BtoBマーケティングの戦略の立て方のプロセスとポイントを解説!
「マーケティング活動は闇雲に行うのではなく、戦略に基づいて実行することが重要」といわれています。
特に、企業が相手であるBtoBマーケティングでは、緻密な戦略を練っておかないと競合他社との差別化を図れず、競争優位性を失ってしまいます。
とはいえ、
- そもそもBtoBマーケティングで戦略を立てる重要性はあるの?
- BtoBマーケティングの戦略ってどうやって立てたらいいの?
- BtoBマーケティングの戦略を立てるポイントはあるの?
といった疑問を抱えている方も多いでしょう。
今回は、BtoBマーケティングの戦略設計について、重要性や立て方、戦略策定の際のポイントを解説します。
「これからBtoBマーケティングを始める」「自社のBtoBマーケティングを見直したい」という方は、ぜひ参考にしてください。
なお、テクロ株式会社では、BtoBマーケティングの戦略設計についてまとめた資料「成功するBtoBマーケティング計画の立て方」を無料で配布しています。
マーケティング戦略立案でよくある悩みとその解決策について知りたいBtoB企業様は、ぜひ参考にしてください。
目次
BtoBマーケティングについて
まずは、BtoBマーケティングについて、
- BtoBマーケティングとは
- BtoBマーケティングとBtoCマーケティングの違い
- BtoBマーケティングの主な手法
- BtoBマーケティングの今後の展望
について解説します。
BtoBマーケティングとは
BtoBマーケティングとは、企業間で商品やサービスの販売を行うためのマーケティング手法です。
BtoBとは、Business to Businessの略で、企業間取引を意味します。
BtoBマーケティングでは、広告や営業活動、展示会などの手段を用いて、商品やサービスの認知度を高め、顧客の獲得や継続利用を目指します。
また、取引相手やそれぞれのニーズに合わせた提案やコミュニケーションも重要です。
一方で、個人を対象とするBtoCマーケティングと比べるとより専門的な知識やスキルが必要なため、取り組みには高いハードルがあります。
競合相手が複数存在する場合が多く、経費がかさむこともあるため、コストパフォーマンスの観点からもうまく戦略を立てることが重要です。
関連記事:BtoBマーケティングとは?フェーズごとに行う施策と事例を紹介
BtoBマーケティングとBtoCマーケティングの違い
BtoBマーケティングとBtoCマーケティングの違いは以下の表の通りです。
BtoBマーケティング | BtoCマーケティング | |
対象 | 企業 | 個人 |
意思決定者 | 複数人 | 1人(本人) |
検討期間 | 長い | 短い |
購入単価 | 高い | 低い |
大きな違いは、意思決定者の人数と購入までの検討期間です。
BtoBマーケティングの場合、意思決定者が複数人いる場合が多く、組織内での調整や意思決定に多くの時間と煩雑さが伴います。
稟議をしてもらうため、適切な情報提供や説明資料を求められることもあります。
一方でBtoCマーケティングでは、個人の意思決定によって物事が決まるため、購入までの期間が短いのが特徴です。
製品やサービスの価格や機能性も重要ですが、個人的なニーズや価値観に基づいたライフスタイル提案、ブランドイメージの構築が有効な手段とされています。
BtoBマーケティングとBtoCマーケティングでは、ターゲット層や提供する情報の内容が異なるため、それぞれに合わせたアプローチが必要です。
BtoBマーケティングの主な手法
BtoBマーケティングの主な手法は以下の通りです。
1.コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングとは、ユーザーに有益な情報を発信することで自社のファンを増やし、商品やサービスの購入につなげる手法です。
具体的には、ブログやWebサイト上で業界の最新情報やノウハウを提供することで、自社の専門性をアピールする施策があります。
また、ホワイトペーパーやウェビナーなどで、より深い知識を提供する手法もあります。
コンテンツマーケティングについては、以下の記事でも解説しているので、参考にしてみてください。
関連記事:コンテンツマーケティングとは?実践方法や手法、事例まで徹底解説
2.SEO
BtoBマーケティングでも、SEO(検索エンジン最適化)は欠かせません。
Googleなどの検索エンジンで上位表示を狙い、検索から自社サイトへの流入数を増やすことを目指します。
