BtoB|新規事業を成功に導くマーケティング戦略策定のコツを解説
BtoB企業において、新規事業の立ち上げは大きな挑戦です。
既存事業とは異なる市場や顧客をターゲットとするため、従来のマーケティング戦略が通用しないケースも多く、事業を軌道に乗せるまでに苦労することも多数あります。
実際に「どのようなマーケティング戦略を練れば、新規事業を軌道に乗せられるのか」と、疑問を抱えている方も多いでしょう。
そこで本記事では、新規事業マーケティングの進め方やポイント、役に立つフレームワークなど、新規事業を成功に導くための実践的なノウハウを解説していきます。
新規事業マーケティングに課題をお抱えの方は、ぜひ参考にしてください。
なお、テクロ株式会社では、マーケティング会社が新規事業開発の際に行っているノウハウについて解説している資料、新規事業開発を成功させる「勝ちプロセス」を提供しています。
新規事業マーケティングでお困りの場合は、ぜひご活用ください。
目次
新規事業マーケティングの重要性
新規事業を成功させるためには、綿密な計画と戦略的な実行が不可欠です。
その中でも「マーケティング戦略」は、事業の成長を大きく左右する重要な要素の一つです。
新規事業のマーケティング戦略を適切に策定し、実行することで、
- 顧客獲得
- 市場開拓
- 競合との差別化
- 事業の安定化
市場の変化と新規事業の必要性
現代社会は、
- テクノロジーの進化
- グローバル化
- 社会構造の変化
など、さまざまな要因によって、かつてないほど急速な変化を遂げています。
このような変化によって既存事業の市場環境は大きく変化しており、企業は新たな事業領域への進出を迫られています。
例えば、インターネットの普及によってEC市場が拡大したことで、従来型の小売業は大きな影響を受けました。
また、AIやIoTなどの技術革新は、さまざまな産業で新たなビジネスチャンスを生み出す一方で、既存のビジネスモデルを大きく変える可能性を秘めています。
企業はこのような市場の変化に迅速に対応しなければ、現代のビジネス環境の中で生き残ることは難しいといえます。
そのため、新規事業を創出して、自社の成長と持続可能なビジネスモデルの構築が求められるのです。
新規事業と既存事業のマーケティング戦略の違い
そもそも「マーケティング戦略」とは、市場環境や顧客ニーズなどのさまざまな状況を踏まえて「誰に」「どのような価値を」「どのように提供するか」という計画を立てることです。
新規事業と既存事業のマーケティング戦略で大きく異なる点は、顧客データの有無です。
新規事業のマーケティング戦略を立てる場合、顧客データが十分に揃っていないため、仮説ベースで話が進みます。
そのため、既存事業以上に入念な市場調査と競合分析が求められます。
一方で既存事業の場合、すでに市場の状況や顧客ニーズが明らかであるため、データを基にマーケティング戦略を立てることが可能です。
新規事業立ち上げ時によくある失敗
新規事業立ち上げの際は、入念なマーケティング戦略を練っておかないと失敗につながるリスクが高まります。
ここからは、企業が新規事業立ち上げの際に陥りやすい失敗を4つ紹介します。
そもそも顧客ニーズがない
ひとつ目は「そもそも顧客ニーズがない」という失敗です。
「◯◯というニーズがあるはず」と思って「◯◯のニーズに対応したサービス」をリリースしたものの、実際にそのようなサービスを求めている人はいないというケースです。
仮説として考えていた顧客ニーズが存在しない場合、SNSやWeb広告などの施策を実行しても、目立った成果は得られません。
リードの質が低く、商談につながらない
2つ目は「リードの質が低く、商談につながらない」という失敗です。
セミナーや展示会などで多くのリードを獲得するものの、商談につながらないというケースです。
リード獲得後のフォローやインサイドセールスの改善によって解決する場合もありますが、「そもそものターゲット設定がズレている」といった原因で、商談化しないことが考えられます。
