新規事業立ち上げを成功させるためのフレームワーク活用術
新規事業の立ち上げは、企業の成長戦略において極めて重要でありながら、高いリスクを伴う挑戦です。
成功率を高めるためには、綿密な計画と実行が求められます。そこで、強力なツールとして活用したいのが「フレームワーク」です。本記事では、新規事業立ち上げを成功させるためのフレームワーク活用のポイントをまとめています。
具体的なフレームワークも15個紹介しているので、新規事業立ち上げに関わっている方は、ぜひ参考にしてください。
なお、テクロ株式会社では、新規事業開発においてマーケティング会社が行っている「勝ちプロセス」についてまとめた資料「新規事業開発を成功させる『勝ちプロセス』」を提供しています。
新規事業立ち上げの際は、ぜひ参考にしてください。
目次
なぜ新規事業を立ち上げるのか
企業が新規事業を立ち上げる理由は多岐に渡りますが、大きく分けると以下の2つの理由に集約できます。
- 自社の持続的な発展のため
- 次世代の人材を育成するため
理由1、自社の持続的な発展のため
既存事業の市場飽和や競合の激化、技術革新による市場変化など、企業を取り巻く環境は常に変動しています。
そのため、既存事業に依存した経営では、将来的なリスクを負うことになります。
新規事業の立ち上げは、新たな収益源を確保し、企業の持続的な成長を支えるための重要な戦略です。
具体的には、以下の効果が期待できます。
効果 | 詳細 |
収益源の多様化 | 既存事業の不振や市場縮小によるリスクを軽減し、安定した収益基盤を構築する |
市場開拓 | 新たな市場への進出により、顧客基盤の拡大とブランド力の向上を目指す |
競争優位性の強化 | 革新的な製品やサービスを提供することで、競合他社との差別化を図る |
企業価値の向上 | 成長性と将来性を示すことで、企業価値を高め、投資家からの信頼を獲得する |
理由2、次世代の人材を育成するため
新規事業の立ち上げは、社員の成長を促す絶好の機会です。
既存事業とは異なる環境下で新たなスキルや経験を積むことで、社員の能力開発とモチベーション向上につながります。
特に、若手社員に責任ある役割を担わせることで、リーダーシップや問題解決能力、意思決定能力などを育成することが可能です。
また、新規事業の成功体験は、社員の自信と成長意欲を高め、企業全体の活性化に貢献します。
効果 | 詳細 |
リーダーシップ育成 | 新規事業の推進を通して、リーダーシップを発揮する機会を提供する |
問題解決能力の向上 | さまざまな課題に直面し、解決策を模索することで、問題解決能力が向上する |
主体性・責任感の醸成 | 自ら考え、行動し、結果に責任を持つことで、主体性と責任感が育まれる |
企業文化の活性化 | 挑戦的な雰囲気を醸成し、企業全体の活性化に貢献する |
以上から、新規事業の立ち上げは、企業の持続的な発展と人材育成という2つの重要な目的を同時に達成できる、非常に意義深い取り組みといえます。
フレームワークとは
フレームワークとは、特定の課題を解決するための手順や考え方の枠組みのことです。
テンプレートや雛形のようなもので、新規事業立ち上げにおいてはアイデア発想から市場調査、ビジネスモデル構築、事業計画策定、そして事業運営に至るまで、各段階での活用が可能です。
事前に用意された枠組みを利用することで、効率的に作業を進め、漏れや抜けを防ぎ、成功確率を高めることが期待できます。
例えば、建築で家を建てる際に設計図を使うように、新規事業立ち上げにおいては、フレームワークは「設計図」のような役割を果たします。全体像を明確にし、計画を具体化していくには、あらかじめ用意された枠組みの中に、事業内容や市場状況といった具体的な情報を当てはめていくことです。
既存のフレームワークを活用することで、以下のようなメリットが得られます。
メリット | 詳細 |
効率的な作業 | 手順や考え方が明確化されているため、無駄な時間を削減し、効率的に作業を進めることが可能 |
漏れや抜けの防止 | チェックリストのような役割を果たすため、重要な項目を見落とすリスクが減らせる |
客観的な視点の獲得 | 枠組みを通して事業を分析することで、感情に左右されず、客観的な視点で事業を評価できる |
意思決定の迅速化 | 必要な情報を整理し、分析するための枠組みが提供されるため、意思決定を迅速に行うことが可能 |
チーム内での共通認識の形成 | フレームワークを共有することで、チームメンバー間で共通認識を形成し、円滑な連携を促進できる |
ただし、フレームワークは万能ではありません。
単に枠組みに当てはめるだけでは、成功は保証されません。
それぞれのフレームワークの特徴を理解し、自社の状況や目的に合ったフレームワークを選択し、適切に活用することが重要です。
新規事業立ち上げにフレームワークが重要な理由
企業が成長戦略を描く上で、新規事業の立ち上げは非常に重要な役割を果たします。
しかし、その一方でリスクも高く、慎重な取り組みが求められます。
成功の確率を高めるためには、入念な計画と実行が欠かせません。
そこで役立つのが「フレームワーク」です。
フレームワークは、複雑なプロセスを整理し、抜け漏れを防ぎ、効率的な意思決定を支援する役割を果たします。
特に、経験の少ないチームや不確実性の高い市場に参入する場合には、その重要性が増します。
新規事業立ち上げにおけるフレームワークの重要性を、以下の表にまとめました。
フレームワークのメリット | 具体的な効果 |
