リスキリングの導入事例20社!企業が人材育成のために実施していることを紹介
デジタル変革の波が押し寄せる中、企業の人材育成は大きな転換点を迎えています。
そこで技術の進展と市場の変化に対応するため、従業員のスキルを再定義し、新しい知識と技術を身に付ける『リスキリング』が注目されています。
リスキリングは、単なる研修や教育にとどまらず、組織全体の変革をもたらす可能性を秘めているためです。
リスキリングをどのように成功させ、従業員と企業の双方にどのようなメリットをもたらすことができるのでしょうか?
この記事では、リスキリングを成功させるポイントや具体的な事例を紹介します。
リスキリングへの取り組みを検討されている方は、参考にしてみてください。
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目次
リスキリングとは
リスキリングとは、従業員が現在持っているスキルを再構築し、変化する市場や技術の進歩に適応する能力を獲得することです。
デジタル技術の急速な進化に伴い、多くの企業がリスキリングの必要性を感じています。
リスキリングへの取り組みにより、自身の能力を最大限に活かし、労働市場の変化に迅速に対応できるようになるためです。
企業が持続可能な成長を達成し競争力を保つためには欠かせない戦略となっています。
また、リスキリングは、従来のOJT(On-the-Job Training)やリカレント教育とは異なり、個々の従業員のキャリアパスや能力開発に焦点を当てたアプローチが特徴です。
リスキリングについて更に詳しく知りたい方は、以下の記事で紹介しています。気になる方は、ご覧ください。
関連記事:リスキリングとは?DX時代に企業が求められる方法を詳しく解説
OJTやリカレント教育との違い
リスキリングとOJT(On-the-Job Training)やリカレント教育との違いについては、主な焦点が異なります。
OJTは、実際の仕事の場で、新人や転職者が必要なスキルや知識を習得するための教育方法です。
対して、リスキリングは、今後必要となる新たな業務に適応するために必要なスキルを習得することを目的としています。
一方、リカレント教育は、社会に出てから個々の必要に応じて再び学び直すことを指し、仕事とは別の時間に教育を受けることが多いです。
対してリスキリングは、主に企業が従業員のために教育プログラムを構築し、仕事がしながら学び続けることが特徴です。
リスキリング | OJT | リカレント教育 | |
---|---|---|---|
目的 | 今後必要とされる新しい業務に対応するためのスキル習得 | 実際の仕事を通じて必要なスキルや知識を習得する | 社会に出た後に再び学び直すこと |
特徴 | 既存のスキルセットを再構築し、変化する市場や技術への適応を促す | 実務を通じた実践的なトレーニング | 仕事とは別の時間に教育を受ける |
対象者 | 既存の従業員、特に将来的な業務変更が見込まれる人々 | 新入社員、新たな職務に就いた従業員 | 一般の社会人、特にキャリアチェンジやスキルアップを求める人々 |
日本国内のリスキリング導入率
日本国内でのリスキリング導入率について、産業能率大学総合研究所の調査によれば、リスキリングへの取り組みはまだ十分とは言えない状況にあります。
調査では、『リスキリング』という言葉の認知度が36.0%という結果が出ており、リスキリングという概念がまだ広く知られていないことが明らかになりました。
また、実際にリスキリングに取り組んでいる企業は11.5%にとどまり、「今後取り組む予定がある」と回答したのは5.5%、さらに「取り組むことを検討中」と答えた企業が28.0%でした。
一方、「現在取り組んでおらず、取り組む予定も今はない」という企業が32.5%であり、リスキリングに対する積極的な姿勢を示す企業は全体の約半数に留まっています。
参考:産業能率大学総合研究所『日本の企業・組織におけるリスキリング実態調査 報告書』
リスキリングの導入事例を20社紹介
リスキリングの成功事例は、その効果と実践方法を理解するのに最適な方法です。
そこで、リスキリングを効果的に導入し成果を上げた20社の事例を紹介します。
各企業の取り組みを通じて、リスキリングがどのように従業員のスキル向上と組織の成長に寄与しているか参考にしてみまししょう。
紹介する事例から、リスキリングの成功の鍵を学び、自社に適用するヒントが得られるかもしれません。
1.富士通株式会社
引用:富士通株式会社
富士通株式会社は、IT業界におけるデジタル人材不足の解消を目指し『Global Strategic Partner Academy』というグローバルな教育プログラムを開始しました。
このプログラムは、ServiceNow、SAP、Microsoftとの協力のもと、最先端のデジタル技術やノウハウの習得を可能にするプログラムです。
プログラムはオンラインで展開され、ビジネスプロデューサーやデリバリー担当者などのスキルセットやキャリアフレームワークをグローバル規模で統一し、専門性の高い知識やノウハウを身に付けた人材を増やすことを目指しています。
このリスキリングの取り組みは、デジタル技術の分野で人材育成を強化し、組織全体のデジタル化を推進する企業にとって参考になるでしょう。
特に、グローバルに活動する企業や、技術革新によるサステナブルな社会の実現を目指す企業にとって、効果的なモデルと言えます。
参考:富士通株式会社『グローバル規模のデジタル人材不足の解消に向けた人材育成プログラム「Global Strategic Partner Academy」を開始』
2.株式会社日立製作所
引用:株式会社日立製作所
株式会社日立製作所では、リスキリングとしてDX人材育成に力を入れています。