商談にはつながるが受注につながらない
3つ目は「商談にはつながるが受注につながらない」という失敗です。
すでに明確な市場がある分野に、後発で参入する場合に起きやすい失敗です。
営業担当者のスキル不足という問題も考えられますが、そもそも競合他社との差別化が不明確という原因が考えられます。
受注を得ても解約されてしまう
4つ目は「受注を得ても解約されてしまう」という失敗です。
受注を獲得できたとしても、以下のような場合があります。
- サブスクリプション型のビジネスモデル:予想以上に解約率が高い
- リピートを前提としたビジネスモデル:予想以上にリピート率が低い
新規事業を成功に導くマーケティング戦略立案・実行の7つのステップ
不確定要素の多い新規事業を軌道に乗せるには、どのようにマーケティング戦略を立てると良いのでしょうか。
ここからは、新規事業を成功に導くためのマーケティング戦略の立て方を、7つのステップに分けて解説します。
ステップ1.市場調査
まずは市場調査を行います。
市場調査とは、新規事業を始める前に市場の状況や顧客ニーズを調査することです。
市場調査を行うことで、市場の現状を的確に把握してマーケティング戦略に活かせるようになるため、新規事業の成功確率を高めることが可能です。
業界の特性によって調査する内容は多少変化しますが、基本的には次の2つを調査するようにしましょう。
市場規模と成長性:将来性を予測
- 市場規模:特定の市場における商品の販売額やサービスの利用者数
- 市場の成長性:市場規模が今後どのように変化していくかを示す指標
市場規模と成長性を分析することで、新規事業の将来性を予測できるようになります。
以下の情報を集めて、新記事業の将来性を分析してみましょう。
- 業界団体や政府機関の統計データ:市場規模や成長率に関するデータ
- 市場調査会社のレポート:市場動向や顧客ニーズに関するデータ
- 競合企業の発表資料:市場シェアや販売実績に関するデータ
- 経済指標:GDP成長率や消費者物価指数に関するデータ
市場動向:業界トレンドを把握
市場動向とは、市場における商品の販売動向や、顧客の購買行動の変化のことです。
市場動向を分析することで、顧客ニーズや競合の動向といった業界のトレンドが把握できるため、適切なマーケティング戦略の策定に役立ちます。
以下の情報を集めて、市場動向を分析してみましょう。
- 業界誌やニュース記事:業界の動向に関する情報
- 市場調査会社のレポート:市場動向や顧客ニーズに関する情報
- SNS上の情報:顧客の口コミや評判
- 政府機関の発表資料:政策動向や規制に関する情報
ステップ2.競合分析
次に競合分析を行います。
競合分析で得られた情報に基づき、自社の新規事業を差別化するための戦略を策定します。
競合他社との差別化は、新規事業の成功にとって非常に重要な要素です。
顧客に選ばれるためには、競合にはない独自の価値を提供する必要があるからです。
次に紹介する3つのポイントを意識して、競合他社との差別化ポイントを明確にしましょう。
競合の強みと弱み:SWOT分析を活用
まずは「SWOT分析」というフレームワークを活用します。
SWOT分析とは、自社の内部環境と外部環境を以下の4つの要素で分析し、事業戦略を策定するためのフレームワークです。
強み(Strengths) | 自社の長所や得意とするところ。内部環境のプラス要素。 |
弱み(Weaknesses) | 自社の短所や苦手とするところ。内部環境のマイナス要素。 |
機会(Opportunities) |
社会や市場の変化などにより、自社にとってプラスに働く外部環境のプラス要素。 |
脅威(Threats) | 社会や市場の変化などにより、自社にとってマイナスに働く外部環境のマイナス要因。 |
SWOT分析を活用することで、自社の強みや競合との差別化ポイント、市場の状況などをわかりやすく整理でき、新規事業の方向性を見出しやすくなります。
