BtoBデジタルマーケティングとは?目的やメリット・手法を解説
近年、AIやloT、ビッグデータといったデジタル技術が急速に発展し、サービスや取引のオンライン化が進んでいます。
BtoBビジネスにおいても、Webメディアの運用を始めるなどデジタルマーケティングの導入を検討する企業は増加傾向にあるのです。
これからはデジタルマーケティングが必要になるとわかっているものの、BtoBではどのように進めていけばいいかわからないという方も多いのではないでしょうか。
この記事ではデジタルマーケティングの目的や手法について、BtoBの観点から解説します。
BtoBデジタルマーケティングについて網羅的に知りたいという方は、ぜひ参考にしてください。
そもそもBtoBマーケティングにはどのような施策があるのかを知りたい方は、弊社テクロ株式会社で配布しているホワイトペーパー「押さえておくべきBtoBマーケティングの施策」をご覧ください。
目次
BtoBデジタルマーケティングとは
BtoBにおけるデジタルマーケティングを解説する前に、デジタルマーケティングの定義について確認しておきましょう。
デジタルマーケティングとは、WebやAIといったデジタル技術を活用して行うマーケティング手法です。
近年では業種を問わずデジタルマーケティングの重要性が高まっており、BtoBビジネスにおいても注目を集めています。
デジタルマーケティング導入以前のBtoBマーケティングでは、顧客企業への直接訪問やテレアポが主な営業方法でした。
これらの方法では、接点を持てる顧客数には限りがあります。
また、見込み顧客(リード)のニーズや製品への興味については相手の反応から察するしかないため、確度も低いと言わざるを得ませんでした。
一方でデジタルマーケティングでは、WebサイトやSNS、Web広告などを閲覧したユーザーをリードとして大量に獲得して接点を持つことができ、さらにそれぞれの興味や課題に応じて効率的にアプローチできるようになったのです。
BtoBでのデジタルマーケティングの目的
BtoBにおけるデジタルマーケティングの目的は、WebサイトやSNSなどのデジタルコンテンツを活用してリードとなる顧客を収集し、商品やサービスに興味や関心を高めて購買につなげることです。
適切なタイミングで営業につなげられるため、効率的に成約まで進めます。
Webマーケティング・コンテンツマーケティングとの違い
デジタルマーケティングと混同されやすい用語に、「Webマーケティング」と「コンテンツマーケティング」があります。
Webマーケティングとは、Webサイトやオウンドメディア、メール、Web広告などのWebを通じてリードを獲得していくマーケティング手法です。
また、コンテンツマーケティングとは動画やコラムなど顧客にとって役に立つコンテンツを配信することで、自社のブランディングや顧客のエンゲージメント向上を狙うマーケティング手法になります。
コンテンツマーケティングで提供するコンテンツはオンラインに限らず、DMやチラシなどオフラインで活用する広告もコンテンツといえます。
一方でデジタルマーケティングは、Webを含むデジタル技術を利用したマーケティング手法です。
そのため、Webマーケティングとコンテンツマーケティングはデジタルマーケティングの一種と考えても良いでしょう。
BtoCマーケティングとの違い
BtoCマーケティングとは、企業を顧客とするBtoBとは異なり、その先のエンドユーザー(消費者)を対象にしたマーケティングです。
BtoBマーケティングとの大きな違いは、購買の意思を決めるプロセスにあります。
BtoCでは、購買を決めるのは商品やサービスを購入する消費者一人です。
そのため、本人の購買意欲が刺激される体験や、Webサイト・SNSの口コミなどが購買の決め手になります。
また、一人で決めることがほとんどなので、購買までの検討期間が短いことも特徴です。
一方でBtoBでは多くの場合、購買決定には複数人が関わっています。
担当者をはじめとし、決済を認める責任者など複数人で購買を検討するため、当然決めるまでの期間は長くなります。
また、購入を決める理由としては多数が納得できる論理的な内容が求められるのです。
デジタルマーケティングにおいて、BtoBかBtoCかによって効果が高い手法は異なります。
そのため、デジタルマーケティングが成功した事例を参考にする場合には、その企業がBtoBかBtoCなのかを確認しておく必要があるでしょう。
BtoBデジタルマーケティングが重要な3つの理由
デジタルマーケティングは、近年ビジネス全般において注目を集めている手法です。
特にBtoBビジネスにおいても、近年、デジタルマーケティングの重要性はますます高まっています。
