【BtoB向け】コンテンツ設計とマーケティングを成功させるポイントとは【事例で解説 BtoBマーケティングにおいてリード獲得を最大化する方法とは?】:前編
BtoBマーケティングにおいて、リードの獲得やコンテンツの作成にお悩みの経営者様・事業担当者様もいるのではないでしょうか。
そこで今回は2021年11月10日に開催されたオンラインイベント「事例で解説 BtoBマーケティングにおいてリード獲得を最大化する方法とは?」のウェビナーレポートをお届けします。
このウェビナーでは、BtoBビジネスにおけるコンテンツマーケティングを基本に、リードの獲得や自社サイト・オウンドメディアのSEOへの取り組みについて解説。
前編の本記事では弊社代表取締役の天野から、BtoBのSEOを中心にコンテンツマーケティングについてうかがいます。
講師の紹介
GMO TECH株式会社 本部長/執行役員
大澤 健人(おおさわ けんと)
プロダクトマーケティング本部 本部長としてSEOコンサルティング事業、O2O、HR領域のセールス・カスタマーサクセス・プロダクト全体を統括。
検索プラットフォームと自社プロダクトを掛け合わせたソリューションを軸にした集客支援領域を主に担当。
テクロ株式会社 代表取締役
天野 央登(あまの ひさと)
テクロ株式会社CEO。大学2年生時に起業。留学メディア「交換留学ドットコム」を1年半ほど運用し事業売却。
その後はコンテンツマーケティングの知見を活かして、Webマーケティングの顧問事業を開始。BtoBマーケティングを中心にSEO・MAツールに詳しい。
本ウェビナーの趣旨について
本ウェビナーは、- テクニカルSEOを主体としたSEOコンサルティング会社
- Webマーケティング・メディア運用・支援をしている会社
本記事は以下の方におすすめの内容です。
- SEO中級者以上
- コンテンツSEO・テクニカルSEOを学びたい方
- マーケティング担当者
- SEOの最新情報を取り入れたい方
- マーケティングを勉強されている方
- 営業担当者
BtoBのマーケティングの全体像とコンテンツ設計方法~The Model~
堀:司会を務めますGMO TECHの堀と申します、よろしくお願いいたします。
それでは天野様より、お話をお聞かせいただければと思います。
天野:テクロ株式会社の天野です。
前半は私の方からコンテンツSEOの方法や「BtoBのマーケティングの基本」からスタートします。
後半は大澤さんの方からコンテンツではなくテクニカル指標についてお話をいただき、濃淡がついたウェビナーとなるのではないでしょうか。
まず簡単に自己紹介をします。
改めまして、テクロ株式会社の天野です。
大学ではデータサイエンスを学び、現在は3年ほどオウンドメディアの支援側に立った事業をしております。
現在は、コロナの影響でBtoBの世界もデジタルシフトが非常に進んだと思っております。
- 展示会で数が確保できない
- コンタクトリストも入手できない
- 在宅勤務でテレアポも通じない
と課題があり「デジタルの施策でコンタクトリストを持ってこないといけない」世界観が生まれました。
その中で、BtoBに絞ってマーケティング支援を進めております。
そのためBtoBの話が多くなりますが、BtoCの業界の方でも持って帰っていただける情報も多いと思います。
BtoBマーケティングのモデル
天野:我々はBtoBのマーケティングをする際に、一番枠組みを分かりやすくするため画像の書籍『THE MODEL(ザ・モデル)』を使っております。
こちらは本社がアメリカにある、Salesforceでマーケターを務めていた福田さんが書かれており、アメリカのマーケティング手法を日本に持ってくればどうなるのか、分かりやすくまとめられている本です。