計画の明確化と体系化 | 複雑な事業計画を段階的に分解し、各ステップを明確にすることで、進捗管理や課題発見が容易になります。全体像を把握しやすくなるため、チーム全体での理解と共有も促進されます。 |
情報収集の分析と効率化 | 市場調査や競合分析といった情報収集プロセスを体系的に行うことで、必要な情報を効率的に収集し、分析することが可能です。偏った情報や抜け漏れを防ぎ、客観的な判断材料を得られます。 |
リスク管理の強化 | 潜在的なリスクを事前に特定し、その影響度を評価することで、適切な対策を講じることが可能です。リスク回避や軽減策を計画に織り込むことで、事業の安定性を高めます。 |
意思決定の迅速化 | フレームワークを用いた分析結果に基づいて意思決定を行うことで、直感的な判断に頼らず、論理的な根拠に基づいた迅速な意思決定が可能になります。 |
チームの連携強化 | 共通のフレームワークを用いることで、チームメンバー間の情報共有や意見交換がスムーズになります。共通の言語と理解に基づいて、効率的に協力し、目標達成を目指せます。 |
事業の柔軟な修正と改善 | 市場の変化や顧客フィードバックに対応し、事業計画を柔軟に修正・改善することが可能です。PDCAサイクルなど、継続的な改善を促すフレームワークの活用で、事業の持続的な成長を目指せます。 |
このように、フレームワークは新規事業立ち上げにおけるさまざまな課題解決に役立ち、成功確率を高めるための強力な武器となります。
後述する15種類のフレームワークを効果的に活用し、新規事業を成功に導きましょう。
新規事業立ち上げのステップ
新規事業の立ち上げは、目的の明確化から事業開始、そして継続的な改善まで、多くのステップを踏む必要があります。
それぞれのステップで適切なフレームワークを活用することで、効率的な事業推進と成功確率の向上を図ることが可能です。
ここでは、新規事業立ち上げにおける主要な8つのステップを解説します。
ステップ1:目的の明確化
新規事業を始める前に、まず目的を明確にすることが重要です。
単に「新しい事業を始める」という漠然とした目標ではなく、具体的な数値目標や達成基準を設定することで、事業の進捗状況が測りやすくなります。
- なぜこの事業を始めるのか
- どのような課題を解決したいのか
- どのような成果を期待するのか
を明確にすることで、後続のステップにおける意思決定が容易になります。
ステップ2:アイデア発想
目的が明確になったら、具体的な事業アイデアの発想に移ります。
ブレインストーミングやKJ法、マンダラートなどのフレームワークを活用することで、さまざまなアイデアを生み出すことが可能です。
また、ペルソナ分析を用いてターゲット像を明確化し、彼らのニーズに合致したアイデアを絞り込むことも重要です。
この段階では質よりも量を重視し、多くのアイデアを生み出すことを目指しましょう。
ステップ3:市場調査と分析
魅力的なアイデアが生まれたとしても、市場にニーズが存在しなければ事業は成功しません。
市場規模、競合状況、顧客ニーズなどを徹底的に調査・分析し、事業の潜在的な可能性とリスクを評価します。
3C分析、SWOT分析、PEST分析などのフレームワークを活用することで、客観的な視点から市場を分析し、事業戦略の策定に役立てることが可能です。
なお、この段階で市場にニーズがない、または競合が強すぎるなどの理由で事業化が困難と判断された場合は、別のアイデアを検討する必要があります。
ステップ4:ビジネスモデルの構築
市場調査の結果を踏まえ、事業のビジネスモデルを構築します。
リーンキャンバスやビジネスモデルキャンバスなどのフレームワークを用いることで、事業の収益構造、顧客獲得戦略、バリュープロポジションなどを明確化することが可能です。
また、4P分析や4C分析、ファイブフォース分析なども活用し、事業の持続可能性を高めるための戦略も策定しましょう。
この段階では、収益性、スケーラビリティ、競合優位性などを考慮し、持続可能なビジネスモデルを構築することが重要です。
ステップ5:事業計画策定
ビジネスモデルが固まったら、具体的な事業計画を策定します。
- 事業の目標
- 戦略
- 実施体制
- スケジュール
- 予算
などを詳細に記述します。
事業計画は投資家への資金調達や社内関係者への説明にも利用されるため、明確で説得力のある計画を作成しましょう。
また、実現可能性、リスク管理、財務計画などを綿密に検討し、現実的な事業計画を策定することも重要です。
なお、事業計画は柔軟性を持たせ、市場の変化などに迅速に対応できるよう準備しておく必要があります。
ステップ6:プロトタイプ開発と検証
事業計画に基づき、プロトタイプ(試作品)を開発し、市場テストを行います。
顧客からのフィードバックを収集し、プロトタイプを改良することで、製品・サービスの完成度を高めます。
この段階では、 MVP(Minimum Viable Product)という最小限の機能を持つプロトタイプを作成し、迅速な検証を行うことで、開発コストやリスクを低減することが可能です。
顧客の反応を検証し、必要に応じて計画を修正する柔軟性も重要です。
ステップ7:資金調達
事業の規模や内容によっては、外部からの資金調達が必要となる場合があります。
- エンジェル投資家
- ベンチャーキャピタル
- 銀行
など、さまざまな資金調達方法があります。
それぞれのメリット・デメリットを理解した上で、最適な方法を選択しましょう。