ではなぜ、BtoBにおいてデジタルマーケティングが重要視されているのでしょうか。
ここではその理由について解説します。
【理由1】Webで商品・サービスの比較や検討をする機会が増えたから
以前のBtoBビジネスでは、顧客が商品やサービスの情報収集をする方法は限られていました。
情報源は主に取引先の営業からであり、今まで取引がなかったまったく新しい製品やサービスの導入を検討する場合は、広告や新聞などを参考にするしかなかったのです。
しかし、最近は顧客が購買を検討する際にはGoogleなどのWeb検索や情報サイトによって求める情報を広く収集できるようになりました。
そのため、BtoB企業はオフラインで自社製品やサービスを営業するだけでなく、Web上でもアピールする必要が出てきたのです。
【理由2】商品・サービスの認知にはデジタル戦略が欠かせないから
顧客が情報をWeb検索で得る機会が増えたことによって、逆に商品やサービスの情報をデジタルコンテンツにして配信しなければ認知されにくくなったともいえます。
今までのように飛び込み営業やDMを送るといったオフラインの手法よりも、自社のWebサイトを立ち上げたりSNSで情報を発信する方が、商品・サービス認知への有効な手段に変わりつつあるのです。
【理由3】社会全体の行動様式が非対面へ変化したから
新型コロナウイルス感染症の拡大以降、社会全体の行動様式が大きく変化したことも、デジタルマーケティングの重要性を高めた要因です。
これを境として、これまで対面で行っていた営業が今までのようにできなくなり、オンラインでの商談や取引が増えました。
DX化を進める時代の流れも後押しとなり、サービスのオンライン化やデジタル利用はますます増加しています。
社会全体のニーズからいっても、デジタルマーケティングはこれからますます求められていくでしょう。
BtoBデジタルマーケティングのメリット6つ
これまで行ってきた営業手法から新しい方法を取り入れるのは簡単ではありません。
しかしその苦労を差し引いても、デジタルマーケティングによって企業にもたらされるメリットは数多くあるのです。
例えば、以下のようなメリットがあります。
- 顧客に合わせてアプローチできる
- あまりコストをかけずにリード客を獲得できる
- 顧客との接点を持てる
- 業務効率化できる
- 競合他社との差別化ができる
- データを蓄積して活かせる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
メリット1.顧客に合わせてアプローチできる
デジタルマーケティングでは、顧客の興味関心の度合いに合わせて個別にアプローチを変えられるのが大きなメリットの一つです。
業種や役職、年齢などの属性情報や、どのようなコンテンツを閲覧しているかなどの情報をデータ化して蓄積できるため、リードが興味を持っている内容や課題を推測しやすくなります。
今までは営業担当者が顧客へ個別に要望を聞いたり、顧客に合わせてメールの内容を変えたりしていたため、対応できる数や内容には限度がありました。
しかしデジタルマーケティングでは、MA(マーケティングオートメーション)やSFA(営業支援システム)などのツールを活用すれば、今までの何倍もの数のリードに対応できます。
結果として、具体的な商談数の増加も期待できるのです。
また、今までよりもニーズを早く把握できるため、顧客へ最も良い提案を素早くしやすくなるというメリットもあります。
メリット2.あまりコストをかけずにリード客を獲得できる
デジタルマーケティングでは、ブログやSNS、動画などコンテンツを作成して配信すれば多くの人の目に触れるため、リードを一度に大量獲得することも可能です。
また、一度コンテンツを作成すれば長く利用し続けられるため、コスパが良いともいえます。
電話での営業や展示会などのイベントでは、アプローチできる人数は限られているだけでなく、人件費や会場費といった集客コストがかかります。
デジタルマーケティングでは、集客コストを抑えながらアプローチできる人数を増やすことができるのです。
メリット3.顧客との接点を持てる
従来よりも顧客との接点が増やせることも、デジタルマーケティングのメリットです。
接点が増えれば成約数や購買数が増加するだけでなく、商品・サービスへの認知が高まる効果があります。
また、接点が増えるほど顧客のニーズを把握しやすくなるのもメリットです。
いち早くニーズを掴めれば、顧客への適切なアプローチや新商品の開発に役立つでしょう。
メリット4.業務効率化できる
デジタルマーケティングでは、これまで営業が行っていた業務をデジタル化することで効率化を図れます。
