最新版!日本・世界のDX市場規模と拡大する理由|今後の動向を徹底解説 | テクロ株式会社
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最新版!日本・世界のDX市場規模と拡大する理由|今後の動向を徹底解説

「デジタルトランスフォーメーション(DX)市場は今後も拡大すると予測されている」ということがよくいわれます。

実際、ここ数年の間にDXについて取り上げるメディアが増えてきました。

国もDXを推進しており、DX化に向けて本格的に動いている企業も増加しています。

とはいえ

  • 日本や世界のDXの市場規模は?
  • DXの市場規模は今後どのように変化するの?
  • 急速に進むDXに遅れないためにはどうすればいいの?

といった疑問や悩みを抱えている方も多いでしょう。

そこで本記事では、デジタルトランスフォーメーションの市場規模や、今後予測される変化について解説します。

DX市場の動向について詳しく知りたい方は、ぜひご覧ください。

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デジタルトランスフォーメーション(DX)の市場規模とは?

デジタルトランスフォーメーション(DX)の市場規模とは?

デジタルトランスフォーメーション(DX)の市場規模とは、各分野・業界のDXソリューションへの投資金額のことです。

「デジタルトランスフォーメーション」と一口に言っても、業界・分野によってDXソリューションは異なります。

また、企業によっては、戦略・施策がデジタルトランスフォーメーションと結びつく場合と、結びつかない場合があります。

そのため、デジタルトランスフォーメーションの正確な市場規模を把握することは非常に困難です。

とはいえ、さまざまな調査機関・調査会社の報告を参考にすることで、デジタルトランスフォーメーションの大まかな市場規模を把握することは可能です。

今回は、富士キメラ総研が調査した「国内DX市場規模レポート」を参考に、デジタルトランスフォーメーションの市場規模について考察します。

レポートによると、各分野・業界のDXソリューションの事例は「AIやIoTなどの最新技術を活用し、業務やビジネスモデルの変革、新規ビジネスの創出、新たな顧客価値の創出を目指す取り組み」と要約できます。

つまり、デジタルトランスフォーメーションの市場規模は、そのような取り組みへの投資金額といえるでしょう。

各業界・分野の伸びしろ」ともいえます。

なお、デジタルトランスフォーメーションについて知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

関連記事:デジタルトランスフォーメーションとは?注目される理由を徹底解説

日本のデジタルトランスフォーメーションの市場規模

日本のデジタルトランスフォーメーションの市場規模

富士キメラ総研が2023年3月に発表した調査によると、日本国内における2022年度のデジタルトランスフォーメーションの市場規模は約2兆7,277億円でした。

市場規模は今後も拡大するといわれており、2030年には6兆円を超えると予測されています。

ちなみに、富士キメラ総研が2020年10月に発表した調査では「2030年のデジタルトランスフォーメーションの市場規模は3兆円を超える」となっていました。

つまり、たった2年半後の調査において、2030年のデジタルトランスフォーメーションの市場規模予測が2倍に増加しているのです。

そのため、今後の日本国内におけるデジタルトランスフォーメーションの市場規模は、拡大する可能性が高いといえます。

出典
『2023 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望 市場編/ベンダー戦略編』まとまる|株式会社富士キメラ総研
『2020 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望』まとまる|富士キメラ総研

世界と国外のデジタルトランスフォーメーションの市場規模

世界と国外のデジタルトランスフォーメーションの市場規模

続いて、海外におけるデジタルトランスフォーメーションの市場規模を、

  • 世界
  • アメリカ
  • 中国
  • 東南アジア
の順に紹介します。

世界

株式会社グローバルインフォメーションの調査によると、2023年における世界全体のデジタルトランスフォーメーションの市場規模は6,955億ドルでした。

市場規模は今後も拡大を続け、2030年には3兆ドルを突破すると予測されています。

コロナ禍でも着実に市場規模は拡大していましたが、今後は加速度的な成長が見られるでしょう。

出典:デジタルトランスフォーメーションの世界市場 (~2030年):提供区分 (ソリューション・サービス)・技術 (クラウドコンピューティング・ビッグデータ&アナリティクス・ブロックチェーン・サイバーセキュリティ・AI)・ビジネス機能 (会計&財務・IT・人事)・産業・地域別|株式会社グローバルインフォメーション

