オウンドメディアの構築・運用の費用は?項目別の相場を徹底解説
オウンドメディアを構築・運用するには、人員や外注などのリソースを調達するための費用がかかります。
「構築から運用までの費用相場がわからないから、なかなか導入に踏み切れない」と感じている方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、オウンドメディアの構築・運用にかかる費用について解説します。
項目別の費用相場も紹介しているので、これからオウンドメディアを始めようと検討している方、マーケティング支援会社に依頼したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
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目次
オウンドメディアの立ち上げにかかる費用内訳
オウンドメディアを立ち上げるためには、コンテンツを整えるために準備が必要です。
また、オウンドメディアの運営には人員リソースを手配するためのコストがかかります。
オウンドメディアを立ち上げるための費用として、以下の項目を確認しましょう。
- 戦略設計費
- サイト設計費用
- デザイン費用
- コーディング費用
ターゲットや事業の枠組みを決める「戦略設計費」
設計戦略費とは、目的やコンセプトなど、オウンドメディアの枠組みを決めるときに必要な費用のことです。
「誰に対して、どのような情報を提供するか」という企画にかかる費用です。
具体的には、以下のポイントを検討します。
- 運用の目的
- ターゲット
- 集客方法
- コンセプト
マーケティングのノウハウがある場合は、自社で設計戦略を実施できます。
しかし、設計戦略はオウンドメディア構築の中でももっとも重要なポイントです。
経験や知識、ノウハウが少ない状態で戦略設計を行うと、適切な設計ができず、成果が見込めないリスクがあります。
そのため、よほど自信がない限り、マーケティング支援会社に依頼するのがおすすめです。
マーケティング支援会社は専門ノウハウを有しているため、優れたコンテンツを制作できます。
SEOの成否を決めるサイト構造を決める「サイト設計費」
サイト設計費は、サイト全体のサイトマップやワイヤーフレームを設計するための費用です。
企画やディレクション費に含まれている場合もあれば、別に項目が設定されていることもあります。
サイト設計の目的はWebサイトのテーマやコンテンツの方向性をあらかじめ設定しておき、ユーザーや検索エンジンのクローラーにとって分かりやすくすることです。
サイトの設計はWebサイトの土台となるもので、しっかりしたサイト設計をすることがオウンドメディアの成功につながります。
企業ブランドを左右する「デザイン費」
デザイン費は、オウンドメディアのサイトデザインを決めるために必要な費用です。
最近ではWordPressなどのCMSによって、費用を抑えたサイトデザインができます。
CMS(Contents Management System)とは、HTMLなどの専門知識がなくても、Webサイト制作・更新・運営ができるシステムのことです。
プログラミングの知識が不要なので、テンプレートなどを使えば初心者でも見栄えの良いWebサイトを作れます。
しかし、オリジナリティを出したいなら、プロに依頼して納得のいくデザインに仕上げてもらうのがおすすめです。
オウンドメディアのデザインから得られる情報によって企業ブランドの印象は左右されるため、慎重に決めていきましょう。
デザインを実装する「コーディング費」
コーディングとは、デザインや機能などをサイトに実装するために、プログラミング言語を使ってソースコードを作成することです。
コーディング費は、WordPressなどのCMSを使えば抑えられます。
しかし、オウンドメディアで成果を出すには、CMSを使う場合でも、機能を充実させるためにプラグインなどを使ったカスタマイズは必要です。
CMSのカスタマイズには専門的な知識が必要で、ノウハウがない場合は非常に難しいでしょう。
新しいCMSをインストールしたら、他のCMSと干渉してサイトに不具合が生じるなど、トラブルも起きがちです。
そのため、CMSに関するノウハウがない場合は、マーケティング支援会社に依頼するのがおすすめです。
オウンドメディアの立ち上げ費用の相場
次に、オウンドメディア立ち上げにかかる以下の4つの費用の相場について解説します。
- 戦略設計費
- サイト設計費
- デザイン費
- コーディング費
戦略設計費・サイト設計費