新規顧客の獲得やブランディングの強化が期待できます。
SEOの基本については、以下の記事でも解説しているので、参考にしてみてください。
関連記事:SEO対策の基本を徹底解説!施策や7つのステップを紹介
3.リスティング広告
リスティング広告は、検索結果画面上に表示される、自社の商品やサービスを紹介する広告です。
専門的なキーワードを用いた広告をターゲット層に配信することで、より効果的なマーケティングが可能になります。
4.リード獲得施策
BtoBマーケティングでは、オフラインの商談だけでなく、Web上でのリード獲得も重要な課題です。
リード獲得施策としては、Webフォームの設置や無料トライアルなどがあります。
また、リード獲得後のフォローアップも、BtoBマーケティングでは大切なポイントです。
定期的にメールマガジンを送信し、関心を持ってもらえるような情報提供が必要です。
この他にも、SNSやプレスリリースなど、BtoBマーケティングにはさまざまな施策が存在します。
以下の記事では、BtoBマーケティングの手法を、オンラインとオフラインに分けて33個紹介しています。
「どのような手法があるか知りたい」という方は、ぜひ参考にしてください。
関連記事:BtoBマーケティングの基本と知っておきたい定番の手法33選
BtoBマーケティングの今後の展望
近年、BtoBマーケティングはデジタル化に加速度的に取り組む必要がありました。
リモートワークが増えたことで、オンライン上での情報収集や商談が増えたことも大きな理由の一つです。
今後の展望としては、AIやビッグデータを活用した斬新な手法、高度なデジタルマーケティングが進展すると予想されます。
これらの技術を導入することで、リアルタイムな顧客ニーズに合わせた高度なターゲティングと効果的なコンテンツ配信が可能になります。
また、顧客エクスペリエンスの重要性がますます高まり、BtoCマーケティングと同様に、BtoBマーケティングでもカスタマージャーニーを意識した施策が求められるようになるでしょう。
BtoBマーケティングで戦略策定が必要な理由
BtoBマーケティングでは、ユーザーニーズを理解したうえで戦略を立てることが重要です。
戦略を立てずにBtoBマーケティングに取り組むと、以下の事態に陥ってしまいます。
- 施策を実行しているのに効果が出ない
- 施策を正しく行えているかわからない
- リード獲得はできるが、受注や継続利用まで到達できない
現在はさまざまな施策やツールが登場し、手軽にマーケティング活動に取り組める環境が整っています。
しかし、根底となる顧客理解と戦略がなければ、マーケティング活動の目的は達成できません。
時間とリソースも限られているので、戦略を立てて、計画性を持って施策を実行することが重要です。
BtoBマーケティングのプロセス
BtoBマーケティングのプロセスは、以下のように進みます。
- リード獲得(リードジェネレーション)
- リード育成(リドナーチャリング)
- リード抽出(リードクオリフィケーション)
- 商談・成約
- カスタマーサクセス
前述したように、BtoBは意思決定者が多く、比較検討の期間が長い傾向にあります。
そのため、リードを獲得したとしても、すぐに商談化できるわけではありません。
段階的に適切な手法で、情報を提供し徐々に顧客に変化させることが大切です。
次に、プロセスを含めたBtoBマーケティングの流れを解説します。
BtoBマーケティングの流れ
一般的に、BtoBマーケティングの流れは以下の通りです。
- ユーザーニーズをつかむ
- 自社の現状を分析する
- ゴールを決めて戦略を立てる
- 商材を作成・改善する
- リードを獲得する
- リードナーチャリングを行う
- リードクオリフィケーションを行う
- 商談につなげる
- 商談する
- 受注する
- 顧客の継続化を狙う
- ロイヤルカスタマー化する
ステップ①ユーザーニーズをつかむ
ユーザーが何を求めているか、どのような悩みを抱えているかを把握しましょう。
ユーザーニーズを把握できていないと、いかなる施策を実施してもユーザーに響かず、大きな成果を得られません。
一方で、ユーザーニーズを細かく把握できていると、有効な集客方法やコンテンツがわかります。
BtoBマーケティングの成功を左右する重要なステップなので、丁寧に進めてください。
ユーザーニーズの把握におすすめの方法は、既存顧客へのヒアリングです。