なお、事業計画書は、資金調達において重要な役割を果たします。
ステップ8:事業開始と継続的な改善
資金調達が完了したら、事業を開始します。
事業開始後も、市場の変化や顧客のニーズを常に把握し、継続的な改善を行うことが重要です。
PDCAサイクルやECRSなどのフレームワークを用いて、事業の改善を推進しましょう。
この段階では、
- 顧客満足度向上
- コスト削減
- 効率化
などを目指し、事業の成長を継続させるための努力が不可欠です。
これらのステップを踏むことで、新規事業の成功確率を高められます。
ただし、それぞれのステップにおいて予期せぬ問題が発生する可能性もあります。
柔軟な対応と継続的な改善を行うことで、それらの問題を乗り越え、事業を成功に導きましょう。
新規事業立ち上げを成功に導くフレームワーク15選
新規事業の立ち上げは、アイデア出しから始まり、市場調査・分析、ビジネスモデル構築、事業開始と改善まで、多くの段階を経て実現します。
それぞれの段階で、効率的な進め方と意思決定が求められます。
そこで役立つのがフレームワークです。
ここからは、新規事業立ち上げに役立つフレームワークを、以下の4つのジャンルに分けて紹介します。
- アイデア出し
- 市場調査・分析
- ビジネスモデル構築
- 事業改善
「アイデア出し」のフレームワーク
まずは「アイデア出し」に役立つフレームワークとして、以下の4つを紹介します。
- マンダラート
- ブレインストーミング
- KJ法
- ペルソナ分析
マンダラート
マンダラートは、中心となるテーマから放射状に関連する言葉を書き出し、アイデアを展開していく手法です。
中心テーマから8つのサブテーマを考え、さらにそれぞれのサブテーマから8つの関連事項を展開することで、多角的な視点からアイデアを深掘りできます。
新規事業のアイデアを網羅的に検討し、新たな視点や発想を生み出すのに役立ちます。
メリット | 注意点 |
|
|
ブレインストーミング
ブレインストーミングは、参加者全員が自由にアイデアを出し合うことで、発想の幅を広げる手法です。
時間制限を設け、批判や評価をせずにアイデアを出し続けることが重要です。
多くのアイデアの中から有望なものを選別し、ブラッシュアップしていくことで、新規事業のアイデアを具体化できます。
メリット | 注意点 |
|
|
KJ法
KJ法は、ブレインストーミングで出たアイデアを分類・整理し、関係性を明らかにすることで、本質的な問題や解決策を抽出する手法です。
アイデアを付箋に書き出し、類似するものをグループ化し、グループ間の関係性を図式化することで、複雑な問題をわかりやすく整理できます。
新規事業のアイデアを体系的に整理し、実現可能性の高いアイデアを絞り込むのに有効です。
メリット | 注意点 |
|
|
ペルソナ分析
ペルソナ分析とは、ターゲット顧客像を詳細に設定することで、顧客ニーズに最適化された事業を設計するフレームワークです。
- 年齢
- 性別
- 職業
- ライフスタイル
- 価値観
など、具体的な属性を設定することで、顧客の行動や思考を深く理解し、製品・サービスの開発やマーケティング戦略の策定に役立ちます。
新規事業のターゲットを明確化し、事業の成功確率を高めるために不可欠です。
メリット | 注意点 |
|
|
なお、BtoBのペルソナ設定については以下の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてください。
関連記事:BtoBマーケティングでのペルソナ設定の手順・ポイントを徹底解説
「市場調査・分析」のフレームワーク
次に「市場調査・分析」に役立つフレームワークとして、以下の4つを紹介します。
- SWOT分析
- PEST分析
- 3C分析
- ポジショニングマップ
SWOT分析
SWOT分析は、自社の内部環境(強み・弱み)と外部環境(機会・脅威)を分析することで、事業戦略を立案するフレームワークです。
強みを活かし、弱みを克服しながら、市場の機会を捉え、脅威に対処するための戦略を立てる際に役立ちます。
新規事業の立ち上げ前に事業の成功可能性を評価し、リスクを軽減するために必須です。
要素 | 説明 | メリット | 注意点 |
Strength(強み) | 自社の優位性 | 自社の強みを活かした戦略を立案できる | 客観的な評価が難しい場合がある |
Weakness(弱み) | 自社の課題 | 課題を認識することで、改善策を検討できる | 弱点を認識しすぎることで、消極的な戦略になりがち |
Opportunity(機会) | 市場のチャンス | 市場のチャンスを捉えた戦略を立案できる | 機会を逃す可能性がある |
Threat(脅威) | 市場のリスク | リスクを事前に把握することで、対策を講じられる | 脅威を過大評価し、リスク回避にばかり注力する可能性がある |
PEST分析
PEST分析は、
- 政治
- 経済
- 社会
- 技術
の4つのマクロ環境要因を分析することで、新規事業を取り巻く外部環境を把握するフレームワークです。
それぞれの要因の変化が新規事業にどのような影響を与えるかを予測し、対応策を検討できます。
市場環境の変化に柔軟に対応し、事業リスクを最小限に抑えること対して有効です。
要素 | 説明 | メリット | 注意点 |
Political(政治) | 政治情勢、規制、政策 | 政治的リスクを事前に把握できる | 予測が困難な場合がある |