戦略設計費・サイト設計費の相場は5〜30万円前後です。
CMSを使った場合は安くなりますが、オリジナルデザインでページ数が増えてくると、金額は高くなります。
また、CMSを使用する場合、マーケティング支援会社によっては、アカウント取得やCMS設定にかかる費用を「初期費用」として料金設定しているマーケティング支援会社もあります。
デザイン費・コーディング費
デザイン費・コーディング費の相場は15〜100万円前後です。
戦略設計費・サイト設計費と同様に、CMSを使用する場合は安くなり、オリジナルデザインにする場合やページ数が多くなる場合は高くなります。
場合によっては、数百万円かかることもあるでしょう。
また、別途SEO対策を依頼する場合も、追加料金が必要です。
しかし、費用を気にし過ぎて納得のいかないデザインで妥協してしまうと、思ったような成果につながらない可能性があります。
ユーザーの目に触れる部分なので、費用を惜しまず、納得のいく仕上がりを目指すのが良いでしょう。
オウンドメディアの立ち上げ費用を安く抑える方法
ここまで見てきたように、オウンドメディアの構築をマーケティング支援会社に依頼する場合、多額の費用が必要です。
しかし、オウンドメディアに充てられる予算にも限りがあるため、無駄な費用はカットしたいですよね。
そこでここからは、オウンドメディアの構築にかかる費用を抑えるポイントを3つ紹介します。
どの部分を外注するか明確にする
まずは「どの部分を外注するか」を明確にしましょう。
社内にノウハウがある場合は、自社で賄った方が費用を抑えられます。
例えば、社内にマーケティングチームがいる場合や従業員に記事執筆の担当者がいれば、コンテンツ作成の内製化が可能です。
サイト制作から戦略立案を外部に任せて、コンテンツ制作を内製化すれば費用を抑えられる場合があります。
ただし、自社で賄う部分の負担が大きすぎて、日常の業務に影響が出ないように注意してください。
複数のマーケティング支援会社に見積もりを依頼する
多くのマーケティング支援会社は、無料で見積もりを出してくれます。
そのため、外注する部分が決まったら、複数社に見積もりを出すことをおすすめします。
見積もりを見るときには、どこまでの作業が料金に含まれているか、具体的な内容をチェックしましょう。
例えば、
- デザイン
- コーディング
- 記事制作
- 運用後のサポート
不明点は契約前に質問し、解決しておくと両者の思い違いをなくして契約後のトラブルを防げます。
契約書を比較して、もっともコストパフォーマンスが良いと思うマーケティング支援会社を選びましょう。
クラウドソーシングサービスを利用する
クラウドソーシングサービスを利用することで、運用にかかる費用を抑えられます。
記事制作であれば、1記事あたり1,000円~1万円程度で依頼することも可能です。
ただし、
- ライターのスキルによって品質に差が出る
- 信頼関係が築きにくい
というデメリットがあります。
そのため、社内に担当者を設けて、納品の度にクオリティをチェックするようにしましょう。
オウンドメディアの運用にかかる費用内訳
オウンドメディアは立ち上げだけでなく、運用にも費用がかかります。
ホームページなどに比べると、オウンドメディアは運用費の割合が大きいのが特徴です。
ここからは、オウンドメディアの運用にかかる費用として、以下の4つを紹介します。
- サイト維持費
- 分析調査費
- マーケティング費
- コンテンツ制作費
サイト維持費
サイト維持費とは、オウンドメディアを運用する上で、継続的に必要な費用のことです。
主に以下の2種類があります。
- サーバー代
- ドメイン代
サーバー代
サーバーは、オウンドメディアなどのWebサイトを維持するために必要なものです。
自社で用意することもできますが、高度な知識と初期費用が必要です。
加えて、サーバーを設置するスペースが必要な上に、24時間毎日稼働させないといけないため、電気代もかかります。
そのため、多くのWebサイトでは「レンタルサーバー」を利用しています。
レンタルサーバーとは、その名の通り、サーバーを貸し出すサービスのことです。
初期費用に加えて月々の利用料を支払う必要がありますが、業者側でサーバーの準備や管理をしてくれるため、手間がかかりません。
月額利用料も、自社でサーバーを維持・管理するのに比べると抑えられます。
そのため、明確な理由がある場合を除いて、レンタルサーバーを利用するのがおすすめです。
なお、無料で利用できるレンタルサーバーもありますが、おすすめできません。
容量が小さく、スペックも低い上に、広告が付いてしまうからです。