アメリカ

アメリカは、デジタルトランスフォーメーションへの投資がもっとも盛んな国です。

アメリカのDXの市場規模が大きな理由は、GAFAをはじめとするビッグテック企業の存在が挙げられます。

GAFAとは、Google・Amazon・Facebook・Appleを指す言葉です。

GAFA以外にも、MicrosoftやAbobeなどデジタルトランスフォーメーション業界を牽引する企業が多いため、アメリカのDX市場の規模は大きいのです。

中国

国別で比較した場合、アメリカに次いでデジタルトランスフォーメーションへの投資額が多い国が中国です。

中国は、インターネットを活用したデジタル技術と製造業を組み合わせて、国際市場における中国企業の競争力向上を目指す「インターネットプラス政策」をとっています。

特に人工知能やスマートエネルギー、金融などの分野を重視する方針が示されているため、中国国内におけるこれらの分野の市場規模は、今後拡大する可能性が高いといえるでしょう。

東南アジア

東南アジアも、インターネット経済の成長が著しい地域です。

eConomy Southeast Asia 2019によると、東南アジアのインターネット経済市場規模は2025年までに3,000億ドルに拡大すると予測しています。
(参考:eConomy Southeast Asia 2019|Google TEMASEK BAIN&COMPANY)

特に成長率が高いと予測されている国は以下の通りです。

  • インドネシア 32%
  • ベトナム 29%
  • フィリピン 27%
  • タイ 24%

2025年までの年間平均成長率が20%を超える国も多く、もっとも高いインドネシアは30%と超えると予測されています。

インターネット経済の成長に伴って、デジタルトランスフォーメーションの市場規模も拡大する見通しです。

出典:第4節世界のデジタル化の加速における新興国との共創を通じた新事業の創出|経済産業省 

デジタルトランスフォーメーションの分野別の市場規模

デジタルトランスフォーメーションの分野別の投資状況

国内におけるデジタルトランスフォーメーションの分野別の市場規模は以下の通りです。

なお、「医療/介護」と「社会インフラ/建設/その他」に関しては2022年度のデータが報告されていなかったので、2020年度のデータを掲載しています。

2022年度 2030年度予測
金融 3,020億円 8,880億円
製造 2,990億円 8,130億円
医療/介護 731億円(2020年度) 2,115億円
流通/小売 669億円 1,852億円
交通/運輸/物流 3,842億円 1兆1,795億円
社会インフラ/建設/その他 499億円(2020年度)
2,078億円

出典
『2023 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望 市場編/ベンダー戦略編』まとまる|株式会社富士キメラ総研
『2022 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望 市場編/ベンダー戦略編』まとまる|株式会社富士キメラ総研

いずれの分野も、2030年には市場規模が増加すると予測されています。

ここからは、各分野における市場規模の詳細について解説します。

金融

金融における2022年度のデジタルトランスフォーメーションへの市場規模は、3,020億円とされています。

業界では、次世代の金融に関する基盤サービスや業務プロセス全体の効率化への投資が盛んです。

2017年の銀行法の改正をきっかけに、複数の金融サービスの連携を可能にするシステムの構築が進められています。

次世代の金融に関する基盤サービスの導入によって、ユーザーの利便性向上が期待されています。

また、新型コロナウイルスの影響で、非対面サービスの導入を検討している機関も多いのです。

店舗の無人化を検討する機関も増えており、省力化に向けた投資拡大が進むと考えられます。

近年ではロボアドバイザーによる資産運用や個人資産管理アプリが登場し、個人の投資が増えることでさらなる市場拡大も見込まれています。

金融業界のデジタルトランスフォーメーションについて知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

関連記事:金融業界のDXのゆくえとは?成功事例と5つの課題を徹底解説

製造

製造における2022年度のデジタルトランスフォーメーションへの市場規模は2,990億円とされています。

製造では、スマートファクトリー化を目的とした投資が盛んです。

スマートファクトリーとは、工場内のあらゆる機器をインターネットに接続し、データを活用して継続的な生産プロセスの改善や発展を可能にした工場のことです。

クラウドサービスの普及によって、IoTシステムの導入コストが下がったことで、稼働の状況を可視化するため、設備への投資も加速しています。

また、技能継承や人材不足などの課題に対する投資、カーボンニュートラル化に向けたグリーンデジタルへの投資も拡大すると見込まれています。

製造分野は、2030年の市場規模が8,130億と3.1倍の成長が見込まれており、金融と並んで今後のDX市場拡大が期待されている分野です。

製造業におけるデジタルトランスフォーメーションについて詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。

