働き方改革はSDGsにつながる?関係性や事例、具体的な手法を紹介
「働き方改革を推進すれば、SDGs達成に貢献できる」可能性があることをご存知ですか?
実はSDGsの目標の中には、働き方改革に関するものが存在します。
今回は、働き方改革を通してどのようにSDGs達成に貢献できるか、について解説します。
企業にとってのメリットも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
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SDGsとは
まずは、SDGsについて
- SDGsの概要
- 企業がSDGsに取り組むメリット
SDGsの概要
SDGs(Sustainable Development Goals|持続可能な開発目標)とは、国連加盟193ヵ国が達成を目指す、2016年から2030年までの国際目標です。
「誰ひとり取り残さない」という共通理念の元、17の目標と、それを達成するための169のターゲット(より具体的な目標)で構成されています。
17の目標は、環境・経済・社会の各分野におけるさまざまな課題解決のために設定されました。
そして、課題解決のためには、個人や企業、自治体が取り組みを実践するのはもちろん、各ステークホルダーが連携し、協力することが求められています。
企業がSDGsに取り組むメリット
企業がSDGsに取り組むメリットは、次に紹介する3点です。
イメージアップにつながる
SDGsの17の目標は、環境問題をはじめとするさまざまな社会問題の解決につながるよう設定されているのが特徴です。
そのため、自社の利益だけでなく社会問題の解決に貢献する活動をしている企業は、イメージアップを狙いやすくなります。
結果、消費者や取引先からの信頼を獲得でき、長期的な成長につながることが期待されます。
資金を集めやすくなる
SDGsへの貢献によって会社のイメージアップが図れると、ESG投資の対象として評価されやすくなります。
ESG投資とは
- 環境(Environment)
- 社会(Social)
- 企業統治(Governance)
を考慮した投資のことです。
SDGsの17の目標と共通するため、SDGsに取り組んでいる企業は、投資家からのESG投資の対象としての評価を得やすくなります。
金融機関の中には、SDGsに取り組んでいる企業に対して、金利優遇などが受けられる融資プランを提供しているところもあります。
人材採用の強化につながる
現在、さまざまな業種で人手不足が深刻です。
そのような中「SDGsに取り組んでいる」という理由で企業を選ぶ新卒者が増加しています。
背景には、「ブラック企業」という言葉が社会に広く定着したことがあります。
劣悪な労働環境には、人材は集まりません。
一方で、SDGsにある17の目標の中には「8.働きがいも経済成長も」という項目があり、ターゲットの中で労働環境について触れられています。
そのため、企業のSDGs取り組みの一環として働きやすい環境づくりに取り組んでいれば、人材採用の強化につながることが期待されます。
参考:株式会社学情「Z世代のコロナ禍就活」
働き方改革とは
続いて、働き方改革について
- 働き方改革の概要
- 働き方改革を進める背景
- 主な働き方改革の取り組み
働き方改革の概要
働き方改革とは、働く人それぞれの事情に応じ、1人ひとりが多様な働き方を選択できる社会を実現するための改革のことです。
政府主導による国全体の取り組みであり、今後の日本全体を左右する重大なチャレンジといえます。
働き方改革を進める背景
働き方改革が必要とされる背景は、次に紹介する4つです。
人手不足
現在の日本では
- 総人口の減少
- 少子高齢化
- 子育てや介護と仕事の両立が困難
といった理由で、人手不足が深刻化しています。
そのため、子育て支援や社会保障制度を整えて、労働者が働きやすい環境を整えることが必要です。
少子化
現在では、
- 未婚化
- 晩婚化
- 低賃金
- 不安定な就業
- 育児との両立が難しい労働環境
といった理由から、少子化も深刻です。
このまま少子化が進めば、日本の経済・社会に大きな影響が出てしまいます。
企業や労働者においては、人手不足の深刻化や社会保障の負担増加による所得の減少などが懸念されます。
そのため、安心して出産・子育てができる環境の整備が必要です。
長時間労働
世界的に見ると、日本は長時間労働の労働者の割合が高い傾向にあります。
厚生労働省によると、令和3年度の「週労働時間が49時間以上の者」の割合は15.1%。
これは欧米諸国に比べ高い値です。
働きすぎは過労死や労災につながるため、長時間労働の解消や働き方の見直しが急務とされています。
労働生産性の低さ
日本の労働生産性は先進国の中でも低い部類に位置します。
公益財団法人日本生産本部によると、OECD加盟38ヶ国中、日本は
- 時間当たり労働生産性:27位
- 1人当たり労働生産性:29位
です。
主要先進7ヶ国の中では最下位です。
労働生産性が向上すると、少ない労力で大きな成果を得られるようになります。
特に人手不足が深刻化する現代では、IT技術などを活用して、少人数・短時間の労働による高い生産性を実現することが求められています。
