• インタビュー
  • ブログ

スタートアップ企業が採用活動を成功させるためには【ハントバンク・晒名駿さん】

2020.11.29

現在ではスタートアップ企業においても、二期目、三期目と事業規模や会社が大きくなるにつれて新たに新卒採用を始めてみたいと考える採用担当者の方が多いのではないのでしょうか?

今回は、スタートアップにおける新卒採用の始め方から就活生のトレンド志向、内定者への離職防止対策に至るまで、大学生と経営者のマッチングサービスを提供するHUNT BANK株式会社 代表取締役社長 CEO・晒名駿さんにインタビューをさせていただきました。

今回お話を聞いたのはこの方

晒名駿(さらしな・しゅん)

1997年生まれ。愛知県出身。名古屋大学教育学部附属中学・高等学校を卒業。
2019年、明治大学商学部に在学しながらHUNT BANK株式会社を設立。上場企業経営者や大手法律事務所代表、大学教授など名だたる方々39名が発起人株主として出資。
学生がより主体的にかつ納得した就活をできるように、また学生と経営者による魅力的な化学反応を世の中にもたらすため、ITおよびAIを駆使したマッチングプラットフォームの開発運用事業を立ち上げる。
中高6年間ハンドボールに尽くし、大学生ではAGESTOCK実行委員会の2018年度代表を務める。

ハントバンクを始めたきっかけと推移

ー(天野)ではまず始めに、晒名さんがハントバンクを始めたきっかけについて教えていただけますか?

僕は今年の春に明治大学の商学部を卒業したのですが、それまでは3年間ほど学生団体のようなサークルで大学生向けのエンタメイベントを主宰していました。
イベント自体は大学生版東京ガールズコレクションのようなもので、都内の大きな会場に大学生を1万人ほど動員して乃木坂46さんや欅坂46さんといった有名なアーティストの方をお呼びしました。

大学3年生の冬頃にその活動を引退し、引退後は当然自分も他の大学生と同じように就職活動をしなくてはならないという状況になったのですが、それまであまりにもイベント活動に没頭しすぎてしまったために就職活動ってどうすればいいのかが分からなくなってしまったんです。
ただイベント活動の中で社会人の方と関わる機会が多かったので、そういった方々に就職相談をさせていただきました。

僕が一番最初に相談をした方がたまたまそのタイミングで独立・起業をされまして、その事業が経営者同士のマッチングサービスだったんです。
その方がそれに加えて今後、学生と経営者のマッチングサービスもやってみたいというお話をしてくださいました。
僕自身イベント活動の経験があったことで人より少しだけ学生さんとの接点が多かったので「僕がそれをやるのはどうでしょうか」とお返事をさせていただいたところ、ぜひ一緒にやってほしいと言ってくださいました。
それがちょうど去年の一月頭のことで、今のハントバンクに至ります。

ー なるほど。現在で設立から一年半ほど経つと思いますが、振り返ってみてスピード感ややりがいの面ではいかがですか?

弊社は「スピード第一」をモットーにしています。
ですので、起業を決意してから4ヶ月で発起人株主39名を集めて会社設立をし、会社設立後5ヶ月でアルファ版をローンチ、そしてその1年後アプリ版をリリースしました。

まだまだ拙い部分も多いですが、まずは未完成でも世に出してみて、ユーザーの皆さんと一緒にサービスをより良くしていく姿勢を大切にしています

やりがいについて、確かにサービス開発において産みの苦しみはありました。
しかし少しずつユーザーの皆さんから嬉しい報告を聞く機会が増えてきて、それが日々の活動の支えになっています

ー ありがとうございます。では3年後、5年後を考えたときの展望はございますか?

大学生の方が3万人、経営者の方が1万人使ってくださるサービスというのを目指しています。

その後のハントバンクの展開についてはいろいろな選択肢を増やしながら各所に相談しているところです。

自分自身の3年後、5年後という話でいうと、現在僕は23歳ですが、大学生について理解するためには普段から大学生の方から情報収集をしてやっと理解できる年齢。
自分が25歳頃になってしまうと現役大学生のことは理解しきれず、今と同じことは出来なくなってしまうと思うのです。

ただ、それは別にネガティブなことではなくて、逆に25歳だからこそ分かる課題というのがあると思いますし、30歳、60歳、80歳と歳をとっていく中でその都度見えてくる等身大の課題というのがあると思うので、そういったものに都度取り組むことができる人になりたいなと思っています。

ー そうですよね。年齢が変われば感覚も変わってきますし、考え方のトレンドもスピードが早いですよね。

新卒採用は会社の価値観を見直すためのロングスパンで考える

ー では、話題を移しまして、新卒採用のトレンドについてお伺いしたいと思います。
現在の新卒採用は、コロナ禍とはいえ売り手市場であることに変わりないかと思うのですがスタートアップにおける新卒採用はどう始め、どう進めていくべきでしょうか?