関連記事:製造業DXとは?取り入れるべき戦略と実現までのステップやポイントを事例と併せて解説

医療/介護

医療/介護の分野における2020年度のDXの市場規模は731億円でした。

政府が医療ビッグデータの利用に力を入れていることも相まって、データの活用を目的としたデジタルトランスフォーメーションへの投資が増加しています。

特に厚生労働省が推進するデータヘルス計画を受けて、健康保険に関連する分野を分析・支援する動きが盛んです。

データヘルス計画は、医療・検診データの分析にもとづいて保健の事業の最適化を図る計画で、2015年からすべての保険組合に実施が義務づけられています。

今後は、データの再利用を目的とした分析支援の需要も増えると考えられています。

医療におけるDXの活用法について知りたい方は、下記の記事もおすすめです。

関連記事:医療の業界が抱える3つの課題とデジタルトランスフォーメーションの活用法

流通/小売

2022年度の流通/小売におけるデジタルトランスフォーメーションの市場規模は、669億円とされています。

流通では人手不足を補うために、オペレーションの効率化を目的とするDXの推進が盛んです。

デジタルトランスフォーメーションによって、季節による需要の変化を考慮した在庫の最適化や手持ちの在庫の削減が期待されています。

2030年には市場規模が1,852億円にまで成長が見込まれており、今回取り上げた分野の中でも市場規模の成長率が3.6倍と大きい数値が出ています。

なお、流通業界のデジタルトランスフォーメーションについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

関連記事:物流の業界におけるデジタルトランスフォーメーションの活用法5つ

交通/運輸/物流

交通/運輸/物流の2022年度の市場規模は3,842億円で、調査対象となった分野の中でもっとも市場規模が大きい分野です。

近年社会問題となっている高齢者による事故やあおり運転に対応するため、セーフティードライブの実現を目指すためのDX導入率が伸びています。

中でもドライブレコーダーを活用した状況の分析や、車載カメラによる運転者の状態の異常を検知するシステムへの投資も増加しています。

そのほか、タクシーなどの配車サービスにおける需要の予測への費用追加も増える見込みです。

2030年には1兆1,795億円にまで市場規模が拡大すると予測されており、今後も最大の市場規模であり続けることがうかがえます。

社会インフラ/建設/その他

社会インフラ/建設/その他の分野における2020年度の市場規模は499億円とされています。

2030年には他の分野同様、2,078億円まで市場規模が成長することも見込まれています。

建設や観光・宿泊、農業などの分野で、老朽化した設備への対応や災害の監視を目的とした投資が盛んです。

また、上記の分野ではドローンの活用も進み、さらなる市場規模の拡大も考えられています。

デジタルトランスフォーメーションに活用されている技術の市場規模と動向

デジタルトランスフォーメーションに活用されている技術の市場規模と動向

ここまで、デジタルトランスフォーメーションの市場規模について紹介してきました。

すでにご存知の方が多いように、「デジタルトランスフォーメーション」という製品やサービスがあるわけではありません。

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、デジタル技術やデータを活用して、ビジネスモデルを変革することです。

そのため、目的や分野ごとにさまざまな技術が存在します。

富士キメラ総研の調査によると、現在のデジタルトランスフォーメーションにおいて、代表的といわれている技術は以下のとおりです。

  • 人工知能(AI)
  • IoT(モノのインターネット)
  • セキュリティ
  • クラウドコンピューティング

具体的にどのような技術なのか、そして、それぞれの技術の市場規模について解説します。

出典:『2018 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望』まとまる|株式会社富士キメラ総研

人工知能(AI)

人工知能(AI)は日進月歩で発展を続けている技術であり、ライフスタイルや業務においても十分にサポートできるほど成長しています。

  • 自動入力
  • 顔認証技術
  • 言語翻訳

を始めとする多種多様な分野で活躍しており、今後も注目すべき技術の一つです。

特に画像に写っているものを判断する「画像処理」の技術も、人工知能が得意とする分野です

情報の抽出やデータ化が可能となり

  • 工場ラインのトラブルを即座に認識
  • 防犯カメラによる不審者の検出

と、それまでは人の手で実施されていた負担の大きい労働をAIに任せられます

ITRの報告によると、2020年度におけるAIの主要8市場(機械学習プラットフォーム、時系列データ分析、検索・探索、翻訳、テキスト・マイニング/ナレッジ活用、音声合成、音声認識、画像認識)の規模は約513億3,000万円です。

これは前年度比19.9%の増加で、在宅勤務やデジタルトランスフォーメーションに取り組む企業の増加によって、AI活用が広がったことが理由だと同社は分析しています。

ちなみに、主要8市場の中で最も成長が大きかったのが機械学習プラットフォーム(前年度比44.0%増)です。

参入企業の増加とともに、低価格化が進んでいることから、今後も導入が拡大すると同社は見込んでいます。

出典:ITRがAI主要8市場規模推移および予測を発表|株式会社アイ・ティ・アール

なお、DXとAIの関係性について、より詳細を知りたい方はこちらの記事もぜひご一読ください。

関連記事:デジタルトランスフォーメーションにAIが必要な理由は?得意な仕事や事例と併せて解説!