- どのような悩みを解決するために商材を選んだのか
- なぜ競合他社ではなく自社の商材を選んだのか
- 利用してみてどのような感想を抱いたのか
といった質問に答えてもらうことで、これまで気づかなかったニーズを発見できることもあります。
そのうえで、市場調査や競合調査を実施し、より多角的な観点からニーズを把握することも重要です。
ここで集めたユーザーニーズのデータは、ターゲティングやポジショニングの際に活用します。
ステップ②自社の現状を分析する
自社の現状を分析します。
自社の課題や業界の中での立ち位置がわかるため、適切な戦略を立てられるようになります。
自社分析の具体的な方法は以下の通りです。
市場分析を行う
自社の商材が競合している市場で、トレンドや動向を把握します。
市場調査を行うことで、以下の点が明確になります。
- 自社の立ち位置
- 競合他社との差別化ポイント
- 自社の強み・弱み
カスタマージャーニーを分析する
カスタマージャーニーとは、ユーザーが自社の商材を知り、購入して利用し続けるまでの流れを指します。
ユーザーがたどる一連の体験を「旅」に例えて、英語の「Journey(旅)」という単語を用いています。
自社の顧客がどのように自社を認識・評価しているか、どのステップで離脱してしまっているかを分析し、改善点を見つけましょう。
過去のデータを参考にする
過去の売上データや顧客データ、実施した施策の結果を分析します。
ユーザー属性や商品の傾向、ユーザーに刺さりそうな訴求方法などを把握できます。
ステップ③ゴールを決めて戦略を立てる
自社の課題や強み・弱みを把握できたら、BtoBマーケティングのゴールを決めて、戦略を立てます。
ゴールを決め、戦略を立てることで、ビジネスを実現するためのロードマップが作られます。
このロードマップに従い、目的を達成するためのアクションを計画し、実行することが、最終的なゴール達成に必要不可欠です。
企業の状況や扱う商材によってゴールは異なりますが、売上の増加や市場シェアの拡大、新規事業の開拓などが一般的です。
ゴールを選ぶ際には、自社の強みや課題、業界のトレンドなどを考慮し、具体的かつ実現可能なものを設定しましょう。
ゴール設定と戦略策定については、この後の「BtoBマーケティングの戦略の立て方」で詳しく解説しています。
以下の4つのステップに分けて解説しているので、ぜひ参考にしてください。
- KGIを設定する
- ターゲットとポジションを決める
- 手法を決める
- KPIを設定する
ステップ④商材を作成・改善する
ユーザーニーズに合わせて商材を作成・改善します。
このステップでは、「ステップ③」で設定したターゲットとポジションを十分に考慮することが重要です。
例えば、「質は平均的だが他社商材より低価格」というポジションを取るなら、わざわざ高品質な他社商材と争う必要はありません。
ポジションを誤ると、狙っているターゲットに商品情報が届かず、購入まで至らないことがあります。
ユーザーが求めるものと自社の強みを考えて、戦略に沿った商材開発・改善を進めましょう。
ステップ⑤リードを獲得する
ここまでのステップでマーケティング戦略の基盤が整ったので、次は顧客獲得に向けて動きます。
まず行うのは「リード獲得」です。
リード獲得とは、ターゲットとする顧客の情報(名前、役職、連絡先など)を収集することで、潜在的な顧客を得ることを目的としたマーケティング手法です。
リード(顧客の情報)を集めることで、効果的なアプローチが可能になります。
リード獲得の方法
リード獲得の具体的な方法は以下の通りです。
- SEO
- ホワイトペーパー
- SNS
- メールマガジン
- ウェビナー
ニーズに合わせた方法を選択すれば、コンバージョン率の向上が期待できます。
リードの管理方法
リードを獲得したら、情報を集めて管理しましょう。
具体的には以下のような方法があります。
- CRMツールを使用して、情報を一元管理する
- スプレッドシートで管理する
- マーケティングオートメーション(MA)ツールを利用して、自動的にリードの情報を管理する
リードを管理することで、効率的なリードナーチャリングや、継続的な顧客との関係構築が可能になります。
リード獲得の主な手法は、以下の記事で詳しく解説しています。
オンライン・オフライン共に紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
関連記事:リード獲得の方法を解説!ツールを用いて見込み客を増やす手法とは?