オウンドメディア運用にあたっては、有料のレンタルサーバーを利用しましょう。
ドメイン代
ドメインとは、トップページのURLのことです。
テクロ株式会社のホームページ(当サイト)の場合、「techro.co.jp」が該当します。
URLはトップページがある場所を示しているため、ドメインは「インターネット上の住所」と覚えておくと良いでしょう。
ドメインは取得する際の初期費用と、年間の利用料がかかります。
また、末尾に付く「.com」や「.jp」などのトップドメインの種類によって、料金が変わってきます。
料金の高低については後述しますが、主なトップドメインは以下の通りです。
オウンドメディアの場合、用途や信頼性の観点から「.com」「.jp」「.co.jp」などが良いでしょう。
ドメイン名 | 意味 | 使用目的 |
.com | Company(会社) | 商業組織が運営するサイト |
.net | Network(通信網) | ネットワーク、インターネット関連 |
.info | Information(情報) | 情報発信をするWebサイト |
.biz | Business(仕事) | ビジネス・商用目的 |
.org | Organization(組織) | 非営利団体が運営するサイト |
.shop | Shop(お店) | ECや商売関連のサイト |
.jp | Japan(日本) | 日本国内で運営されているサイト |
.co.jp | Commercial(商用の) | 日本の会社・企業 |
.ac.jp | Academic(学術的な) | 日本の教育機関 |
.blog | Blog(ブログ) | ブログ向け |
分析調査費
分析調査費とは、SEOやCV率(コンバージョン率)改善など、オウンドメディアの効果を高めるために必要な費用です。
主な成果物は以下のとおりです。
- コンテンツ評価レポート
- SEOレポート
- コンテンツ改善提案
- 導線改善提案
オウンドメディアで成果を出すには、PDCAサイクルの継続が必須です。
実行した施策の結果を分析し、改善するというプロセスを繰り返す必要があります。
PV数やCV率などの指標でオウンドメディアの状態を定量的に把握したり、流入経路やコンテンツの分析でユーザーの行動を把握したりしましょう。
自社だけで取り組むのが不安な場合は、オウンドメディア運用を支援してくれるマーケティング支援会社に依頼するのもおすすめです。
ただし、外注する場合でも、完全に丸投げするのはやめましょう。
自社でもオウンドメディアの責任者や担当者を付けて、マーケティング支援会社と連携しながら進める必要があります。
そのため、外注する場合は、社内の人件費と外注費の両方がかかります。
マーケティング費
マーケティング費とは、市場調査や競合調査、キーワード選定など、オウンドメディア全体の戦略設計に必要な費用のことです。
オウンドメディアは立ち上げ前に戦略設計を行いますが、運用する中でも市場の変化やユーザーニーズなどに合わせて、戦略を変更する柔軟性が求められます。
専門ツールや各種分析手法などのマーケティングの専門手法を用いて、より効果的な方向性を打ち出していきましょう。
分析調査と同様に、自社だけで取り組むのが不安な場合は、専門知識を持つマーケティング支援会社と連携しながら進めるのがおすすめです。
関連記事:コンテンツマーケティングにおけるキーワード選定の方法とポイント
コンテンツ制作費
コンテンツ制作費とは、例えば以下のようなコンテンツを作るのに必要な費用のことです。
- 記事
- 動画
- メールマガジン
- ホワイトペーパー
オウンドメディアを立ち上げて運用する段階になると、コンテンツ制作費がコストの大部分を占めます。
コンテンツを制作する方法は以下のとおりです。
- 自社で制作する
- コンテンツ制作のみ支援してくれるマーケティング支援会社に依頼する
- 企画・コンテンツ制作・納品までをディレクションしてくれるマーケティング支援会社に依頼する
オウンドメディアの運用費用の相場
続いて、下記の費用相場について解説します。
- サイト維持費
- 分析調査費
- マーケティング費
- コンテンツ制作費
「どんな場合に費用が高くなるか」や「費用を押さえるポイント」なども紹介しています。
サイト維持費
サイト維持費の相場は以下のとおりです。
- サーバー代:初期費用が2万円程度、月額利用料が500〜5,000円
- ドメイン代:年間数百円〜数千円
サーバー代
レンタルサーバーの場合、標準的なもので月額1,000〜2,000円程度、高めのもので月額3,000〜5,000円程度です。
