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DX(デジタルトランスフォーメーション)推進ガイドラインとは?概要やポイント、活用方法などをわかりやすく解説!

2018年以降、DX(デジタルトランスフォーメーション)に関する記事を目にする機会が増えてきました。

DX推進を考えている企業も増えつつあり、「自社でもDXを進めたい」と考えている方も多いのではないでしょうか。

DXを推進する上で活用したいのが「DX推進ガイドライン」です。

推進ガイドラインには、DXを進めるために何をすべきかが記述されていますが、わかりにくい部分もあります。

本記事では、DX推進ガイドラインについて詳しく解説するほか、DXを成功させるポイントもご紹介します。

「DXに取り組もう」「現在のDXの取り組みをアップデートさせたい」と考えている方は、ぜひご覧ください。

また、DXを検討中の方は、無料配布中の「DX解説本」も併せてご確認ください。

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DX(デジタルトランスフォーメーション)推進ガイドラインとは?

DX(デジタルトランスフォーメーション)推進ガイドラインとは?

DX(デジタルトランスフォーメーション)推進ガイドラインは、DXの基盤となるシステムを構築する上で抑えておくべきポイントを明確化し、具体的な行動を促す目的で策定されたガイドラインです。

2018年に経済産業省は、国内の企業がDXを推進する上での課題や現状を整理するために、「デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会」を設置しました。

研究会による内容は、「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」で公表され、ガイドラインの必要性が指摘されました。

研究会の指摘を受けて策定されたのが「DX推進ガイドライン」です。

DX推進ガイドラインでは、DXの実現において重要なポイントが、2つのパート・11の項目に分けて整理されています。

自社の現状や課題を把握したり、目標への道筋を考える際に役立つ内容です。

まずは、ガイドラインの詳細な構成について見ていきましょう。

DX(デジタルトランスフォーメーション)推進ガイドラインの構成

DX(デジタルトランスフォーメーション)推進ガイドラインの構成

DX推進ガイドは、

  • DX推進のための経営のあり方、仕組み
  • DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築
の2つのパートで構成されています。

DX推進のための経営のあり方、仕組み

「DX推進のための経営のあり方、仕組み」は、以下の5つの項目で構成されています。

経営戦略・ビジョンの提示 デジタル技術を活用しながら、どのようなビジネスモデルを構築すべきか経営の戦略・ビジョンが明確にされているか
経営トップのコミットメント 経営トップがDXに強いコミットメントを持って取り組んでいるかどうか。
社内で反発があってもリーダーシップを発揮してDXを主導できているか。
DX推進のための体制整備 経営の戦略ビジョンにもとづいて、DXへの取り組みを促す体制を整備できているか。
投資等の意思決定のあり方

DXがビジネスに与えるプラスのインパクトを勘案しているか。
定量的なリターンや確度を求めすぎていないか。
DXを実現 できなかった場合のリスクを勘案しているか。

DXにより実現すべきもの:スピーディーな変化への対応力 DXによる変革がグローバル展開などにスピーディーに対応可能な内容か。

「DX推進のための経営のあり方、仕組み」は、DXを推進する上で不可欠となる経営ビジョンと、DX推進のための枠組みが整備されているかどうかを確認するためのパートです。

近年、デジタル化によって、既存のビジネスモデルが崩壊するデジタルディスラプションが、さまざま分野で発生しています。

経営者は、デジタルディスラプションを念頭に、デジタル技術を活用して新しい価値を生み出すために、どのようなビジネスモデルを構築するのかを明確にして、予算の確保や体制を整備する必要があります。

DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築

DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築は、さらに「体制・仕組み」「実行プロセス」の2つのパートに分けられます。