例えば、今までリードを集客するには会社への直接訪問や展示会の開催、電話営業などしかありませんでした。
しかし、デジタルマーケティングではWebサイトやWeb広告、ウェビナー配信などで効率の良い集客が可能になります。
また、MA(マーケティングオートメーション)ツールを使えば、今まで顧客に応じて内容を考えて手作業で送っていたメールが顧客別に自動で送信できるようになるなど、業務負担の軽減が期待できるのです。
メリット5.競合他社との差別化ができる
デジタルマーケティングがまだ浸透していない業界では、競合他社との差別化が狙えます。
顧客とデジタルでの接点を増やすことで、製品・サービス認知に関して差をつけられるだけでなく、オフラインからの成約に加えてWebからの問い合わせや受注も期待できるのです。
デジタルマーケティングを始めれば、他社より売上も伸ばせる可能性が高まります。
メリット6.データを蓄積して活かせる
デジタルマーケティングは、顧客のデータだけでなく営業のノウハウもデータ化して蓄積できることもメリットの一つです。
受注につながりやすいトークや行動を分析してデータ化することで、属人化しがちだった営業ノウハウを共有できるようになります。
また、顧客の行動履歴もデータ化できるため、受注しやすい傾向をつかみやすくなるでしょう。
BtoBデジタルマーケティングの主な手法5つ
デジタルマーケティングには様々な手法がありますが、BtoBで活用されている手法は主に次の5つです。
- SEO
- SNS
- Web広告
- ホワイトペーパー
- メールマガジン
それぞれ詳しく解説します。
1.SEO
SEOとは、Search Engine Optimization(検索エンジン最適化)の略称です。
検索エンジン最適化とは、Googleなどの検索エンジンでWebコンテンツを上位表示させるための手法を指します。
Web検索は、いまや日常的に誰でも行っている情報収集です。
そのため、検索エンジンで上位表示されれば、それだけ商品やサービスが広く認知されるといえます。
つまり、SEOはリードジェネレーション(顧客創出)につながる手法なのです。
2.SNS
X(Twitter)やInstagram、FacebookなどのSNSでコンテンツを作成し、自社や商品・サービスの情報を発信してリードとコミュニケーションをとる手法もデジタルマーケティングの一つです。
SNSのプラットフォームにもよりますが、閲覧者の属性によって表示される投稿が変わるため、届けたい層へ情報発信しやすいのが特徴です。
また、SNSから自社のWebサイトへの流入を促すこともできます。
3.Web広告
Web広告はWebサイトや検索結果、SNSなどに表示されるインターネット上の広告です。
掲載された広告をクリックすると自社サイトへつなげられるため、流入数を増やしてリード獲得を狙えます。
広告の種類によって費用形態の違いはありますが、例えばクリック課金制ならユーザーが1クリックしたら数十円という低価格から出稿できます。
また、Web広告は新聞や雑誌掲載といったオフライン広告よりも手軽に内容を変更できるのがメリットです。
Web広告から流入したユーザー数やコンバージョン数、受注数を調べて効果を数値化し、検証しながら最適化できるまで改善できます。
Web広告には様々な種類があり、費用や効果が異なるゆえに自社サービスや製品に合ったものを選びましょう。
ここでは、Web広告の種類をいくつか紹介します。
リスティング広告
リスティング広告は、ユーザーがキーワードをWeb検索した際に、検索結果の上か下にテキストを表示する広告です。
わざわざWeb検索する顕在層(ニーズを自覚している層)のユーザーに訴求するため、広告からの成約率は高いのが特徴です。
ディスプレイ広告
WebサイトやSNSの上部に表示される画像広告がディスプレイ広告です。
テキストがメインのリスティング広告と異なり、画像や動画なども組み合わせて表示できるため、ユーザーの視覚に訴えられます。
Webの閲覧履歴などから興味がありそうなユーザーに表示できるため、ニーズを自覚していない潜在層への訴求も可能です。
リターゲティング広告
過去に自社のWebサイトを訪問したユーザーへ表示できるWeb広告です。
自社製品やサービスに興味をもったリードへアプローチできます。
アフィリエイト広告
Webサイトに掲載された広告からユーザーが商品・サービスを購入するなど、コンバージョンを達成したときにサイト運営者へ報酬が支払われるWeb広告です。
広告費はコンバージョン達成時のみ発生するため、広告費のコストを抑えられます。
ネイティブ広告
Webサイト内にコンテンツと同様の形式で掲載されているWeb広告です。
