インサイドセールスのKPIは何を設定すべき?設定のポイントやマネジメント方法
「インサイドセールスを導入したものの、KPIは何を設定すべきなんだろう?」
「KPIの達成状況をしっかりマネジメントしたい」
KPI設定は意外と奥が深いうえ、インサイドセールスは何の指標をKPIとすべきなのか、迷ってしまうこともあるかと思います。
冒頭のような悩みを持っている方も、少なくないのではないでしょうか。
そこで今回は、インサイドセールスのKPI設定方法や、実際によく使われている指標、運用時のポイントについて解説していきます。
読み終わる頃にはインサイドセールスのKPI設定方法や、どうしたらKPIのマネジメントがうまくいくかがわかっているはずです。
ぜひ参考にしてみてください。
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目次
インサイドセールスは、非対面の営業活動のこと
インサイドセールスとは「非対面で継続してコミュニケーションをとる営業」のことです。
マーケティング部門からリードを引き継ぎ、非対面でメールや電話などを使い、顧客のニーズが高まるまで継続的にコミュニケーションを取ります。
顧客の問題解決に貢献して関係構築し、顧客の信頼感とニーズが高まった状態で商談の約束をし、営業部門に引き継ぐ役割です。
インサイドセールスを導入するとリードの質や自社への信頼が高まり、成約率の高い状態で商談をおこなえます。
商談に費やしたリソースが無駄になりにくくなるため、営業部門のリソースの効率化にも繋がるはずです。
また、顧客と密にコミュニケーションを取ることで、取りこぼしも防げ、商談に失敗した顧客のフォローもできます。
成約率を上げ、かつ営業部門のリソース利用を効率化し、顧客の離脱も防げる手法です。
インサイドセールスの目的3つ
インサイドセールスは、目的があります。
自社の課題に合った目的でなければ、インサイドセールスの効果を得られないためです。
以下では、代表的な3つの目的を解説します。
目的1.アポイントを獲得するため
インサイドセールス導入企業のなかでも、最も多い目的が「アポイントを獲得するため」です。
電話やメールなどで顧客と継続的にコミュニケーションを取ることで、顧客の細かなニーズが拾いやすくなり、商談のチャンスを見逃さない状態を作れます。
また、信頼関係も築けているため、さまざまな情報を聞き出すこともできます。
細かいニーズや情報を反映した「顧客にマッチした提案」が可能です。
目的2.受注プロセス効率化のため
インサイドセールスは、受注プロセス効率化を目的とする場合も導入されます。
従来の営業手法では、インサイドセールスほど顧客の温度感や検討状況が分からず、担当営業マンは全てのリードに平等にリソースを配分するしかありませんでした。
その点、インサイドセールスは顧客と継続的にコミュニケーションを取るため、その温度感や検討状況が分かります。
温度感や検討状況がわかれば、成約しやすそうな顧客に優先的にリソースの投入が可能です。
投入したリソースが無駄になりにくくなり、受注プロセスの効率化につながります。
目的3.顧客と信頼関係を構築するため
3つ目の目的が「既存の顧客と信頼関係を作り、情報収集や顧客単価の向上をおこなうこと」です。
ここまで何度かお伝えしたとおり、顧客と継続的にコミュニケーションを取り、かつ問題解決に協力していると、自然と顧客との間に信頼関係が構築されます。
信頼関係があると、今まで聞けなかった情報やニーズが得られたり、顧客単価の向上に繋がりやすくなったりします。
インサイドセールスのKPI設定〜運用の5ステップ
それでは、インサイドセールスのKPI設定について具体的に説明していきます。
KPI設定は次の5ステップでおこないましょう。
- インサイドセールスの目的を明確にする
- 受注プロセスを整理する
- KPIを設定する
- 進捗を管理する
- KPIを見直す
それぞれ、詳しく解説します。
ステップ1.インサイドセールスの目的を明確にする
上でインサイドセールスの目的を3つ紹介しましたが、KPIを設定する前に、まずは目的を明確にしておきましょう。
目的が明確でないと、自社課題と合わないKPIを設定してしまう可能性があります。
また目的が曖昧なまま設定してしまうと、目先のKPI達成だけを追ってしまい、気付いたら本来の達成したい状態から離れてしまうこともよくあります。
本来KPIは目的の達成を助けるもの、これでは設定する意味がないどころか、むしろ逆効果です。
KPIが目的達成の邪魔になることがないよう、この時点で明確にしておきましょう。
ステップ2.受注プロセスを整理する
目的をしっかり明確にしたら、受注プロセスを整理してみましょう。
ここを整理しておくことで、どの指標をKPIに設定すべきか分かりやすくなります。
箇条書きでもいいですし、フローチャートなどにまとめるのも良い方法です。
具体的には、下記の3点をまとめておきます。
- リード獲得~成約までのプロセスはどのような流れか
