オウンドメディアにペルソナ設定が重要な理由とは?設定方法や活用例も解説!
近年オウンドメディアを立ち上げようとしているものの、ペルソナ設定でつまずいてはいませんか。
ペルソナ設定は、オウンドメディアのターゲットを決定して、戦略を練るのに欠かせません。
慎重に設定しなければ、間違ったペルソナ像を描いてしまい、オウンドメディアの方向性まで変わってしまいます。
この記事では、ペルソナ設定が重要な理由やメリット、ペルソナ設定に必要なステップと注意点などを紹介します。
ペルソナの設定方法を知って、オウンドメディアを通してユーザーに適切に情報を発信できる環境をととのえましょう。
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目次
オウンドメディアとは
オウンドメディアとは、自社で保有するメディアのことです。
広義では、Webサイト・ブログやメルマガ、SNS、紙のパンフレットなどが当てはまります。
狭義では、Webサイト・ブログを指すことが多いです。
自社の商品・サービスを認知やリードを獲得、ブランディングの手法として活用されています。
オウンドメディアを通じて集客し、売り上げにつなげ、ユーザーをファンに育てるのに適した手法として有効です。
オウンドメディアの基本について知りたい場合は、以下の記事もあわせてチェックしてみてください。
関連記事:オウンドメディアの意味とは?役割とスムーズな運用方法を紹介
ペルソナとは?
ペルソナとは、自社商品やサービスを利用するユーザーの中でも、特定の個人を象徴するユーザー像・人物モデルのことです。
スイスの心理学者カール・グスタフ・ユングによって提唱された心理学用語で、もともとラテン語の仮面を意味する「persona」から由来します。
年齢や性別、ライフスタイルなどユーザーに属する具体的な情報を設定することで、狙うべきユーザー層を明確にできます。
ペルソナとターゲットの違い
ペルソナに似た言葉にターゲットがあり、企業がアプローチしたいユーザーという意味では同じですが、違いを一言で表すと「詳細さ」になります。
例えば、ターゲット設定では以下のように、年齢や性別、住んでいる地域など一般的な属性情報に基づいてマーケティング対象を決めます。
1人の人物ではなく、集団を指していることがほとんどです。
一方ペルソナは、ターゲットの持つ一般的な属性情報に加えて、価値観・ライフスタイル・行動特性などより具体的なユーザー情報に踏み込み、よりリアルなユーザー像を指します。
ターゲット | ペルソナ |
30代女性、横浜市在住 |
氏名:相馬裕美 |
ターゲットとペルソナは、詳細さに違いがあることを覚えておきましょう。
オウンドメディアにペルソナ設定が重要な理由
オウンドメディアの戦略を立案する際にペルソナを設定する一番の理由は、ユーザーが求めている情報を把握してコンテンツへ反映するためです。
ユーザーにとって有益な情報が発信されているメディアには人が集まり、メディア運営の目的へと導きます。
一方で、ユーザーが求めていない・役に立たない情報ばかり発信されていれば、情報を発信してもアクセスされません。
アクセスされたとしても、ニーズと合っていないためすぐに離脱されてしまうでしょう。
オウンドメディア運営する際は、自社が発信したい情報ではなくユーザーが欲している情報が求められ、ユーザーニーズの把握にもペルソナ設定は有効です。
自社商品やサービスに合った明確なユーザー像を描くことで、情報の一貫性やコンテンツの構成がブレにくくなり、結果的にユーザーが欲しいコンテンツが生まれます。
さらに、自社メディアのファンを獲得し、顧客化を促進させるため、ペルソナ設定は重要になります。
ペルソナを設定する4つのメリット
次に、ペルソナ設定をする4つのメリットを紹介します。
メリット1:チームへの共有ができる
ペルソナを設定すると、ユーザーの価値観や行動特性の詳細が一覧でわかります。
結果的にマーケティングやプロジェクトの進行に関与するメンバーが、狙うべき顧客のイメージを共有しやすくなるのです。
ざっくりとしたターゲット像だけでは、チームメンバー間でも象像する人物像が異なります。
チームや組織内で具体的なペルソナを共有することで、共通認識ができるため、施策を実施してもブレることがなくなります。