スタートアップの新卒採用という前提のもとお話させていただきます。

第一にお伝えしたいのが、新卒採用というのは時間をかけて考えていくものだということです。
会社というものは日々変わるものですし、スタートアップだと尚更そのスピード感というのが早いですよね。
だからこそ早く結果を残したいという思いがあり、採用活動も短期的に成果を出したいと考えている方が多い印象があります。

しかし採用活動というのは一朝一夕で結果が出るものではないですし、時間をかけてじっくりと打ち込むことで新卒活用という活動自体の良い意味をさらに引き出すことができると思います。
そのため、中途採用もそうですが新卒採用は長期的に考えていくもの、というのは念頭に置いて欲しいところです。

ー 長期と言いますと大体どれくらいの期間を見込むべきでしょうか?

僕がこれまで見てきた企業さんを参考にすると、1年スパンとかですね。
もちろん細かく内訳とかはあると思いますが、1年は見込んで良いのではないかと思います。

ー もちろん業界・業種によって違いはあると思いますが、どんな風に採用活動の1年を組み立てたら良いでしょうか?

1年で見込んでみると企業によってそこまで変わるものではなくて、大体4つほどの段階に分かれているかな、と考えています。

  1. 企業の価値観の確認
  2. 企業の価値観が既存メンバーに共有できているかの確認
  3. 採用の戦略を立てる
  4. 立てた戦略を実行する

まずは企業の価値観、ミッション、ビジョン、バリューといったところを確認する。

2番目にその企業の価値観というところを現在のメンバーに共有出来ているか、チームに浸透しているかを確認する。

3番目は実際に人を取っていく上での戦略を立てていくこと、4番目は立てた戦略のもと実働していく、という4段階かと思います。

この4段階のうち、1段階目と2段階目で結構時間がかかってしまうと思うんですよね。
価値を言葉で定義するのは難しいですし、さらにメンバーにそれを浸透させるというのは簡単にできることではないのですが、だからこそ1年という長いスパンを置きます

そこがしっかり出来ていないと、新しく採用した人も会社のことが分からないまま入社してしまうでしょう。
そして、結局定着しなかったり、会社自体安定しなくなってしまうので、この部分はぜひ時間をかけてやって欲しいと思います。

それから、採用しない採用活動という面もあるかなと思っていまして。
採用活動というと人を採用する活動のイメージが強いかと思いますが、決してそれだけではなくて、例えば採用する前の求職者への情報発信だったりも採用活動に含まれると思うんです。

とはいえ情報発信というところは、採用の時点でしか出来ない訳ではない思うのでそういった過程の発信をするのも良いですよね。

  • 今改めてミッションに関してメンバーでブラッシュアップをしてます
  • ブラッシュアップした結果こういう風になりました
  • それをこういう風に体現しています
  • 採用活動開始します

というのを都度発信するだけでもそれがコンテンツになりますし、それを見た求職者の方も会社が作られた流れや思いに対して深く理解ができると思います。

こういった情報発信は求職者の方にとっても情報を得る良いタイミングになると思いますし、始めやすいかと思います。

学生の期待値と一致するフォローアップを用意する

ー 学生側は就活を急いで終わらせたいという傾向があると思うのですが、現在はトレンド的にどうなんでしょうか?

確かに学生側のそういう思い、早く内定をもらって就活を終えたいと考えている学生は一定数いますが、トレンド的な話で言いますとその傾向は少し弱まってる気がしますね。

これまではとりあえず大学に通ってバイトをして、といういわゆる大学生らしい生活をしていた学生さんは、コロナの影響で家にいるしかない状況で改めて自分と向き合う時間ができたと思います。
その中で大学生活や卒業後のキャリアについて考えた時に、内定をもらったところでパッと決めるよりかは本当に納得した就職先に就きたいとか、内定をもらっても自己研鑽を続けたいと考えることが増えてきた印象があります。

そういった意味では、もちろん早く内定をもらって安心したいという気持ちはあると思いますが、また違う意味で学生さんは就活を続けている気がします。

ー 変な話、複数の内定をもらっていながらも就活を続けているという感じでしょうか。

そういう学生さんも多いと思います。

ー そうすると企業としては内定を出したとしても後々辞退されてしまう可能性があるので、そこで安心せずフォローアップが必要になるということでしょうか?

