人材育成ロードマップの目的や課題とは?作成する際の6つの手順を紹介
企業が研修などで人材を育成するには企業理念や求める人物像に基づいた計画的な育成プランが重要です。
適切な人材育成計画を実行するために役立てるのが人材育成ロードマップです。
この記事では人材育成ロードマップを作成する目的や課題点を紹介します。
人材育成ロードマップの具体的な手法や作成の手順について解説するので、人材育成計画を立案する際の参考にしてみてください。
なお、テクロ株式会社では人材育成eラーニングサービス「マーケブル」を提供しています。
マーケティングができる人材の育成を考えている方は、無料で配布中の「BtoBマーケティング特化型eラーニング『マーケブル』サービス資料」をぜひチェックしてみてください。
目次
人材育成ロードマップを作成する目的
人材育成ロードマップとは、社員(従業員)を理想の人物像へ育成するための道筋や手順表(ロードマップ)のことです。
人材育成ロードマップでは目標達成に至るまでの大まかな社員育成の計画を示します。
適切な人材育成ロードマップを作成することで、従業員のモチベーションや企業の組織力の向上に役立てられます。
人材育成は企業が組織立って計画するものでなければならず、組織力を高める人材の自発的な成長を促すことが重要です。
人材育成ロードマップを作成する目的として、以下が挙げられます。
- 人材育成の計画を関係者に共有する
- 企業理念に即した人材育成プランを作成できる
- 社員にやりがいを持って働いてもらえる
- リーダーを育成する
- キャリアパスやスキルマップを明確にする
人材育成の計画を関係者に共有する
人材育成ロードマップを作成することで人材育成の計画を関係者に共有できます。
人材の育成は組織が共通して持つ課題として認識しなければなりません。
社員が共通して認識できる人材育成ロードマップを確認することによって、関係者に人材育成の計画を共有できるのです。
人材育成が抱える課題は育成される側だけではなく、育成する社員のスキルも上げなければなりません。
人材育成ロードマップを作成しておくことで育成プランを効率的に運用ができます。
企業理念に即した人材育成プランを作成できる
経営者にとってはすべての社員が企業理念を共有していることが望まれます。
企業理念に即した人材育成ロードマップを作成することで、企業理念を理解した人材の育成が可能です。
企業理念を元に作成することで、企業が求める人材に育成できます。
社員にやりがいを持って働いてもらえる
育成ロードマップを示し実行することで、従業員がやりがいを持って働けるようになります。
現場で実践できる育成計画を立てることで、社員としても成長している実感を持ちやすくなるのです。
自発的に行動できる人材は業務モチベーションも高く、離職率も低くなる傾向があります。
リーダーを育成する
育成ロードマップを作成することで組織をまとめるリーダーを育成できます。
強い組織を作るには強力なリーダーが必要です。
リーダーは積極的に他人を巻き込み、組織を成長していくために欠かせない存在です。
リーダーを育成するためには適切なビジネススキルやマインドを持った人材へ成長させる研修が求められます。
ロードマップを作成することで、リーダーにどのようなスキルが必要なのか、受けるべき研修などが明確になるのです。
キャリアパスやスキルマップを明確にする
研修を受ける社員は人材育成ロードマップによって個人のキャリアパスやスキルマップを明確にできます。
スキルマップとは業務で必要とされるスキルを洗い出し、可視化することです。
スキルマップを作成することで業務をこなす際に最低限必要なスキルを身に着けられるため、業務スキルレベルを底上げできます。
業務のことを何も知らない状態だと、具体的なキャリアパスやスキルマップは描けません。
人材育成ロードマップによって具体的な成長目標を示すことで個人が目標とするべき人材像を描けるでしょう。
人材育成の具体的な手法
ここからは、人材育成の具体的な研修手法と内容を紹介します。
それぞれの研修方法はメリットとデメリットがあり、状況に応じた研修を使い分けることが重要です。
OJT
OJT(On the Job Training)は実務をやりながらスキルを身に着ける研修方法です。
OJTでは上司や教育担当者が個人についており、気付いたことがあればその場で教えられます。
新入社員など、まだ現場の経験が少ない社員に効果的な手法です。
OJTのメリットは実務経験に即した研修ができるため、OJTで学んだことがそのまま現場で活かせることにあります。
対してデメリットは、教育担当者や職務内容に応じて研修に差が付きやすいことです。
Off-JT
Off-JT(Off the Job Training)は、実務から離れて座学の形式で行う研修方法です。
Off-JTの方法としてよく使われるのは、以下の3つです。
- eラーニング
- 集合型研修
- ハンズオン
eラーニングは、オンライン上で配信される講義を受けることで知識を身に着けます。
集合型研修は、研修対象者が研修センターや研修室のような教室に集団で集まり、座学を行う研修方法です。
ハンズオンは、手元で操作をしながら実技指導を受ける研修で、技術や技能を習得する研修に使われます。
Off-JTのメリットは1度に複数人数の研修を行えるため、効率の良い研修方法であることです。
Off-JTのデメリットは現場に即した研修方法ではないため、学んだことがそのまま現場で活かせない可能性があることです。
メンター制度
メンター制度は年齢の近い先輩社員が新入社員向けにサポートをする制度です。