競合の戦略:差別化ポイントを明確化
競合他社が採用しているマーケティング戦略の分析も重要です。
以下の点に注目しながら、自社の新規事業を差別化するヒントを探してみましょう。
- 価格戦略: 価格に関する戦略
- 商品・サービス差別化戦略:独自の商品・サービスを提供する戦略
- 満足度向上戦略:顧客満足度を高めるための戦略
- ブランドイメージ戦略:ブランドイメージを構築し、顧客の信頼を獲得する戦略
- 販売チャネル戦略:顧客にリーチしやすい販売チャネルを構築する戦略
競合他社のマーケティング戦略を分析することで、以下のポイントを把握できます。
- どのような顧客層に焦点を当てているのか
- どのようなメッセージで顧客に訴求しているのか
- どのような販売チャネルを利用しているのか
これらの情報を基に、自社の新規事業の差別化ポイントを明確にしましょう。
競合との差別化:独自の強みを生み出す
競合他社との差別化には、競合他社にはない自社独自の強みを生み出すことが重要です。
例えば、以下のような差別化戦略が考えられます。
- 高品質な商品・サービスの提供:最高の品質を提供することで、顧客満足度を高める
- 独自の機能やサービスの提供:競合にはない独自の機能やサービスを提供することで、顧客のニーズを満たす
- 優れたサービスの提供:顧客に寄り添い、丁寧なサポートを提供することで、顧客との関係性を強化する
- ブランドイメージの構築:信頼されるブランドイメージを構築することで、ロイヤリティを高める
- 販売チャネルの強化:顧客にリーチしやすい販売チャネルを構築することで、顧客獲得を促進する
自社の強みを活かし、顧客のニーズを満たす独自の価値を提供できると、競合他社との差別化を図り、新規事業の成功につながります。
ステップ3.市場の細分化
次に、市場をさらに細かく分析していきます。
具体的には、市場を一定の特徴ごとに分割して、分割した市場ごとに分析を行い、新規事業を立ち上げるターゲット市場を明確にします。
市場を分類する切り口は、具体的には以下の通りです。
分類方法 | 意味 | 具体例 |
人口動態編数 | 一般的に使われる分類方法 | 年代、性別、職業、所得 |
地理的変数 | 生活に身近な食品や医療品など、地理的要因で差が出やすい事業に向いた分類方法 | 地域、気候、人口密度、生活習慣 |
心理的変数 | ある人口動態変数について、性格や価値観、ライフスタイルに基づいてさらに詳細に分類する方法 | ライフスタイル、社会階層 |
行動変数 | 顧客の行動パターンや反応による分類方法 | 使用頻度、使用場面、知識の有無 |
市場の細分化を行うことで、より効率的なマーケティング活動が可能です。
ステップ4.顧客ターゲティング
新規事業のマーケティングにおいて、もっとも重要な要素が「顧客ターゲティング」です。
顧客ターゲティングとは、自社の商品・サービスを購入する可能性が高い顧客層を特定し、その顧客層に焦点を当ててマーケティング活動を行うことを指します。
適切な顧客ターゲティングを行うことで、マーケティングコストの削減、マーケティング効果の最大化、そして新規事業の成功確率を高めることが可能です。
ペルソナ設定:理想の顧客像を明確化
ペルソナとは、自社の商品・サービスを利用する典型的な顧客像のことです。
ペルソナ設定では、以下の要素を具体的に設定してきます。
- 属性:年齢、性別、職業、趣味など
- 行動特性:購買行動、情報収集方法、ライフスタイルなど
- 心理状態:価値観、悩み、願望など
例えば、新しいクラウドサービスを開発する企業であれば、以下のようなペルソナを設定できます。
- 名前:田中太郎
- 年齢:35歳
- 職業:中小企業の経営者
- 属性:ITリテラシーが高く、業務効率化に強い関心を持つ
- 行動特性:インターネットで情報収集をすることが多く、新しいツールを積極的に導入する
- 心理状態:業務の負担を軽減し、従業員の生産性を向上させたいと考えている