メリット2:費用対効果の向上が見込める
ペルソナ設定による深い洞察に基づいてマーケティング施策が展開されることで、広告やプロモーションのターゲットがより精緻に絞り込まれます。
結果的に、無駄な広告費の浪費を減少させることが可能です。
ユーザーが欲しい情報を提供することで、ペルソナ設定したユーザーがより関心を持ち、申し込みなどをしてくれる可能性があります。
的確にオウンドメディアの施策を実施できるため、費用対効果も高まるのです。
オウンドメディアの費用対効果については、以下の記事も参考にしてみてください。
関連記事:オウンドメディアの費用対効果は?効果を高める6つのポイントを紹介
メリット3:ペルソナに合ったコンテンツを提供できる
ペルソナの特性に応じて、興味を引くコンテンツを配信することで、ユーザーとのエンゲージメントが高まります。
ペルソナを理解することで、ニーズを読み取りやすくなり、反映したコンテンツが作りやすくなるのです。
継続的に情報発信をしていけば、顧客のファン化にもつながります。
メリット4:効果的な戦略を展開できる
オウンドメディアを運営する際にペルソナを設定することで、効果的な戦略を立案できるでしょう。
ペルソナを設定して、カスタマージャーニーと合わせると、心理の変化や行動がわかるようになります。
そのため、顧客に合わせて与えるコンテンツを変えていくことで、ただコンテンツを発信するよりも効果にアプローチできます。
さらにお問い合わせや資料請求のボタンの設置場所やテキスト、バナーデザインなどもペルソナをもとに決定できます。
よって、オウンドメディアの戦略立案に欠かせません。
オウンドメディアの戦略については、以下の記事も参考にしてみてください。
関連記事:オウンドメディアの戦略の立て方とは?手順や成功のポイントを紹介
ペルソナ設定の4つのステップ
ここからは、実際にどうやってペルソナ設定をするのか、4つのステップに分けて説明します。
ステップ1:ペルソナに関する情報を集める
ペルソナ設定の第一歩は情報収集です。
年齢、性別、地域など一般的な属性だけでなく、好み、価値観・ライフスタイル・行動特性などを把握します。
ペルソナ設定のための情報収集は以下の方法があります。
- 既存ユーザーへのインタビュー/アンケート
- ユーザーと直接接する営業、接客担当者、カスタマーサポートなどへのヒアリング
- 官公庁、民間調査会社が発表している各種統計データの調査
- 自社サイトのアクセス分析
- カスタマーサポートの電話やメールのやり取りの分析
- 購買データの分析
ステップ2:集めた情報を分析してペルソナを作成する
次に、収集した情報を分析します。
分析には、デモグラフィックとサイコグラフィック2つの分類分けが有効です。
デモグラフィック | 性別や年齢、収入、独身/既婚など事実情報を表し「誰が」買うのかを示すデータのこと |
サイコグラフィック | 習慣や趣味嗜好、価値観、休日の過ごし方など「なぜ」買うのかを示すデータのこと |
情報の分析により、ユーザーの傾向やニーズを把握し、データから共通する特徴や行動パターンを見つけ出します。
そして、収集した情報に基づき、ペルソナを構成する要素を整理します。
収集した情報と分析を基にペルソナ設定することで大切なのは、実際にいる顧客のような人物像を作り出すことです。
共通点のみを羅列しても、詳細なペルソナにはなりません。
ステップ3:ペルソナについてフィードバックをもらう
作成したペルソナは営業担当者・接客担当者・カスタマーサポートなど社内でユーザーをもっとも知っている人に意見を伺い、必ずフィードバックをもらいましょう。
また、社内に尋ねるだけでなく、インタビュー/アンケート結果を再度見直してチェックするといった客観的な検証も必要です。
フィードバックの結果、もしペルソナ設定にズレがあると判断された場合は、作成前の情報収集が不十分である可能性があります。
その場合、情報収集フローの見直しやインタビュー/アンケートの質問事項の見直しなどを行い、再検証をすると良いでしょう。
ステップ4:ペルソナを共有する
ペルソナ設定を実施したら、必ずマーケティングチームや関係者と共有しましょう。
その際、共有シートを作り、チーム全員が閲覧できる環境を整えたり、定期的な編集会議を開いて認識確認を行うことも大切です。
また、ペルソナ設定は一人であるとは限りません。