Economic(経済) | 経済状況、金利、為替レート | 経済状況の変化に対応できる | 経済予測の不確実性が高い |
Social(社会) | 人口動態、文化、ライフスタイル | 社会トレンドを把握できる | 社会トレンドの変化を正確に予測するのが難しい |
Technological(技術) | 技術革新、情報技術 | 技術革新に対応できる | 技術革新のスピードが速く、予測が難しい |
3C分析
3C分析は、
- Customer(市場・顧客)
- Competitor(競合)
- Company(自社)
の3つの要素を分析することで、事業戦略を立案するフレームワークです。
顧客のニーズ、競合の動向、自社の強みを把握することで、競争優位性を築き、市場で成功するための戦略を立てられます。
新規事業の競争優位性を明確化し、持続可能なビジネスモデルを構築するために不可欠です。
要素 | 分析項目 |
Customer(市場・顧客) |
|
Competitor(競合) |
|
Company(自社) |
|
ポジショニングマップ
ポジショニングマップは、競合他社との比較を通じて、自社の事業を市場においてどのように位置付けるかを可視化するフレームワークです。
価格、品質、機能性など、顧客にとって重要な要素を軸に、競合製品との位置関係を図示することで、自社の強みや差別化ポイントを明確にできます。
新規事業の市場における位置づけを明確化し、マーケティング戦略を策定する際に有効です。
メリット | 注意点 |
|
|
「ビジネスモデル構築」のフレームワーク
次に「ビジネスモデル構築」に役立つフレームワークとして、以下の5つを紹介します。
- リーンキャンバス
- ビジネスモデルキャンバス
- 4C分析
- 4P分析
- ファイブフォース分析
リーンキャンバス
リーンキャンバスは、ビジネスアイデアを1枚のキャンバスに簡潔にまとめるフレームワークです。
- 顧客セグメント
- バリュープロポジション
- チャネル
- 顧客関係
- 収益の流れ
- キーアクティビティ
- キーリソース
- キーパートナーシップ
- コスト構造
といった9つの要素を視覚的に整理することで、ビジネスモデル全体を俯瞰し、検証することが可能です。
項目 | 説明 | メリット | 注意点 |
顧客セグメント | ターゲット顧客を明確化 | ターゲットを絞り込むことで、無駄なリソースを削減できる | ターゲット層を狭くしすぎると、市場規模が小さくなる可能性がある |
バリュープロポジション | 顧客に提供する価値 | 顧客にとっての価値を明確にすることで、差別化を図れる | 顧客のニーズを正確に捉えられないと、価値提供が失敗する可能性がある |
チャネル | 顧客へのアプローチ方法 | 効果的なチャネルを選択することで、顧客獲得効率を高められる | チャネルの選定ミスは、顧客へのリーチを阻害する |
顧客関係 | 顧客との関係構築方法 | 顧客との良好な関係を築くことで、リピート率向上や口コミ効果が期待できる | 顧客関係構築にコストがかかる可能性がある |
収益の流れ | 収益モデル | 収益構造を明確にすることで、ビジネスの持続可能性を高められる | 収益モデルの構築が難しく、失敗する可能性もある |
キーアクティビティ | 事業を遂行するための活動 | 重要な活動に集中することで、効率性を向上できる | キーアクティビティを見極めるのが難しい場合もある |
キーリソース | 事業に必要な資源 | 必要な資源を確保することで、事業を円滑に進められる | キーリソースの確保にコストがかかる可能性がある |
キーパートナーシップ | 外部との連携 | 外部との連携によって、事業リスクを軽減できる | パートナーシップ構築に時間がかかる可能性がある |
コスト構造 | 事業にかかるコスト | コスト構造を明確にすることで、コスト削減を図れる | コスト削減が行き過ぎると、事業の質が低下する可能性がある |
ビジネスモデルキャンバス
ビジネスモデルキャンバスは、リーンキャンバスと同様にビジネスモデルを視覚的に表現するフレームワークです。
- 顧客セグメント
- バリュープロポジション
- チャネル
- 顧客関係
- 収益の流れ
- キーアクティビティ
- キーリソース
- キーパートナーシップ
- コスト構造
といった9つの構成要素をより詳細に記述することで、ビジネスモデルの全体像を明確に把握し、検証することが可能です。
項目 | リーンキャンバスとの違い | メリット | 注意点 |
全体像 | より詳細な記述が可能 | ビジネスモデルを深く理解し、具体的な戦略を立案できる | 詳細な記述が必要なため、時間と労力がかかる |
顧客セグメント | 顧客属性、ニーズ、行動パターンなどを詳細に記述 | ターゲット顧客像をより明確に把握できる | 詳細な調査が必要となる |
バリュープロポジション | 顧客に提供する価値を具体的に記述 | 競合との差別化を明確にできる | 顧客ニーズの把握が不可欠 |
他要素 | 各要素の詳細な記述が可能 | より精緻なビジネスモデル設計が可能 | 複雑になりやすい |
4C分析
4C分析は、
- Customer value(顧客価値)
- Customer Cost(コスト)
- Convenience(利便性)
- Communication(コミュニケーション)
の4つの要素から顧客視点でビジネスモデルを分析するフレームワークです。