特定の人物が想像できるレベルまで詳細なペルソナを設定することで、より深い顧客理解につながり、より顧客視点に立ってマーケティング戦略を立てることが可能です。
詳細なペルソナ設定の方法は以下の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてください。
関連記事:BtoBマーケティングでのペルソナ設定の手順・ポイントを徹底解説
ターゲット顧客のニーズを理解する
ペルソナを設定した後は、ターゲット顧客のニーズを深く理解する必要があります。
顧客のニーズを把握することで、顧客が本当に求めている商品・サービスを提供し、顧客満足度を高めることが可能です。
以下の方法を用いて、顧客ニーズの理解に努めましょう。
- アンケート調査:顧客にアンケートを実施し、ニーズや要望を直接聞き取る
- インタビュー調査:顧客と個別に対話を行い、ニーズを深く掘り下げる
- 市場調査:市場データや競合情報などを分析し、顧客ニーズを推測する
- SNSモニタリング:SNS上の顧客の声を収集し、ニーズを把握する
顧客ニーズの理解は、新規事業の成功に不可欠です。
顧客が抱える課題を解決する商品・サービスの提供で、顧客の支持を獲得し、事業を成長させましょう。
顧客セグメント:ターゲットをさらに細分化
顧客ターゲティングでは、ターゲット顧客をさらに細分化する「顧客セグメント」が求められます。
顧客セグメントを行うことで、より的確な訴求ができ、顧客満足度向上につながるからです。
顧客を分類する基準は、年齢、性別、職業、購買行動、ライフスタイルなどさまざまです。
例えば、前述のクラウドサービスを例にすると、以下のような顧客セグメントができます。
セグメント | 特徴 | ニーズ |
中小企業の経営者(30代〜40代) | ITリテラシーが高く、業務効率化に強い関心を持つ | 従業員の生産性向上、業務負担の軽減 |
中小企業の管理部門担当者(40代〜50代) | コスト削減意識が高く、セキュリティ対策に強い関心を持つ | コスト削減、データセキュリティの強化 |
スタートアップ企業の開発部門担当者(20代〜30代) | 柔軟性と拡張性に優れたサービスに強い関心を持つ | 開発効率の向上、迅速なサービス導入 |
顧客セグメントを行うことで、各セグメントに最適な訴求が明確にできます。
上の例の場合、中小企業の経営者には従業員の生産性向上を訴求するメッセージを、中小企業の管理部門担当者にはコスト削減とセキュリティ強化を訴求するメッセージを伝えることが、最適な訴求といえます。
ステップ5.ポジショニング
ポジショニングとは、市場における自社の立ち位置を決めることです。
ポジショニングを確立できれば、競合他社との差別化が明確となり、顧客に自社の強みを示しやすくなります。
後述する「ポジショニングマップ」などのフレームワークを用いながら、自社のポジションを明確にしましょう。
ステップ6.マーケティング戦略の実行
ここで初めて、具体的なマーケティング施策を実行します。
施策を実行する際は必ずKPIを設定し、KPIに基づいて実行しましょう。
KPI(Key Performance Indicator/重要業績評価指標)とは、施策の進捗状況を評価するための中間指標のことです。
KPIをひとつずつクリアしていくことで、最終目標であるKGI(Key Goal Indicator/重要目標達成指標)の達成につながります。
以下の記事でBtoBにおけるKPI設定のポイントを解説しているので、ぜひ参考にしてください。
関連記事:BtoBマーケティングにおけるKPI設計のポイントを徹底解説
ステップ7.効果検証と改善
施策を実行した後は、マーケティング戦略の最適化を目指して、効果検証と改善を行います。
主観ではなく、顧客の行動データや販売データなどの事実に基づいて、改善点やさらに伸ばすべきポイントを明確にしましょう。
新規事業のマーケティング戦略では、ターゲットとする市場が明確でない場合が多く、外部環境の変化が大きくなりやすい特徴があります。