日立アカデミーでは、DX研修、IT研修、OT研修など幅広い分野で年間約1,300コースを提供し、約14万人が受講しています。
DX人材育成では、「ベーシック」、「アドバンス」、「プロフェッショナル」のレベルと「リテラシー」の基礎が設定され、専門部署でのOJTによる育成プログラムも導入。
また、「デジタルケイパビリティ研修体系」「垂直立ち上げ研修」「製造業のDX研修体系」「デジタルリテラシー研修」などの取り組みがあり、これにより社員の自律的な学習が促進されています。
さらに、日立グループは自律的な学習を支援するために学習体験プラットフォーム(LXP)を導入し、学習の習慣化や互いに学び合う文化の構築を目指しています。
このような日立のリスキリングの取り組みは、デジタル変革を推進する企業や、従業員の自律的な学習を促進しようとする企業にとって参考になるでしょう。
参考:株式会社日立アカデミー『社員の自律的な学びを促進する日立グループの「DX人財育成」と「リスキリング」|HR Summit 2023 ONLINE 講演レポート』
3.トラスコ中山株式会社
引用:トラスコ中山株式会社
トラスコ中山株式会社は、物流のデジタル化や組織内データの利活用に早い段階から取り組んでいる企業です。
2020年にはDXグランプリを受賞し、DX銘柄に2期連続で選出されています。
1964年設立の同社は、工業用副資材を扱い、サプライチェーン全体のDXに注力。
リスキリングに関して、デジタル戦略本部はデジタルの強化に特化し、次世代リーダー候補の研修を行っています。
次世代リーダー候補が参加する研修では、デジタルを活用した新規ビジネスの創出が行われています。
また、オンライン学習や資格取得の学びも実施し、社員が社会の変化に気づき、学びたいときに学べる環境を整備していることも特徴です。
さらに通信研修では、全社的なデジタルスキルの底上げを目指しており、パソコンスキルに関連するコースも選択可能です。
出荷作業の機械化や見積業務のAI化など、デジタル化による変化に対応できるヒューマンスキルの習得に役立っています。
業務プロセスのデジタル化を目指し、従業員の自主性を促進したい企業にとって参考となる事例でしょう。
参考:産業能率大学 総合研究所『【リスキリング企業事例②】トラスコ中山株式会社様「日本のモノづくりのお役に立つためにDX戦略で”ありたい姿”を実現する」』
4.株式会社ZOZO
引用:株式会社ZOZO
株式会社ZOZOは、全正社員を対象にリスキリングのための手当を支給しています。
具体的には、これまでビジネス部門の社員に限定していた自学手当をエンジニアや開発部門にも広げ、最大月10万円を支給する制度です。
ZOZOとZOZOネクストの正社員約1500人を対象としています。
支給額は、月2500円から始まり、在籍期間に応じて増額されます。
このリスキリングを支援する取り組みは、社員の能力向上とモチベーション向上を図りたい企業にとって参考となる取り組みです。
参考:日本経済新聞『ZOZO、リスキリングに活用できる手当 全正社員に』
5.株式会社アイネス
引用:株式会社アイネス
株式会社アイネスでは、お客様のDX化推進と新規ビジネスモデル構築のため、社員のリスキリングに注力しています。
ITコンサルティングからシステム設計、運用保守まで一貫したサービスを提供しており、幅広い顧客層に対応しています。
そこでアイネスでは、社員の個人の価値と会社の成長を実現することを目指し、主体的にスキルアップを目指す社員を支援。
ITスキルの常時更新を重視し、社員にはITキャリアプランを作成し、その計画に基づいてスキルアップを目指すよう励ましています。
具体的な育成プログラムは、データサイエンティスト養成プログラムを提供し、実務データを活用した学習を実施です。
このリスキリングの取り組みは、DX化や新規ビジネスモデルの構築を目指す企業、特にIT業界で活動する企業にとって有益な事例と言えるでしょう。
社員一人ひとりの能力向上と会社の成長を同時に目指すこのアプローチは、多くの企業にとって参考になるはずです。
参考:産業能率大学 総合研究所『【リスキリング企業事例①】株式会社アイネス様「顧客のDXを推進する新規ビジネスモデル実現へ リスキリングで人材育成」』
6.ソフトバンク株式会社
引用:ソフトバンク株式会社
ソフトバンク株式会社は、経営戦略に必要な人材を確保するため、リスキリングに取り組んでいます。
特にDX(デジタルトランスフォーメーション)推進やデジタル化に伴う新しい職種や仕事の進め方に対応するため、社員に新しいスキル習得の機会を提供しています。
また、社内で利用できるスキルが不足している場合、ソフトバンクでは学習プログラムを組み立て、業務の一環としてスキル習得を支援しています。
さらに、新しい技術には、外部の研修サービスを活用することで費用と時間を節約。
将来的には、社内講師を増やし、社内で新しい技術が学べる環境を目指しています。
新しい技術やスキルの必要性に迅速に対応し、社員の成長と企業の発展を同時に目指す企業が参考にすべき事例と言えるでしょう。
参考:ソフトバンク株式会社『リスキリングとは?DX人材獲得に効果的な方法を解説』
7.KDDI株式会社
引用:KDDI株式会社
KDDI株式会社では、働き方改革とともにデジタル人材育成に向けたリスキリングに注目しています。
特に、ビジネスプロセスのデジタル化が進む現代において、DXを実現・加速するために既存人材のスキル再構築が重要な課題です。
コロナ禍を機に、KDDIは働き方改革を一層推進し、オンラインのメリットを活かした取り組みにより全社員のマインドセットに変化をもたらし、業務の進め方を改善し、成果を上げています。
デジタル人材を育成する方法としては、受動的な座学だけでなく、実践的なアプローチが重要であり、これまでの知識やスキルを再構築し、新たなスキルを身につけることが大切です。