顧客のニーズ、コスト意識、利便性への要求、コミュニケーション方法などを考慮することで、顧客にとって魅力的な製品やサービスを提供するための戦略を立てることが可能です。
顧客中心主義のビジネスモデル構築に役立ちます。
要素 | 説明 | メリット | 注意点 |
Customer value(顧客価値) | 顧客が抱く製品・サービスに対する価値 | ニーズを把握して製品・サービスに反映できる | ターゲットを明確にする必要がある |
Customer Cost(コスト) | 顧客が製品・サービスに支払う費用 | 顧客の立場から適正価格を判断できる | 自社の利益とのバランスをとる必要がある |
Convenience(利便性) | 購買プロセスにおける利便性 | 購買プロセスの最適化が図れる | ターゲットによって最適な購買プロセスが異なる |
Communication(コミュニケーション) | 顧客とコミュニケーションをとる機会を確保すること | 認知拡大や関係性構築ができる | チャネル選定を失敗すると関係性を築けない |
4P分析
4P分析は、
- Product(製品)
- Price(価格)
- Place(場所)
- Promotion(販売促進)
の4つの要素から企業視点でマーケティング戦略を立案するフレームワークです。
製品の特徴、価格設定、販売チャネル、プロモーション方法などを戦略的に組み合わせることで、市場における競争優位性を築き、売上拡大を目指します。
新規事業のマーケティング戦略を策定する際に広く活用されています。
要素 | 説明 | メリット | 注意点 |
Product(製品) | 製品・サービスの機能、品質、デザイン | 顧客ニーズに合った製品・サービスを提供できる | 製品開発にコストと時間がかかる |
Price(価格) | 価格設定、割引戦略 | 顧客にとって最適な価格設定ができる | 価格設定の失敗は、売上減少につながる |
Place(場所) | 販売チャネル、流通経路 | 顧客にとって利便性の高い販売チャネルを選択できる | チャネル選定の失敗は、売上減少につながる |
Promotion(販売促進) | 広告、宣伝、PR活動 | 効果的な販売促進活動で顧客獲得できる | 販売促進活動にコストがかかる |
ファイブフォース分析
ファイブフォース分析は、業界全体の競争構造を分析し、新規事業の収益性や持続可能性を評価するフレームワークです。
- 新規参入の脅威
- 買い手の交渉力
- 供給者の交渉力
- 代替品の脅威
- 競合間の競争
といった5つの競争要因を分析することで、業界の収益性や競争環境を把握し、新規事業の戦略を立案できます。
新規事業の市場参入戦略を検討する際に不可欠です。
要素 | 説明 | 分析項目 |
新規参入の脅威 | 新規参入のしやすさ |
|
買い手の交渉力 | 買い手と自社の関係性 |
|
供給者の交渉力 | 供給者と自社の関係性 |
|
代替品の脅威 | 業界の外からやってくる代替品の可能性 | 代替品に乗り換える際の手間やコスト |
競合間の競争 | 競合他社との競争 |
|
「事業改善」のフレームワーク
最後に「事業改善」に役立つフレームワークとして、以下の2つを紹介します。
- PDCAサイクル
- ECRS(イクルス)
PDCAサイクル
PDCAサイクルは、
- Plan(計画)
- Do(実行)
- Check(評価)
- Action(改善)
の4つのステップを繰り返し実行することで、継続的な改善を促すフレームワークです。
新規事業の立ち上げ後も、市場の変化や顧客フィードバックを踏まえてPDCAサイクルを回すことで、事業を継続的に改善し、成長を維持できます。
新規事業の継続的な改善に必須です。
要素 | 説明 | ポイント |
Plan(計画) | 目標や計画を設定する | 数値を用いた具体性のある目標やアクションプランを立てる |
Do(実行) | 立案した計画を実行する | 進捗度や結果を記録しながら取り組む |
Check(評価) | 計画通り実行できたか評価する | 数値を用いて具体的に検証する |
Action(改善) | 分析・検証結果に基づいて改善点を検討する | 明確な課題を設定し、次のPDCAサイクルにつなげる |
ECRS(イクルス)
ECRS(イクルス)は、業務プロセスを効率化するためのフレームワークです。
- Eliminate(排除):必要かどうか見極める
- Combine(結合):似ている業務をまとめる
- Rearrange(配置変更):プロセスを見直す
- Simplify(簡素化):誰でもできる状態にする
の4つの視点から不要な業務を排除し、業務プロセスを改善することで、生産性向上やコスト削減を実現できます。
新規事業の業務効率化を図る際に役立ちます。
メリット | 注意点 |
|
|
新規事業立ち上げでフレームワークを活用するときのポイント
続いて、新規事業立ち上げでフレームワークを活用するときのポイントを4つ紹介します。
複数のフレームワークを組み合わせる
新規事業の立ち上げにおいて、単一のフレームワークに頼るだけでは、複雑な状況を十分に捉えきれない可能性があります。
それぞれのフレームワークは特定の側面に焦点を当てたツールであるからです。
ただし、複数のフレームワークを組み合わせることで、より包括的で精緻な分析が可能になります。
例えば、アイデア創出段階ではブレインストーミングで多様なアイデアを収集し、その後、KJ法を用いてアイデアを分類・整理することで、優先順位の高いアイデアが明らかになります。