市場動向や競合他社の動き、顧客ニーズの変化などに注目し、PDCAを回して改善を続ける習慣をつけましょう。
新規事業のマーケティングで役に立つフレームワーク
次に、新規事業のマーケティングで役に立つフレームワークを7つ紹介します。
3C分析:事業の戦略や方向性を決める
3C分析とは、次の3つの要素を組み合わせて分析するフレームワークです。
- 顧客・市場(Customer)
- 競合他社(Competitor)
- 自社(Company)
顧客・市場、競合他社の視点から、自社の強みや弱み、市場でのポジションを把握できます。
自社を取り巻く環境を把握できるため、事業の戦略や方向性を決める際に役立ちます。
4C分析:顧客視点で考える
4C分析とは、次の4つの要素を組み合わせて分析するフレームワークです。
- コスト(Cost)
- 顧客価値(Customer Value)
- 利便性(Convenience)
- コミュニケーション(Communication)
3C分析が企業視点でのフレームワークであるのに対し、4C分析は顧客視点で考えるフレームワークです。
3C分析と組み合わせて活用することで、より多角的に自社の状況を把握できます。
SWOT分析:市場の状況を包括的に把握できる
SWOT分析とは、以下の4つの要素から、自社の内部環境と外部環境を評価するときに使用するフレームワークです。
- 強み(Strengths)
- 弱み(Weaknesses)
- 機会(Opportunities)
- 脅威(Threats)
自社の強みと弱みを客観的に把握し、リスクを洗い出す際に役立つフレームワークです。
また、競合他社などの脅威や市場の変化などの機会と比較することで、事業の方向性や改善といった戦略も明確にできます。
4P分析:顧客ニーズを深められる
4P分析とは、自社の商品・サービスを以下の4つの視点から分析するフレームワークです。
- Product(商品・サービス)
- Price(価格)
- Promotion(販促方法)
- Place(流通・販促場所)
5フォース分析:業界の将来性を分析する
5フォース分析とは、次の5つの視点から業界や競合他社の将来性を分析し、収益の見通しを立てる際に使うフレームワークです。
- 業界内の競合他社
- 代替品の脅威
- 新規参入の障壁
- 売り手の力
- 買い手の力
PEST分析:自社を取り巻く外部環境をマクロに捉える
PEST分析とは、次の4つの視点から、自社に与える外部環境の要因を評価・分析する際に使用するフレームワークです。
- 政治(Political)
- 経済(Economic)
- 社会(Social)
- 技術(Technological)
市場の動きだけでなく、法律や技術、物価など、世間に大きな影響を与えるものをマクロ視点で分析するため、事業の方向性を決める際に役立ちます。
また、商品・サービスのアイデア出しにも有効です。
ポジショニングマップ:自社のポジションを明確にする
ポジショニングマップとは、自社や競合他社が市場でどのような位置付けにあるか、可視化するフレームワークです。
自社の商品・サービスを評価できる指標を縦軸と横軸に設定し、それぞれのエリアに自社と競合他社を当てはめて、ポジションを明確にします。
大事なのは、特に重要な購買決定要素を縦軸と横軸に設定することです。
市場における自社と競合他社の位置付けが明確になることで、狙うべきポジションが定まります。
新規事業を軌道に乗せるマーケティング戦略を立てるポイント
次に、新規事業マーケティングを立てる際のポイントを4つ紹介します。
「誰の」「どのような課題を解決したいか」を明確にする
新規事業マーケティングでもっとも重要な要素のひとつが、新規事業の出発点であるターゲット顧客とそのニーズを明確にすることです。
「誰の」「どのような課題を解決したいか」を明確にすることで、的確な商品・サービスの開発、効果的なマーケティング戦略の立案・実行が可能となります。