サーバー会社ごとにさまざまなプランが用意されているので、用途に合ったものを選びましょう。
プランによって、サポート体制やサーバーの容量、機能性はさまざまです。
中でも注目したいのは、バックアップ機能の有無です。
バックアップ機能が付いていれば、誤作動などでオウンドメディアの情報が失われた場合も、元の状態に復元できます。
重要な機能なので、多少コストはかかっても、バックアップ機能があるサーバーを選ぶ方がおすすめです。
ドメイン代
ドメイン代の相場は、年間で数百円から数千円です。
トップドメインの種類や競争率によって、ドメインの価格は変わります。
例えば、「.jp」や「.com」は、他のトップドメインと比べると料金は高めです。
一方で、「.net」や「.biz」などは比較的安めです。
ただし、トップドメインによっては年間数百円で使えるものもありますが、あまり見かけないトップドメインだと信用度が落ちてしまうので、注意してください。
もしドメイン代を節約したければ、「サブドメイン」という形で、サーバー会社が所有しているドメインを使用しましょう。
また、ドメインを取得する際にサーバーも同時に契約することで、ドメイン代が安くなるプランを提供している会社もあります。
基本的に、競争率の高いドメインほど、ドメイン代が高額になります。
しかし、年間で数千円程度のことがほとんどなので、できるだけ独自ドメインを取得して運用した方が良いでしょう。
分析調査費
分析調査費の相場は、月額10万〜30万円です。
専任のマーケターを付ける場合は、1人あたり月額30万円程度かかります。
分析調査には、主に以下のツールが使われます。
- Google Search Console:検索表示回数やクリック率などを計測できる
- Google Analytics:PV数やCV数などが計測でき、ユーザーのオウンドメディア内での行動を測定できる
- 検索順位モニタリングツール:公開したコンテンツの検索順位を確認できる
Google Search ConsoleとGoogle Analyticsは必須で、どちらも無料で利用できます。
初期設定を依頼する場合の相場は10万円程度です。
検索順位モニタリングツールはあった方が便利ですが、必須というわけではありません。
月額1〜3万円程度で利用できます。
マーケティング費
マーケティング費の相場は10万〜30万円です。
マーケティング費は、キーワード選定を依頼するかどうかで、費用が大きく変わってきます。
キーワード選定は重要度が非常に高い上に、工数も多いからです。
企業によっては、キーワード選定だけ別料金としている場合もあります。
なお、オウンドメディアは成果が出るまで半年から1年を要するため、マーケティング支援は最低6ヶ月契約としている企業も多くあります。
マーケティング費を節約するポイントは、外注する範囲を決めることです。
自社で賄える部分は自社で取り組み、オウンドメディアに関する専門的なノウハウが必要な部分をプロに依頼するようにしましょう。
ノウハウや実績の豊富な企業であれば、高い確率で成功に導いてくれるでしょう。
コンテンツ制作費
コンテンツ制作費は「どのようなコンテンツを作るか」「誰に依頼するか」によって変わります。
具体的な費用相場は以下のとおりです。
- 記事制作:1〜5万円
- 動画制作:15〜30万円
- ホワイトペーパー制作:1ページあたり1〜5万円
例えば、インタビューや撮影、専門家の監修が必要な記事制作となると、コンテンツ制作費は高くなります。
記事制作の各工程における費用相場は以下のとおりです。
作業 | 内容 | 費用相場 |
構成作成 | タイトルや見出しなど、記事の企画や構成を考える | 5,000円〜10,000円 |
記事制作(ライティング) | 構成に基づいて原稿を制作する | 5,000円〜 |
編集 | ライターが提出した原稿を読みやすく修正する | 5,000円〜10,000円 |
イラスト・図解作成 | オリジナルのイラスト・図解を作る | 1枚あたり500円〜5,000円 |
入稿 | CMSで記事を公開する | 1,500円〜3,000円 |
監修 | 専門家による内容チェック | 10,000円〜 |
撮影 | プロのカメラマンによる写真撮影 | 30,000円〜50,000円 |
動画の場合は記事制作よりも手間がかかるので、高額になるケースがほとんどです。
コンテンツ制作費を抑えるポイントは、次の2つがあります。
1つ目の方法は、外注する部分を明確にして、部分的に外注することです。