デジタル人材の定義においては、デジタルを「作る」だけでなく「使う」側も重要であり、事業を動かすビジネスパーソンもデジタル人材として育成する必要があるとされています。
KDDIのリスキリングへの取り組みは、デジタル化が進む企業やDXを推進する企業にとって参考となる事例です。
特に、ビジネスプロセスのデジタル化を目指し、柔軟な働き方を導入しながら人材育成を進めたい企業にとって参考になるでしょう。
8.キャノン株式会社
引用:キャノン株式会社
キャノン株式会社は、デジタル技術の進化に対応したリスキリングを進めています。
具体的には、事務機器の工場で働く従業員など1500人にクラウドやAIの研修を半年間行うことで、医療機器など成長部門への人材シフトを後押ししています。
例えば、プリンター開発に従事していた社員が医療機器部門へ移り、ソフトウェア開発を担当するなどです。
実際に新たな分野への移行が行われている実績があります。
キャノンのリスキリングへの取り組みは、市場の変化に対応し、新しい成長分野にシフトすることを目指す企業にとって参考になるでしょう。
参考:日本経済新聞『デジタル時代に必要な「リスキリング」とは?』
9.SOMPOホールディングス株式会社
SOMPOホールディングス株式会社は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の実現に向けたリスキリングに取り組んでいます。
2023年度の目標として、DX専門人材177名、DX企画人材4,000名、DX活用人材17,100名を育成として取り組みを実施。
具体的な取り組みとして、東京・シリコンバレー・テルアビブに「SOMPO Digital Lab」を設置し、グループ全体のデジタルトランスフォーメーションに取り組んでいます。
また、Palantir Technologies IncやABEJAとの業務提携を通じてDXを経営戦略の基盤にも組み込んでいます。
それにより、専門人材の積極的な登用や各層に適した研修制度を設けることでデジタル人材を効果的に育成し、既存事業のDXとデジタル新事業創出の両立を実現。
結果、デジタルに関する実証実験やトライアルを積極的に実施し、55件が事業化または実サービス化されています。
新事業としてネット型のBtoBオークション事業への参入やAI音声認識システムの導入なども進めており、業務効率化にも取り組んでいます。
10.株式会社クレディセゾン
引用:株式会社クレディセゾン
クレディセゾンは、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進を目的とした「CSDX VISION」を掲げており、これに基づいたリスキリングに取り組んでいます。
CSDXの取り組みは、3つのフェーズに分けられており、総合職社員の公募によるデジタルスキルの習得、IT部門とテクノロジーセンターの統合、全社員によるDX推進に分けられ進化を続けています。
2019年には、内製開発組織であるテクノロジーセンターを立ち上げ、スマホアプリの一部機能開発からスタートし、バックエンドシステムの内製化を実施。
また、2022年は「生成AI元年」と位置付けられ、生成AIを前提に業務の見直しを進めています。
これらの取り組みにより、内製開発によってITベンダーに依頼するよりも61.8%のコスト削減を実現。
自動化した業務は79万時間に及んでいます。
オフィスのコピー用紙の使用量削減やお客様のセルフサービスによる自己解決率の向上など、具体的な成果も挙げられています。
クレディセゾンの取り組みは、デジタル化と業務効率化を進め、コスト削減や顧客サービスの向上を目指す企業にとって参考になるでしょう。
特に、DX推進を経営戦略の基盤に置き、内製化や生成AIの活用を進めたい企業に有益な事例です。
11.株式会社三菱UFJ銀行
引用:株式会社三菱UFJ銀行
株式会社三菱UFJ銀行は、急速に変化する社会環境と競争環境に対応し、各従業員が自らのキャリアを自律的に形成できるようなリスキリングに取り組んでいます。
知識や専門性だけでなく、見識や倫理観を高める教育機会の提供、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DEI)の推進などに取り組んでいます。
専門性を有する真のプロフェッショナルの確保・育成を目指すため、各種研修やOJTを通じた積極的な人材育成するため『MUFG University』を開講。
このプログラムには、「次世代リーダーコース」と「マネジメントコース」があり、部店長クラスを対象とした経営者や学識者との講義やリベラルアーツ研修などを実施しています。
次世代の経営人材を育成しており、これまで700人以上の社員が受講しています。
これらのリスキリングの取り組みは、デジタル化やグローバル化が進む金融業界において、特に参考になる事例です。
参考:三菱UFJフィナンシャルグループ『プロの人材育成・リスキル』
12.株式会社博報堂
引用:株式会社博報堂
博報堂は、ワークスタイル変革の一環として、社員の自主的な学びをサポートするリスキリング支援施策を実施しています。
博報堂のリスキリングは、新たなスキルや知識の習得を目的として、約200種類の研修プログラムが存在することが特徴です。
社員への事前調査に基づき、社員のニーズに応える形でこれらのプログラムが用意されています。
結果として、全対象者4,603人の中で54%にあたる2,478人が自主的に受講し、特に20代と30代の社員から高い関心が得られています。
受講された研修プログラムは、語学(英語)、時事ニュース、ビジネススキル全般、Excel/Powerpoint、システム・データ・プログラミング、経営管理、デジタルマーケティングなどです。