さらに、SWOT分析で市場環境や自社の強弱点を分析し、リーンキャンバスでビジネスモデルを構築することで、実行可能な事業計画が策定可能です。
このように、複数のフレームワークを段階的に、あるいは並行して活用することで、事業計画の精度を高め、リスクを低減できます。
どのフレームワークを組み合わせるかは、新規事業の性質や目的、そしてチームのスキルセットに応じて柔軟に選択しましょう。
自社の理念やビジョンに合ったフレームワークを使う
フレームワークはあくまでもツールであり、自社の理念やビジョンと整合性がなければ、効果的に活用できません。
企業の目指す方向性、価値観、文化などを考慮し、それに適合するフレームワークを選択する必要があります。
例えば、持続可能な社会貢献を目指す企業であれば、環境配慮や社会貢献を重視したフレームワークを取り入れることが重要です。
一方、革新的な技術開発を重視する企業であれば、よりデータドリブンなアプローチを可能にするフレームワークが適しています。
フレームワークの選択は、単に分析手法を選ぶだけでなく、企業のアイデンティティと戦略を反映する重要な意思決定です。
自社の理念やビジョンを明確化し、それに基づいてフレームワークを選択することで、新規事業の成功確率を高めることが可能です。
新規事業の目的を明確にしておく
フレームワークを活用する前に、新規事業の目的を明確に定義しておくことが不可欠です。
目的が曖昧なままフレームワークを用いると、方向性を見失い、非効率な分析や計画に陥る可能性があるからです。
目的を明確にするためには、以下の点を考慮する必要があります。
項目 | 具体的な質問例 |
事業の目的 |
|
ターゲット顧客 |
|
成功指標 | 事業の成功をどのように測るのか(売上高、顧客数、市場シェアなど) |
リソース | どのようなリソース(人材、資金、技術など)を投入できるのか |
これらの点を明確にすると、フレームワークを活用した分析や計画がより効果的になり、事業の成功につながりやすくなります。
客観的な視点を持つ
フレームワークは客観的な視点で事業を分析し、計画を立てるための強力なツールです。
しかし、自社の都合の良い情報だけを拾い上げたり、感情的な判断に偏ったりすると、フレームワーク本来の効果を発揮できません。
客観的な視点を持って扱うようにしましょう。
客観的な視点を持つためには、以下の点に注意しましょう。
- データに基づいた分析を行う:定量的なデータや市場調査結果などを活用し、感情や憶測に頼らない分析を行う
- 複数の視点を取り入れる:チームメンバーや外部の専門家など、異なる立場からの意見を積極的に取り入れる
- バイアスを意識する:自社の都合の良い情報に偏らないように、常にバイアスを意識する
- 仮説検証を繰り返す:計画段階で立てた仮説を、市場調査や実験を通して検証する
客観的な視点を持つことで、より現実的で効果的な事業計画を策定し、新規事業の成功確率を高めることが可能です。
新規事業立ち上げの3つの落とし穴と回避策
新規事業の立ち上げは大きな成功の可能性を秘めている一方で、多くのリスクも伴います。
綿密な計画と準備、そして的確な実行が不可欠です。
しかし、いくら準備万端でも、予期せぬ落とし穴にハマってしまうケースも少なくありません。
そこで、新規事業立ち上げで陥りがちな3つの落とし穴と、それらを回避するための具体的な対策を解説します。
落とし穴1:市場ニーズの誤解
新規事業の失敗原因として多いのが、市場ニーズの誤解です。
素晴らしいアイデアだと思っていても、それが本当に市場で求められているかどうかは別問題です。
単なる「思い込み」や「願望」に基づいた事業計画では、市場の反応を得られず、失敗に終わる可能性が高くなります。
市場ニーズを正確に把握するには、徹底的な市場調査が不可欠です。
競合他社の分析、顧客ニーズの調査、潜在顧客の特定など、多角的な視点からの調査を行いましょう。
以下に、市場ニーズの誤解を回避するための具体的なステップを示します。
ステップ | 具体的な行動 |
1、ターゲット顧客の明確化 | 年齢、性別、職業、ライフスタイルなど、ターゲット顧客像を具体的に定義する。ペルソナを作成することで、より明確な顧客像を描くことが可能。 |
2、顧客ニーズの調査 | アンケート調査、インタビュー調査、既存顧客へのヒアリングなどを通して、顧客の潜在的なニーズを掘り下げる。 |
3、競合分析 | 競合他社の製品・サービス、価格戦略、マーケティング戦略などを徹底的に分析し、自社の優位性を明確にする。 |
4、市場規模の検証 | ターゲット市場の規模を正確に把握し、事業の採算性を検証する。 |
5、MVP開発と検証 | 最小限の機能を持つプロトタイプ(MVP)を開発し、顧客からのフィードバックを得ながら、製品・サービスを改善していく。 |
これらのステップを踏むことで、市場ニーズを的確に捉え、事業の成功確率を高めることが可能です。
落とし穴2:資金不足
新規事業は、初期投資、人件費、マーケティング費用など、多額の資金を必要とします。
資金計画が甘いと、事業の途中で資金が不足し、事業継続が困難になる可能性があります。
資金不足を回避するためには、綿密な資金計画と、複数の資金調達ルートの確保が重要です。
以下に、資金不足を回避するための具体的な対策を示します。
対策 | 具体的な行動 |