本の中でも我々が、ご支援させていただいている「コンテンツ・マーケティング」の周りと「インサイドセールス」に繋がる部分が書かれています。
つまりBtoBのマーケティングであるお客様を、Webサイト及びオフラインでどのように獲得し、商談までつなげていき、数を増やしていくのかを支援しているのが弊社です。
それではまず、なぜTHE MODELの考えが必要なのか紹介します。
Webサイトができる以前は展示会・テレアポから営業担当が持ってくるセールスが主でした、いわゆる「人間力」に左右されていた時代ですね。
しかし、今は担当者の方が
- 展示会
- SNS
- SEOでコンテンツを読む
- ウェビナー
- ホワイトペーパー
- メールマガジン
で情報収集し、2〜3社に目星をつけて営業メールをするケースがコロナ禍において多くなりました。
その2〜3社に選ばれなければ、営業担当のパフォーマンを見せる場所もありません。
営業担当にコンタクトするまでのフローが非常に長くなったため、その部分を作り込んでいかなければ商談すらもなくなってしまいます。
今はアフターコロナの雰囲気が出始めてはおりますが、BtoBの世界観ではこの流れ自体は変わっておりません。
このままネット・展示会を含めて名刺情報をオンラインで取りに行かなければ、営業担当の商談が無くなってしまうと危惧されています。
BtoBマーケティングの分解
天野:その中でマーケティング、特にコンテンツSEOに絞ってお話しいたします。
BtoBの施策においては、画像の4段階が重要です。
最初の「認知拡大」にあるタクシー広告・交通系は、有名なところでSky株式会社さんが藤原竜也さんを起用し東海道新幹線の広告を出していますね。
認知の拡大ではSkyさんのように、俳優を起用して広告を出すケースもあります。
他には
- 交通系の広告
- テレビCM
- エレベーター
- ビル
- タクシー
- 動画
- オウンドメディア
- 展示会
まずサービス自体の名前を知ってもらうことが認知拡大の目的です。
この分野はKPIが取りづらく、インプレッション数やページビュー数で数字を見る部分のため、TVCMから何リード来たかと数字を測るのは難しいですね。
一方で数字がきれいに取れる分野を挙げると
- リスティング広告
- フェイスブック広告
- 資料のダウンロード
ですね。
オウンドメディアは「認知拡大」「リード獲得」のどちらにも活用できます。
特に「デジタルマーケティング 会社」「動画制作 会社」と比較検討しているキーワードで検索される方は、ニーズが顕在化しているため、お問合せやリード獲得につながりやすいですね。
ホワイトペーパーもダウンロードする際にフォームに名前を入れる必要があるためこちらもリード獲得に有効です。
名刺データを入手した後に、どのようにリード育成をするかですが、これは
- ウェビナー
- メールマガジン
で定期的に育成していきます。
BtoBとBtoCで大きく異なる点が、BtoCでメルマガ手法は時代遅れの印象があるかと思います。
今のトレンドはLINEやSNSでしょうか。
反対にBtoBではメールマーケティングが現在も主流であり、このトレンドはコロナ禍で変わると個人的に思っていましたが、未だメールマーケティングは主流であるなと感じています。
ウェビナーやメールマーケティングで接点を持っていき、最終的には
- 問い合わせ
- サービス資料請求
- 無料相談
さまざまな手法がある中で、全てできるのは予算が多い大企業さんです。
以降は数ある手法の中で、効率・リード単価が良い施策を解説します。
数ある手法の中でなぜコンテンツマーケティングが優れているのか?