loT(モノのインターネット)

loTとはInternet of Things(モノのインターネット)の略称です。

家電や自動車、工場といった「モノ」をネットワークと接続することで遠隔操作や自動操作を可能とし、生活をより豊かにする技術であると注目されています。

DXにおけるIoTは

  • 全国の道路にセンサーを配置し、交通量を自動で計測する
  • 施設内の温度・湿度を測り、作物の生育に最適な環境を設定する

といった使い方がされており、IoTを通じて得られた情報をもとにDXを実現しています。

総務省の発表によると、2020年度の世界のIoTデバイスの総数は約253億台です。

今後は医療や産業用途での導入が伸びると予測されており、2023年度には340億台を超えると見込まれています。

日本国内でIoTを導入している企業は、2020年時点ではわずか12.4%ですが、そのうち81.1%の企業が「導入効果を実感した」と回答しています。

そのため、IoT需要は今後さらに増加するでしょう

出典:令和3年版情報通信白書|総務省

クラウドコンピューティング

クラウドコンピューティングは通称「クラウド」と呼ばれ、PCやスマートフォンを始めとする、インターネット上で活用されている技術です。

インターネットを通じてシステムの構築・サービスの利用が可能であり、自社でサーバー・運用環境の構築を必要としないため導入後からサービス開始までをスムーズに進められます。

サブスクリプションのような月額制サービスと相性が良く、定期的に料金を振り込むことで制限なく利用できます。

クラウドコンピューティングの中で最も普及しているのが、サービス提供事業者(サーバー)側で稼働しているソフトウェアを、インターネットを経由してユーザーが利用できるサービス「SaaS」です。

富士キメラ総研の調査によると、2022年度のSaaS市場は約1兆891億円に、2026年度には1兆6,681億円になると見込まれています。

また、総務省の発表によると、企業のクラウドサービス利用率は年々増加しており、2020年には約6割を超えました。

このような状況から、今後もクラウドコンピューティング市場は成長が続くと考えられます。

出典
『ソフトウェアビジネス新市場 2022年版』まとまる株式会社富士キメラ総研
令和2年通信利用動向調査報告書(企業編)|総務省

セキュリティ

コロナ禍の影響もあり、リモートワークやテレワークを実施する企業も増えてきています。

デジタル化の推進によって、データの管理ややり取りもWeb上で完結するようになりました。

しかし、利便性の裏側にある情報漏洩や不正アクセスなどセキュリティのリスクも無視することはできません。

近年のサイバー攻撃はより巧みにかつ凶悪なものが増えており、中には社内メールを偽装したフィッシングメールから社員情報を入手し、社員になりすまして社内システムにアクセスする事件も報告されています。

そのため、DXが注目されるにつれて、セキュリティの考え方も見直されています。

現在では、データにアクセスするアカウントを常に監視し検証する「ゼロトラスト」に変化しているのです。

JNSAの報告によると、2021年度の国内情報セキュリティ市場は、前年度から5.2%増加の約1兆3,321億円です。

細かく見ると

  • 情報セキュリティツール市場:7,686億円
  • 情報セキュリティサービス市場:5,636億円

となります。

どちらの市場も前年度に比べると成長しており、今後もさらに拡大すると予測されています。

出典:2022年度 国内情報セキュリティ市場調査報告書|JNSA

DX市場規模が拡大を続ける理由

DX市場規模が拡大を続ける理由

DX市場規模が拡大を続ける理由に、以下の4つが挙げられます。

  1. 業務効率化が図れる
  2. 働き方改革の広まり
  3. 少子高齢化による人材不足
  4. 「2025年の崖」の解消

それぞれの特徴や詳細について解説します。

理由1.業務効率化が図れる

DX市場が規模拡大していく理由に、業務の効率化を図れることが挙げられます。

最新技術を導入し、人の手で作業していた業務をAIやツールに任せることで、工数が減らせるのです。

特に内容が決まった定型のルーチンワークを自動化することで、人的ミスを減らし作業スピードを上げられます。

それだけではなく、担当していた社員の浮いた工数をそのまま他の業務に転用することも可能です。

代替可能な業務を自動化し、今後自社で挑戦したい新たな分野や力を入れたい分野に人材を注力することで、自社の成長にもつながります。

理由2.働き方改革の広まり

日本では、働き方改革が重要視されています。

働き方改革とは、労働環境を改善する取り組みです。

厚生労働省からは、以下のように発表されています。

働く方々がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現する働き方改革を総合的に推進するため、長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保等のための措置を講じます。

