実現に向けて既に様々な取り組みがおこなわれています。

農業DX(スマート農家)で活かせるツール

農業デジタルトランスフォーメーションでは、ロボットやAIIoTなど、様々なIT技術の活用が推進されています。

この章では、生産現場において実際に導入されているツールについて紹介します。

センサー技術

センサー技術を使えば、土壌や日照量、空気中の二酸化炭素量などを自動で感知し、クラウド上に集約することができます。

専用のタブレットやアプリと連携したサービスを使えば、遠く離れた場所からでも農地の状態の把握が可能。

これまでは頻繁に田畑に通い、人間の目で確認しなければいけなかった作物も、センサー技術を使えば、少ない労力で高品質な商品を生産できます

自動走行トラクター

GPSを駆使し、無人でも自動走行できるトラクターが注目されています。

これまでの手動運転と違い、数センチ単位で自動的に指定した土地を耕してくれるので、植えた作物を踏みつぶしたり、無駄なスペースを作ったりする心配もありません。

トラクターに限らず、田植え機やコンバインなど、自動で運転する技術を用いた最先端のツールが開発されています。

農業用ドローン

農林水産省の「農業用ドローン普及計画」によると、農業用ドローンの機体登録数は平成29年3月から平成30年12月末までの間で6倍強に急増。

農業分野にドローンが導入されて以降、爆発的に普及し始めています。

農業用ドローンは、既に開発が進む農薬・肥料散布から受粉、鳥獣被害対策まで、さまざまな分野への活用が可能です。

これらの技術を使い、労働負担の軽減や作業性の向上、コスト削減の効果が期待されています。

AIによる画像分析

農研機構等ではAIによる画像分析を活かし、「AI病害虫画像診断システム」が開発されています。

これにより、従来は専門家でも難しかった病害虫の判断をAIが担い、作業の迅速化や精度の向上が可能に。

この他にも、植物の画像からその名称を判定するスマートフォンアプリなど、AIによる画像分析は様々な分野で活用され始めています。

農業におけるデジタル技術活用の現状

「農業 DX 構想」では、農業デジタルトランスフォーメーションにおける、デジタル技術活用の現状についても言及しています。

この章では、

  • 生産現場
  • 農村地域
  • 流通・消費
  • 行政事務

の4つの分野の現状について紹介していきます。

生産現場

生産現場においては、各種センサーやドローン、自動走行トラクター等の導入に向けた取り組みが見られるほか、生産や経営の管理を支援するソフトウェアサービスの導入が進んでいます。

しかし、労働集約的な生産・出荷や経営の現場においては、依然として人手かつ紙媒体による情報の処理が多いのが現状です。

さらには、多額の導入コストやデジタルトランスフォーメーションへの関心の低さが相まって、完全な普及までは時間がかかる見込みです。

スマート農業技術の普及に限らず、通信インフラの整備やデータ活用の推進、農地情報のデジタル化など、課題が多く残されています。

農村地域

中山間地域を中心に、高齢化や担い手不足により個々の集落が単独で農業を継続していくことが困難になりつつあります。

そこで注目されているのが、SNSやインターネットを活用した複数の集落の連携。

既に開発されているプラットフォームを通し、生産や農地の保全、人材の紹介などをおこなうことにより、農村地域の新たな繋がりの形成が期待されています。

流通・消費

農業におけるトラック輸送などの物流においては、出荷時期が天候に左右されるなどの農産物の特性もあり、デジタル技術の活用が難航しているのが現状です。

一方販路については、産直通販サイトなどの出現により、生産者と消費者を直接つなぐ取り組みが進んでいます

これにより、消費者データを集約し、ニーズをきめ細かく把握して生産・販売をするケースが見られます。

行政事務

現状の行政業務では手続の各段階において、紙媒体による申請や、手作業を前提とした審査業務が多いのが現状です。

これを踏まえ、政府は2022年度までに農林水産省共通申請サービス(eMAFF)の導入を発表。

農林水産省が所管する法令に基づく行政の手続や補助金・交付金の申請をオンライン化するなど、体制の整備が進んでいます。

農業デジタルトランスフォーメーションの3事例

農業デジタルトランスフォーメーションは実際にどのように導入されているのでしょうか。

この章では、以下の3つの民間企業の実例をもとに、最新の取り組みを紹介していきます。

  • Kalm 角山
  • 横田農場
  • ビビッドガーデン

これらの企業は農業デジタルトランスフォーメーションの具体例として、農林水産省の「農業のデジタルトランスフォーメーション(DX)について」にて紹介されています。

1. Kalm 角山

2014年に設立された北海道の農業法人、Kalm 角山

総数1000頭の乳牛を飼養し、アジア初のロボット搾乳システムを導入したメガロボットファームです。

多数の搾乳ロボットの導入により、大規模酪農経営での省力化と、効率的な飼養管理などを実現。

搾乳ロボットと連動し、個体毎の生乳中の成分を分析することで、疾病や繁殖管理を同時におこなっています。

2. 横田農場

横田農場は、茨城県で800年以上の歴史を持つ米農場です。

IT技術を活用したほ場管理や、機械1台体系での作業管理をおこない、超低コスト生産を展開しています。

自動給水システムやドローンを併用し、全国平均の約半分の生産コストを達成しました

「お米が好きすぎる農場。」として、大学との共同研究や田植え体験、料理教室など、積極的に米作りの魅力を発信し続けています。

3. ビビッドガーデン

メディアなどで「食べチョク」という名前を聞いたことがある人も多いのでは。

これはビビッドガーデンが運営する、生産者が個人の消費者・飲食店に直接食材を発送するプラットフォーム、つまり「オンライン直売所」です。

食べチョクと他社のECサイトとの大きな違いは、農林漁業者と消費者が直接コミュニケーションを取る機能が実装されているところ。

栽培方法のこだわりや、食べた感想を直接やりとりできます。

また、事前登録された消費者の好みと農林漁業者の生産情報を照らし合わせることで、消費者と生産者をマッチングするサービスも提供しています。

まとめ:事例を参考に農業DXに取り組もう

農業のデジタルトランスフォーメーションは、生産現場の少子高齢化問題の解決策として年々注目されています。

センサー技術やソフトウェアなどを駆使し、既に成果を上げている民間企業も多くあります。

しかし、中には「ITに強い人材が在籍していない」「IT人材を採用する余裕がない」方も多いのではないでしょうか。

テクロ株式会社は、デジタルトランスフォーメーション支援が得意です。

DXに取り組もうと考えている方は、お気軽にご相談ください。

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