インバウンドマーケティングの成功事例12選|手順も併せて解説
インバウンドマーケティングは、顧客に「見つけてもらう」営業手法で注目を集めています。
自社のマーケティングに取り入れたいと考えている企業の担当者の方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、インバウンドマーケティングの成功事例や手法について紹介します。
BtoBの事例とBtoCの事例に分けて紹介していきます。
インバウンドマーケティングに興味を持たれている方は、ぜひ参考にしてみてください。
なお、テクロ株式会社では、フェーズごとのWebマーケティングの施策がわかる成功事例集「Webマーケティングの成功事例集」を無料で配布しています。
集客に関するWebマーケティングの事例を知りたいBtoB企業様は、ぜひ参考にしてください。
目次
インバウンドマーケティングとは?
インバウンドマーケティングは、ユーザーが興味を持っている事柄や役に立つ情報を発信し、顧客を獲得するマーケティング手法です。
情報を発信する媒体は、
- Webサイト
- ブログ
- SNS
- 動画配信プラットフォーム
など、多岐に渡ります。
情報を発信してユーザー集めるマーケティング手法は、コンテンツマーケティングが有名です。
コンテンツマーケティングは、インバウンドマーケティングの手法の1つに分類されます。
アウトバウンドマーケティングとの違い
インバウンドマーケティングとよく対比されるのがアウトバウンドマーケティングです。
アウトバウンドマーケティングとは、企業が顧客に対して商品やサービスを売り込むこと指します。
例えばテレビやラジオのCM、新聞の広告や折り込みチラシなどです。
現在では、古いマーケティング手法と考えられがちですが、短期間で成果を獲得しやすいなどの利点もあります。
ただ、顧客が望んでいない情報も提供することになるため、一方的なコニュニケーションになりがちなのが難点です。
インバウンドマーケティングとアウトバウンドマーケティングのどちらが優れているかではなく、目的によって使い分けることが重要といえるでしょう。
インバウンドマーケティングの手法
インバウンドマーケティングを実施する場合、顧客は以下の4つの段階を経て自社のファンになります。
- ATTRACT(惹きつける)
- CONVERT(転換する)
- CLOSE(顧客化する)
- DELIGHT(満足させる)
ステップ1.手法を選択する
まずは見込み顧客に自社の商品やサービスを知ってもらう必要があります。
まだこの段階ではニーズが顕在化していないため、できるだけ多くの見込み客を集客する必要があります。
インバウンドマーケティングで顧客を集客する手法は、ブログやWebサイトにコンテンツ掲載し誘導したり、TwitterやFacebookなどから集客したりする手法が一般的です。
ポイントは、極力多くの潜在顧客に興味を持ってもらえるようにあらかじめ綿密に戦略を立てることです。
ペルソナやカスタマージャーニーマップを用いて、ターゲットに合った手法を選択しましょう。
ステップ2.コンテンツを作りリードを獲得する
続いてのステップでは、実際にコンテンツを作成して、商品やサービスに興味を持ってくれた潜在顧客をリード化します。
具体的には、コンテンツから集客した後、ホワイトペーパーやebookなどのお役立ち情報をダウンロードしてもらい、顧客のメールアドレス・電話番号といった連絡先を獲得します。
ただ無造作にリードを獲得するのではなく「購入する可能性の高い見込み顧客」を手に入れるのがポイントです。
ステップ3.リードを顧客化していく
続いては、獲得した顧客行動やデータを分析して、購買行動につなげる・顧客化するステップに移ります。
SEOによって集客した場合は、サイトの閲覧・行動履歴などのデータから顧客に最適なタイミングを計ります。
アプローチする際は、顧客とのコミュニケーションが取れるダイレクトメールなどで購買意欲をたかめることが重要です。
セールスツールやマーケティングオートメーションなどの自動化ツールを導入できれば、人材コストも抑えられます。
MAツールについて深く知りたい方は「徹底比較!おすすめのMAツール(マーケティングオートメーション)21選」をご覧ください。
ステップ4.ファンにするためにクロージングをする
最後のステップでは、獲得した顧客を満足させ、ファン化していきます。
商品の購入後にアフターフォローがなければ、顧客は競合へと流れてしまいかねません。