このリスキリング施策は、社員の自律性を尊重し、多様なニーズに応えることで、組織全体のスキルアップとモチベーションの向上を図ることができる参考となるでしょう。
参考:博報堂『博報堂、博報堂DYメディアパートナーズ、 あらゆる社員の学びたいに応える『リスキリング支援』施策を実施 ~200の研修プログラムに、半年間で対象者の54%、2,478人が受講~』
13.JFEスチール株式会社
引用:JFEスチール株式会社
JFEスチール株式会社は、データサイエンティストとその候補を習熟度に応じて4階層に分け、育成しています。
この取り組みは2018年に開始され、2020年度末時点で350人のデータサイエンティストを育成し、2024年度末には600人への増員を目指しています。
育成階層は、「DS(データサイエンス)利用者」「DS活用者」「DS伝道者」「DS先駆者」という4つのカテゴリです。
これらはそれぞれ事務系社員、技術系社員、製造部門エンジニアの一部、さらに研究部門の研究員を対象にしています。
例えば、DS利用者であれば、eラーニングによるリテラシー教育。
DS利用者であれば、DS全般教育やDSツール導入教育のように熟練度に応じて教育内容が違います。
このリスキリングの取り組みは、特に製造業や重工業など、データ駆動型の意思決定を強化し、効率化を図りたい企業にとって参考になるでしょう。
参考:日経BP『JFEスチールが「データサイエンティスト」600人へ、4階層のリスキリング』
14.ダイキン工業株式会社
引用:ダイキン工業株式会社
ダイキン工業株式会社は、「攻めのIT」を目指し、AIやデータ活用に注力したリスキリングに取り組んでいます。
ダイキン工業では、製品・ソリューション・モノづくりの各領域にITを広げ、AI・データ活用とツール群の二つの領域に分けた取り組みが特徴です。
例えば、社内外のデータ分析、需要予測、会話音声分析などのAIによるデータ活用やRPA、OCR、音声認識などのツールを活用した業務効率化を目指しています。
また、2017年に大阪大学との包括連携でダイキン情報大学を設立。
2年間でAIやデータ分析に関する技術者を育成しています。
既存社員も自由応募でAI活用、技術分析、システム開発の人材を育てており、2023年度までに1,500人の育成を目指し取り組んでいます。
特に、ITとデータを活用してビジネスの変革を目指す企業にとって参考となる事例です。
参考:YAHOO!JAPAN『導入事例:ダイキン工業株式会社』
15.株式会社電通
引用:株式会社電通
株式会社電通は、人的資本経営を事業成長に結びつけるため、CHRO(最高人事責任者)支援プログラム『HR for Growth』を提供しています。
このプログラムは、人事関連のプロダクト、ソリューション、コンサルティング知見を集結させ、顧客企業の人的資本経営と事業成長を支援することを目的とした取り組みです。
特に、産業構造の変化により人材戦略策定、タレントマネジメント、リスキリングへの取り組みが重要視されています。
HR for Growthでは、人事部門と事業部門の戦略・施策・KPIの連動を促進し、人事の事業成長への接続力を高めることで、社会や顧客に価値を創造する取り組みをサポート。
人事と事業を結びつけるためには、人事の専門性に加えて、深い事業理解に基づく事業変革力、社員一人ひとりの価値創造力を向上させるためのマーケティング発想力、データ分析・活用力、社会視点・お客様視点が必要です。
このプログラムは、顧客企業の事業に向き合い、社会・消費者に向き合うマーケティング・コミュニケーションの設計と実行に関する知見に基づいており、組織人事コンサルティングの実績も活用しています。
電通のリスキリングの取り組みは、人材の専門性と事業理解を深め、事業成長と人事戦略を連動させたい企業にとって参考になるでしょう。
参考:株式会社電通『国内電通グループ、人的資本経営を事業成長に着実に結びつけるCHRO支援プログラム「HR for Growth」提供開始』
16.ヤフー株式会社
引用:ヤフー株式会社
ヤフー株式会社は、IT人材不足の解決を目指し、プログラミング未経験者を対象にした『Yahoo!テックアカデミー』を開設しています。
このアカデミーでは、Yahoo! JAPANのエンジニアとキラメックス株式会社が共同で企画したカリキュラムを通じて、実践的なスキルを提供しています。
プログラミング未経験者が事業会社でWebエンジニアとして働くための必要なスキルを習得できるよう、質の高い教育プログラムが受けられるのが特徴です。
ヤフー株式会社は、この取り組みを通じて人材教育事業に新規参入し、2030年までに予想される最大79万人のIT人材不足に対応することを目指しています。
経済産業省の調査によれば、IT関連産業では、若年層の人口減少に伴い、退職者を上回る新規入職者が不足することが予想されており、IT人材の育成が急務となっています。
ヤフー株式会社のリスキリングの取り組みは、特にIT業界やデジタル化を推進する企業にとって参考になります。
17.株式会社パソナグループ
引用:株式会社パソナグループ
パソナグループは、新たな福利厚生サービス『パソナ・ファミリータウン』を通じてリスキリングに取り組んでいます。
このサービスは、メタバース空間を活用し「つながる」「働く」「学ぶ」をテーマに、社員とスタッフのコミュニケーションとリスキリングを促進することが目的です。
コロナ禍によるコミュニティ活動の制限を背景に、趣味や特技を通じた交流や、キャリア相談、スキルアップ研修などを提供しています。
これにより、社員とスタッフがお互いのスキルや才能を活かし、互助の社会「ミューチュアル・ソサエティ」の実現を目指しています。
パソナグループのリスキリングの取り組みは、特に人材サービス業界や、従業員のスキルアップとコミュニケーション強化を図りたい企業にとって参考になるでしょう。
