リーンキャンバスとは?9つの要素の書き方や注意点を徹底解説 | テクロ株式会社
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リーンキャンバスとは?9つの要素の書き方や注意点を徹底解説

リーンキャンバスは、ビジネスモデルを検証する際に利用されるフレームワークです。

特に、スタートアップや新規事業の創出の際に用いられ、スピーディかつ要点を絞った分析が可能となります。

今回は、リーンキャンバスの意義について紹介したうえで、実践方法や注意点を解説します。

起業を検討している方や、新規事業を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

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リーンキャンバスとは?

リーンキャンバスとは?

リーンキャンバスとは、ジネスモデルを9つの要素から可視化するスタートアップ向けのフレームワークです。

自身もUSERcycleの創業者としてスタートアップを経験し、「Running Lean」などのリーンを活用したビジネスモデルを展開するアッシュ・マウリャ氏によって提案されました。

トヨタ自動車のリーン生産方式など、ビジネス上でも活用される言葉です。

リーンキャンバスは、従来のビジネスモデルキャンバスからスタートアップに必要な要素を抜き出しており、よりスタートアップで注力すべき要素がわかりやすくなっています。

ユーザーの視点からビジネスモデルを可視化することで、より市場価値と競争力の高いビジネスの創出が可能です。

また、短時間かつ簡単に制作できるフレームワークのため、スピード感を求められる創業期にも対応できます。

ビジネスモデルキャンバスとの違い

同じくビジネスモデルを構造化する手法として、ビジネスモデルキャンバスがあります。

ビジネスモデルを要素に分けて構造化し、可視化するという点ではリーンキャンバスと同じ手法です。

ビジネスモデルキャンバスでは、リソースやパートナー、顧客との関係など、既存ビジネスの成長にフォーカスしています。

リーンキャンバスは、スタートアップに必要な項目のみにフォーカスしており、ビジネスモデルキャンバスの一部が改編されたフレームワークです。

そのため、顧客課題やそれに対する解決策、圧倒的な優位性など新規事業の創出に活用できます

ビジネスの段階にあわせて、正しいフレームワークを活用できるようにしましょう。

リーンキャンバスの5つのメリット

リーンキャンバスの5つのメリット

リーンキャンバスを用いることで得られる、代表的なメリットについて5つのポイントで解説します。

1.理解しやすく短期間で作成できる

リーンキャンバスは、9つの要素に絞ってビジネスモデルを可視化する非常にシンプルなツールで、時間をかけずに短期間で作成できます。

リーンキャンバスを作成する際は、時間をかけて完璧なビジネスモデルを作成することは求められません。

なぜなら、高速でPDCAサイクルを回していくことで、ビジネスモデルのブラッシュアップをしていくことに主眼をおいているためです。

10分〜1時間程度であれば作成できるため、他のフレームワークのように数週間も時間を必要としません。

2.ブラッシュアップがしやすい

前述の通り、リーンキャンバスは短期間で作成できるため、高頻度でブラッシュアップができる点もメリットです。

リーンキャンバスを作成する場合は、最初から完璧なモデルを作成する必要はありません。

初期段階で不明な要素があれば記入する必要はなく、判明した時点で埋めていく形で対応できます。

また、各項目に仮説段階の要素があっても、ブラッシュアップをしていくことで精度を高められるのです。

スタートアップのビジネスでは、当初の想定通りに事業が進まないことも多く、フレキシブルな対応が求められる場面があります。

そのため、リーンキャンバスでビジネスモデルを作成する際も、状況にあわせてブラッシュアップをしていくことが重要です。

3.ビジネスモデルが可視化できる

リーンキャンバスを用いることで、起業や新規事業もビジネスモデルを可視化できます

ビジネスモデルを視覚的に捉えることで、網羅的に内容を理解できるようになり、内在するリスクに気づける可能性が高くなります。

例えば、複数ページに渡るビジネス企画書から、抜け漏れやリスクを見出す作業はかなり大変でしょう。

リーンキャンバスは、1枚のシートだけで完結する非常にシンプルなフレームワークです。

そのため、事業を展開する重要な要素の抜け漏れや、重大なリスクに気づきやすくなります。