体制・仕組み

「体制・仕組み」は、以下の3つの項目で構成されます。

全社的なITシステムの構築のための体制 各部門でデータやデジタル技術を活用・相互連携可能な基盤やITシステムを構築できる体制を整備しているか。
全社的なITシステムの構築に向けたガバナンス 新しいITシステムと既存のITシステムの円滑な連携を確保しながらも、複雑化・ブラックボックス化を避け、部門ごとの個別の最適化ではなく全社の最適を実現するガバナンスを確立しているか。
また、新しいITシステムを構築するにあたり、ベンダーへ丸投げせず、ユーザー企業主導で企画や要件定義に取り組んでいるか。
事業部門のオーナーシップと要件定義能力 それぞれの事業部がオーナーシップを持ってシステムの企画に取り組んでいるか。
ベンダーからの技術的な提案を、自から取捨選択して要件の定義をおこない完成責任を負っているか。

「体制・仕組み」は、DXに向けたITシステムの構築に必要な能力や、体制が整備されているかを確認する項目です。

部門ごとに最適化されたシステムではなく、全社的に最適化されたシステムの構築は、DXを成功させる上で欠かせない条件のひとつです。

システムのブラックボックス化を防ぐためにもベンダーへの丸投げは避け、それぞれの部門が自分たちで要件定義を行いましょう。

実行プロセス

「実行プロセス」は、システムを構築する際に必要な評価やプランニングを行っているかを確認する項目です。

それぞれの項目の内容は以下の通りです。

IT資産の分析・評価 IT資産の現状を分析・評価できているか
IT資産の仕分けとプランニング システムを移行するにあたり、次の点を考慮しているかどうか。
  • 自社の強み・弱みを踏まえて、改革すべき領域を決定している。
  • 全社で横断的にデータを活用できる全社最適なシステムになっている。
  • 競争の領域と非競争の領域を分類し、競争の領域に対して重点的にリソースを分配している。
  • 不要なITシステムは、コストをかけずに廃棄している。
  • 技術的な負債の低減につながっている。
刷新後のITシステム:変化への追従力 新しいITシステムはビジネスモデルの変化に迅速に追従できるかどうか。
システムが完成したかどうかではなく、ビジネスで成功したかどうかを評価しているか。

DXを推進するには、どの領域に重点的にリソースを分配し、どのシステムを廃棄するのかを判断する必要があります。

また、新しいシステムそのものではなく、システム導入によってビジネスが成功したかどうかが重要です。

DX(デジタルトランスフォーメーション)推進ガイドラインで確認すべき内容

DX(デジタルトランスフォーメーション)推進ガイドラインで確認すべき内容

続いて、先ほど紹介したDX推進ガイドラインの11の項目について、確認すべきポイントを紹介します。

「経営のあり方」で確認すべき内容

まずは、「経営のあり方」で確認すべき内容を紹介します。

経営戦略・ビジョンを提示できているか

経営戦略・ビジョンの提示に関しては、

  • どの事業分野でどんな価値を生み出していくか
  • 価値を生み出すためにどんなビジネスモデルを構築すべきか

の2点を確認しましょう。

DX推進に関わらず、施策を進める上で戦略やビジョンを明確にすることは重要です。

ビジョンがないままにDXを推進しようとすると、業務のデジタル化が目的になってしまい、ビジネスのアップデートにつながりません。

「AIを使って何かやろう」など漠然と進めるのではなく、明確な戦略やビジョンを描いた上でDXを推進しましょう。

経営トップが強いコミットメントを持って取り組んでいるか

経営トップのコミットメントに関しては、

  • 経営トップが自ら、組織や業務、企業風土の変革に積極的に関わっているか
  • 社内での反発が大きい場合でも、経営トップがリーダーシップを発揮して意思決定できているか

の2点を確認しましょう。

DXは不確実性の高い取り組みなので、臨機応変な対応と、迅速な実行力が求められます。

そのためには、経営トップが積極的に関わり、会社を引っ張っていく必要があります。

DXを推進する体制整備ができているか

体制整備に関しては、継続的にDX推進に取り組める環境が整備できているかを確認します

具体的には以下の通りです。

マインドセット・企業文化
  • 挑戦を促し失敗から学ぶプロセスを構築できているか
  • 仮説検証を継続するのに適したKPIを設定できているか
  • KPIを適切に評価できる仕組みが構築できているか
  • 評価に基づいて素早く実行に移せる体制が構築できているか
推進・サポート体制
  • 部門横断的に目標に向かって協力できる体制が整っているか
  • 自社だけでなく、外部との連携にも取り組んでいるか
人材育成・確保
  • DXに精通し、DXの実行を担う人材の育成・確保に向けた取り組みが行われているか