天野:ここからはコンテンツマーケティングについて解説します。
前提に「コンテンツマーケティング」は良いものであるとお話ししていくのですが、コンテンツマーケティングの一番良いポイントは「マーケティングチャネルを複数持ってリスク回避できる」点です。
昨今のWeb広告ですが、企業全体でデジタル予算が増えた関係でWeb広告に予算が回っている感覚があります。
CPA(顧客獲得単価)・CPC(クリック単価)共に一昨年から1.5倍ペースで大きく上がっています、気軽に始められる施策だからこそ競合他社が参入しやすい特徴がありますね。
展示会に関してもリストが大量に入手できる点がありますが、コロナ禍で必ずしもオフラインで開催されるとは限らず、リスクがあるチャネルではないかと思います。
SEOに関しては一度記事を作成し上位に上げてしまえば、リライトすることによって定常的に上位に表示できます。
BtoCの格安SIMやクレジットカードといった、アルゴリズムの変動が大きい領域はそう上手くはいきません。
BtoBでは比較的安定して上位表示ができるため有効なマーケティングチャネルではないかと思います。
画像右にある、とあるメディア様のコンバージョンを見ていただければ分かるとおり、最初は記事を大量に書かなくてはいけないためCPAも高くなりがちです。
しかし制作に3万円かけた記事が上位表示でき、ダウンロードが1件入ればCPAは3万円、2件入ったら1万5,000円、3件入ったら1万円……と、オウンドメディアを始めて軌道に乗せることができればCPAは0円に近づいていきます。
これは弊社の支援先のお客様にも起きている事例であり、最初は3〜4万円のCPAからスタートしそこから2,000円、1,000円と落としていくことは可能です。
2年3年と継続的に実施する必要はありますが、非常に有効なマーケティングではないでしょうか。
コンテンツマーケティングの成功には継続的なコンテンツ作成が重要
天野:画像は弊社オウンドメディアのデータです。
2019年の9月からスタートしており、2020年から少しずつに数字が上がってきておりますね。
たまにメールマガジンや偶然特定のキーワードが引っかかり数字が伸びることもあります。
しかし、明確な変化が現れるまでに時間がかかる特徴があります。
その後大きく数字が上がっていきますが、その記事は直近で更新したものではなく2019年の秋頃に更新していた記事です。
図のように後半に勢いが上がる伸び方をするのが、コンテンツマーケティングの特徴です。
弊社の場合はお客様向けに支援する場合、月間10記事を納品しておりますが、少なくとも半年〜1年は記事を作成し続けていただきたいですね。
もちろん1年を超えてしまうと翌期の予算になってしまうため、上の方に確認を取る必要があるかと思いますが、1年以上の実施が必要な施策であることをしっかりご理解いただいた上で、スタートするのがおすすめです。
天野:2つ目はコンバージョンに強いキーワードで執筆する必要がある点ですね。
弊社の例では「コンテンツマーケティング 会社」と検索していただくと、弊社のオウンドメディアが一番上に出てくるかと思います。
「コンテンツマーケティング 会社」「BtoBマーケティング 会社」の記事は、弊社の中でも稼ぎ頭の記事であり、一部上場の会社様から問い合わせが入って来ております。
一方でコンバージョンに弱いキーワード、弊社でも上位を取れているキーワードに「マーケティング 事例」「Webメディア」がありますが、問い合わせはほとんど来ません。
ここでは「コンバージョンに強いキーワード」「コンバージョンに弱いキーワード」と定義しておりますが、これは両軸で執筆していく必要があります。
その理由は、コンバージョンに強いキーワードは必ずしも月間検索数が多いわけではないからです。
コンバージョンに弱いキーワードの方が検索数も多いため、まずは弱いKWからユーザーをGoogleから流入させます。
その後コンバージョンに強いキーワードでも順位が上がるように仕向けて、コンバージョンを取る、この二軸で考えていく必要があります。
しかし、オウンドメディア全体で100記事あったとしてもコンバージョンに貢献してくれる記事は10〜20記事ほどです。
残りの80記事は、その10〜20記事を盛り上げていくために必要な記事です。
全体で総量は必要ですが、パフォーマンスを出す記事は一部のであると捉えておいてください。
コンバージョンに強い・弱い記事ですが、BtoBの場合は非常に大事です。
検索ニーズに合わせたホワイトペーパーの作成ですが、例えば「Webメディア 特徴」「Webメディア 作り方」と検索しているお客様に対して「Webメディア制作マニュアル」のホワイトペーパーに着地をさせます。