参考:株式会社パソナグループ『パソナグループ 人と人との絆・コミュニティから生まれる“心の豊かさ”を提供』
18.味の素株式会社
引用:味の素株式会社
味の素株式会社は、2030年に「食と健康の課題解決企業」への転換を目指しています。
この目標達成のため、デジタル・トランスフォーメーション(DX)による業務改革が不可欠と位置づけ、デジタル人材の育成に注力しています。
具体的には、社員のITリテラシーを高めるために、ビジネスDX人財育成コースを導入し、社内資格としてビジネスDX人財初級・中級・上級を認定。
育成プログラムは、階層別プログラムに加え、コア能力やビジネススキルを磨く選択型プログラム、選抜制のグローバル&グループプログラムから成り立っています。
必須で受講させるも のは減らし、社員の自律的なキャリア開発を尊重する特徴があります。
味の素株式会社のリスキリング取り組みは、業務改革と人材育成を同時に進め、自社の社会的価値を高めたい企業にとって参考になるでしょう。
特に、デジタルトランスフォーメーションを推進し、社員の自主性を尊重する企業にとって有用な事例です。
参考:経済産業省『イノベーション創出のためのリカレント教育 事例集』
19.株式会社三井住友フィナンシャルグループ
株式会社三井住友フィナンシャルグループは、経営やビジネスの環境変化に応じて、従業員の価値観の多様化を受け入れ、新たな「SMBCグループ人財ポリシー」に取り組んでいます。
この取り組みは、従業員に対しプロフェッショナリズムを求め、同時に成長とウェルビーイングを支援することを目指しています。
具体的には、経営戦略を支える人材ポートフォリオの構築、専門人材の確保と認定、従業員の自律的なキャリア形成のための機会提供などです。
このリスキリングの取り組みは、特に多様な人財を育て、経営戦略に沿った人材配置を目指す大企業や金融機関にとって参考になる取り組みです。
参考:株式会社三井住友フィナンシャルグループ『価値創造を支える人材戦略』
20.住友ファーマ株式会社
引用:住友ファーマ株式会社
住友ファーマ株式会社では、リスキリングに力を入れています。
具体的には、先進技術の導入やデータ駆動型マーケティング、デジタルツールの全社運用など、多岐にわたる取り組みです。
オンラインMRやVRを用いた情報提供などが実施され、それぞれの分野で顕著な効果が出ています。
住友ファーマでは、効率的なプロモーション、新しいコミュニケーション手法の確立、そして全社的な生産性向上が実現しました。
特にデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進は大きな成果を挙げており、他の企業にとっても参考になるでしょう。
データ活用や先端技術を取り入れたい企業、組織の効率化を目指す企業にとって、住友ファーマのリスキリングは有用な事例です。
リスキリングが注目される背景とは
現代社会におけるリスキリングの必要性は、様々な背景要因によってますます高まっています。
そこでリスキリングが注目される背景について詳しく解説します。
リスキリングがいかに企業の成長と競争力強化に貢献するかが見えてくるでしょう。
ダボス会議によるリスキリング革命
ダボス会議とは、世界の政治や経済のリーダー達が一堂に会し、世界的規模の課題を話し合う会議です。
ダボス会議により、リスキリングの必要性が強調され、急速にデジタル化が進む現代社会における重要な課題として位置付けられました。
2020年1月に行われたダボス会議では、2030年までに世界で10億人のリスキリングを支援するプログラムを立ち上げることが決まっています。
それは、リスキリングの重要性を世界中に広めるきっかけとなりました。
日本でもリスキリングへの取り組みが注目され、日本政府では、リスキリング支援に5年で1兆円を投入する方針を打ち出すなどリスキリングを進める個人や企業への支援を行っています。
少子高齢化に労働力不足
日本における労働力不足の問題は、少子高齢化によってますます深刻化しています。
厚生労働省のデータによると、日本の出生数は近年大幅に減少し続けており、これが労働力の不足に直結しています。
特に、生産年齢人口の減少は、企業にとって大きな課題です。
企業が一人一人の従業員の生産性を向上させる必要性を高めています。
そしてリスキリングは、労働力不足の課題に対処するための有効な手段として注目されています。
従業員が新しいスキルを身につけ、変化するビジネス環境に適応できるようにすることで、労働力不足による影響を最小限に抑えることができるためです。
少子高齢化による労働力不足を解決するため、リスキリングは注目されています。
ITやデジタル人材不足
デジタル変革の進行に伴い、ITやデジタル関連の人材不足が顕著な問題となっています。
総務省によると、日本におけるIT人材の需要は増大しているものの、供給は追いついていない状況です。
このデジタル人材不足は、企業のデジタル化推進において大きな課題となっています。
そしてリスキリングは、デジタス化問題に対する有効な解決策の一つです。
既存の従業員が新しいデジタルスキルを習得することで、企業はITやデジタル分野での人材不足を内部から解消し、デジタル変革への対応を加速できます。
また、従業員にとっては、将来的なキャリアの安定と成長の機会できるとして注目されています。
企業がリスキリングに取り組むメリット
企業がリスキリングに取り組むメリットは、以下のようなことが挙げられます。
- 生産性の向上
- 新しいアイデアの創出
- 従業員のモチベーション向上
- DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進
- 雇用問題対策
それぞれのリスキリングが企業にもたらすメリットについて、詳しく解説します。