そうですね、企業側にはそういったことが必要だと思います。

ー それも含めて長期戦ということですね。フォローアップの部分で良い方法というのはあるのでしょうか?

僕が一つお勧めしたいのは、既に多くの企業さんがやられていることかとは思いますが、内定した学生さんにリクルーターをやってもらうことですね。

理由としては、内定者ということは現役の学生さんなので他の学生さんとの接点が一番多いということ、それから人の周りには似たような人が集まるので内定者の周りには企業が求める人物像に近い人がいる可能性が高いと思います。
あとは一番の理由として、内定者や新卒1年目もそうだと思うのですが、仕事で認められることがなかなか無いと思うんです。
社会人になったばかりでは当たり前のことではありますが、それだけだとモチベーションが続かなかったり、本当にこの会社で良いのかという不安感に繋がるのですが、リクルーターとして採用に携わることで友人や後輩を連れてきたという成果を残せるとモチベーションに繋がりますよね。

またこれまでは求職者として会社のことを「御社」と扱っていたものが、リクルーターをやると内部の人間として初めて「弊社」という観点でその会社のことを話すようになると思うんです。
そういう風になると会社のことをより自分のこととして意識できるようになるので、非常に有効な手段かなと考えていますね。

ー 今、内定者インターンというのも結構増えてきていると思うのですが、その辺はいかがですか?

内定者インターンを実施すること自体は非常に良いことだと思っていますし、内定者インターンをやっている会社は採用活動がうまくいっている印象がありますね。
これだけでは無くてこれまでお話ししたことも含めて、複合的に出来ているイメージがあります。

ただインターン生に何をやらせるのかについて、企業側が考えるのが難しくまだまだ解決されていない課題という感じがあります。

ー 学生としては自己研鑽をしたい期間に内定者インターンが入ってしまうことや、コロナの影響で出社せずにリモートのインターンをしていることもあると思うのですが、そうすると会社へのエンゲージメントは下がってしまうのではないのでしょうか?

これは日本特有かもしれませんが、自己研鑽の機会を外に求める傾向があると思うんです。自宅でずっと勉強するというよりは成長の場を探してそこに行きたいという欲求があるんですよね。

ボランティアとかそういうところもあると思いますが、インターンという経験が学生にとって自己研鑽の場になっていることもあります。だからこそ学生と企業の期待が一致しているかどうかが大事になると思います。

例えば学生さんがマーケティングの勉強をしたくてマーケティング系の会社でインターンをしたのに、実際にやってる仕事が全然違うとなると、そこの期待値に相違が出て離脱に繋がってしまいます。

学生さんの向上心や自己研鑽の傾向が高まっているので、そこの期待との相違が大きいと離脱に繋がりかねません。
内定を出した後のフォローアップやインターン採用を設計するに当たっては学生さんが何を求めているかについてヒアリングすることも大切かと思います。

求職者に合った魅力の打ち出し方を知る

ー コロナ禍で就活において大手志向が高まってきていたり、キラキラ見える会社の方が情緒的な価値に訴えやすいというのがあると思います。

一方で、製造系やメーカー系の会社さん、地道に電話営業する会社さんとかって学生に向けて打ち出すのが難しく、すごく人を採りづらいと思うのですが、そういった企業さんはどうやって魅せていくのが良いのでしょうか?

実はここでお勧めしたいのが、3C分析ですね。この3C分析では自社と求職者の方と競合他社の3つを挙げます。

そこで、そもそも

  • 自社にどういう魅力があるのか
  • 求職者の方が何を求めているか
  • 競合がどういう打ち出しをしているか

というのを洗い出していきますと普段は見えてこない自社の魅力や打ち出し方が案外分かってくるんですよね。

例えば、薬局さんってそこまで代わり映えしないイメージがあると思いますが、務める薬剤師さんの方が労働環境というよりはやりがいを求めるようであったら、やりがいを感じられる場面をもっと前面に押し出した方が良いのでは無いか、とか。
結構予想だにしない魅力や打ち出し方を見つけることができると思います。

あとはざっくりいうと、求職者の方が事業に期待をしているのか、会社そのものに期待をしているのかにも分かれると思います。

  • この事業をやりたいから入社しますという人
  • この会社で働きたいから入社しますという人

この2パターンがあると思っていまして、自社がどっちのタイプの人を求めているか、また求職者の方が何に期待をしているかによっても打ち出し方が変わると思いますので、そういった観点で今一度考えてみるのも良いと思います。

ー これまでに晒名さんが取り組んだ事例のなかで印象的なものはございますか?