ステップ⑥リードナーチャリングを行う
リードを獲得したら、リードナーチャリングを行います。
リードナーチャリングとは、リード(見込み客)に対して、一定期間をかけて情報提供やフォローアップを行い、関心度を高め、顧客化へと導くマーケティング手法です。
獲得したリードはまだ自社に興味を持っている段階なので、直接商品やサービスを販売することは難しい状況です。
ここでリードナーチャリングを行うことで、顧客との関係を築き、信頼関係を深め、新規顧客獲得につなげます。
リードナーチャリングのポイント
リードナーチャリングのポイントは以下の通りです。
- タイムリーな情報提供:定期的にニュースレターなどの情報提供を行い、見込み客が何を求めているのか把握する
- 関心度に応じたアプローチ:見込み客の関心度に合わせたアプローチを行い、ニーズに合った商品・サービスを適切にアピールする
- 的確なタイミングでのフォローアップ:見込み客のニーズや関心度に合わせたタイミングでフォローアップを行い、コミュニケーションを図る
- 終了条件を定める:リードナーチャリングの期間や終了条件を定め、最終目標の顧客獲得に向けたステップを明確にする
リードナーチャリングの手法
リードナーチャリングには以下のような手法があります。
- SNSマーケティング:SNSに投稿したコンテンツを通してリードとコミュニケーションを図り、信頼関係の構築を狙う
- メールマーケティング:リードにメールマガジンなどで有益な情報を提供し、興味関心の向上や信頼関係の構築を狙う
- 動画マーケティング:YouTubeやSNSなどに動画を投稿し、興味関心の向上を狙う
リードナーチャリングについては、以下の記事で詳しく解説しています。
具体的な流れや手法を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
関連記事:リードナーチャリングとは?意味や手法について徹底解説!
ステップ⑦リードクオリフィケーションを行う
リードクオリフィケーションとは、リードナーチャリングで顕在化したリードを絞り込み、商談や受注につながる可能性の高い顧客を選別するプロセスです。
リードクオリフィケーションのメリット
リードの数は獲得時点に比べて大きく減ってしまいますが、以下のメリットがあります。
- マーケティング活動の効率化
- リードへの不利益の回避
リードクオリフィケーションによって成果の出やすい顧客にアプローチできるようになるため、結果的にマーケティング活動の効果と効率が上昇します。
また、商談や受注につながる可能性が低いリードへの過度なアプローチを避けられ、今まで構築してきた関係性を失うことも防げます。
リードクオリフィケーションの主な手法
リードクオリフィケーションでは、主に「スコアリング」という手法を用います。
スコアリングとは、リードの属性や行動に応じて得点を付ける手法です。
例えば、以下のように得点を付けていきます。
- カタログページの閲覧:1点
- 資料請求ページの閲覧:3点
- 問い合わせページの閲覧:5点
定期的に得点が一定基準を超えたリードを抽出し、営業部門に情報提供してアプローチを仕掛けます。
精度の高いスコアリングができれば、営業活動の効率化やリードとの関係性構築が可能です。
ステップ⑧商談につなげる
リードに対して電話やメールでアポイントを取り、案件化しそうな場合のみ商談に移ります。
商談前には相手の業界や事業内容をしっかりと調べ、自社の提供するサービスや商品が相手にとってどのような価値があるのかを把握しましょう。
また、自社の強みや他社との差別化ポイントを明確にし、それをアピールする準備も必要です。
ステップ⑨商談する
商談では、相手のニーズや課題をしっかりと聞き取り、それに対して自社のサービスや商品がどのように対応できるのかを具体的に提示することが重要です。
また、相手の反応を見て柔軟にアプローチし、共感を得られるような提案を行うことが求められます。
問題が発生した場合も考慮して、フォローアップ体制についても説明しておきましょう。