必要であれば複数のペルソナ設定を行い、それぞれのペルソナに合ったコンテンツを提供しましょう。
ペルソナを設定するときに必要な項目
実際に、ペルソナを設定するときに必要な項目は大きく2つに分けられます。
前述したデモグラフィックとサイコグラフィックに分けると情報が整理できます。
設定項目1:デモグラフィックデータ
デモグラフィックデータは、以下の項目を設定しましょう。
- 名前
- 年齢
- 性別
- 居住地
- 住居情報(持ち家、実家、賃貸など)
- 年収
- 既婚か未婚か
- 家族構成
- 勤務地
- 社歴
- 役職
- 職種
- 企業規模
- 業種
- よく使うSNS
設定項目2:サイコグラフィックデータ
サイコグラフィックデータは、以下の項目を設定しましょう。
- 趣味嗜好
- 愛読書
- 価値観・人生観
- ライフスタイル
- 休日の過ごし方
- 好きなエリア・ショップ
- 情報収集方法(SNS、TV、新聞、雑誌 など)
- 購買時に優先する考え方
- よく目にするメディア
これらの項目に加えて、理想の生活・目指していること、今抱えている課題、長年抱える悩み、自社商品やサービスとのタッチポイントなども考えていきます。
サイコグラフィックデータは、アンケートやインタビューで分析できます。
ペルソナ設定をする際の注意点
しかし、ペルソナ設定をするのに注意が必要な点もあります。
間違ったペルソナ設定をしないために、注意点を4つ解説します。
データをもとに分析している
ペルソナ設定で避けるべきことは、自社に都合のいい理想のペルソナを設定することです。
実在しない、主観的なユーザー像を設定したり、ペルソナの項目をただ埋めるだけだったり、確証のないペルソナ設定をしてはいけません。
必ず客観的なデータをもとにペルソナの行動や好みからニーズをしっかりと読み取り、分析することが重要です。
情報を定期的にアップデートする
高度化した情報化社会において、社会変化のスピードが速いのも現代社会の大きな特徴です。
変遷する社会変化と同じように、時間の経過とともにユーザー像も変化していきます。
そのため、ペルソナ設定したあとも定期的にペルソナ設定をアップデートすることが大切です。
最低でも1年に1回は見直すようにしてみてください。
「ペルソナ設定の4つのステップ」で解説した内容に沿って、情報を更新し、ペルソナ設定の見直しを心がけましょう。
BtoBとBtoCでペルソナの設定方法が異なる
会社のターゲットが企業と個人で、営業スタイルもマーケティング手法も大きく異なるように、ペルソナ設定の方法も変わります。
ここからは、それぞれのペルソナの違いについて説明します。
BtoB企業の場合
BtoBの場合、オウンドメディアに訪問するユーザーがどの立場の人か考えてペルソナを設定する必要があります。
訪問するユーザーとペルソナが合っていない場合、コンテンツを制作してもニーズと異なってしまうため、注意が必要です。
BtoB企業の場合、個人のプロフィールを深堀りするようなペルソナ設定より、
- 業種業態
- 年商
- 従業員数
- 担当者の役職
- 意思決定権の有無
- 稟議のプロセス
などを想定し、相手先企業や担当者が抱える課題を軸にペルソナ設定をすると良いでしょう。
基本的には現場担当者と、意思決定権を持つ役員・事業部長クラスとの2パターンのペルソナ設定を行うことをおすすめします。
BtoC企業の場合
BtoC企業がオウンドメディアを運営する場合、ブランド認知・顧客エンゲージメント/ロイヤリティの向上が主な目的です。
顧客はユーザー個人であり、よりパーソナライズされたペルソナ設定が求められます。
好みやライフスタイルが異なれば考え方や購買行動も異なるため、細かい情報収集と分析を心掛け、ペルソナ設定を順序立てて進めると良いでしょう。
ペルソナは複数人で設定する
ペルソナ設定は決してひとりに任せることはせず、部門を横断したチームで(複数人で)設定することをおすすめします。
例えば、営業担当者・接客担当者・カスタマーサポートといったユーザーとの接点が近い人やマーケター、などの人材も巻き込んでいくことを心掛けましょう。
複数人で作る利点は、以下の通りです。
- 主観的な思い込みを排除できる
- 自部門だけの視点では思い浮かばなかった多様な視点を得られる