引用:働き方改革 ~ 一億総活躍社会の実現に向けて ~|厚生労働省

多様化したライフスタイルに合わせるためには、今までのシステムだけでは対応しきれません

デジタル技術を駆使し、従業員の業務負担を減らして働き方を変えていく動きが広まっています。

理由3.少子高齢化による人材不足

日本を含めた先進諸国は、今後少子高齢化が進んで、労働人口の減少に伴う人材不足が予想されます。

DXを進めることで、業務の効率化や従来の工数カットが可能です。

日本を始めとする人件費が高い国の場合、DXを導入すると業務のパフォーマンスアップだけではなく、人材獲得にかかる費用や手間を減らせるメリットがあります。

理由4.「2025年の崖」の解消

日本が抱えるITの課題に「2025年の崖」が挙げられます。

「2025年の崖」とは経済産業省が提唱している問題の一つであり、2025年までに既存システムのサポート終了やIT人材の引退・退職が進むことで発生する経済損失を指しています。

DXによる社内のデジタル化を進め「2025年の崖」を乗り越えるためにも、

  • 老朽化したシステム
  • 現在利用しているシステムの維持費

を見直し、最新ツールの導入も検討していく流れができています。

国内におけるデジタルトランスフォーメーションの取り組み状況

国内におけるデジタルトランスフォーメーションの取り組み状況

次に、日本国内におけるデジタルトランスフォーメーションの取り組み状況を紹介します。

世界デジタル競争力ランキングでは29位に後退

IMDが発表した「世界デジタル競争力ランキング2022」での日本の順位は、調査対象63ヶ国中29位でした。

前年から1つ順位を下げており、G7(主要先進国)の中ではワースト2位です。

政府主導でDXを推進しているにも関わらず、国際的に見ると進んでいるとはいえません。

一方で、DX先進国のアメリカは2位、中国も5年で30位から17位と、大きく順位を上げています。

日本は2018年に22位になって以降、年々順位が下がっています。

出典:World Digital Competitiveness Ranking|IMD

DXの取り組みを始める企業は増加

とはいえ、DX化を推進する企業は確実に増加しています。

株式会社富士キメラ総研がインターネット上で実施したアンケート調査によると、国内におけるデジタルトランスフォーメーションへの取り組み状況は以下のようになっています。

  • すでに取り組みを開始しており、具体的な施策を実行している:36.8%
  • 取り組みを開始しているが、検討や実証実験段階である:31.0%
  • 今後3年以内に導入する計画がある:13.4%
  • 時期は未定であるが取り組む計画がある:9.8%
  • 今後取り組む予定であるが、具体的な計画はない:9.0%

「すでに導入している 」「実証実験段階である 」を合わせると67.8%となっており、デジタルトランスフォーメーションの推進が始まっていることがわかります。

一方で、同社が上記の調査の3年前に実施したアンケート調査によると、デジタルトランスフォーメーションを「すでに導入している 」「実証実験段階である 」と回答した企業は、全体の37%でした。

つまり、約3年の間に、3割程度の企業がデジタルトランスフォーメーションに対して何らかのアクションを取っていることがわかります。

以上から、多くの企業がデジタルトランスフォーメーションに強い関心を持っているといえます。

出典
『2023 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望 市場編/ベンダー戦略編』まとまる|株式会社富士キメラ総研
『2020 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望』まとまる|株式会社富士キメラ総研

中小規模企業のDX推進は浸透

ここ2、3年の日本で特徴的なことは、大企業だけでなく、中小企業でもデジタルトランスフォーメーションに向けた動きが活発になっていることです。

IPAは、経済産業省の「DX推進指標」をもとに、企業のDX推進状況をまとめたレポートを毎年公表しています。

調査に回答した企業は、2019〜2021年は大企業が全体の7割以上を占めていたのに対し、2022年は中小企が全体の9割を占めていました。

さらに、中小企業でもデータ活用の重要性が浸透してきており、デジタル技術やデータを活用できる人材を適切に配置して、効率的にデータを活用できる仕組みが整ってきていることも指摘されています。

