デジタルトランスフォーメーションを推進するための組織の作り方 | テクロ株式会社
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デジタルトランスフォーメーションを推進するための組織の作り方

企業のデジタルトランスフォーメーションの推進において欠かせない要素はいくつかありますが、「組織づくり」はその大切な要素の一つです。

しかし、組織づくりが大切だとわかってはいるもののこれまでデジタルトランスフォーメーションに取り組んだ経験がなく、具体的にどのようにして編成すればいいのかがわからないと悩んでいる企業は少なくありません。

そこでこの記事では、デジタルトランスフォーメーションを推進するための組織づくりについて解説していきます。

組織の編成の仕方やDXを推進する組織に求められる能力など、事例をまじえながら紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

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デジタルトランスフォーメーションを推進する組織編成の4つのパターン

デジタルトランスフォーメーションを推進する組織編成の4つのパターン

デジタルトランスフォーメーションの組織編成にはいくつかパターンがあります。

DXでの組織づくりはそのパターンの中から自社に最適だと思われる型を選んでスタートします。

組織の型を決めることができれば、比較的スムーズに取り組み始められるでしょう。

DXにおける組織編成の4つのパターンについて解説します。

1. IT部門拡張型

IT部門拡張型の組織づくりは、すでに存在している自社のIT部門をデジタルトランスフォーメーションを推進していくための組織を再編成する方法です。

デジタルトランスフォーメーションはデジタル技術をビジネスに活用し、ビジネスのあり方そのものを変革させる取り組みです。

そのため、ITやデジタル技術に明るい人材がそろうIT部門を拡張して組織を作るのはとても理にかなっています。

しかし、社内のシステムの保守やメンテナンスが、IT部門のメインの業務となっている場合、

  • 提案力に欠ける
  • 現場のことを深く理解できていない

などのデメリットがあります。

そのため、IT部門に提案力の高い人材を配置したり、現場のことをよく理解している担当者を配置するなどの工夫が必要です。

2. 事業部門拡張型

IT部門拡張型とは異なり、自社内の事業部門が先頭に立ってデジタルトランスフォーメーションを推進していくのが、事業部門拡張型の組織です。

DXの推進には、事業のことを知りつくし、柔軟かつ積極的に提案できる人材が欠かせません。

そのため、それらの条件を満たした人材がそろう事業部門を拡張する形で組織を編成していくわけです。

ただし、この方法で組織を作った場合、組織内にITやデジタル技術に明るい人材がいません。

これにより、提案力のある人材や現場のことを深く理解できている人材はいるが、ITのことを理解できている人材がいないといった「IT部門拡張型」と真逆のデメリットが発生します。

そのデメリットを解消するために、IT部門から人材を派遣したり新しく採用したりする必要があります。

3. 専門組織設置型

既存の部門を拡張する形で組織を編成するのではなく、デジタルトランスフォーメーションを推進するための組織を一から作りあげていくのが、「専門組織設置型」です。

IT部門拡張型や事業部門拡張型で組織づくりをおこなった場合、先ほど紹介したデメリットにくわえ、既存の業務も並行しておこなわなければならない問題も出てきます。

上記のデメリットを払拭する組織づくりの方法が、この専門組織設置型です。

社内の人材はもちろん、必要な知識やスキルを持っている人材を新しく採用したり、外部から人材を集めたりする形で専門の組織を編成していきます。

ただ、この型で編成する組織はまだチームとしてのケミストリーが構築できていないため、マネジメント能力に長けた人材を配置する必要があります。

4.全社横断型

デジタル戦略を策定し、全社的に進めていくのが全社横断型の組織編成です。

全社的な取り組みになるため最も難易度の高い組織編成だと言えます。

そのため、デジタルトランスフォーメーションに取り組むのが初めての企業が取り入れる組織編成とは言えません。

ただし、今の状態のままでは会社の存続が危ういなど会社自体が大きな改革を迫られている場合は、この全社横断型の組織編成でDXへの取り組みが進められる傾向にあります。

最も多いのは「専門組織設置型」

最も多いのは「専門組織設置型」

  • IT部門拡張型
  • 事業部門拡張型
  • 専門組織設置型
  • 全社横断型

の4つの型があるデジタルトランスフォーメーションの組織の作り方ですが、国内でDXを推進している企業が最も多く採用しているのは、専門の組織を新しく編成する「専門組織設置型」です。

IT専門の調査会社であるIDC Japanのデータによると、専門組織設置型の割合は27.9%にものぼり、次に多い全社横断型の17.7%に10%以上の差をつけています。(参考:DXのリーダー組織は専任組織の「第2のIT部門」DX人材の確保は共創が鍵|IDC調査)

専門組織設置型を採用したからと言ってデジタルトランスフォーメーションへの取り組みが必ず成功するわけではありませんが、やはり専門の組織を設けるべきだと考える企業が多くなっていると言えそうです。

デジタルトランスフォーメーションを推進する組織に求められる4つの組織能力

デジタルトランスフォーメーションを推進する組織に求められる4つの組織能力

デジタルトランスフォーメーションへの取り組みを推進する組織を作る場合、どういった能力が求められるのかについても理解しておかなくてはいけません。

DXを推進する組織に求められる組織能力は全部で4つあります。

どういった能力が求められるのかについてみていきましょう。

1. チャンスをとらえる能力

デジタルトランスフォーメーションを推進する組織は、あらゆる情報をキャッチしつつ、取捨選択してチャンスをとらえる能力が求められます。

インターネットが発達したことによって世界中のありとあらゆる情報を比較的、簡単に手に入れらるようになりましたが、組織が把握できる量は限界があります。

そのため、情報の中から必要な情報を効果的に洗い出し、情報を元にチャンスを作り上げる能力が求められるわけです。

2. スピーディーな意思決定能力

デジタルトランスフォーメーションを推進する場合、意思決定になるべく時間をかけず、どれだけスピーディーにおこなえるかが重要になります。

デジタルトランスフォーメーションへの取り組みが失敗する5つの理由」の記事でも紹介していますが、デジタルトランスフォーメーションへの取り組みを成功させるためにはスモールスタートの意識が欠かせません。