- 部門を横断して作成することで各部門の賛同を得やすくなる
- ペルソナ設定後に共通認識として全社的に共有されやすくなる
ステレオタイプを排除して設定する
例えば、「若い男性は活動的である」のように、ペルソナ設定をする際、陥りがちなのが一般的な固定観念や偏見に基づいたユーザー像でペルソナ設定をすることです。
本来、価値観や人間性・好き嫌いなど人には個性があり、暮らす環境も家族構成も例え同じ年齢・性別であっても同じではありません。
ステレオタイプは排除して、データから得られた情報を分析してペルソナを設定しましょう。
オウンドメディアのペルソナ活用事例
オウンドメディアの成功には、ターゲットユーザーの理解とそのニーズへの適切な対応が欠かせません。
ここからはペルソナ設定が、オウンドメディアの設計や運営にどう活用されていくのか、具体的な活用事例を解説します。
戦略立案に活用する
ペルソナを設定することで、戦略立案もしやすくなります。
ペルソナが認知してから検討し、購入するまでの行動がイメージできるため、ニーズに答えるコンテンツを段階的に提供できるのです。
キーワードの選定や戦略の見直し、改善などにも役立ちます。
ペルソナ設定を戦略立案に活用することで、オウンドメディアの全体像を定め、戦略から施策への流れが明確になります。
カスタマージャーニーへの活用
カスタマージャーニーとは、ユーザーがオウンドメディアを認知し、オウンドメディアを通じて情報を収集して、商品を検討・購入し、共有・拡散するまでの一連のプロセスを分析するフレームワークです。
顧客行動を可視化したものをカスタマージャーニーマップと呼びます。
ペルソナを正しく設定することで、カスタマージャーニーマップ作成時の分析ポイントであるユーザーの行動や思考、タッチポイントなどを深く理解でき、手法やコンテンツ内容の決定ができます。
カスタマージャーニーについて詳しく知りたい方はこちらの記事もあわせてチェックしてみてください。
関連記事:カスタマージャーニーはオウンドメディア成功の秘訣?マップの作り方を解説
質の高い効果的なコンテンツ制作
ペルソナはコンテンツ制作にも活用できます。
もしペルソナ設定をしない場合、自社が伝えたい情報ばかりが記載された独善的なコンテンツになり、ユーザーのニーズを満たさない可能性が高くなります。
一方で、ペルソナにもとづいてコンテンツを作成することで、情報の取捨選択ができ、本当に必要な情報のみを届けられるようになるのです。
結果的にユーザーに寄り添ったコンテンツを提供できます。
ペルソナには、コンテンツの方向性を決定づける重要な役割があります。
コンバージョン率(CVR)の改善
コンバージョン率の改善にも役立ちます。
コンバージョン率とは、オウンドメディア内で、購入や登録、問い合わせなどの特定のアクションを起こしたユーザーの割合のことです。
このコンバージョン率の改善・向上にペルソナ設定は大きく寄与します。
明確なペルソナ設定をしたことで、ユーザーのニーズに合致したコンテンツが生まれ、メディアに人が集まります。
コンテンツを通じて自社の商品やサービスに関心を示す可能性が高まることで、コンバージョン率の向上が期待されるでしょう。
オウンドメディアのCVRについては、以下の記事も参考にしてみてください。
関連記事:オウンドメディアのCVR平均値とは?コンバージョンを上げる方法を解説!
まとめ:オウンドメディアを成功に導くためにペルソナを設定しよう!
ペルソナを設定する一番の理由は、ユーザーが求めている情報を把握してコンテンツへ反映するためです。
ペルソナを設定する場合は、以下の4つのステップをもとに作成しましょう。
- ペルソナに関する情報を集める
- 集めた情報を分析してペルソナを作成する
- ペルソナについてフィードバックをもらう
- ペルソナを共有する
重要なのは客観的なデータから設定を行うことであり、「自社に都合のいい理想のペルソナ」を主観的に設定してはいけません。
またペルソナ設定は、チームで実施して、情報を定期的にアップデートすることが重要です。
オウンドメディアへの活用例も参考にしながら、成功に導いていってください。
テクロ株式会社では、オウンドメディアの運用支援を行っています。
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