商談の進め方については、事前にシミュレーションやロールプレイを行い、自社の営業力を高めることも大切です。
以上の方法を踏まえ、リードと商談を進めることで、受注につなげられます。
商談においては、自社商材の価値や課題解決の方法を明確に伝え、信頼関係を構築しながら進めていくことが成功の鍵となります。
ステップ⑩受注する
準備が済んだら冗談をします。
商談が成功すれば、受注につながります。
受注率は扱う商材によって変わりますが、あまりにも低い場合は「商材自体を改善する」「商談に至るまでのプロセスを改善する」といった措置をとりましょう。
また、あらためてユーザーニーズを熟考するのもおすすめです。
ステップ⑪顧客の継続化を狙う
BtoBマーケティングの特徴の1つに、継続的な取り引きとなるケースが多いことがあります。
そのため、1度受注に至った顧客に対し、継続利用につながる施策を展開することも求められます。
顧客リテンションの重要性
顧客リテンションとは、顧客との関係性を維持して自社商材を継続的に利用してもらうための施策のことです。
顧客リテンションはリード獲得から受注に至る従来のマーケティング活動に比べて格段にコストが低く、効率的というメリットがあります。
多くの企業は、新規顧客獲得に注力しすぎて、既存顧客を見落としている傾向があります。
現代の消費者は競争の激化に晒されているだけでなく、情報に触れる機会も増えてきたため、リテンションに取り組むことが重要です。
継続利用を促す方法
継続利用を促すには、以下の方法を実施して、顧客満足度を高めることが有効です。
- アフターサポートを充実させる
- 商材の情報や最新情報など、顧客にとって有益な情報を定期的に発信する
- 商材の改善や新規商材の開発を行う
- 既存顧客向けのセミナーを開催する
- アンケート調査などで顧客の声を聞き、施策や商材に反映させる
顧客満足度を向上させることで、リピート購入だけでなく、口コミによる新規顧客獲得も期待できます。
苦労して獲得した顧客を大切にすることこそ、BtoBマーケティングをさらに広げるための有効な手段です。
ステップ⑫ロイヤルカスタマー化する
ロイヤルカスタマーとは、売上貢献が高く、ブランドや企業に信頼を寄せている顧客のことです。
競合が優位の商品を出したとしても、ロイヤルカスタマーは信頼関係を築けているため、継続して利用してくれる可能性が高くなります。
ロイヤルカスタマーを育成する方法は、ターゲットを選定し、接触頻度を増やしてサービスの質を高めることです。
ロイヤルカスタマーの育成をして、売上の安定化や新規顧客獲得を狙っていきましょう。
BtoBマーケティングの戦略の立て方
BtoBマーケティングの戦略を立てる手順は以下の通りです。
- KGIを設定する
- 戦略を定める
- 手法を決める
- KPIを設定する
ステップ①KGIを設定する
自社の課題や目標を元に、KGIを設定しましょう。
KGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)とは、最終的に達成したい目標のことです。
達成度合がわかるように、数値を使って具体的に決めましょう。
例えば「年度内に売上1億円突破」といった感じです。
具体的なKGIを設定することで進捗状況を適切に把握できるうえに、目標達成までのプロセスを逆算して考えられます。
ステップ③戦略を定める
KGIを設定できたら、以下の流れで戦略を定めます。
主に、ターゲットとポジションを決めていきましょう。
1.市場調査
市場調査を通じて、ユーザーニーズや自社の強み・弱みを把握します。
以下のフレームワークを用いるのがおすすめです。
- SWOT分析
- 3C分析
- PEST分析
- ファイブフォース分析
2.セグメンテーション
セグメンテーションとは、市場をさまざまな切り口で区分し、特定の属性ごとにグループを作ることです。
市場を細かく分けることで、ニーズを細かく把握できます。