- どの部門が担当しているか
- インサイドセールスチームはどこからどこまでを担当しているのか
ステップ3.KPIを設定する
いよいよKPIを設定していきます。
KPIには、ステップ2で整理した受注プロセスのうち「インサイドセールスの目的を達成するために最も重要な指標」を設定します。
たとえば、商談数を増やすことがインサイドセールスに取り組む目的であれば、「商談化した件数」や「商談化率」が目的になるでしょう。
目的が受注プロセスの効率化であれば、営業が成約しない商談にリソースを割かれていないかを示す指標として「成約率」がKPIのひとつとなるはずです。
何を目的にすればいちばん効果があるか考えながら、設定してみてください。
ステップ4.進捗を管理する
KPIを設定したら必ずして欲しいのが、進捗管理をすることです。
進捗管理をしなければ、KPIはほぼ達成できないでしょう。
進捗管理には、MAツールやSFAなどを使うことも良い方法です。
このあたりは「ツールを導入して効率化する」で紹介します。
ステップ5.KPIを見直す
定期的にKPIを見直し、本来の目的通りに運用されているかをチェックしましょう。
なぜなら、KPIを設定してインサイドセールスを運用していると、
「KPIに設定していた商談数はクリアできているけど、成約数が伸び悩んでいる」
という状況になることがよくあるからです。
これはインサイドセールスの運用が、次のフェーズに入ったことを意味しています。
KPIを設定する目的は、インサイドセールスの目的を達成するためです。
先に決めたKPIにとらわれることなく、柔軟に見直し・設定をおこなうと良いでしょう。
KPI設定を含めた、インサイドセールスのやり方について詳しく知りたい方は「インサイドセールスのやり方5ステップと効果を高めるポイント」をご覧ください。
インサイドセールスの一般的なKPI指標
こちらでは、インサイドセールスでよく使われる、一般的なKPI指標を紹介していきます。
紹介するのはこちらの7つです。
- 商談化した件数・商談化率
- 商談化への貢献率
- アクション数
- 顧客との通話回数
- 受電数
- 成約数・成約率
- 受注金額
それぞれ詳しくお話しします。
指標1.商談化した件数・商談化率
インサイドセールスのKPIの中で、もっとも基本的な指標が「商談化した件数」や「商談化率」。
獲得したリードから、インサイドセールスがどれぐらい商談にできているかを表す指標です。
インサイドセールスには、さまざまな目的があるとお伝えしました。
しかし、最終的な大きな目的はやはり、売り上げを生み出すことです。
ここまでお伝えしてきたとおり、インサイドセールスは顧客の課題解決に尽力することで信頼関係を構築し、温度感を高めて商談に繋げます。
インサイドセールスが成功したかどうかを表す指標に「商談化した件数」は最適なのです。
インサイドセールスを導入している企業の多くで、KPIとして設定されている指標です
指標2.商談化への貢献率
インサイドセールスの生み出した商談件数が、営業活動全体の商談数に対してどれぐらいの割合を占めているかの指標です。
商談の機会を作ることに、インサイドセールスがどれだけ貢献できているかを表しています。
指標3.アクション数
営業活動をどれくらいしたかという、こちらから起こした行動の数を指標とするものです。
「どれくらいのリソースを投入すると、どれくらいの成果が出るのか」を知るためには欠かせない指標です。
具体的には、
- 電話をかけた件数
- メールを送信した回数
- 資料を送った件数
などがこの指標でカウントされます。
ただし、電話の場合はアクション数よりも「顧客との通話回数」をKPIに設定した方が、良い場合もあります。
次に詳しく解説します。
指標4.顧客との通話回数
こちらは顧客と「通話した回数」を指標としています。
「アクション数の電話をかけた件数と何が違うの?」
と思われるかもしれませんが、アクション数は電話をかけた時点で1件とカウントされるのに対し、「通話した回数」は電話をかけても、顧客と通話できなければ1件とはカウントされません。
アクション数は表面的な電話をかけた件数だけを追ってしまう可能性があります。
効果的なリード育成ができているか図る目的に、設定されることが多い指標です。
お客さんと話さなければ情報も得られず、信頼関係も構築できないため、理にかなった方法と言えるでしょう。
指標5.成約数・成約率
成約数や成約率をKPIとするものです。
「成約数は営業チームの領域なのに、インサイドセールスのKPIにするの?」
と思われる方もいらっしゃると思いますが、商談化した数や貢献率などの指標ばかりを追っていると、リードの質や温度感、商談の質が疎かになってしまう可能性があります。
商談の成約率が低いのは、顧客との信頼関係が構築しきれておらずリードの質を高めきれていないからかもしれません。
成約数や成約率をKPIとしていれば、インサイドセールスチームも質のいいリードを育成しようとするはずです。