適切な投資判断や予算配分ができているか

投資判断・予算配分に関する項目では、次の3点がポイントです。

  • コストだけでなくビジネスへの効果を考えているか
  • リターンばかり求めて挑戦が疎かになっていないか
  • DXを推進しないことで競合他社に後れをとるリスクを考えているか

素早い変化に対応できるか

素早い変化への対応では、DXによる経営戦略の変革が、ビジネス環境の変化に対応できるかがポイントです。

近年のビジネスを取り巻く環境は変化が激しく、少しでも油断すると、あっという間に後れをとってしまいます。

DXを推進して、激しい環境の変化にも素早く対応できるようにしておきましょう。

「ITシステムの構築」で確認すべき内容

次に、「ITシステムの構築」で確認すべき内容を紹介します。

体制・仕組み①体制が整っているか

DX推進体制に関しては、以下の点を確認しましょう。

  • 部門を超えた連携ができるように、全社で活用できるITシステムがあるか
  • 経営戦略に沿ったITシステムの全体設計を描ける体制・人材を確保できているか

DX推進には、社内での連携が不可欠です。

各部門で意思疎通を図れるようになっているか、確認してみましょう。

体制・仕組み②ガバナンスを確立しているか

ガバナンスに関する項目では、以下の2点を確認しましょう。

  • ITシステムが全社最適になるために必要なガバナンスを確立しているか
  • 新しいITシステムの構築に際してベンダーに丸投げせず、自社で積極的に関わっているか
部門を超えて連携を図るためには、ガバナンスが効いた体制を構築し、経営トップが意思決定することが必要です。

体制・仕組み③事業部門がオーナーシップを握っているか

事業部門のオーナーシップに関する項目では、以下の3点を確認しましょう。

  • ベンダーからの提案を鵜呑みにせず、取捨選択できているか
  • 事業部門自らが要件の定義を行い、完成責任を負っているか
  • 要件定義をベンダーに丸投げせず、自社で意思決定することになっているか

DX推進には、事業部門が主導権を持つことが重要です。

ベンダーに丸投げするだけでは、修正が多発してコストが膨れるだけでなく、自社にノウハウが蓄積されません。

ベンダーとコミュニケーションをとりながら、事業部門がオーナーシップを持つようにしましょう。

実行プロセス①IT資産の現状を適切に分析・評価できているか

この項目では、IT資産の全体像を把握し、現状を適切に分析・評価できているかを確認します。

IT資産とは、導入しているITシステムやソフトウェアを指します。

どの部署にどのようなシステムがあり、どのように活用されているか、チェックしておきましょう。

実行プロセス②IT資産の仕分けとプランニングができているか

IT資産の現状を把握したら、次に仕分けとプランニングを行います。

以下の3点を確認しましょう。

  • 不要なIT資産は廃棄できているか
  • 変化に対応できるシステム環境を構築できているか
  • 他社との差別化につながらない領域では、共通のプラットフォームを活用できているか

実行プロセス③刷新後のITシステムに対応できるか

最後に、刷新後のITシステムが環境変化に対応できるかを確認します。

  • 刷新後のITシステムは環境変化に迅速に対応できるか
  • ITシステムの刷新を評価するのではなく、ビジネスの成否を評価する仕組みが構築できているか

DX (デジタルトランスフォーメーション)推進ガイドラインの進行状況を自己評価するには?

DX (デジタルトランスフォーメーション)推進ガイドラインの進行状況を自己評価するには?