BtoBマーケティングでは、企業規模や社風、購入歴などで区分することが一般的です。
3.ターゲティング
市場を細かく分類したら、「どの市場をどのように狙うか」を決めます。
1つの市場を集中的に狙うのも良いですし、複数の市場に異なる価値を提供するのも良いでしょう。4.ポジショニング
ターゲットに設定した市場の中で、自社がどの立ち位置で勝負するかを決めます。
おすすめの方法は「ポジショニングマップ」を用いる手法です。
2つの軸に沿って競合他社と自社の現在地を明確することで、自社の強みを把握できます。
ターゲットとポジションを決めれば、ユーザーニーズを把握できるうえに、自社の強みや特徴がわかります。
ターゲティングとポジショニング次第でBtoBマーケティングの成否が決まるといっても過言ではないので、丁寧に進めてください。
ステップ④手法を決める
具体的な手法を決めます。
トレンドや競合他社の施策に流されるのではなく、自社のKGIや狙うべきターゲットと照らし合わせて決めてください。
同時に、どのようなメッセージを届けたいか、訴求方針も決めておきましょう。
ステップ⑤KPIを設定する
具体的な手法が決まったら、最後にKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)を設定します。
KPIとは、事業やプロジェクトの進捗や成果を測定するために設定される指標のことです。
1つずつクリアしていくとKGIの達成につながるため、「中間目標」とイメージするとわかりやすいでしょう。
そのため、何をKPIとして設定するかは、KGIによって変わります。
例えば、「売上を前年度比で2倍にする」というKGIを設定した場合、KPIは「受注数の増加」「顧客単価の増加」などが適切です。
KPIを設定することで施策の良し悪しを客観的に評価し、KGI達成に向けて改善を施せます。
手法に応じて、適切なKPIを設定しましょう。
ステップ⑥KPIツリーを作成する
最後にKPIツリーを作成します。
KPIツリーを作成することで、KPIとKGIの関係に矛盾がないかチェックできます。
もしも矛盾があれば、この時点で修正しておきましょう。
BtoBマーケティングのKPI設定のポイントは以下の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてください。
関連記事:BtoBマーケティングのKPI設定の手順と施策別のポイントを紹介
BtoBマーケティングの戦略を立てるときのポイント
BtoBマーケティングの戦略を立てるときのポイントは以下の通りです。
- ユーザーニーズを徹底的に理解する
- 部門間で密に連携する
- 施策実行やツール導入の理由を明確にする
ユーザーニーズを徹底的に理解する
BtoBマーケティングでもっとも重要なことは、ユーザーニーズを徹底的に理解することです。
ユーザーが求めているものを理解していないと、適切な戦略を立てたり、信頼関係を築いたりできないためです。
以下の手法を用いて、ユーザーが抱える課題や悩みを明らかにしましょう。
- 既存顧客の分析
- アンケート調査
- 見込み客へのインタビュー
ユーザーニーズを適切に理解できていれば、それに応えられるマーケティング戦略が自ずと見えてきます。
また、現在のマーケティング施策の問題点や改善点が見つかることもあります。
ユーザーが求めているものをしっかりと把握し、それに基づいて戦略を立てましょう。
部門間で密に連携する
BtoBマーケティングでは、リード獲得から受注・継続利用に至るまで、社内のさまざまな部門が関係します。
そのため、部門間で密な連携をとることが、目的達成のために重要となります。
密な連携を図るためには、部門ごとに異なる業務フローを共有することが大切です。
具体的には、各部署の担当者が定期的なミーティングを行い、自分たちの業務内容や進捗状況を報告することが求められます。
また、他の部署の業務内容や進捗状況についても把握することが必要です。
さらに、部門間での情報共有ために、適切なツールの導入も重要です。