スモールスタートでは、まず小規模でDXへの取り組みを始めてノウハウを蓄積して徐々に全社的な取り組みとして展開していくため、とにかく時間がかかります。

そのため、意思決定で貴重な時間をロスしてしまうことがないよう、なるべくスピーディーな決断が求められるわけです。

3. スピード感を持って実行する能力

スモールスタートでどんどん施策を展開して必要なデータやノウハウを集めるためには意思決定を早めるだけでは不十分です。

意思決定だけでなく、決定した施策をスピーディーに展開していく能力も求められます。

また、スピード感を持って施策を実行するためには人材のリソースを動的なものだと考え、そのときどきの状況にあわせて調達して配置し、管理するなど柔軟な対応が求められます。

4.未来を逆算して創造する能力

デジタルトランスフォーメーションのようなビジネスに大きな変化をもたらす取り組みには、理想とする未来の姿を想像し、その未来像から逆算して今やるべきことを考える能力も求められます。

この考え方はバックキャスティングとも呼ばれています。

このバックキャスティングの考え方は、過去の成功体験に縛られてなかなか革新的なイメージを描くことができない悪循環に陥ってしまわないための組織づくりに大切な能力です。

デジタルトランスフォーメーションの組織づくりに欠かせないDX人材とは?

デジタルトランスフォーメーションの組織づくりに欠かせないDX人材とは?

デジタルトランスフォーメーションを推進するための組織を編成する際に欠かせないのが、デジタルテクノロジーを活用してビジネスに大きな変化をもたらすことができる「DX人材」です。

DX人材には、

  • プロデューサー
  • ビジネスデザイナー
  • アーキテクト
  • データサイエンティスト
  • エンジニア・プログラマー
  • UI・UXデザイナー
といった6つ業種があり、組織づくりをおこなう場合はこれらの人材を確保しなくてはいけません。

DX人材を確保する際に把握しておくべき求められるスキルなどについては、以下の記事で詳しく解説しています。

>>DX人材とは?代表的な6つの業種と求められる7つのスキルについて解説

デジタルトランスフォーメーションを推進する組織づくりに成功している3つの事例

デジタルトランスフォーメーションを推進する組織づくりに成功している3つの事例

デジタルトランスフォーメーションを推進する組織を作る場合、他社の成功事例が参考になります。

ここでは、特に有名な3つの事例をとりあげ、紹介していきます。

組織の編成方法や進め方について参考にしてみてください。

事例1. 住友商事

住友グループの大手総合商社である住友商事

住友商事は、「全社横断型」で組織を編成し、デジタルトランスフォーメーションへの取り組みに成功した代表的な事例の一つです。

住友商事では、loTやAIといった最近のデジタル技術を活用してDXへの取り組みを推進させたいと考え、まず初めに「IoT&AIワーキンググループ」と呼ばれる全社横断型の組織を用意しました。

そしてその後、既存のビジネスをより良いものにして優位性を高めていくために、DXの専門組織である「DXセンター」を立ち上げました。

このDXセンターでは約150人がイノベーションに取り組んでおり、これまでに300を超えるDXプロジェクトが誕生しています。

事例2. 花王

大手の化学メーカーである花王は、専門組織設置型で組織づくりを進め、成功させた代表的な企業の一つです。

花王では、DXへの取り組みを進めるにあたり、「先端技術戦略室」と呼ばれる専門組織を立ち上げました。

DXを推進するために必要なデータは十分すぎるほど所有していたものの、そのデータを活かせる人材がおらず組織もなかったため、専門組織である「先端技術戦略室」を設置したわけです。

先端技術戦略室は従業員が先頭に立って引っ張っていく組織を目指していたため、主役となるべき従業員が取り扱いやすいものをテーマにシステムの導入などが進められていきました。

事例3. NEC

日本を代表する電機メーカーであるNEC

そんなNECのDXへの取り組みは、「Digital Business Office」と呼ばれる専門型の組織が主導する形で進められています。

NECではデジタルトランスフォーメーションを推進するのに立ち上げる組織をわざわざ別会社や別の組織にする必要はないと考え、組織を社内から切り分けることなく組織づくりをおこないました。

このDigital Business Officeでは、社内だけでなく社外からもDX人材が集められ、100人以上がDXの推進に取り組んでいます。

まとめ:デジタルトランスフォーメーションの成功は組織づくりがにぎっている

デジタルトランスフォーメーションの成功は組織づくりがにぎっている

デジタルトランスフォーメーションを推進するための組織づくりには複数の型がありますが、それぞれの型に長所と短所があるため、自社に最適だと思われる型で組織づくりを進めることが大切です。

初めてDXに取り組む場合、スタートとなる組織づくり自体のハードルが高く困難に感じてしまうかもしれません。

しかし、DXへの取り組みが成功するかどうかは組織づくりが成功するかが鍵になります。

そのため、今回紹介してきた3つの成功事例を参考にしながら、自社に最適だと思われる方法でデジタルトランスフォーメーションを推進するための組織づくりにチャレンジしてみてください。

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