リスキリングの重要性を知るヒントになるでしょう。
生産性の向上
企業がリスキリングに取り組むことで生産性を向上させることがメリットです。
リスキリングにより習得された新しいスキルや技術を活用することで、業務効率化が図られ、生産性が高まるためです。
例えば、従来の手作業で行われていたルーティン業務がデジタル化されることにより、より少ない時間で効率的に業務を遂行できるようになります。
空いたリソースは、成長事業やコア業務により多くの時間を割り当てることができ、全体的な生産性の向上につながる可能性があります。
新しいアイデアの創出
企業がリスキリングに取り組むことで生じる大きなメリットの一つは、新しいアイデアの創出です。
従業員が新たなスキルや知識を習得することで、異なる視点やアプローチが生まれ、革新的なアイデアや解決策を生み出す可能性があります。
特に、デジタル化の進展に伴い、新しい職業や業務の進め方が生まれる中でリスキリングは従業員の創造性を刺激し、企業のイノベーションを促進できるでしょう。
また、リスキリングにより変化する市場に柔軟に対応し、競争力を高めることも期待できます。
従業員のモチベーション向上
リスキリングの取り組みは、従業員のモチベーションを高めることにつながります。
リスキリングによる新しいスキルの習得は、従業員にとって自己成長の機会を提供し、仕事に対する関心と満足度を向上させるためです。
また、企業が従業員のスキル向上に投資することは、従業員にとって企業の自分たちへのコミットメントと認識され、これが職場のエンゲージメントやロイヤリティを強化につながります。
よってリスキリングに積極的に取り組むことは、企業全体の生産性と従業員のモチベーションの向上に期待できるメリットがあります。
DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進
リスキリングは、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する上で大きなメリットです。
リスキリングを通じて従業員が最新のデジタル技術やツールを習得することで、企業はデジタル化の取り組みを効果的に進めることができるためです。
デジタル技術の進化に伴い、企業はビジネスプロセスのデジタル化を加速させる必要があります。
リスキリングは、従業員がデジタル変革に対応するための必要なスキルを身につけることが可能であり効果的です。
リスキリングは、企業全体のDX推進に貢献することが期待されています。
雇用問題対策
リスキリングは、雇用問題への対策としても重要です。
近年では、技術の進歩や市場の変化により、従来の職種や業務がなくなるリスクが高まっているのが現状です。
リスキリングは、このような市場の変動に対応し、職の安定性を高められるとして期待されています。
例えば、リスキリングを通じて既存の従業員を再教育し、新しい職種や業務に再配置することで人員削減のリスクを減らせるでしょう。
リスキリングは、持続可能な雇用戦略を実現し、従業員のキャリアの継続性を支援することにつながるメリットがあります。
リスキリングで社員に身に付けさせられる実践スキル例
リスキリングによって得られるスキルは、教育プログラムによって異なり多種にわたります。
リスキリングによって、従業員にどんなスキルを身に付けさせるかは、企業の状況や将来性によって違うでしょう。
例えば、企業がリスキリングによって得られるスキルには、以下のようなものがあります。
-
ITスキル
-
マーケティングスキル
-
データ分析スキル
-
コミュニケーションスキル
ITスキル
ITスキルは、現代のビジネス環境において非常に重要なスキルセットです。
リスキリングを通じて従業員に身に付けさせることが推奨されるITスキルには、以下のようなものがあります。
- プログラミング言語:Python、Java、JavaScriptなど
- データ分析:Excel、SQL、R言語など
- ウェブ開発:HTML、CSS、フレームワークの利用
- サイバーセキュリティ基礎知識
- クラウドサービス:AWS、Azure、Google Cloudの利用法など
これらのスキルは、特に技術関連の職種に従事する従業員において重要ですが、デジタル化が進む中、さまざまな業種においても有用です。
データ駆動型の意思決定や効率的な業務プロセスの実現、オンラインでのビジネス展開など幅広い企業がこれらのスキルを求めています。
マーケティングスキル
マーケティングスキルは、企業がリスキリングを通じて身に付けることが推奨される重要なスキルセットです。
マーケティングスキルには、以下のようなものがあります。
- デジタルマーケティング:ソーシャルメディア、SEO、Eメールマーケティング
- 市場分析:市場動向の理解、ターゲットオーディエンスの特定
- コンテンツマーケティング:ブログ、ビデオ、SNSのコンテンツ企画と制作
- ブランディング:ブランドアイデンティティの構築、ブランドメッセージの展開
- データ駆動型マーケティング:データ解析を通じた戦略立案
マーケティングスキルは、製品やサービスを市場に効果的に紹介し、顧客との関係を構築する上で重要です。
そのため、あらゆる業種でのマーケティング活動の最適化に役立ち、特に顧客接点が多いB2C企業やブランド認知度の向上を目指す企業におすすめです。
データ分析スキル
データ分析スキルは、データ主導の意思決定を可能にするために重要なスキルです。
リスキリングを通じて身に付けるべきデータ分析スキルには以下のものがあります。
- 統計解析:基本的な統計概念の理解
- データ可視化:グラフやダッシュボードの作成
- データマイニング:大量のデータから有益な情報を抽出
- 機械学習の基礎知識
- データベース管理:SQLなどのデータベース言語の使用など