共有ドライブやチャットツール、プロジェクト管理ツールなどを活用することで情報の漏れを防ぎ、スムーズかつ迅速な情報共有が可能になります。
部門間での密な連携は、組織全体の業績向上につながります。
しっかり連携し、施策の進捗状況を把握できるようにしておきましょう。
施策実行やツール導入の理由を明確にする
「競合他社がやっているから」というで施策を実行したり、ツールを導入したりしないようにしましょう。
理由なく施策実行やツール導入に踏み切った場合、目的に合わなかったり、費用対効果が見合わなかったりする可能性があります。
例えば、リード管理のためにMAツールを導入しても、BtoCに比べてリード数が少ない傾向にあるBtoBマーケティングでは、持て余してしまうことが考えられます。
そのため、施策を実行する際やツールを導入する際は、以下のポイントを意識しましょう。
- 施策実行の場合:具体的なメリット・施策が解決する課題を明確にする
- ツール導入の場合:自社の目的に合わせてツールの選定を行う
BtoBマーケティングの戦略策定でありがちな失敗
BtoBマーケティングの戦略を立てるときにありがちな失敗が、施策導入を目的にしてしまうことです。
「施策導入を目的にする」とは、「オウンドメディアを始めよう」「Web広告を出稿してみよう」というように、手段を実行することが目的になるBtoBマーケティングを始めることです。
施策導入を目的にすしてしまうとユーザーニーズや自社の現状を把握できず、訴求メッセージを固められません。
結果、自社商材のメリットや魅力をユーザーに届けられず、マーケティング活動は失敗に終わってしまいます。
ユーザーニーズを正確に把握し、自社の商材でニーズをどのように満たせるかを考えるところから始めましょう。
BtoBマーケティングの成功事例
ここで、BtoBマーケティングの成功事例を5つ紹介します。
成功のポイントを把握し、戦略策定する際の参考にしてください。
ログリー株式会社
引用:ログリー株式会社
ログリー株式会社は、新規リード獲得を目指してBtoBマーケティングに取り組みました。
参考になるのが、ユーザーとのコミュニケーションを意識して、ニーズを把握した点です。
具体的には、インタラクティブコンテンツを活用して、ユーザーと双方向のコミュニケーションを図りました。
インタラクティブコンテンツとは、Web上での体験を通して、ユーザーとのコミュニケーションがとれるコンテンツのことです。
これによってニーズを把握し、EBOOKの充実やサイト内導線の見直しなどを実施しました。
結果、リード獲得数が2倍に増えました。
ライオン株式会社
引用:ライオン株式会社
ライオン株式会社は、「問い合わせページからの問い合わせが少ない」という課題を抱えていました。
そこで、「Webサイトからの問い合わせ増加」を目的に、マーケティング施策の見直しを行いました。
具体的な取り組みは以下の通りです。
- 各製品ページから問い合わせページに誘導する導線作り
- 問い合わせ内容を分析してニーズのあるコンテンツを作成
結果、問い合わせ件数は3か月で約6倍に増加しています。
月平均売上は3.5倍まで増えました。
大阪ケミカル株式会社
引用:大阪ケミカル株式会社
大阪ケミカル株式会社はオフラインでのマーケティング活動をメインに行ってきましたが、効果が出にくくなってきたことでオンラインマーケティングにシフトし、新規顧客の獲得を目指しました。
マーケティング活動のポイントは、ターゲットが多く集まる場所を狙ったことです。
大阪ケミカル株式会社の主なターゲットは、製造業と医薬食品の研究開発分野でした。
マーケティング活動では、それぞれの分野の見込み客が多く集まるプラットフォームを狙って施策を実行しました。
結果、
- 6,000万円を超える売上を達成し、費用対効果が向上
- ユーザーの声を聞けるようになり、ニーズに合った商品展開が可能に
- 医療機器分野に進出するという新規事業を創出
株式会社ストライク
引用:株式会社ストライク