一度獲得した顧客をファン化させるためには、
- Webサイトで収集したアクセス履歴や購買履歴を分析して最適な商品を表示
- カスタマーサポートで顧客の悩みを解消する
インバウンドマーケティングでは、顧客を集めて購入につなげれば終わりではなく、継続的なフォローをし、ファン化させるところまでがゴールと認識しておきましょう。
【BtoB】インバウンドマーケティングの6つの事例
ここからは、インバウンドマーケティングを上手く活用している事例について紹介していきます。
まずは、6つのBtoBの事例についてみていきましょう。
事例1. 経営ハッカー(freee株式会社)
クラウド会計ソフトのパイオニア企業「freee株式会社」。
freee株式会社はオウンドメディア「経営ハッカー」を運営し、同社のメイン顧客層である中小企業や個人事業主に向け、経理や会計に関するコンテンツを発信しています。
中小企業向けには、
- 会社設立
- 経営・戦略
- 経理・財務
- 人事・労務
- 上場準備
- 働き方改革
などに関連した情報を発信し、個人事業主向けには、
- 開業
- 確定申告
- 経理の基礎知識
- フリーランスの働き方
などに関する情報を発信しています。
無料のebookなどの資料はほとんど用意されていませんが、発信されているコンテンツは、いずれも詳しくてわかりやすい良質なコンテンツばかりです。
良質なコンテンツをユーザーの獲得やファンの獲得につなげている、非常に参考になる事例の1つです。
【参考】freee株式会社「経営ハッカー」
事例2. バズ部(株式会社ルーシー)
コンテンツマーケティング関連の情報を発信している有名なサイト「バズ部」。
コンテンツマーケティングやSEOについてリサーチしていると、必ずといっていいほどバズ部が運営するサイトを目にします。
有名なサイトで、かゆいところに手が届く丁寧な発信をしているのが特徴です。
バズ部では、自社でコンテンツマーケティングに取り組みたいと考えている企業向けに情報を発信しています。
より興味を持ってくれたユーザーに対し「バズ部式コンテンツマーケティング」と題した無料のebookを提供することで顧客の獲得やファンの獲得につなげています。
【参考】株式会社ルーシー「バズ部」
事例3. LISKUL(ソウルドアウト株式会社)
ソウルドアウト株式会社が運営しているオウンドメディア「LISKUL」。
LISKULでは、企業のマーケティングをサポートする中で得た、
- SEM
- SEO
- SNS
に関するノウハウを、それらを自社のマーケティングに活用したいと考えている企業に向けて配信しています。
中身が濃く、配信されているコンテンツだけでも勉強になりますが、資料もかなり数用意されていて無料でダウンロード可能です。
コンテンツや資料のダウンロードを入り口に顧客を獲得しています。
【参考】ソウルドアウト株式会社「LISKUL」
事例4.インバウンドマーケティング部門(株式会社キーワードマーケティング)
株式会社キーワードマーケティングは、Web広告の運用代行などをしている企業です。
MAツール「Bow Now」を導入して資料ダウンロードなどからリードを獲得しています。
Webサイトで獲得したリード情報の窓口を一元管理することによって、ホットリードを抽出して、最適なタイミングでアプローチが可能になります。
インバウンドマーケティングで獲得したアポイントをフィールドセールスに受け渡す段階でも、予算感覚を握れていることが1つの利点と実感しているようです。
【参考】株式会社キーワードマーケティング「keyword marketing」
事例5.HR NOTE(株式会社ネオキャリア)
採用支援から人材サービスを展開している株式会社ネオキャリアは、人事向けクラウドサービスのオウンドメディア「HR NOTE」を運営。
当初は、運営方法すらわからない状態からスタートしています。
長年のテレアポ中心のマーケティングからインバウンドへと切り替えたことで、年間数万件の法人リードを獲得するまでに成長しています。
元々はテレアポで成長してきた会社でしたが、現在は経営戦略のひとつとなっており、インバウンドマーケティングの導入によって進化を遂げた事例の1つです。
【参考】株式会社ネオキャリア「HR NOTE」
事例6.インバウンド組織の立ち上げ(株式会社ブイキューブ)
株式会社ブイキューブは、Web会議用のビジュアルコミュニケーションツールの企画や開発を事業としている企業です。