コンテンツにとけこむように表示されているため、サイト閲覧しているユーザーを自然な流れで広告の内容へ誘導できます。
純広告・バナー広告
Webサイトの広告枠を購入して掲載するWeb広告です。
掲載期間は決められており、効果のある無しにかかわらず費用がかかります。
単価もWeb広告の中では高めに設定されています。
運用面ではオフラインの広告に感覚が近いため、運用のための知識やノウハウがあまりいらないのがメリットです。
記事広告
Webサイト内でPR用記事として掲載されたWeb広告です。
Webサイトのオーナーに商品・サービスを提供して記事を執筆してもらい、掲載します。
タイアップ広告ともいいます。
リワード広告
広告からコンバージョンを達成したユーザーに対して報酬が支払われる広告です。
例えばアプリを使用しているユーザーがアプリ内で5〜30秒の広告動画を閲覧したらサービスを受けられます。
動画広告
Webサイトで公開されている動画内に挿入されている短い広告動画や、Webサイトの一部で流される広告動画です。
動画は目を引きやすく、テキストに比べて短い時間で伝えられる情報が多いため、製品やサービスによっては有効な広告手段といえます。
SNS広告
SNS内で配信されるWeb広告です。
SNSでは投稿内容やいいねやフォローしている人の傾向、年代や性別などのデータによって表示される内容が変わるため、広告を届けたいターゲットへピンポイントで表示できます。
広告を出すSNSは、自社製品・サービスの内容やターゲットによって選ぶのが大切です。
メール広告
主にメールマガジンなどのメールのヘッダー/フッター部分に広告文やリンク掲載されるタイプとメールの内容全体が広告になるタイプがあります。
4.ホワイトペーパー
BtoBデジタルマーケティングでよく使われる手法の一つです。
ホワイトペーパーとは、ビジネスに関連した有益な情報を図表とともにまとめた資料です。
ダウンロードページから担当者名や連絡先などをフォームへ入力してもらい、リード情報を獲得します。
また、リードへホワイトペーパーを配布することでエンゲージメントを高めるために使用することもあります。
5.メールマガジン
自社サイトにメールマガジン登録フォームを設置し、メールアドレスや氏名などの属性をフォームに入力してもらうことでリード情報を獲得します。
また、購読者へ有益な情報を提供することでリードナーチャリング(顧客育成)ができます。
BtoBデジタルマーケティングを導入する5ステップ
自社でもデジタルマーケティングの導入を検討しているという方もおられるでしょう。
デジタルマーケティングは、思いつきや見様見真似で実行してもうまくいきません。
まず自社や製品・サービスの強みや市場、リードとなる顧客の属性を分析して戦略を立てた上で、自社にあったデジタルコンテンツを選ぶ必要があります。
BtoBにおけるデジタルマーケティングを導入するのに必要なのは、以下の5ステップです。
- ペルソナを設定する
- カスタマージャーニーマップを設計する
- 戦略を決める
- 実施する
- 効果測定しPDCAサイクルを回す
次からそれぞれのステップについて詳しく解説していきます。
【ステップ1】ペルソナを設定する
自社の製品・サービスを購買するターゲット企業や担当者を設定していくことをペルソナ設定といいます。
担当者のペルソナを設定する際には、次のような項目を考えます。
- 部署
- 役職
- 年齢
- 住所
- 家族
- 情報収集の方法
これはあくまで一例で、細かく属性を作り込むほどコンテンツを届けるターゲットへの照準が定まりやすくなります。
情報収集の方法として、検索エンジンで情報を得ることが多いのかSNSを利用することが多いのかなどについても詳しく想定すると、自社がどのデジタルコンテンツに力をいれるべきかが見えてきます。
【ステップ2】カスタマージャーニーマップを設計する
次に、顧客の購買行動の過程について分析していきます。
カスタマージャーニーマップとは、顧客が製品・サービスを知ってから購入や契約に至るまでの心理や行動の一連の流れを「旅」に見立てて表現したものです。
「認知」「興味関心」「比較検討」など、段階によってどのような心理になりどのような行動を取るのかを仮説を立てて表にしていきます。
【ステップ3】戦略を決める
カスタマージャーニーマップが作成できたら、顧客が行動や情報収集するメディアなどに合わせて効果がありそうなコンテンツを考え、戦略を立てていきます。
このとき、デジタルマーケティングで達成できる自社にとっての最終目的(KGI)を設定しておき、その目的に到達するための目標(KPI)も定めておきましょう。
【ステップ4】実施する