大企業に比べると進行具合は劣りますが、中小企業の間にも、着実にデジタルトランスフォーメーションは浸透しつつあります。

出典:DX推進指標 自己診断結果 分析レポート(2022年版)概要版|独立行政法人情報処理推進機構

将来的に活用を検討している業務

将来的に活用を検討している業務

富士キメラ総研は、将来的にDXの導入を検討している業務に関する調査も実施しています。

同調査におけるDXを導入したい業務トップ5は以下の通りです。

  • コーポレート:86.2%
  • マーケティング:83.6%
  • 一般事務:81.6%
  • セールス:80.0%
  • IT:80.0% 

人事や総務といったコーポレート業務での活用を検討している企業が最も多いことがわかります。

上位5つの業務はすべて80%を超えており、デジタルトランスフォーメーションの中でも、上記の分野での需要が高まることが予想されます。

出典:『2018 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望』まとまる|株式会社富士キメラ総研

日本と海外のDX事例6つ

日本と海外のDX事例6つ

ここからは、日本と海外のDXの事例として、以下の6つを紹介します。

日本の事例
  • 伊藤忠商事株式会社
  • みんなの銀行
  • 株式会社アイデン
海外の事例
  • ロレアル・グループ
  • Le Monde
  • Farmers Insurance

事例1.伊藤忠商事株式会社(国内)

株式会社アイデン

引用:伊藤忠商事株式会社

総合商社大手の伊藤忠商事株式会社は、食品サプライチェーンに関するDXを推進しています。

人工知能を活用し、メーカーへの発注時における

  • 需要のある商品の予測
  • 発注時の最適化
を目標としたDXです。

これまでの小売・卸の業務データと共に、天候データや季節の情報をAIに学ばせることで、発注時のタイミングで最適な発注リストの作成ができます

DXが実現すれば余剰在庫や発注業務に関する負担を減らし、より効率的かつエコロジーな発注ができるでしょう。

事例2.みんなの銀行(国内)

みんなの銀行

引用:みんなの銀行

ふくおかフィナンシャルグループ傘下であるみんなの銀行は、デジタルネイティブ世代をターゲットとしたデジタルバンクを開設します。

Z世代・Y世代と呼ばれるデジタルネイティブ世代は現在の10〜30代を指しており、現在は全人口の3割ほどです。

しかし今後はデジタルネイティブ世代の人口が増え、2030年には全人口の6割を占めると考えられています。

これを見越したみんなの銀行は

  • 書類送付が不要
  • 通帳・キャッシュカードなし

で、スマートフォンだけで申し込みができるデジタルバンクサービスを構築しました。

さらにビデオ通話機能を用いてオペレーターが直接本人確認し、その場で口座開設までを完了できるスムーズな仕組み作りを実現します。

煩雑な手続きを排除し、24時間365日いつでも口座開設が可能な銀行を開業することで、既存の銀行とは異なる世代・ターゲットの集客を目的としたDX事例です。

事例3.株式会社アイデン(国内)

引用:株式会社アイデン

制御盤・分電盤の専門メーカーである株式会社アイデンは、自社の主力事業である制御盤製造において属人化が進み、特定の社員の知見に依存してしまう課題がありました。

そこでDXを導入し、デジタル化ツールを開発することで

  • 機械化できる製造工程を自動化
  • 工程設計をデータ化し必要な作業を明確化

を実現します。

作業内容が明確されたことで習熟度に応じた作業の振り分けが可能となり、

  • より専門知識を持ったベテランは付加価値の高い業務に専従できる
  • 各作業担当者の進捗管理が容易となる

と、メリットも生まれました。

事例4.ロレアル・グループ(海外)

引用:ロレアル・グループ

世界最大の化粧品会社であるロレアル・グループは、DXの導入に際し以下の3つの目標を掲げました。

  1. 売上の20%をオンライン販売で実現
  2. より多くの接点を持つお客様の情報を活用
  3. ブランドと製品に対する愛情を持ってもらう

1つ目の目標は、長年関係を続けてきた小売店と協力し、それぞれの店が持つ知見や専門知識を取り入れて成長につなげます。

2つ目の目標は、顧客の購買習慣や過去の購入履歴だけではなく、一人ひとりの肌タイプや好みまでも分析・最適化することで、新商品の開発やイノベーションを生み出すきっかけ作りとなりました。

3つ目の目標はただ認知度を向上させるマーケティングから、顧客との深い関わりを構築する方針へ転換することで、自社ブランドと製品に関するファン化を目指します。

どれも高度なデジタル機能を構築することを前提とした目標であり、実現に向けてロレアル・グループは組織のトップからスキルアップに向けたトレーニングを実践しました。

アイデアの発案から商品リリースまでスムーズに進むようになり、アプリやUVパッチの開発に成功しています。

事例5.Le Monde(海外)

引用:Le Monde(ル・モンド)