そうですね、ある東京の営業会社さんの事例でいうと、内定者の学生さんが一個下の学生さんにTwitterのダイレクトメールを送ったところそれが見事ヒットして採用に繋がったということがありました。

この事例で着目したい点は、その会社さんが特に企業のビジョンとミッションなど、価値観という部分についてすごくブラッシュアップをして、全社的に時間をかけて打ち出し方を決めた上で採用サイトを作っていたのですが、そこが連絡をもらった学生さんに響いたようでした。
連絡手段やツールというよりは窓口の部分を整えることの重要性を改めて認識した事例でしたね。

あとは、先ほど少し触れた薬局さんの話になりますが、大阪にある薬局さんがTwitterで新しく企業アカウントを作成して3ヶ月ほど運用をされていたんです。
その間に獲得したフォロワー数自体はそれほど多くなく、300名ほどだったのですが、そのうち半分くらいが薬学生さんだったんですよね。

そこから実際にフォロワーの中からインターン生を2人採用出来たという事例があったのですが、これは単にリーチ出来ている人数というより、いかにリーチしたい層にちゃんとアプローチが出来て採用までの導線を組み立てられているかが重要だと分かる例ですね。
この薬局さんは他の関西の薬局さんと共同で、薬局で働くことのやりがいやメリットについて発信をしていたのですが、面白いですし情報発信に関して非常に参考になるかなと思いました。

ー 最近話題にはなっていたもののよく分からなかった「Twitter採用」の具体的なイメージが初めて掴めました。

とはいえ、個人的にお勧めしたいのがFacebookですね。
Twitterの良いところはマス向けに発信できるという点と拡散力が他のSNSに比べて高いという点で、新卒採用の面では大学生が多く使っているという点で適したツールではあるのですが、やはりマス向けのツールになるのであまりセグメントが出来てないんですよね。

ざっくばらんな層が使っているためイチからのセグメントは骨が折れる作業かと思うのですが、一方でFacebookは基本的に大学生は使ってないんですよね、細かなデータは分かりませんが本当に数パーセントほどで。
逆にいうとその数パーセントの学生さんって現時点でインターンをしていたり社会との接点があるからその手段としてFacebookやMessengerを使っているんですよね。
学生時代から結構アクティブに活動されていたり実績があって、社会人基礎力の高い学生さんが多い印象なのでFacebookからの流入は良いと思いますね。

採用するだけが目的でない「採用活動」を

ー 最後になりますが採用活動全般に関して何か思うことなどはありますでしょうか?

最初にお話しした通り、採用活動というのは時間がかかるもの、というより時間をかけながらやるべきものだという認識が正しいかなと思います。
これをやればパッと簡単に低コストで採用が出来るというマジックみたいなものは無いですし、採用活動というもの自体に意味があると思います。

採用活動ってある種、健康診断のようなもので、例えば企業の価値観を確認するときに

  • そもそもこれって合っていたっけ
  • ちゃんと伝わる文言だっけ
  • この価値観はどれだけ社員に浸透していたっけ

ということを社員にも再確認できる貴重な機会だと思います。

だからこそ「採用する」ということだけにフィチャーするのではなくて採用活動というもの自体を広く捉えていくというところが重要だと思います。
とはいえ特にスタートアップの企業さんだったりすると、なかなかそこまで手が回らないと思うのですが、人を雇って会社を大きくしたいと考える以上、その部分をやっておいて損は無いのかなと思いますね。

自社では基本採用はしない方が良いです、と言っているんですけどね(笑)
変に採用してしまうとコストがかさむだけであったり、採用をすること自体達成したとしてもその後に繋がらないということが、特にスタートアップでは多い印象があります。

本当に必要なタイミングで必要な採用をするように、いい意味で慎重になることも大切かと思っています!

ー 本日は大変貴重なお話をありがとうございました!


HUNT BANK株式会社:https://huntbank.net/#d-top