戦略が立てられたらデジタルマーケティングの施策を実施していきます。
立てた仮説が正しかったかどうかは、実際に実行してみなければわかりません。
実施して仮説が正しくなかったならば、結果を見ながら調整します。
また、デジタルマーケティングを導入してすぐは複数の手法に手を出しても全てをうまく運用できません。
実行する際には優先順位をつけて行いましょう。
【ステップ5】効果測定しPDCAサイクルを回す
実施してからある程度期間がたったら、効果測定します。
ページアクセス数やコンバージョン数などの目標値と実績との違いから、改善すべきポイントを割り出していきます。
オフラインでのマーケティングとは異なり、効果を定量測定してデータ蓄積し、最適化していけるのがデジタルマーケティングの強みだといえます。
BtoBデジタルマーケティングを施行する3つのポイント
デジタルマーケティングを施行していくにあたって、ポイントとなるのは次の3つです。
- 戦略・具体的なアクションプランを策定する
- スモールスタートで始める
- 適切なKPIを設定する
それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。
【ポイント1】戦略・具体的なアクションプランを策定する
デジタルマーケティングを実行する前に、自社に合った戦略を設計して戦略に合わせた具体的なアクションプランを立てることが大切です。
具体的には、次のような項目を設定していきます。
- 目的
- 強み
- ターゲット
- 施策
せっかく戦略を立てても、具体的にどのように動けばよいかわからなければ意味がありません。
具体的なアクションプランも合わせて立てていく必要があります。
【ポイント2】スモールスタートで始める
デジタルマーケティングを始めるにあたって、すぐに会社全体で実施しようとしてもうまくいかない場合がほとんどです。
せっかくアクションプランまで策定しても、従来の営業方法やマーケティングに固執している社員や、デジタルに苦手意識を持つ社員から反発されてうまく施行できないこともあります。
始める際にはまず担当者を選定し、試験的に始めてみることをおすすめします。
デジタルマーケティングの成果が見え始めれば、社内の協力も得られやすくなります。
【ポイント3】適切なKPIを設定する
KPIとは、Key Performance Indicator(重要業績評価指標)の略称です。
プロジェクトの最終目的であるKGI(Key Goal Indicator:重要目的達成指数)を頂点に設定し、達成に必要なKPIを段階的に設置したものをKPIツリーといいます。
多くのBtoB企業では、KGIに当たるのは受注数や売上目標になるでしょう。
それから逆算して次のような指標をKPIとして定めていきます。
- サイトアクセス数
- 申し込み件数
- 問い合わせ件数
- ダウンロード件数
- SNSフォロワー数
- 訪問数
- 回遊率
- CV数
- CV率
あらかじめ適切なKPIを設定してから戦略を実行したうえで、定期的に効果測定してKPIと実際の数値との違いから改善点を分析していくことが大切になります。
BtoBマーケティングにおけるKPI設定の手順について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
参考記事:BtoBマーケティングのKPI設定の手順と施策別で見るべき箇所を解説
BtoBデジタルマーケティングに便利なツール3つ
デジタルマーケティングには、顧客の興味関心などをデータとして蓄積できるメリットがあります。
そのため、データ分析や記録するためのツールはデジタルマーケティング施策には欠かせないものです。
ここではデータを扱うのに役立つツールを紹介する他、業務効率を高めるのに役立つツールについても紹介していきます。
1.MA(マーケティングオートメーション)
MAとは、マーケティング業務を効率化させるためのツールです。
例えば、次のような機能があります。
- リード管理
- Webでの行動追跡するトラッキング機能
- リード別に送信できるメール配信機能
- 顧客によって表示ページを変えられるパーソナライズ機能
多数のリード獲得や育成を目指すならば、ぜひ導入すべきツールです。
2.SFA(営業支援システム)/CRM(顧客関係管理)
SFA/CRMは、営業の業務を支援する機能と顧客管理機能の両方を兼ね備えているツールです。
次のような機能があります。
- 顧客管理機能
- 営業のスケジュール管理機能
- 顧客データ分析機能
- 受注予測機能
- レポート作成機能
営業が日々行っている業務を効率化できるほか、進捗状況や実績をデータとして入力しておけば可視化でき、全社に共有できます。