このようにインサイドセールスの行動も、成約数や成約率に影響します。
KPIに設定することで、より成果が出やすくなるはずです。
指標6.受注金額
インサイドセールスが生み出した商談から、どれぐらいの売り上げが生まれたかを表す指標です。
これは商談を担当する営業にもよりますが、インサイドセールスがどの程度貢献したか分かる一つの指標となっています。
指標7.メール開封率
メールマガジンなどの開封率も、KPIに設定されています。
こちらのアクションに対し、顧客がどれだけの反応を示してくれたかを表す指標です。
ちなみにこの開封率ですが、下記の要素で大きく変わります。
- 件名
- 送付曜日
- 送付時間
- 送付ターゲット
テストを繰り返しながら、開封率の高い条件を探しましょう。
インサイドセールスのKPI運用のポイント5つ
ここでは、インサイドセールスのKPIを運用する際のポイントについてお伝えしていきます。
紹介するのは次の5つ。
- 進捗状況をしっかり管理する
- チームと個人、両方のKPIを設定する
- 指標の定義を明確にする
- 関係部署との情報共有を密にする
- ツールを導入して効率化する
それぞれ詳しくお話ししていきます。
ポイント1.進捗状況をしっかり管理する
KPI達成において一番大切なことは、とにかく「進捗状況をしっかり管理する」ことです。
目標に掲げたKPIをしっかりと達成するチームは、やはり日々意識し、進捗状況に合わせて行動を変えています。
また進捗を追えていなければ、定期的な見直しも難しくなります。
KPIを紙で出力したり、パソコンのデスクトップに表示させるなどして、日々意識するようにしましょう。
ポイント2.チームと個人、両方のKPIを設定する
インサイドセールスのチームには、チームで取り組むKPIのほか、個人のKPIも設定しましょう。
個人の目標があることでパフォーマンスの評価がしやすくなり、モチベーションアップにもつながります。
個人の目標達成がチームの目標達成につながる構造が分かる形で提示すると、なお良いでしょう。
ポイント3.指標の定義を明確にする
KPIを設定する時、その指標の定義を明確にしておきましょう。
たとえば先ほど例にあげた、アクション数をKPIで設定していたとします。
ここで定義を明確にしておかないと、Aさんは電話をかけた時点で1件とカウント、Bさんは顧客と話ができたら1件とカウントしてしまう可能性があります。
これでは、同じ軸で評価できません。
「この指標では、〇〇をしたら1カウント」という形で、しっかり明確にしておくことが大切です。
ポイント4.関係部署との情報共有を密にする
KPI達成のためには、関係部署との情報共有を密にすることも不可欠です。
特に、リード獲得を担当するマーケティング部門、最後のクロージングを担当する営業部門との連携はぜひ深めておきたいところです。
インサイドセールスは、情報を次々にバトンタッチしていきます。
この情報を元にアクションを考えるため、情報共有がうまくいっていないと、KPIも達成できないのです。
連携を強化するには、メンバーひとりひとりが情報共有の大切さを認識することが大切です。
さらに部署をまたいだKPIを設定すると、目的を統一できるため、連携がより深くなります。
ポイント5.ツールを導入して効率化する
インサイドセールスにツールを導入すると、KPIの進捗状況を測定しやすくなるほか、顧客の管理や情報共有も楽になります。
具体的には下記のものです。
- MA(マーケティングオートメーション):リードの育成状況を見える化し、顧客との継続的なコミュニケーションをサポートしてくれる
- CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネージメント):顧客情報とコミュニケーションの履歴を管理してくれる
- SFA(セールス・フォース・オートメーション):顧客情報と営業担当者のデータを紐づけて管理でき、営業活動の分析・管理をおこなう
- オンライン会議ツール:オンライン上で会議や商談をおこなうためのツール
これらのものがあるだけで、インサイドセールスの運用効率が飛躍的に上がります。
KPIを達成しやすくなり、スピードも上がるはずです。
ぜひ用意しておきましょう。
まとめ:最適なKPIを設定して、インサイドセールスの成果を最大化しよう
今回は、インサイドセールスにおけるKPIの設定方法や、実際の指標、運用時のポイントについて解説しました。
記事の中でも紹介したとおり、KPIを設定するのは目的達成を助けるためです。
目先のKPI達成にとらわれすぎて、本来の目的から外れることのないよう十分に注意してください。
実際にKPIを設定して継続的に運用していくことは簡単ではありません。
ですが、得られるものも大きい手法です。
営業のリソース不足に悩まれていたり、業務改善をお考えの企業は、ぜひ取り組まれてみてはいかがでしょうか。
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