1、資金計画の策定 | 事業開始から数年後の収支予測まで、詳細な資金計画を作成する。必要となる資金を明確にし、資金調達計画とあわせて作成する。 |
2、資金調達ルートの多様化 | 自己資金、融資、助成金、クラウドファンディングなど、複数の資金調達ルートを確保する。 |
3、費用削減 | 無駄な経費を削減し、効率的な資金運用を行う。 |
4、収益化戦略 | 早期の収益化を目指し、持続可能なビジネスモデルを構築する。 |
5、資金繰り管理 | 毎月の資金繰り状況を綿密に管理し、資金ショートを防ぐ。 |
資金調達には、事業計画書の作成が不可欠です。
説得力のある事業計画書を作成し、投資家や金融機関を納得させることが重要です。
落とし穴3:人材不足
新規事業の成功には、優秀な人材による強力なチームが不可欠です。
しかし、人材確保は容易ではありません。
適切な人材が不足すると、事業の進捗が遅れたり、品質が低下したりする可能性があります。
人材不足を回避するためには、早期から人材確保に着手し、チームビルディングを重視することが重要です。
以下に、チーム不足を回避するための具体的な対策を示します。
対策 | 具体的な行動 |
1、必要スキル・役割の明確化 | 事業推進に必要なスキル、役割を明確に定義する |
2、人材採用戦略 | 適切な採用チャネルを活用し、優秀な人材を採用する |
3、チームビルディング | チームメンバー間のコミュニケーションを活性化し、一体感を醸成する |
4、教育・研修 | チームメンバーのスキル向上のための教育・研修を実施する |
5、モチベーション維持 | チームメンバーのモチベーションを維持するための施策を講じる |
優秀な人材を採用するだけでなく、チームとして機能させるための努力が重要です。
定期的なミーティング、目標共有、フィードバック体制などを整備することで、チームの結束を高め、モチベーションを維持することが可能です。
これらの3つの落とし穴を回避することで、新規事業の成功確率を飛躍的に高められます。
それぞれの対策をしっかりと行い、万全の準備で新規事業に臨みましょう。
新規事業立ち上げに必要なスキル
新規事業の立ち上げ成功には、いくつかのスキルが求められます。
これらのスキルは、アイデアの具現化から事業の成長まで、あらゆる段階で欠かせない要素となります。
必須スキル
まずは、新規事業立ち上げにおいて特に重要な3つのスキルを以下に紹介します。
必須スキル | 詳細 | 習得方法 |
市場分析力 | 市場のニーズ、競合状況、潜在顧客の特性などを正確に分析する能力です。これにより、事業の成功可能性を高められます。データ分析ツールや市場調査レポートを活用し、客観的なデータに基づいて分析することが重要です。 |
|
ビジネスプランニング力 | 事業の目的、戦略、財務計画などを明確に記述し、実行可能なビジネスプランを作成する能力です。投資家への説得や事業の進捗管理に不可欠です。ビジネスモデルキャンバスやリーンキャンバスなどのフレームワークを活用することで、効率的にプランニングを進められます。 |
|
コミュニケーション力 | 社内外の関係者と円滑にコミュニケーションをとり、協調性を生み出す能力です。これは、チームビルディング、資金調達、顧客獲得など、あらゆる場面で求められます。積極的な情報共有、明確な意思表示、相手の立場を理解したコミュニケーションを心がけることが大切です。 |
|
あると有利なスキル
必須スキルに加え、以下のスキルを身につけることで、新規事業の成功確率をさらに高められます。
これらのスキルは競争優位性を築き、事業をよりスムーズに進める上で大きな助けとなります。
有利なスキル | 詳細 | 習得方法 |
ファイナンス力 | 資金調達、予算管理、資金繰りなどを適切に行う能力です。事業の資金面を安定させる上で非常に重要です。財務諸表の読解力、資金調達方法に関する知識、投資家との交渉力などが求められます。 |
|
デジタルマーケティング力 | デジタルツールを活用して、顧客獲得やブランド構築を行う能力です。現代においては、事業の成長に欠かせないスキルです。SEO、SNSマーケティング、リスティング広告、データ分析など、幅広い知識と実践経験が求められます。 |
|
問題解決能力 | 事業運営中に発生するさまざまな問題を、迅速かつ効率的に解決する能力です。変化の激しいビジネス環境においては、特に重要です。論理的思考力、創造性、柔軟な対応力などが求められます。 |
|
スキルアップのための方法
これらのスキルは、一朝一夕で習得できるものではありません。
継続的な学習と実践が不可欠です。
具体的なスキルアップの方法としては、以下の3つが挙げられます。
- 書籍・講座の活用:ビジネス関連書籍、オンライン講座、セミナーなどを活用して、体系的に知識を学ぶことができます。
- 実践経験の積重ね:実際に事業に関わって経験を積むことが、もっとも効果的な学習方法です。インターンシップやボランティア活動なども有効です。
- メンターからの指導:経験豊富なメンターからアドバイスを受けることで、効率的にスキルアップを図ることができます。
新規事業立ち上げは困難な道のりですが、適切なスキルを身につけることで、成功の可能性を大きく高められます。
継続的な学習と実践を通して、これらのスキルを磨いていきましょう。
なお、以下の記事では、新記事業開発に役立つ書籍を紹介しています。
ぜひ参考にしてみてください。
関連記事:新規事業開発をするときに読んでほしい本を悩み別に9冊紹介!