成約した際の条件などを蓄積しておけるので、営業ノウハウを属人化させずに共有することも可能です。
3.アクセス解析ツール
アクセス解析ツールはWebコンテンツのアクセス状況や訪問するユーザーの属性を解析するためのツールです。
無料で利用できるツールにGoogle Analyticsなどがあります。
アクセス解析ツールで調べられる項目は次のとおりです。
- ページ別のPV数
- セッション数
- UU(ユニークユーザー)数
- 回遊率
- 離脱率
- 直帰率
- コンバージョン率
- ユーザー流入経路
- 閲覧履歴
- 行動履歴
- ユーザー属性
BtoBデジタルマーケティングの成功事例3選
デジタルマーケティングの導入を試みたものの、うまく施行できていないという企業は少なくありません。
しかし、デジタルマーケティングで成果を挙げている企業も多数あります。
ここでは、デジタルマーケティングで成功した事例を紹介します。
1.株式会社アジャイルウェア(テクロの支援実績がある企業)
引用:株式会社アジャイルウェア
アジャイルウェアは、タスク・プロジェクト管理ツールやWeb議事録サービス、従業員の運動習慣化サービスなどをクラウドサービスとして開発している会社です。
複数あるサービスのうち、テクロではタスク・プロジェクト管理ツール「Lychee Redmine」のオウンドメディアを支援しています。
アジャイルウェアでは、内製でWebサイトを立ち上げて検索による新規流入、リード獲得を目指していましたが、関連ワードでなかなか検索上位に入らないという課題を感じていました。
テクロの支援後は、製品に関連するビッグワード「ガントチャート」で検索上位になり、サイト表示数が21倍になりました。
また、コンバージョンは従来163%アップし、サイト流入数は4.75倍に増加しています。
さらに、月のユーザー流入数は4,000程度だったのが週あたり4,000ユーザーへ大幅に増加し、結果的にWebサイト運用によってWebからのお問い合わせ数や成約数が増加しました。
2.合同会社Sampaguita(テクロの支援実績がある企業)
Sampaguitaは、ウェディングケーキやウェディングプランニング、ケータリング事業を扱う会社です。
内製でWebサイトを立ち上げてWebマーケティングを実施していましたが、オンラインでの問い合わせがなかなか増えず、見合った効果をなかなか出せませんでした。
月に数件問い合わせがあるかどうかという状況が続いていましたが、テクロが支援した後はWebサイト経由で月40件は問い合わせが来るように。
Webサイトのクオリティが高まったため、会社への信頼感が向上してリードの質も上がりました。
Webサイトからの問い合わせは、発注数や納品時期など具体的な内容が送られてくるケースが多く、ほぼ成約につながっています。
3.三ヶ島製作所
引用:三ヶ島製作所
三ヶ島製作所では、自転車のペダルを製造しています。
SNSを英語と日本語で運用し、海外企業への販促数を向上させました。
Facebook、Instagram、YouTubeといった自転車のペダルという自社商品に合うプラットフォームを選び、実際に製作している写真や動画を投稿しています。
BtoB企業でありながら、投稿のターゲットにエンドユーザー(自転車に乗る人)も想定して情報を発信しているのが特徴です。
その他、デジタルマーケティングの成功事例をもっと知りたいという方はこちらの記事も参考にしてください。
参考記事:【BtoB】デジタルマーケティングの成功事例12選と主な手法
まとめ:BtoBデジタルマーケティングを導入して営業活動を効率的に進めよう
デジタルマーケティングは、デジタル技術が日進月歩の発展を遂げている今の社会の流れに適したマーケティング手法であり、これからのBtoBビジネスにも欠かせない取り組みといえます。
しかしそれだけでなく、従来のマーケティングよりも顧客ニーズを迅速かつ的確に把握できるうえ、これまでの営業業務を効率化できるといった企業にとってのメリットも多くあります。
今までとは違う新しい手法を取り入れるには、社内での反発や成果がなかなか現れないといった難しさもありますが、スモールステップから始めることや効果測定して改善を繰り返すことで効果が見えてきます。
BtoBでもデジタルマーケティングを積極的に取り入れて、営業活動をより効率化していきましょう。
弊社テクロ株式会社では、BtoBマーケティングについてのホワイトペーパー「押さえておくべきBtoBマーケティングの施策」を配布しています。
BtoBマーケティングについてさらに詳しく知りたい方は、ぜひ下のバナーからダウンロードしてご覧ください。