株式会社ストライクは、オウンドメディア運用によってBtoBマーケティングを成功させています。
近年、M&Aに関する情報収集は、オフラインからオンラインへとシフトしました。
株式会社ストライクでは「オンラインでの情報発信」を強化します。
具体的には、ユーザーニーズを把握した後、M&Aに関するニュースや案件情報といった需要の大きいコンテンツをオウンドメディアに掲載しました。
結果、月間PV数は100万を突破しました。
株式会社村田製作所
引用:株式会社村田製作所
株式会社村田製作所では、「ユーザーの購入プロセスが可視化されていない」という課題がありました。
そこで、MAツールを導入し、ユーザー1人ひとりの行動を可視化したそうです。
結果、ニーズに応じたアプローチをとれるようになり、ナーチャリングが強化されました。
そして、売上高1兆円突破という大きな成果も実現しています。
BtoBマーケティングの成功事例は、以下の記事で紹介しています。
成功のポイントも解説しているので、ぜひ参考にしてください。
関連記事:BtoBマーケティングの事例15選と成功する企業に共通するポイント
アウトソーシングもBtoBマーケティングの戦略の1つ
ここまで、BtoBマーケティングの流れや戦略の立て方について解説してきました。
「BtoBマーケティングにおける戦略設計の重要性がわかった」「自社が取り組めていないポイントが見つかった」と感じている方も多いでしょう。
しかし、
- BtoBマーケティングに十分な社内リソースを充てられるかわからない
- 自社にどのような施策やツールが必要か想像がつかない
- そもそも自社に専門的なノウハウがない
といった悩みをお持ちの方もいるかもしれません。
悩んでいる方におすすめなのが、BtoBマーケティングを支援している会社にアウトソーシングすることです。
BtoBマーケティングを支援している企業は多く、それぞれが専門的なノウハウを蓄積し、独自の強みを持っています。
依頼することで社内リソースを最小限に抑えてBtoBマーケティングに取り組めるうえに、成果につながる可能性も大きく上昇します。
自社だけでBtoBマーケティングに取り組むのが不安な場合は、外注を検討してみてはいかがでしょうか。
弊社テクロでも、BtoBに特化した伴走型のWebマーケティング支援サービスを提供しています。
具体的には、戦略設計からコンテンツ制作までを一気貫通で支援するオウンドメディア運用支援や、BtoBマーケティングの戦略立案を行うコンサルティングサービスを提供しています。
BtoBマーケティングに関する各種セミナーも開催しているので、興味のある方はお気軽にご参加ください。
以下の記事では、BtoBマーケティングを支援している企業25社を紹介しています。
「どの企業に外注するか比較検討したい」という方は、ぜひ参考にしてください。
関連記事:プロが選ぶBtoBマーケティング支援企業25選!選び方を紹介
まとめ:入念な戦略策定でBtoBマーケティングを成功させよう
BtoBマーケティングで戦略設計が必要な理由や、戦略の立て方について解説しました。
最後に、BtoBマーケティングで戦略を立てるときのポイントをまとめておきます。
- ユーザーニーズを徹底的に理解する
- 部門間で密に連携する
- 施策実行やツール導入の理由を明確にする
BtoBマーケティングでもっとも重要な点は、ユーザーニーズの理解です。
ユーザーが抱えている悩みや望んでいるものを理解することで、適切な施策を実行し、成功に近づくけます。
ユーザーニーズの理解に努め、結果を元に目的を持ち、緻密な戦略を立てて実行していきましょう。
ただし、もし自社だけでBtoBマーケティングに取り組むのが不安な場合は、アウトソーシングも検討してください。
なお、テクロ株式会社では、BtoBマーケティングの戦略設計についてまとめた資料「成功するBtoBマーケティング計画の立て方」を無料で配布しています。
マーケティング戦略立案でよくある悩みとその解決策について知りたいBtoB企業様は、ぜひ参考にしてください。