スタートアップ期のビジネスを視覚的に把握し、内在するリスクや不足している点に気づけるようにしましょう。

4.メンバーで共通認識を持てる

ビジネスモデルを視覚的に理解できるリーンキャンバスは、チームや会社内で共通認識を持ちやすいメリットもあります。

スタートアップ期は、チームが同じ目線で目標に進むことが重要です。

そのため、自社が置かれた立場やこれから展開していくビジネスについてを、全員が正確に認識しておく必要があります。

リーンキャンバスはA4サイズの用紙でも作成できるので、ひと目で情報が共有できることがメリットです。

また、リーンキャンバスは社内だけでなく、パートナーに対して自社のビジネスを知ってもらうツールとしても活用できます。

つまり、リーンキャンバスをもとに、ビジネス企画書も作成が可能です。

社内だけではなく、社外への資料などにも活用できます。

5.コストをかけずにできる

リーンキャンバスは、A4の用紙が1枚あれば作成可能です。

そのため、余計なコストをかけずにビジネスモデルをまとめられます。

また、記入するべき項目も非常にシンプルになっているので、難しい入力や図解を挿入する必要がなく、作業を減らせます。

ただし、何度もブラッシュアップをすることを前提としているので、ドキュメントファイルにまとめるなど、変更点をわかりやすくまとめておくことが必要です。

リーンキャンバスの9つの要素の書き方

リーンキャンバスは、以下の9つの要素から構成されます。

  1. 顧客の課題
  2. 顧客セグメント
  3. 独自の価値提案(UPV)
  4. ソリューション(課題解決)
  5. チャネル(販路)
  6. 収益の流れ
  7. コスト構造
  8. 主要指標
  9. 圧倒的な優位性

ここでは、各項目で記入すべき項目を解説します。

1.顧客の課題

自社のビジネスを通じて、解決したい顧客の課題を記入します。

顧客課題とは、自分たちで考える仮説で問題ありません。

市場調査や顧客アンケートを通して仮説を検証していきます。

書き出しの段階では仮説を記入しておき、検証ができた段階で事実に切り替えていくという順序で進めましょう。

顧客課題が複数考えられる場合は、より重要な要素に絞って3つ程度を書き出すことがおすすめです。

また、顧客課題の書き出しと同時に、顧客が課題を解説するために利用している代替サービスの書き出しましょう。

代替サービスを確認することで、より具体的な解決策を見出すためのヒントになります。

顧客課題は、後述する顧客セグメントと密接な関係を持ちます。

顧客課題がどうしても絞り切れない場合は、顧客セグメントを狭めることで、ターゲットを明確にすることがポイントです。

2.顧客セグメント

顧客セグメントは、ビジネスのターゲットを記入する項目です。

顧客セグメントを記載する際は、流行に敏感で自ら情報収集を行い判断する層、つまりアーリーアダプターを狙うことがポイントです。

アーリーアダプターにアプローチすることで、より早期の段階からビジネスに関するフィードバックを得られるようになり、PDCAサイクルを回しやすくなります。

ただし、顧客セグメントが広すぎる場合は解決すべき課題が多くなってしまい、効果的なビジネスを創出できなくなる可能性もあります。

顧客セグメントを策定する際は、

  • 職業
  • 生活スタイル
  • 家族構成
  • 価値観
  • 年齢
などを細かく設定したペルソナ像を作成しましょう。

3.独自の価値提案(UPV)

顧客の課題に対して、自社が提案できる独自の価値を記入します。

つまり、商品やサービスのベネフィットを記載する項目です。

ここでは、他社の製品やサービスにはない価値を考えましょう。

独自の価値提案までの項目は、ビジネスの根幹となる大切な要素です。

その中でも、独自の価値提案は最も難しい要素で、内容が思い浮かばないケースもあります。

ここで時間を費やしてしまうならば、この項目には仮説を記入したうえで、ブラッシュアップのタイミングで内容を固めていきましょう。

4.ソリューション(課題解決)

顧客の課題に対して、具体的にどのような方法で解決するのかを記載します。

ここでは、実際に顧客課題を解決できるかどうかにかかわらず、仮説段階の方法で問題ありません。

ソリューションの仮説検証が完了した段階で、内容を書き換えていくようにしましょう。

ただし、独自の価値提案と同じく、自社独自のソリューションを記載することが重要です。

既存のビジネスモデルと同じ解決手段では、市場での競争力が乏しくなる可能性もあります。

また、顧客の課題を解決する方法が複数考えられる場合は、そのなかで最も有効な方法を3つに絞って記載するのがおすすめです。

5.チャネル(販路)