参考:公益財団法人日本生産本部「労働生産性の国際比較2022」
主な働き方改革の取り組み
働き方改革では「長時間労働の是正」「多様で柔軟な働き方の実現」「雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保」という3つの軸をもとに、以下のような取り組みを進めています。
- 長時間労働の見直し
- 多様な働き方を実現する環境整備
- ダイバーシティ推進
- 公正な待遇体制の見直し
- 賃金引き上げと生産性向上の支援
- ハラスメント対策
- 転職・再就職支援と人材育成
- 事例紹介
例えば、「多様な働き方の実現」では、テレワークや副業・兼業など、より柔軟に働けるような環境整備の支援が行われています。
また、「公正な待遇の見直し」では、同一労働同一賃金という制度が導入され、労働者間の不合理な待遇差の解消が進められています。
自社でも取り組めるものがあるはずなので、「政府の取り組みや制度を調べる」「事例を参考にする」などして、取り組みを始めてみましょう。
働き方改革に関係するSDGsの目標
企業が働き方改革に取り組むと、以下に挙げるSDGsの目標の達成に貢献できます。
- 目標5 ジェンダー平等を実現しよう
- 目標8 働きがいも経済成長も
- 目標10 人や国の不平等をなくそう
目標5 ジェンダー平等を実現しよう
日本は、17の目標の中でも「目標5 ジェンダー平等を実現しよう」が特に弱いとされています。
2022年に発表された「ジェンダーギャップ指数」によると、日本は146ヶ国中116位。
先進国の中でも、男女格差の大きい国という結果が出てしまいました。
特に、労働の観点では
- 男女の給与格差
- 管理職・要職への女性登用率の低さ
といった課題があります。
そのため、女性が活躍できる環境整備が求められています。
参考:男女共同参画局「『共同参画』2022年8月号」「男女間賃金格差(我が国の現状)」
目標8 働きがいも経済成長も
「目標8 働きがいも経済成長も」は、誰もが十分な賃金を得て、活き活きと働ける社会の実現を目指すものです。
日本では「ブラック企業」という言葉が広く定着しているように、長時間労働や低賃金が問題となっています。
長時間労働の解消やワークライフバランスの向上を目指す取り組みは、まさに目標8を達成するために不可欠といえるでしょう。
目標10 人や国の不平等をなくそう
「目標10 人や国の不平等をなくそう」は、人種や性別、障がいの有無などによる差別をなくし、みんなが安心して暮らせる社会の実現を目指すものです。
働き方改革の取り組みの中には「ダイバーシティ推進」があります。
これは、国籍や性別、年齢や価値観にとらわれず多様な人材が活躍できる環境を整備することで、新しい価値や技術を生み出すという取り組みです。
日本でも
- 男女の雇用機会均等の実現
- 障がい者雇用の推進
- 人権と労働に関する自社の考えの公表
などを行う企業が増えています。
まずは身の回りにどのような差別や不平等が存在するか知り、解決のために自社で何ができるか、考えてみることから始めましょう。
働き方改革に関するSDGsの事例
ここで、働き方改革に関するSDGsの事例を3つ紹介します。
多様な働き方の推進|サイボウズ株式会社
引用:サイボウズ株式会社
サイボウズ株式会社では「100人100通りの働き方」を提唱し、従業員1人ひとりが望む働き方を実現できるようにしています。
育児や介護、副業など、個人の事情に応じて勤務時間や勤務場所を決めることが可能。
また、働き方の多様化に合わせて、評価制度やコミュニケーションの手法も見直しました。
結果、2005年には28%だった離職率が、2020年には3%まで下がりました。
参考:サイボウズ株式会社「ワークスタイル」
障がい者雇用|エイベックス株式会社
出典:エイベックス株式会社
エイベックス株式会社は、2021年に東洋経済オンラインで特集された「障害者雇用率ランキング」で3位にランクインしています。
特徴は、障がい者雇用のための提携業務を集めるのではなく、各自の経験やスキルに基づいて、最適な業務を担当してもらう点です。
また、長く安定して活躍できるために、カウンセラーとの面談も実施しています。
参考:東洋経済オンライン「『障害者雇用率が高い』トップ100社ランキング」
株式会社D&I「エイベックス株式会社様」
子育て中も働きやすい体制づくり|テクロ株式会社
弊社テクロでは「女性が活躍できる環境づくり」を進めています。
ITテクノロジーを活用して、リモートワークの環境を整備。
時間や場所にとらわれずに働ける環境を実現することで、フレキシブルな勤務体系や時短勤務を可能としました。
そのため、子育て中の方も自分に合った働き方を選択して活躍できます。
まとめ:働き方改革を進めてSDGsの実現に貢献しよう
働き方改革を推進すると、SDGsの達成に貢献できます。
結果、企業のイメージアップにつながり、競争力や人材採用において有利になることが期待されます。
ぜひ今回紹介した内容を参考に、自社における働き方改革とSDGsを両立する取り組みを始めてみてください。
とはいえ、人手不足への対応や業務改善など、やるべきことは多岐にわたると思います。
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