マーケティング活動の成果を可視化するために導入したMAツールによって、受注金額が2年間で約2.4倍になりました。
ブログ記事はユーザーに合わせた記事を作成してから、8ヶ月でオーガニック流入数が40~45倍、総セッション数は約5倍にまでアップしました。
過去の受注結果から温度感の高い見込客の条件をMAに設定して、そのユーザーの来訪があったら通知が出るなど、フォローを充実させて効率的な案件を実現させています。
【参考】株式会社ブイキューブ
【BtoC】インバウンドマーケティングの6つの事例
次に、BtoCの事例を6つ紹介していきます。
事例1. 北欧、暮らしの道具店(株式会社クラシコム)
ECサイトにブログ形式でインテリアに関するコンテンツを掲載し、大勢のファンの獲得に成功したのが「北欧、暮らしの道具店」の事例です。
「北欧、暮らしの道具店」は、北欧雑貨をテーマにしたECサイトで、もともと個人が運営している小規模なECサイトでした。
インバウンドマーケティングを取り入れている企業がほとんどない時期からコンテンツの発信に力を入れ、今では国内で有数のインテリア通販サイトにまで成長しています。
コンテンツの内容は商品紹介メインで、スタッフの愛用品紹介や悩みをテーマに対談する記事なども掲載しています。
【参考】株式会社クラシコム「北欧、暮らしの道具店」
事例2. リスタチャンネル(株式会社RESTA)
今まで主流だったWebサイトやSNSではなく、動画配信プラットフォームを活用した事例が「リスタチャンネル」の事例です。
リスタチャンネルは神戸に店舗を構えているDIYショップが運営しているYouTubeチャンネルで、DIYに関する動画が多数アップされています。
どれも動画の作りが凝っていてとても見やすく、詳しく手順を紹介しながら動画が展開されていくため、初心者の方が参考にできる質の高いコンテンツです。
動画内では自社で取り扱っている製品を中心に紹介しており、ほとんどの製品が概要欄からアクセスでき、ECサイトでの購入ができます。
そのため、ユーザーはわざわざ必要なアイテムを検索する必要がありません。
マネタイズの方法やユーザーの誘導の仕方、コンテンツの作り方など、非常に参考になる点が多い事例です。
また、情報を発信する媒体としてYouTubeを活用したいと考えている方にとっても参考になるでしょう。
【参考】株式会社RESTA「リスタチャンネル」
事例3. 土屋鞄製造所(株式会社土屋鞄製造所)
日本有数のレザーブランドとして人気の土屋鞄製作所。
土屋鞄製作所は、SNSとWebサイトを活用してコンテンツの発信を実施しています。
土屋鞄製作所はコンテンツを発信する場としてFacebookを活用していて、テキストはもちろん、製品の魅力を伝える画像や動画もまじえながら発信しています。
発信されているコンテンツはバラエティ豊かで、新製品の紹介などの商品紹介系以外にも、鞄作りに対するブランドとしての思いやレザーを手入れする方法といったお役立ち系も。
お知らせだけではなく、制作の裏側などブランドの世界観を重視した発信が特徴です。
【参考】株式会社土屋鞄製造所「Facebook」
事例4.アイリス暮らし便利ナビ(アイリスオーヤマ)
アイリスオーヤマ株式会社では、ご飯のレシピや家事のアドバイスなど、暮らしに役立つ情報を提供しているメディア「アイリス暮らし便利ナビ」を運営中です。
その他にもブロガーからの寄稿や口コミ投稿などユーザー参加型のコンテンツによって、認知度を拡大しています。
コンテンツの後半に自社の商品を紹介することで、潜在顧客にアプローチし、購入へと繋げるための導線も設けています。
企業から一方的に情報を発信するのではなく、ユーザーの声に焦点を当てたインバウンドマーケティングならではの戦略です。
【参考】アイリスオーヤマ株式会社「アイリス暮らし便利ナビ」
事例5.キリンレシピノート(キリン株式会社)
日本の大手飲料メーカーであるキリン株式会社が運営するメディア「キリンレシピノート」では、ビールやワインに合うおつまみ・デザートのレシピを紹介しています。
マーケティングを取り入れると「どうしたら売り上げにつなげられるか」を考えてしまいますが、キリンレシピノートでは自社商品の宣伝をしていません。
直接的な宣伝をしない代わり、レシピを検索した買い物中の人についで買いをしてもらうことを狙いとしています。
押し付けられる広告を嫌う現代にマッチしたインバウンドマーケティングの事例です。
【参考】キリン株式会社「キリンレシピノート」