データ分析スキルは、データを解析し、ビジネス上の意思決定に活用する能力を高めるスキルセットです。
特にデータを活用して戦略を立てる必要がある企業やビッグデータを取り扱う企業におすすめです。
コミュニケーションスキル
コミュニケーションスキルは、職場において極めて重要です。
リスキリングを通じて従業員に身に付けさせるべきコミュニケーションスキルには以下のものがあります。
- 効果的なリスニング:相手の話を理解し、適切に反応する能力
- 明確な表現力:アイデアや意見をわかりやすく伝える
- 非言語コミュニケーション:ボディランゲージやトーンの理解
- フィードバックの提供と受容:建設的なフィードバックの交換
- チーム内コミュニケーション:チームメンバーとの効果的な意思疎通
コミュニケーションスキルであっても上記のようなスキル向上が求められます。
コミュニケーションスキルは、どのような業種においても重要ですが、特にチームワークが必要な環境や顧客との対話が多い業務においては不可欠です。
リスキリングにおいて企業が抱える課題
リスキリングは多くのメリットを持つ一方で、企業が直面する課題も少なくありません。
ここでは、リスキリングの過程で企業が遭遇する可能性のある主な課題を紹介します。
リスキリング戦略をより効果的に策定するための参考にしてみましょう。
リスキリングするためのスキルの可視化ができない
企業がリスキリングにおいて直面する一つの大きな課題は、必要なスキルの可視化の困難さです。
デジタル変革の進展に伴い、企業には新たなスキルセットが求められますが、これを明確に定義し、可視化することは容易ではありません。
従業員が習得すべき具体的なスキルや能力を特定し、それを効果的にトレーニングプログラムに組み込むことは、多くの企業にとって複雑な課題です。
この課題に対処するためには、継続的な市場の動向分析と従業員の能力評価が重要になります。
仕事で使えるデジタルスキルを高めるための方法が見つからない
企業がリスキリングの過程で直面するもう一つの課題は、実務に適用可能なデジタルスキルを高める方法の見つけ方です。
特に、新しい技術やデジタルツールの迅速な進化により、適切なトレーニング方法を特定するのは困難です。
効果的なリスキリング戦略では、実際の業務に密接に関連するスキルの習得に重点を置く必要があります。
これには、業界の最新動向に合わせたカリキュラムの選定や実践的な学習方法の採用が不可欠です。
リスキリングに取り組む人への理解を得にくい
リスキリングに取り組む従業員への理解を得ることも、企業が直面する重要な課題です。
理解が不十分であれば、従業員がリスキリングに熱意が出ずに、スキル向上につながない可能性があります。
そのため、従業員に新たなスキルを学ばせるためには、その必要性とメリットを理解してもらうことが不可欠です。
そして企業は、リスキリングの目的とプロセスを明確に伝え、従業員の質問や懸念に対応することが重要になります。
また、リスキリングのプロセスを支援し、学びやすい環境を整備することで、従業員のモチベーションを高めることも大切でしょう。
時間や費用がかかる
リスキリングプログラムの実施には、時間と費用がかかるという課題があります。
効果的なリスキリングプログラムを策定し実施するためには、専門的な教材の準備や適切なトレーニングの提供、そして従業員の学習時間の確保が必要です。
また、これらには財政的な投資が伴います。
従業員が新しいスキルを学ぶためには、日々の業務から時間を割く必要があるため、業務のスケジューリングにも配慮が求められるでしょう。
企業は、これらの課題を効率的に管理し、リスキリングの効果を最大化するための戦略を練る必要があります。
リスキリングを成功させるための5つのポイント
リスキリングを成功させるためには、効果的な戦略と実践が不可欠です。
そこで、リスキリングを成功に導くため、以下の5つの重要なポイント紹介します。
- 明確な目標と計画
- 従業員のニーズと能力への理解
- 組織全体での取り組み
- 実践的な学習や挑戦の場の提供
- 適切な教育リソースの提供
これらのポイントを適切に実行することで、リスキリングの取り組みをより効果的かつ効率的に進めることができます。
ポイント1:明確な目標と計画
リスキリングを成功させるための第一のポイントは、『明確な目標と計画の設定』です。
リスキリングの目的を明確にし、それに基づいた具体的な計画を立てることが重要です。
目標設定では、現在求められるスキルだけでなく、将来予想される業務変化に対応するためのスキルも考慮する必要があります。
「どのようなスキルが必要か」「それをどのように習得させるか」など、時間や予算の策定に至るまで考えることが必要です。
明確な目標と計画を立てることで、リスキリングの取り組みは方向性を持ち、効果的な成果につながる可能性が高まります。
ポイント2:従業員のニーズと能力への理解
リスキリング成功のためのポイントは、『従業員のニーズと能力への理解』です。
従業員一人ひとりの現在の
- スキルレベル
- キャリア目標
- 学習意欲
これらを理解することが重要です。
個々の従業員に合ったリスキリングプログラムを提供につなげ、学習効果を高めるためです。
従業員の関心やニーズに応じたリスキリングは、モチベーションの向上とスキル習得の促進につながります。
また、従業員が自らのキャリアパスを形成する過程で、企業全体の生産性とイノベーションも向上してくれるでしょう。
ポイント3:組織全体での取り組み
リスキリングを成功させるためのポイントは、『組織全体での取り組み』です。
リスキリングは個々の従業員だけでなく、組織全体の文化や戦略として取り組む必要があります。
経営層からのサポートとリーダーシップにより、リスキリングへの取り組みが企業文化の一部となることが重要です。