2019年に経済産業省は、国内企業のDX推進を促すために「DX推進指標」を策定しました。

DX推進指標は、企業の経営者やIT部門、事業部が協議しながら回答することを前提に作成されており、各項目に回答すればDXの推進状況を自己評価できます。

自己診断を行うことで、目指すべきDXの目標や必要なアクションを明確にできるでしょう。

以下の記事では、DX推進指標による自己診断について、

  • 活用方法
  • メリット
  • 陥りやすい失敗
  • 効果的に使うコツ

を解説しています。

DX推進指標を用いた自己診断について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

関連記事:デジタルトランスフォーメーション(DX)推進指標とは?活用方法や注意点を徹底解説!

DX(デジタルトランスフォーメーション)推進ガイドラインの後継「デジタルガバナンス・コード」

DX(デジタルトランスフォーメーション)推進ガイドラインの後継「デジタルガバナンス・コード」

デジタルガバナンス・コード」とは、DX推進に向けて経営者が実践すべきことをまとめたガイドラインです。

2020年に、経済産業省が策定しました。

現在はDX推進ガイドラインと統合され、「デジタルガバナンス・コード2.0として公表されています。

ここからは、デジタルガバナンス・コードについて解説します。

デジタルガバナンス・コードで重要な要素

デジタルガバナンス・コードで重要視されている要素は以下の4点です。

  • デジタル技術による社会および競争環境の変化が自社に及ぼす影響を踏まえたビジョンの策定と、それを実現するビジネスモデルの設計
  • デジタル技術の活用を踏まえた人材育成・ITシステムの戦略の策定・外部組織との関係構築
  • 戦略の達成度を評価できる指標の設定
  • 経営トップがリーダーシップを発揮し、全社的な推進体制を構築する