事例6.SHARP シャープ株式会社公式Twitter(シャープ株式会社)
シャープ株式会社はTwitterをインバウンドマーケティング施策として取り入れており、数ある企業アカウントの中でも圧倒的な存在感があります。
一般的な個人のアカウントと異なり、企業アカウント運営には担当者を誰にするかや、投稿内容をどうするかなど注意するべきポイントも多いです。
しかしシャープの公式Twitterは、日々積極的にユーザーとゆるいコミュニケーションを取ることで、広告宣伝にうんざりしているユーザーにも効果的にアピールできます。
担当者の力量によって左右されやすい運営方法ですが、一方的なコミュニケーションとなりがちな企業アカウントでも差別化できた事例です。
【参考】シャープ株式会社「SHARP シャープ株式会社公式Twitter」
インバウンドマーケティングが注目される背景
インバウンドマーケティングが注目されるようになった背景には、アウトバウンドマーケティングの手法が通用しづらくなった点が関係しています。
インターネットのインフラが整備され、スマートフォンなどの端末が登場したことで、ユーザーは時間や場所を選ばず情報を探して得られるようになりました。
つまり、広告によっておすすめされなくても、自分で商品やサービスを探せます。
時代や消費者行動の変化により、
- ユーザーに敬遠されてしまう
- 費用がかかる
- 資産性がない
など、アウトバウンドマーケティングのようなプッシュ型のアプローチはデメリットの要素が強くなりました。
そのためデメリットを払拭するインバウンドマーケティングが誕生し、注目されるようになったのです。
インバウンドマーケティングの活用に適している企業と適していない企業
非常に魅力的なマーケティング手法であるインバウンドマーケティングですが、活用に適している企業と適していない企業があるため注意が必要です。
以下ではそれぞれに当てはまる企業の特徴をみていきましょう。
インバウンドマーケティングの活用に適している企業
インバウンドマーケティングの活用に適している企業は以下の2つです。
- 高額な製品やサービスを扱っている企業
- ユニークな製品やサービスを扱っている企業
インバウンドマーケティングはコンテンツを入り口として、より質の高いebookなどの資料で信頼性を獲得し、ユーザーを教育して顧客化させる側面のあるマーケティング手法です。
そのため、高額な製品やサービスなど、購入や導入を決めるのに時間のかかる製品やサービスを取り扱っている企業に向いています。
また、ユニークな製品やサービスを取り扱っている企業も、コンテンツでユーザーにインパクトをあたえやすいため、インバウンドマーケティングの活用に適しているでしょう。
インバウンドマーケティングの活用が適していない企業
インバウンドマーケティングの活用が適していない企業は以下の2つです。
- 低価格帯の製品やサービスを扱っている企業
- インパクトをあたえにくい製品やサービスを扱っている企業
低価格帯の製品やサービスはコンテンツでユーザーを教育する必要性が低いため、インバウンドマーケティングの活用には向いていません。
またコンテンツでユーザーにインパクトをあたえにくい製品やサービスの場合は、見込み客に気づいてもらえる可能性が低いため向いていないでしょう。
そういった製品やサービスを取り扱っている企業は、広告を主体としたアウトバウンドマーケティングを活用するべきです。
まとめ:事例を参考にインバウンドマーケティングに取り組もう
一部向いていない企業もあるものの、アウトバウンドマーケティングの効果が弱まりつつある今、インバウンドマーケティングへの取り組みはマストで実施するべきだと言えるでしょう。
インターネット広告に関する規制はどんどん厳しくなりつつありますし、ユーザーのリテラシーも向上しているため、重要性はさらに増していくと予想されます。
インバウンドマーケティングは、コンテンツなどで情報を発信してユーザーに見つけてもらう「待ち」のマーケティング手法です。
効果を実感できるようになるまでに時間がかかってしまうため、なるべく早いタイミングで取り組みを始めるべきです。
今回紹介した12社の事例を分析して参考にしながら、ぜひインバウンドマーケティングに取り組まれてみてはいかがでしょうか?
テクロ株式会社では「Webマーケティング成功事例集」を発行しています。
見込み顧客の商談化に難航している方は、ぜひダウンロードしてみてください。