フランスで日刊紙を発行している大手新聞社Le Monde(ル・モンド)は、紙面のDX化で購買者数の2割増加を実現し18万人の定期購読者を獲得します。

以前のサイトは購買者限定のコンテンツを掲載する別のタブに誘導するUIになっていました。

そこからデータの分析を重ね、全ての読者が同じページを閲覧可能にし、有料会員のみ閲覧できるコンテンツに黄色いフラッグを付与し、非購読者でも有料コンテンツの存在を認知できるサイトデザインに改善します。

最終的にWebサイトの改善で

  • サブスクリプションのCV率を46%増加
  • デジタルサブスクリプション数を20%以上増加

に成功しました。

事例6.Farmers Insurance(海外)

引用:Farmers Insurance(ファーマーズ・インシュランス)

アメリカの大手保険会社・Farmers Insurance(ファーマーズ・インシュランス)は、短時間かつスムーズに報告ができる損害請求報告プラットフォームを開発しました。

きっかけは、CEOが交通事故に遭い損害請求報告が煩雑だと知ったことでした。

それまではFarmers Insuranceに電話をかけて損害通知を報告し終えるまでに、平均12分ほど時間がかかっていましたが、損害請求報告プラットフォームを使えば3分で報告が終わります。

顧客のニーズを理解し、同業他社と異なるカスタマーサービスの提供・改善を続ける献身的な取り組みから生まれたDX事例です。

デジタルトランスフォーメーションの市場規模は今後も拡大する見通し

デジタルトランスフォーメーションの市場規模は今後も拡大する見通し

ここまで紹介してきたように、デジタルトランスフォーメーションの市場規模は今後拡大する見通しです。

富士キメラ総研の発表によると、2022年度と比較して2030年度には国内のDX市場規模はおよそ3倍近い成長が予想されています。

全ての市場でDXに関する投資額や導入率が向上する傾向にあり、今後はどの業界に限らずあらゆるジャンルでDXが推進されていくことが想定できるでしょう。

出典:『2023 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望 市場編/ベンダー戦略編』まとまる|株式会社富士キメラ総研

デジタルトランスフォーメーション市場で今後予測される変化

デジタルトランスフォーメーション市場で今後予測される変化

ここまで紹介したように、数年でデジタルトランスフォーメーション市場は大きく成長すると考えられています。

一方で、DXの成否によって企業間の競争力に格差が生まれる可能性も指摘されています。

さらにデジタルファースト経済においてはクラウドファーストが重要視されており、利用者がどの環境でもデジタルサービスを使用できる環境づくりも大切です。

経済産業省が2018年に発表した「DXレポート」では「2025年の崖」問題を踏まえ、それまでにシステム刷新を推進する必要があると述べられました。

デジタルトランスフォーメーションへ投資した企業は、競合他社よりも速いペースでサービスを改善する一方で、DXへの投資に消極的な企業は競争力が低下し、シェアを失う可能性があります。

2023年にはICT支出の中でもDX・イノベーション支出の割合が50%以上になると予想されており、今後も市場の発展と拡大が見込まれている分野と言えるでしょう。

拡大を続けるDXに適応できないと経済損失は年間10兆円以上に!

拡大を続けるDXに適応できないと経済損失は年間10兆円以上に!

デジタルトランスフォーメーション市場は拡大を続けるので、適応できない場合は経済的な損失を被ります。

経済産業省は「DXレポート」において、国内企業のデジタルトランスフォーメーションが進まない場合、2025年以降の経済損失は最大で年間10兆円以上に膨らむと指摘しています。

では、デジタルトランスフォーメーションに適応できなかった企業には、どのような事態が起こるのでしょうか?

具体的には以下のとおりです。

  • 企業競争力が低下する
  • 企業の技術的な負債が増える
  • IT人材を浪費してしまう

それぞれについて、詳しく解説します。

出典:DXレポート〜ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開〜|経済産業省

企業競争力が低下する

AIやIoT、クラウドなどのデジタル技術の進歩により、企業は膨大な量のデータを扱えるようになりました。

しかし、先端技術に対応できなければ効率的なデータ収集・活用ができず、市場の変化から取り残されてしまいます

一方で、デジタルトランスフォーメーションに適応したライバル企業は、新しい技術を効率的に活用したり、新たなビジネスモデルを生み出して、ビジネスの拡大を図るでしょう。