新規事業立ち上げの成功事例と失敗事例
最後に、新規事業立ち上げの成功例と失敗例を紹介します。
成功事例1:富士フイルム株式会社の化粧品事業
写真フィルムが主力だった富士フイルムは、デジタル化の波を受け、フィルム事業の縮小を余儀なくされました。
しかし、フィルム製造で培った「粒子を微細化する技術」を応用し、化粧品事業に参入。
高い浸透力を持つ化粧品を開発し、新たな収益柱を確立しました。
これは、既存技術の転用による新規事業成功の好例です。
成功要因 | 詳細 |
既存技術の転用 | フィルム製造技術を化粧品開発に応用 |
市場ニーズの的確な把握 | 高齢化社会におけるエイジングケア市場への着目 |
高い品質とブランド力 | 長年の企業ブランドを活かした製品開発 |
参考:【図解】富士フイルム事業転換の本質とは? ~写真技術の新用途を開拓した技術マーケティング戦略の成功事例|Techno Producer
成功事例2:日本郵政株式会社×Yper株式会社のOKIPPA
日本郵政は、Yper株式会社と共同で開発した置き配バッグ「OKIPPA」を導入し、配送業界の人手不足問題と不在時の荷物受け取り問題を同時に解決しました。
従来の宅配ボックスの高価格・設置の難しさという課題を、低価格で設置場所を選ばない折り畳み式バッグで克服した点が成功の鍵です。
成功要因 | 詳細 |
課題解決型のサービス | 人手不足と不在時配達問題の同時解決 |
コストパフォーマンス | 低価格で設置場所を選ばない利便性 |
連携によるシナジー効果 | 日本郵政とYper株式会社の協業 |
参考:置き配バッグOKIPPAで再配達を61%削減、日本郵便との共同実証実験結果|PR TIMES再配達問題の解決をスタートアップに!『OKIPPA(オキッパ)』|ロジザード株式会社
失敗事例1:Google Glass
Googleが開発したウェアラブル端末「Google Glass」は、革新的な技術を搭載していました。
しかし、高価格、プライバシー問題、デザイン性の悪さなどから市場に受け入れられず、失敗に終わりました。
技術先行で市場ニーズやユーザー体験を軽視したことが敗因のひとつと考えられます。
失敗要因 | 詳細 |
市場ニーズの無視 | 高価格、プライバシー懸念、デザイン性の不足 |
ユーザー体験の軽視 | 使い勝手の悪さ、不十分な機能 |
技術先行主義 | 技術の優位性を重視しすぎた結果、市場に受け入れられなかった |
参考:さよならGoogle Glass、10年の歴史に幕 産業用も販売終了|YAHOO!ニュース
失敗事例2:マクドナルドの「サラダマック」
マクドナルドが健康志向の高まりを受けて導入した「サラダマック」は、顧客の期待値と提供される商品のギャップが大きく、失敗に終わりました。
ブランドイメージとの不一致、価格設定の問題、ターゲット層の明確化不足などが原因として挙げられます。
失敗要因 | 詳細 |
ブランドイメージとの不整合 | マクドナルドのブランドイメージと健康志向商品のミスマッチ |
価格設定の失敗 | 価格に見合わない価値提供 |
ターゲット層の曖昧性 | 明確なターゲット層の設定不足 |
参考:マクドナルドにサラダは必要か-2つのケースから見るマクドナルドとサラダ|ニッセイ基礎研究所
成功と失敗から学ぶ5つのポイント
上記の事例から、新規事業の成功と失敗には以下の5つのポイントが大きく関わっていることがわかります。
ポイント | 成功事例における特徴 | 失敗事例における特徴 |
市場ニーズの把握 | 顧客の課題やニーズを的確に捉えている | 顧客のニーズを十分に理解できていない、または無視している |
既存リソースの活用 | 既存技術やノウハウを効果的に活用している | 既存リソースを活かしきれていない |
顧客体験の重視 | ユーザー体験を重視した製品・サービスを開発している | ユーザー体験を軽視している |
ブランドイメージとの整合性 | 企業のブランドイメージと整合性のある事業展開をしている | 企業イメージとの整合性が取れていない |
明確なターゲティング | 特定のターゲット層を明確に設定している | ターゲット層が曖昧である、または設定していない |
新規事業を成功させるためには、綿密な市場調査、顧客理解、そして自社リソースの有効活用が不可欠です。
また、ブランドイメージとの整合性や明確なターゲティングも重要な要素となります。
まとめ:フレームワークを活用して新規事業を軌道に乗せよう
本記事では、新規事業立ち上げを成功させるためのフレームワーク活用術について解説しました。
新規事業の立ち上げは、多くの課題やリスクを伴う挑戦です。
しかし、適切なフレームワークを活用することで、これらの課題を効率的に解決し、成功の可能性を高められます。
15個のフレームワークを紹介しましたが、重要なのは、フレームワークを単体で用いるのではなく、新規事業のフェーズや目的に合わせて、最適な組み合わせを見つけることです。
また、フレームワークを活用する際には、自社の理念やビジョン、そして新規事業の明確な目的を常に意識することが重要です。
客観的な視点も持ちながら、柔軟にフレームワークを調整し、自社に最適化していくことで、より効果的な事業推進が可能となります。
本記事で紹介したフレームワークを参考に、綿密な計画と実行、そして継続的な改善を通じて、新規事業立ち上げを実践してみましょう。
なお、テクロ株式会社では、新規事業開発においてマーケティング会社が行っている「勝ちプロセス」についてまとめた資料「新規事業開発を成功させる『勝ちプロセス』」を提供しています。
新規事業立ち上げの際は、ぜひ参考にしてください。