組織全体での取り組みにより、リスキリングの効果が最大化され、企業の長期的な成長と競争力の強化につながります。
ポイント4:実践的な学習や挑戦の場の提供
リスキリングにおいて『実践的な学習や挑戦の場の提供』も大切なポイントです。
理論的な知識だけではなく、実際の業務環境で新しいスキルを活用する機会を提供することが重要です。
従業員は、リスキリングで学んだ知識を実際の仕事に適用し、学習効果を高めることができます。
実践的な学習環境を整えることや挑戦の場を提供することで、従業員は新しいスキルの習得により深い関心を持つことができるでしょう。
ポイント5:適切は教育リソースの提供
リスキリングを成功させるためのポイントは、『適切な教育リソースの提供』です。
効果的なリスキリングには、質の高い教育リソースの確保が不可欠です。
これには、専門的なトレーニングプログラム、オンラインコース、ワークショップ、研修セミナーなどが挙げられます。
適切な教育リソースを提供することで、従業員は必要なスキルを効率的に習得し、その知識を実務に活かすことができます。
また、教育リソースの質の向上は、リスキリングプログラム全体の効果を高め、結果的に企業の競争力を強化します。
リスキリングの補助金等の支援内容
リスキリングへの取り組みは、資金が必要な場合があり、リスキリング資金の支援の利用が不可欠です。
そこで、リスキリングの取り組みを支援するための補助金や支援内容について紹介します。
紹介する支援を活用することで、企業はリスキリングの取り組みをより効果的に進め、従業員のスキル向上と企業の成長を実現することができるでしょう。
また、以下の関連記事内でもリスキリングに活用できる支援金について詳しく紹介しています。ぜひご覧ください。
関連記事:リスキリングに使える補助金はある?国も支援する制度を解説
人材開発支援助成金
人材開発支援助成金は、従業員に職務に関連した知識やスキルを習得させるための職業訓練を実施した企業に対して、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する制度です。
主なコースとしては以下のものがあります。
- 人材育成支援コース
- 教育訓練休暇等付与コース
- 人への投資促進コース
- 事業展開等リスキリング支援コース
- 特定求職者雇用開発助成金 成長分野等人材確保・育成コース
人材育成支援コース
人材育成支援コースコースは、企業が従業員に職務関連のスキル習得のための訓練を実施する場合を対象としています。
従業員に職務関連のスキルを習得させるための訓練を実施する企業が対象。
1人1時間あたり最大760円の賃金助成や45%〜100%の訓練経費助成があります。
企業は、訓練期間中の賃金や訓練経費の一部を助成金でカバーできる制度です。
教育訓練休暇等付与コース
有給の教育訓練休暇制度を導入し、従業員が休暇を利用して研修を受ける場合が対象です。
研修参加者に対して助成金30万円が支給されます。
人への投資促進コース
デジタル分野や成長分野に特化した訓練を実施する企業を支援する制度です。
最大75%の経費と1人1時間あたり最大960円の賃金が助成されます。
訓練経費の大部分と賃金の一部が助成されることで、企業のリスキリング投資を促進します。
事業展開等リスキリング支援コース
新規事業立ち上げや事業転換を目的とした訓練を実施する企業が対象です。
訓練経費の最大75%と1人1時間あたり最大960円が助成されます。
訓練経費と賃金の一部が助成され、事業の発展に寄与する制度です。
特定求職者雇用開発助成金 成長分野等人材確保・育成コース
このコースは、成長分野における人材の確保と育成を目的として支援される制度です。
企業が特定求職者を雇用し、必要なスキルや知識を習得させるための訓練を行った場合、その費用の一部が助成されます。
また、未経験の就職困難者に対し、人材開発支援助成金による人材育成、賃上げをした場合には、通常の特定求職者雇用開発助成金の1.5倍にあたる最大360万円の助成金を支給するものがあります。
コース名 | 支援内容 | 支給条件 | 支給額 |
---|---|---|---|
人材育成支援コース | 職務関連のスキル習得訓練経費の一部 | 訓練を実施する企業 | 最大760円/時間、経費の45%~100% |
教育訓練休暇等付与コース | 有給教育訓練休暇制度の導入 | 休暇を利用する従業員 | 30万円 |
人への投資促進コース | デジタル分野の訓練経費の一部 | 訓練を実施する企業 | 最大960円/時間、経費の最大75% |
事業展開等リスキリング支援コース | 新規事業訓練経費の一部 | 訓練を実施する企業 |
最大960円/時間、経費の最大75% |
特定求職者雇用開発助成金 成長分野等人材確保・育成コース | 特定求職者の雇用およびスキル習得訓練経費の一部 | 成長分野の人材を育成する企業 | 詳細については各企業の事情に応じて変動 |
リスキリングに取り組み、DXを推進する人材育成を推進させよう
リスキリングに取り組み、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する人材育成は、現代の企業にとって不可欠です。
この記事では、リスキリングのメリット、実施上の課題、成功のためのポイント、そして補助金や支援の内容など紹介しました。
リスキリングによって、従業員は新しいスキルを習得し、企業はDXを推進することが可能です。
また、従業員の能力を高めることで技術の進化や市場の変化に対応し、競争力を強化できます。
積極的なリスキリング戦略を立て、DXを推進し未来への投資を行いましょう。
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