その結果、両者の差は次第に大きくなり、適応できなかった企業は市場から脱落してしまいます。

企業の技術的な負債が増える

「2025年の崖」では、維持・管理コストが高い「レガシーシステム」が、企業の技術的な負債になると指摘されています。

レガシーシステムとは、過去の技術や仕組みで構築されているシステムのことです。

レガシーシステムには、

  • 拡張性やメンテナンスがしにくい
  • 新しい技術やビジネスモデルに対応できない
  • 高額な保守運用費がかかる

といったデメリットがあります。

引き継ぎも難しいため、技術者が退職するとノウハウが失われ、ビジネスに影響が出るリスクがあります。

IT人材を浪費してしまう

レガシーシステムが残っていると、IT人材を浪費するリスクもあります。

優秀なIT人材を採用できても、レガシーシステムの保守運用に充てることになるからです。

すると、新たなデジタル技術の導入・活用に、優秀なIT人材を回せなくなってしまいます。

一方の人材側も、レガシーシステムに関わっていては、

  • 自身の能力を発揮できない
  • モチベーションの維持が難しい

といった状態に陥ります。

その結果、やりがいを感じられず、離職のリスクが高まるでしょう。

拡大するDX市場に後れを取らないためのポイント

拡大するDX市場に遅れを取らないためのポイント

それでは、拡大するDX市場に後れを取らないためには、何をすればいいのでしょうか?

具体的なポイントは以下の通りです。

  • レガシーシステムから脱却する
  • DX人材を育てる
  • 変化に柔軟に対応する
  • 経営層が主導する

それぞれについて、詳しく解説します。

レガシーシステムから脱却する

デジタルトランスフォーメーションを推進するには、レガシーシステムからの脱却が欠かせません。

確かに、過去のビジネス成長のために、レガシーシステムは必要でした。

しかし、現在では最新技術の恩恵を受けられず、時代の波に乗れないシステムとなっています

大きな決断にはなりますが、将来を見据えてレガシーシステムを捨てる勇気を持ちましょう。

DX人材を育てる

新しいシステムを導入しても、それを使うのは結局「人」です。

いくら最新のシステムを導入しても、それを効果的に扱える人がいなければ意味がありません

そのため、デジタルトランスフォーメーションの推進には、DX人材の育成が重要です。

DX人材には、以下の4種類があります。

  • プロデューサー:DX推進を主導する
  • DXマネージャー:DXを企画・推進する、関係者との調整を図る
  • ビジネス・サービス担当:サービスや業務を担う、プロダクトの責任をもつ
  • システム・技術担当:変革後のサービス・業務の実現・実装を行う

この中でも、DX全体の工程を管理する人材の不足が深刻です。

三菱総合研究所の調査によると、実に55.3%もの企業が、全体管理ができる人材の不足を課題に挙げています。

また、2030年には170万人もの専門技術人材が不足するとの予測もあります。

そのため、外部からDX人材を採用することは困難です。

つまり、自社での育成が急務なのです。

出典:DX推進に求められる「デジタル人材」とは?|三菱総合研究所

とはいえ「自社だけでどうやってDX人材を育てればいいの?」と、不安を抱えている方も多いでしょう。

DX人材の育て方については以下の記事で紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

関連記事:DX人材とは?どうやって育てる?研修サービスや育成事例を紹介

変化に柔軟に対応する

デジタルトランスフォーメーション市場の拡大は早く、毎日のように新しいシステムやサービスが生まれていきます

いつどこでイノベーションが起こり、業界の図式が変わるかわかりません。

そのため、常に最新情報にアンテナを張り、変化に柔軟に対応することも必要です。

経営層が主導する

デジタルトランスフォーメーションは切迫した課題ですが、デジタルトランスフォーメーションが進まなくても仕事は進められます。

むしろ他にも対応しなければならない課題があり、そちらにリソースを割かれている企業も多くあります。

そんなときは、自社のデジタルトランスフォーメーション化の先頭に立つ人物が必要です。

海外では、経営層が主導しているケースが多くあります

そのため、日本でも経営層が積極的にデジタルトランスフォーメーションに関わることが必要とされています。

まとめ:デジタルトランスフォーメーションの市場規模は急成長している

まとめ:デジタルトランスフォーメーションの市場規模は急成長している

ここまで

  • デジタルトランスフォーメーションの市場規模の意味
  • デジタルトランスフォーメーションの市場規模
  • 国内外におけるデジタルトランスフォーメーションの事例
  • 今後のデジタルトランスフォーメーションの展望

について解説しました。

国内外を問わず、DXの市場規模は数年のうちにどの業界においても2〜6倍以上拡大すると予測されています。

企業が競争力を獲得・維持するためには、デジタルトランスフォーメーションが必須と考えてよいでしょう。

しかし、日本ではDXに本格的に取り組んでいる企業は一部にとどまっています。

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