これは検索しているキーワードと、ダウンロードしている資料の内容が同じになるように設定しています。
内容を合わせなければ資料のダウンは最大化されないため、サイズ感をそろえていく必要があるのです。
コンテンツマーケティングにかかる工数
天野:我々は記事の文字数を標準的に4,000文字書いており、4,000文字×10記事で1記事5時間かかると考え、10記事書くのに50時間分執筆しています。
ホワイトペーパーの企画や作成は1ページ20分で企画し、30ページ分となると、デザインの時間を加味しても10時間以上かかります。
ホワイトペーパーを1本作るのに10時間、記事執筆を足して合計60時間ですね。
一日の就業時間が8時間と考えても、コンテンツを作るのに8営業日ほど必要になります。
そのためこの工数を少しでも割く必要があり、内製化するのは厳しいのが現状です。
さらに記事は書き終えた後も校閲してWordPressに入力し、SEOを気にしながら公開まで持っていこうとした場合は16営業日かかることもあります。
これは社員1人の月労働時間を全て費やさなければコンテンツが量産できないと言えるでしょう。
そのためWebマーケティングの支援をしている我々を選んで、コンテンツ制作を外注に出す会社様は多いです。
テクロ株式会社の概要
天野:現在テクロではBtoBを中心とした
- 広告代理店
- コンサルティング
- 士業
- ソフトウェア
- 製造業
の会社様へ幅広くご支援しております。
天野:プラン内容は、インハウス化を希望している企業様向けのプランと完全代行をご依頼したい企業様向けのプランが2種類ありますが、圧倒的に完全代行を依頼される方が多いですね。
しかし自社で内製化したい企業さんもいらっしゃるため、弊社のマニュアルを共有しインハウス化のお手伝いもしています。
非常に大切なポイントですがBtoBの企業様はコンテンツの内容が難しい場合も多く、我々で記事を書く際には、お客様と対話を重ね品質を安定化させていくフローがあります。
例えば工場のサプライチェーンのコンサル会社さんの場合、イスラエルの理論も使っており内容が大変難しいものになっていました。
そのため新人研修の動画を共有いただき、内容を把握した上でコンテンツを書き下すこともしておりました。
基本的に1クライアント様に対して
- ライターが5人
- 編集長が1人
- マネージャがー1人
と人員を配置し、記事のサンプルを何度も提出して書き下していきます。
- 良いコンテンツが作れるように
- SEOに強いように
と弊社ではコンテンツ化に際し徹底的にマニュアル化をしており、内製化しようと思うとコストがかかってくる事実も知っていただければと思います。
天野:弊社事例に1社、紹介します。
2年間でおよそ、100倍のPV増加・資料ダウンロード数の増加につながったお客様です。
質疑応答
天野:ここでご質問をいただきましたので、回答いたします。
「コンテンツマーケティングの場合は、コンテンツをたくさん作らないといけないのでしょうか」
結論から言えば、量産は必須です。
100記事弱は用意する必要があるため、月に10記事・1年間で60記事・2年で120記事のペースで書いていきます。
勢いがなければ、数字は出ないです。
逆に月1〜2本しか書いていない場合、Googleから動いているサイトとみなされなくなってしまいます。
「完全代行の場合、記事テーマはどのように決めているのでしょうか」
こちらは営業の段階で決定します。
基本的にSEOのキーワードをメインに記事テーマを決めていきます。
例えばタスク管理のツールであればタスク管理・プロジェクトマネジメントのキーワードの中から、一番リードが取れそうなキーワードをお客様を相談し
- 第一段階はこのキーワード
- 第二段階はこのキーワード
とスケジュールも含めて、ご提示しております。
天野:「コンテンツ量産が難しい場合、記事以外のサイト更新はGoogleでの評価基準に値しないのでしょうか」
SEOをするためには記事を上げる必要があるため「SEO・コンテンツでリードを獲得してきたい」とお考えであれば、少し難しいですね。
記事以外のサイトの更新だけではGoogleに評価に値しないかどうかは、何年間ドメインを運用されているのかによって変わってきます。
コンテンツの更新に関しては、動いているサイトとはみなされると思います。
しかしSEOで上位表示させる意味では記事をしっかり量産していく、SEO用の記事を作っていく必要があるため、記事を書かなければ基本的には上位表示はされません。
私のパートは以上とし、この後は大澤さんのパートに移ります。
後編では大澤さんからテクニカルSEOについてお話ししていただきます。
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