現代は、AIやロボットなどの最新技術を用いて誰もが活躍できる社会「Society5.0」に向けて、グローバル競争が激しくなっています。

高度なデジタル化に付いていけず、すでに市場からの撤退に追い込まれている企業も少なくありません。

そんなビジネス環境で企業が生き残るためには、自社の企業価値を持続的に向上させる必要があります。

デジタルガバナンス・コードで定められた内容は、企業の持続的な成長に必要な要素です。

関連記事:Society5.0とは?定義・技術・分野別の取り組みを徹底紹介

デジタルガバナンス・コード2.0のポイント

2022年にデジタルガバナンス・コードが改訂されてデジタルガバナンス・コード2.0になった際、以下の内容が追加されました。

  • DXにはデジタル人材の育成・確保が重要
  • SXやGXはDXと合わせて取り組むべき
  • DXにはデジタル活用と、そのための行動指針が必要

デジタルガバナンス・コードの4つの柱

デジタルガバナンス・コード2.0は、前述の4つの要素に対応するように、以下の項目から構成されています。

  • ビジョン・ビジネスモデル
  • 戦略
  • 成果と重要な成果指標
  • ガバナンスシステム
これら4つの柱について、詳しく解説します。

ビジョン・ビジネスモデル

企業はビジネス環境の変化に伴うチャンスとリスクを考慮しながら、自社のビジョンを構築します。

また、ビジネスモデルを計画し、それを実現可能な形に進化させなければなりません。

そのためには、ビジネスとITシステムを統合的に捉えることが不可欠です。

同時に、企業が生み出す価値創造のプロセスを、ステークホルダーや社会に対して積極的に発信していくことも求められます。

戦略

ここでの「戦略」とは、デジタル技術をビジネスモデルの具現手段としてどのように利用するかに関するものです。

デジタルガバナンス・コードでは、以下の2つの施策が提示されています。

1つ目は「組織構築・人材・企業文化に関する取り組み」です。

企業はビジネスモデルの遂行において、デジタル活用に必要な枠組みを構築し、効果的に運用していく必要があります。

これには、人材の育成はもちろんのこと、外部企業との関係構築も求められます。

2つ目は「ITシステム・デジタル技術の利用環境整備に関する施策」です。

企業がデジタル技術を実践的に利用するためには、その土台となるITシステムがなくてはなりません。

このような基盤の整備には、システム開発プロジェクトやマネジメント、投資計画などの具体的な計画が必要です。

成果と重要な成果指標

戦略の進捗を確認するためには、測定可能なKPIやKGIを設定し、評価しながら施策を推進することが必要です。

このとき、適切に進捗状況を評価できるのであれば、定量指標だけでなく定性指標を設定してもいいでしょう。

同時に、企業がどのような指標を利用しているかについて、透明性を持って公表する姿勢も重要です。

ガバナンスシステム

戦略を実施する際は、経営者がリーダーシップを発揮することが必要です。

このとき、ITシステム部門を含む組織全体が協力して自社の課題を把握し、デジタル技術の最新動向を考慮しつつ、戦略を再評価していくことが重要です。

同時に、サイバーセキュリティも不可欠な施策となります。

デジタル技術を活用して事業を進める企業は、セキュリティ上のリスクに適切に対処する必要があります。

DX(デジタルトランスフォーメーション)推進が必要な理由

DX(デジタルトランスフォーメーション)推進が必要な理由

DX推進が必要な理由について解説します。

「DXレポート:ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開」とは?

DXレポート」は、2018年にデジタルトランスフォーメーションに向けた研究会が取りまとめた報告書です。

近年さまざまな分野において、デジタル技術を活用した新たなビジネスモデルを展開する新しい企業が登場しています。

そのため、既存の企業のDXによる競争力獲得が急務となっています。

しかし、DXの必要性を把握しているものの、本格的に取り組んでいる企業は少数です。

DXレポートは、DXを推進する上で日本企業が抱える問題や現状を明らかにし、今後起こりうる問題を指摘したことで注目されるようになりました。

2025年の崖

DXレポートによると、日本企業が使用している基幹システムの多くが、過剰なカスタマイズによって複雑化・ブラックボックス化しているため、全社で横断的にデータを活用できなくなっているとされています。

データを活用できなければ、競争力の低下は免れません。

また、老朽化したシステムの維持費が今後高騰すると予測されており、IT予算の9割以上がシステムの維持管理に充てられるといわれています。

2025年以降、老朽化したシステムを原因とする経済的な損失が大きくなるとされ、この問題は「2025年の崖」と呼ばれています。

データを活用するためには、既存のシステムを新しいシステムと入れ替える必要があり、業務自体の見直しも必須です

そのため、現場からの反発も強く、経営者がDXの重要性を認識していても、思うように進められていないのが現状です。

DXが進まなかった場合の損失

現状のまま、日本企業のDXが進まず、2025年の崖を迎えた場合、年間で最大12兆円の経済的な損失が発生するといわれています。

2025年には、IT人材が43万人不足するとされ、老朽化したシステムの維持が難しくなると考えられています。

加えて、IT予算の多くが老朽化したシステムの維持に充てられることで、成長に必要な分野に投資できず、さらなる競争力低下を招く恐れも。

経済産業省は、「2025年までにシステム刷新を集中的に推進すべき」としています。

DX推進による効果

一方で、DXを推進できた場合、2030年に実質GDPは130兆円まで押し上がると考えられています。

具体的には、次のような効果が見込まれています。

  • 技術的な負債を解消し、投資効果の高い分野に投資することで、GDPに占めるIT投資の割合が1.5倍になる
  • マクロサービスの導入やテスト環境の自動化によって、サービス追加にかかる期間が現在の数か月から数日へ短縮する
  • 事業のデジタル化を実現できる人材の育成によって、IT人材の比率がユーザー:ベンダー=1:1になる
  • 既存システムの保守から最先端の技術へシフトすることで、IT人材の平均年収が2倍になる
  • デジタル技術を活用した市場の開拓によって、IT産業の平均成長率が6%になる
DX推進には業務の効率化だけではなく、成長分野への投資を促すなど、さまざまな効果が期待されています。

DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する上での課題

DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する上での課題

DXによって得られる効果について解説しましたが、DX推進には課題もあります。

中でも代表的な課題として

  • DX推進が経営戦略に組み込まれていない
  • IT人材の不足
  • 基幹システムのブラックボックス化
の3点を紹介します。

DX推進が経営戦略に組み込まれていない

DXは単なる業務のデジタル化ではなく、デジタル技術によるビジネスモデルの転換を含む大きな変革を意味します。

そのため、DXには経営者の理解とリーダーシップが不可欠です。

DX推進を念頭置いた経営戦略を構築し、経営者が主導で取り込む必要があります。

しかし、現状ではDXを経営の戦略に組み込んでいる企業は多くありません。

会社の方針を示すためにも、経営戦略にDXの推進を盛り込んでおくべきでしょう。

IT人材の不足

DX推進には、デジタル技術に精通した人材が必要です。

DX推進ガイドラインで示されているように、システムの複雑化を防ぐためにも、自社にIT人材を配置して要件の定義などを主導する必要があります。

ベンダー企業だけではなく、ユーザー企業側にも、今後はIT人材を配置しなければなりません。

一方で、DXの推進に必要なIT人材は不足しています。

必要なIT人材を確保できるかどうかも、DXを推進する上での課題です。

基幹システムのブラックボックス化

基幹システムのブラックボックス化も、DX推進を阻んでいます。

日本国内ではベンダー企業がシステムを開発して納品する流れが一般的になっているため、ユーザー企業側にノウハウが蓄積されず、ブラックボックス化しやすい構造になっています。

さらに、2025年までに大規模システムを開発してきた人材の定年退職に伴い、属人化されていたノウハウの多くが失われる見込みです。

今後多くのシステムがブラックボックス化し、DX推進の足かせになる可能性が危惧されています。

DX(デジタルトランスフォーメーション)推進に活用できる補助金

DX(デジタルトランスフォーメーション)推進に活用できる補助金

DX推進に活用できる補助金があることをご存知でしょうか。

ここからはDX推進に活用できる補助金として、

  • ものづくり・商業・サービス生産性向上補助金
  • IT導入補助金

の2種類について解説します。

ものづくり・商業・サービス生産性向上補助金

「ものづくり・商業・サービス生産性向上補助金」は中小企業・小規模事業者向けの補助金です。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金は、中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援するものです。

引用元:ものづくり補助金総合サイト

中小企業や小規模事業者が生産性向上に資する

  • サービス開発
  • 試作品開発
  • 生産プロセスの改善

を行うための設備投資が補助の対象です。

人気の高い補助金で、採択率は平均で30〜40%程度です。

そのため、補助金の趣旨を踏まえて事業計画書を作成する必要があります。

具体的には、技術面、事業化面、政策面等の審査項目を意識しながら作成することが求められます。

IT導入補助金

「IT導入補助金」は、中小企業・小規模事業者がITツールを導入した際の費用の一部を補助する制度です。

対象となる経費は、

  • ソフトウェア購入費
  • クラウド利用料
  • 導入関連費
  • デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)
で、類型によって金額や補助率が異なります。
A類型 1/2以内 5万~150万円未満
B類型 1/2以内 150万~450万円以下
セキュリティ対策推進枠 1/2以内 5万~100万円
デジタル化基盤導入枠