これまでに紹介した手法を用いて、表面的なニーズだけでなく、潜在的なニーズを明らかにしましょう。
アーリーアダプターを獲得する
アーリーアダプターとは、新しい商品・サービスをいち早く取り入れて、周囲に大きな影響を与える人のことです。
「積極的に情報収集・発信をする」「トレンドに敏感」といった特徴があります。
新規事業はアーリーアダプターから一般顧客へと普及する傾向が強いため、新規事業の成功は、アーリーアダプターに受け入れられるか否かによって決まる可能性が高くなります。
アーリーアダプターの獲得方法には
- わかりやすい訴求
- サンプルの提供
- SNSの活用
などがありますが、重要なのは「潜在ニーズに対して適切なアプローチがとれているか」です。
「アーリーアダプターを獲得しよう」というよりも、まずは基本である「顧客理解を深める」を徹底してください。
KPIに基づいて施策を実行する
新規事業マーケティングでは、適切なKPIを設定し、それに基づいて施策を実行することが重要です。
マーケティング施策の効果を客観的に評価し、継続的な改善を図るためです。
中でも新規事業マーケティングでは、以下のKPIが重要といわれています。
- コンバージョン率(CV率)
- 顧客獲得コスト(CAC)
- リードジェネレーション数
- Webサイトトラフィック
これらのKPIを基にPDCAを回すことで、マーケティング戦略の最適化ができるようになります。
長期的な視野を持っておく
新規事業マーケティングでは、自社の理念や方針を踏まえた上で、長期的に見て競合他社と差別化を図ることが大切です。
そのためには、商品・サービスの改善や顧客との関係強化といった、具体的な課題一つひとつに応えることから始めるのが効果的です。
スモールステップを刻んで差別化要素を拡充すると、以下のことが期待できます。
- 社内体制の習熟
- 商品・サービスの改善
- 技術力向上・品質向上
- 継続的な利用の促進
新規事業のマーケティング戦略を立てる際の注意点
最後に、新規事業のマーケティング戦略を立てる際の注意点を2つ紹介します。
撤退基準を決めておく
膨大な費用がかかる新規事業マーケティングでは、失敗のリスクを見越して、撤退基準を決めておきましょう。
明確な撤退基準を設けないままスタートさせると、既存事業にも悪影響が及ぶ恐れがあります。
「多少のリスクは必要」と思って突き進んでしまうと、巨額の赤字や負債を抱え込む事態になりかねません。
最悪の場合は、経営破綻に陥ってしまうことも考えられます。
しかし、撤退基準を設けることで、大きな損失を回避できます。
いつまでに、どのような成果を出さなければ撤退するのか、明確な基準を決めておきましょう。
プロモーションに取り組むのは軌道に乗ってから
プロモーションに取り組むのは、新規事業が軌道に乗ってからにしましょう。
顧客ニーズと新規事業がマッチし、競合他社との差別化が確立してからプロモーションに取り組むことで、無駄なコストを抑えられるからです。
まずは「売れる状態を作る」ことに注力してください。
まとめ|新規事業マーケティング戦略で成功をつかもう
新規事業マーケティングの進め方やポイント、フレームワークについて解説しました。
今回解説した中で特に重要なポイントは以下の通りです。
- 入念な市場調査と競合分析によって自社のポジションを明確にする
- ターゲット顧客と顧客ニーズを明らかにする
- 効果検証と改善を繰り返してマーケティング戦略の最適化を図る
新規事業は不確定な要素が多いため、入念な戦略策定が重要です。
自社だけで取り組むのが不安な場合は、マーケティング会社などの外部の力も借りながら取り組むと良いでしょう。
なお、テクロ株式会社では、マーケティング会社が新規事業開発の際に行っているノウハウについて解説している資料、新規事業開発を成功させる「勝ちプロセス」を提供しています。
新規事業マーケティングでお困りの場合は、ぜひご活用ください。