チャネルは、自社の商品やサービスの販売経路を記載します。

注意点は、具体的な販売経路を検討することではなく、顧客との接点にフォーカスする点です。

顧客との接点から購買に至るまでのユーザー導線をイメージすることで、より明確なビジネスモデルが仕上がります。

顧客との接点を増やすことで、直接的なフィードバックの獲得にもつながり、ビジネスモデルのブラッシュアップが可能です。

ソリューションや顧客セグメントを検討したうえで、最適なチャネルを選択できるようにしましょう。

6.収益の流れ

収益の流れでは、のような方法で収益を獲得するのかを記載します。

ソリューションや顧客セグメントを検討したうえで、最適な収益モデルを選定できるようにしましょう。

商品価格や人件費、粗利などを検討し、1回の取引で見込まれる収益をシミュレーションしておくことが重要です。

また、リーンキャンバスの記載する収益の流れは、直近のリリース時の価格を記載するようにしましょう。

製品やサービスの価格に悩んだときは、顧客の課題の項目で書き出した他社の価格が参考になります。

7.コスト構造

コスト構造は、実際に製品やサービスをリリースするためにかかる費用のことです。

例えば、人件費や流通費用、開発費用、広告費などです。

ビジネスモデルによっては、初期費用として大きな資金が必要になるため、コスト管理は重要な項目といえます。

より具体的な数値を記載できればより明確なビジネスモデルを創出できますが、初期の段階では大まかな数値でも問題ありません。

正確なコストが算出できるようになったら、随時修正をしましょう。

8.主要指標

主要指標では、定量的な指標(KPI)を記載します。

KPIは、ビジネスの最終目標を達成するために必要な中間目標を数値的に表した指標です。

ただし、ここまでに記入した項目に仮説が多く含まれている場合は具体的な指標が算出しにくいため、ほかの項目の明確化を優先できます。

主要指標を定めるためには、KPIを定める方法もありますが、AARRR指標の活用がおすすめです。

AAARR

AAARR指標は、商品やサービスを5段階の項目に分けて分析する手法です。

  • Acquisition:ユーザーの獲得
  • Activation:ユーザーの活性化
  • Retention:ユーザーのリピーター化
  • Referral:ユーザーの紹介
  • Revenue:ユーザーの収益化

ユーザーの獲得から収益化するまでの5段階において、ユーザーの離脱率や継続率の分析できます。

つまり、ユーザーを獲得してから最終的に収益化できるユーザー数の割り出しが可能です。

これらの指標を逆算していくことで、何名のユーザーを獲得すれば最終的な目的を達成できるのかが明確になります。

定量的な指標を導き出せるように、リーンキャンバスと合わせてAAARRを活用しましょう。

9.圧倒的な優位性

ここまでの要素を検討したうえで、他社のサービスや商品に対して圧倒的に優位な点を記載します。

具体的には、所有する顧客情報や人脈、専門家からの支持などが挙げられます。

圧倒的な優位性は、ビジネスモデルによっては他社との差がつきにくいポイントです。

また、ビジネスを創出する段階では獲得が難しい要素でもあります。

そのため、完全な創業期の段階においては、空白の状態でも問題ありません。

リーンキャンバスの作成における注意点

リーンキャンバスの作成における注意点

リーンキャンバスを記入するうえでの注意点を解説します。

事前に押さえておくべきポイントを理解し、より効率的にビジネスモデルを作成しましょう。

各要素を言葉にする

リーンキャンバスのポイントは、各要素をしっかりと言語化すことです。

視覚的にビジネスモデルをまとめることで網羅的に全体を確認できるようになり、矛盾点やリスクが明確になります。

言語化が難しい場合は、空白のまま次にある項目の検討をはじめ、順次埋めていく方法がおすすめです。

最初から完璧を目指さない

リーンスタートアップは、常にブラッシュアップをしていくことが前提です。

そのため、最初から完璧なビジネスモデルを構築する必要はありません。

検証段階の仮説であってもまずは各項目に記入し、検証ができた段階で書き直していきます。

すべての項目が正しいかどうかにはこだわらずに、修正することを前提に作成しましょう。

できる限り短時間で作成する

リーンキャンバスのフレームワークは、比較的簡単に記入できるようになっています。

そのため、作成自体に時間をかけるのではなく、ブラッシュアップにより多くの時間をかけるようにしましょう。

丁寧に作るよりは短時間で基礎を作成し、随時書き換えていくことが重要です。

常にブラッシュアップをする

より優れたビジネスモデルを作成するために、常にPDCAサイクルを回しながらブラッシュアップしましょう。

リーンキャンバスの各要素は密接に関係しており、1つの要素に変更が加わると、全体の修正が必要となるケースもあります。

そのため、常に全体を見ながら修正を実施していくことが重要です。

最終的にビジネスモデルが完成するようにブラッシュアップしましょう。

リーンキャンバスを活用してビジネスのスタートをスムーズに

 

今回は、リーンキャンバスの実践方法について解説しました。

リーンキャンバスは、起業や新規事業の創出に役立つフレームワークです。

ビジネスモデルを整理することで必要な要素を可視化し、検証と改善をしていく際に有効な手段です。

リーンキャンバスを活用しながら、スムーズにビジネスをスタートさせましょう。

ただし、リーンキャンバスの各要素を検討していくためには、適切なマーケティング知識が必要です。

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