3/4以内 (下限なし)~50万円
2/3以内 50万円超〜350万円

参考:IT導入補助金2023

あくまでも中小企業向けの助成金のため、 会社の規模によっては対象外になる可能性もあります。

業種ごとに対象となる企業の資本金と従業員数が、定められているので確認しておきましょう。

なお、2023年度分の受付は終了しています。

DX(デジタルトランスフォーメーション)推進を成功させるポイント

DX(デジタルトランスフォーメーション)推進を成功させるポイント

DX推進を成功させるポイントは以下の4点です。

  • 明確な経営ビジョン
  • 経営陣のDX推進への理解
  • 一貫性のあるシステム
  • IT人材の確保
それぞれについて、詳しく解説します。

明確な経営ビジョン

DXを推進するには、経営ビジョンにDXを盛り込んでおく必要があります。

明確なビジョンを示して、DXに対する意識を共有することが大切です。

DXによってどのような価値を生み出すのかを明確にしておかなければ、単なる業務のデジタル化で終わってしまうでしょう。

DXは、あくまでもビジネスを成功させるための手段であることを忘れないようにしてください。

経営陣のDX推進への理解

DXは、会社全体で取り組まなければ実現できません。

そのためには、経営陣のDXに対する理解が必要不可欠です。

業務手順そのものを変更しなければならないケースも多いため、現場スタッフから反対されることも珍しくありません。

反対に、現場のスタッフがDXの必要性を感じていても、経営陣の理解を得られなければ推進は難しいでしょう。

経営陣が主導で進めた方が、成功する可能性を高められます。

一貫性のあるシステム

DX推進を阻む原因のひとつとなっているのが、老朽化した基幹システムです。

DXには、古いシステムの置き換えが必要です。

新しいシステムを構築する際には、一貫性を持たせてブラックボックス化を防ぐ必要があります。

また、全社で横断的に情報を活用できるように、DX全体でシステムに一貫性を持たせることが重要です。

IT人材の確保

DXを成功させるには、社内にIT人材を配置する必要があります。

また、単にIT人材を配置するだけではなく、デジタル化を進められるように必要な権限を与えておかなければ、計画が頓挫してしまう恐れも。

IT人材の確保に加えて、改革を推進できる体制の整備も必要でしょう。

DX(デジタルトランスフォーメーション)推進におすすめのツール

DX(デジタルトランスフォーメーション)推進におすすめのツール

ITツールを導入することで、DX化をより効率的に進められます。

とはいえ、ITツールの種類が多すぎて、どれを導入すればいいかわからない方も多いでしょう。

そこで、DX推進におすすめのツールとして、

  • コミュニケーションツール
  • RPAツール
  • 経費精算システム

の3つを紹介します。

コミュニケーションツール

コミュニケーションツールは、主に以下の2種類があります。

  • チャットツール:オンラインで素早く連絡が取れる。タスク管理や資料の共有も行えるため、リモートでも高い生産性を確保できる。
  • オンライン会議ツール:リモートでも顔を合わせながら打ち合わせができる。ウェビナーなどのオンラインイベントにも活用できる。

近年はリモートワークが普及したため、さまざまなコミュニケーションツールが登場しています。

離れていても打ち合わせができたり、セミナーなどに参加できたりする点が大きな魅力です。

移動時間も削減できるため、コストカットにもつながるでしょう。

RPAツール

RPA(Robotic Process Automation)ツールとは、データ入力やコピー&ペーストなど、人がPCを使って行う単純作業・定型作業の自動化ができるツールです。

RPAツールのメリットは、人為的なミスがなくなることです。

また、人が行うのに比べて短時間で作業できるため、

  • 大幅な工程削減
  • 従業員の負荷軽減
  • 確保できたリソースを他の業務に充てる
といったことが可能となります。

経費精算システム

経費精算システムを導入すれば、書類提出や現金の授受といった従来の経理業務にかかる手間や人的コストを大幅に削減できます

そして、経理担当者を他の業務に回すことが可能になります。

より生産的な業務に割り振って生産性の向上を図ったり、DX推進業務に充てたりしてもいいでしょう。

まとめ:DX(デジタルトランスフォーメーション)推進ガイドラインを活用しよう!

まとめ:DX(デジタルトランスフォーメーション)推進ガイドラインを活用しよう!

DX推進ガイドラインについて解説してきました。

DXは日本企業が国際的な競争力を獲得する上で、避けては通れない道です。

ぜひ自社でDXを推進して、新たなビジネスの創出につなげましょう。

DXを検討中の方は、無料配布中の「DX解説本」を、ぜひご確認ください。

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