メンターは「指導者」といった意味を持ち、新入社員に精神的な成長を促します。
OJTと似た制度ですが、メンター制度では直属の先輩ではなく別の部署にいる先輩がサポートをするため、業務以外のキャリアプランなどを相談できます。
ジョブローテーション
ジョブローテーションは、職場や職種を異動して多様な経験を積んでいく人事制度です。
定期的に仕事を変えながら多くの経験をすることで、一つの部署だけではなく多角的な物事から業務をこなせる人材へ成長できます。
人的ネットワークの構築や属人化の防止などがメリットです。
MBO(目標管理制度)
MBO(Management by Objectives)は社員が個人目標を立てて進捗度合いや達成状況に応じて人事評価を決めることで社員のモチベーション向上を促す制度です。
MBOは経営学者のドラッカーが提唱した人材マネジメントの手法であり、目標管理制度ともも呼ばれています。
MBOは社員が自発的に目標を立てる制度であるため、自発的な成長意欲を促せるほか、社員のモチベーション向上にもつながります。
人材育成ロードマップを作成する6つのステップ
人材育成はやみくもに現場で始めるのではなく、人事などの管理部門が主導して人材育成計画を導入しなければなりません。
人材育成ロードマップは以下の手順で作成していきます。
- 求める人物像の明確化
- 企業理念の再構築
- 人材育成計画書の作成
- 人材育成システムの構築
- 人材育成計画の実行
- 人材育成計画の評価
1.求める人物像の明確化
育成ロードマップを作成するには、まず求める人物像を明確化します。
研修によってビジネススキルを身に着けるだけでなく、具体的にどのような人物像になるべきなのかを示します。
求める人物像に必要なスキルをリストアップしましょう。
2.企業理念の再構築
企業の活動方針を企業理念が必要です。
企業理念は会社の根幹となる考え方や価値観であり、社員が企業理念を理解しておくことで共通の方向性を示せます。
企業理念が定まっていない場合は、人材育成計画を立てる際に企業理念を構築あるいは再構築する必要があります。
3.人材育成計画書の作成
求める人物像および企業理念が明確になったら具体的な人材育成計画書(ロードマップ)を作成します。
育成方法やスキルの教育など社員のレベルに応じて検討します。
例えば、新卒社員向けの研修ではビジネスマナーを教える必要がありますが、中堅社員や管理者層には専門的なスキルの教育が必要です。
4.人材育成システムの構築
人材育成計画書を作成したら、現場で実践できるレベルの具体的な計画に落とし込みます。
業務スキルを身に着けるために必要なスキルを可視化し、OJTなどの具体的な研修方法を選択します。
人材育成システムを構築するには人事などの管理部門が主導するだけでなく、現場の事情を考慮したタイムマネジメントが必要です。
5.人材育成計画の実行
人材育成計画に基づいて人材育成を実行します。
新入社員が入ったタイミング、人事異動があったタイミングなど必要に応じて研修が必要な人材向けに人材育成計画を実行しましょう。
6.人材育成計画の評価
計画を一通り実行した後は人材育成計画そのものに対する評価が必要です。
組織で人材育成ロードマップを運用していくためには定期的に評価および改善を繰り返します。
社員にアンケートを取り、研修が効果的だったかアンケートをとることも有効です。
人材育成ロードマップを作成する際の課題と注意点
人材育成はすべてが思い通りに行くとは限りません。
人材育成を指導する人事の立場と業務を遂行する現場の間で認識のズレが生じることも多く、人材育成計画と現場レベルでの対応が必要とされます。
人材育成ロードマップを作成する際に抱えてしまいがちな課題や注意点を解説します。
教育者のスキルによって人材の成長に差が出る
人材育成ロードマップを作成する際は教育者のスキルによって成長に差が出る点に注意しましょう。
例えば、OJTは教育担当者や現場の職務内容によって差が付きやすい研修方法です。
スキルの定着がない場合は、指導者に研修をすることも検討しましょう。
教えられた知識を活かさないと身につかない
人材育成においては教えられた知識を活かせる場所がないと身につかない点に注意しましょう。
例えば、Off-JTは現場に即した研修方法ではないため、研修で取り扱った内容をすぐに現場で活かせるとは限りません。
研修を受けた後は、テストなどで定着具合をチェックするのがおすすめです。
本業と両立する
研修は業務の一環として行わなければならず、本業と両立させなければいけません。
人材育成において特に苦労するのが、人材育成と普段の業務を同時にこなす時間管理です。
人材育成の計画を作成するには業務時間内に研修をこなせるようにタイムマネジメントを行いましょう。
人材育成をするときはロードマップを作成しよう
人材を育成するには人材育成ロードマップを作成し、企業理念や企業が求める人物像に基づいた人材育成計画を立案・実行する必要があります。
人材の育成方法としては「OJT」「Off-JT」などがありますが、それぞれの方法にはメリットとデメリットがあります。
必要に応じてこれらの育成方法を使い分けることが重要です。
人材育成ロードマップの作成手順としては、求める人物像や企業理念を明確にすることが必要です。
作成した人材育成計画書に基づいて人材育成システムを構築し、実行および評価を繰り返しましょう。
人材育成のための研修を導入するなら「マーケブル」がおすすめです。
マーケティングができる人材の育成を考えている方は、無料で配布中の「BtoBマーケティング特化型eラーニング『マーケブル』サービス資料」をぜひチェックしてみてください。