社内に専門分野のノウハウがある場合は、部分的でも社内で賄った方がコンテンツ制作費を安く抑えられます。
例えば、「企画出しは自社で行い、記事制作だけ外注する」といった具合です。
2つ目の方法は、クラウドソーシングサービスを利用することです。
クラウドソーシングサービスを利用すれば、コンテンツ制作費を大きく下げられます。
ただし、ライターによって品質にバラつきが生じる点や、信頼関係が築きにくい点には注意してください。
コンテンツは、オウンドメディアの屋台骨ともいえる重要な要素です。
コンテンツの質が悪いと集客が見込めず、具体的な成果を見込めません。
そのため、多少費用をかけてでも、質の高いコンテンツを作ることをおすすめします。
自社で質の高いコンテンツを制作することが難しければ、オウンドメディア運用で実績豊富なマーケティング支援会社に依頼するのがおすすめです。
なお、一度制作したコンテンツは、半永久的に集客効果を発揮する資産となります。
定期的に最新情報に更新する必要はありますが、ある程度コストをかけてでも良いコンテンツを作っておいた方が、長期的に見ると費用対効果が高くなる可能性があります。
見落としがちな費用も忘れずに
オウンドメディア構築・運用にあたり、以下のような見落としがちな費用も忘れないようにしましょう。
- 自社担当スタッフの人件費
- 取材や撮影にかかる費用
- サイト改修費用
コンテンツの制作・更新を自社で行う場合、自社の担当スタッフの人件費がかかります。
外注に比べると費用を抑えられますが、まったくかからないわけではありません。
コンテンツ制作にあたって取材や撮影を伴う場合は、現場への交通費や機材費などの費用がかかります。
また、バグが発生した場合や新しい機能を追加したい場合は、サイト改修を依頼する費用がかかります。
突然発生するコストで予測できませんが、予算に含んでおくと安心です。
細かい費用で見落としがちですが、予算化しておくことで、余裕を持った運用ができるでしょう。
費用対効果早見表で投資回収期間を把握
オウンドメディアの立ち上げに投じた費用はオウンドメディアによって生じる利益で回収する必要があります。
投資を回収できたかどうかを把握するためには、「費用対効果早見表」を使うことがおすすめです。
費用対効果早見表とは、オウンドメディアの立ち上げにかかった費用(初期費用)をどれだけの期間で回収できるか整理するための一覧表です。
例えば、以下のように初期費用が120万円、受注獲得1件あたり35万円の商材があったと仮定します。
初期費用 | 120万円 |
受注1件あたり | 売上35万円 |
【費用対効果早見表】
1年目 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 合計 | |
月額費用(万円) | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 | 480 | |
リード獲得数(件) | 0 | 2 | 4 | 6 | 8 | 10 | 12 | 14 | 16 | 18 | 20 | 22 | 132 | |
受注数(件) | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 66 | |
粗利益(万円) | 0 | 35 | 70 | 105 | 140 | 175 | 210 | 245 | 280 | 315 | 350 | 385 | 2,310 | |
2年目 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 合計 | |
月額費用(万円) | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 | 820 | |
リード獲得数 | 24 | 26 | 28 | 30 | 32 | 34 | 36 | 38 | 40 | 42 | 44 | 46 | 420 | |
受注数(件) | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 210 | |
粗利益(万円) | 420 | 455 | 490 | 525 | 560 | 595 | 630 | 665 | 700 | 735 | 770 | 805 | 7,660 |
表の例では初期費用および毎月の粗利益、月額費用を数値化することで初期費用がどれだけの期間で利益として回収できたかを測定します。
1年目・2年目と作って、長期的に回収できそうか確認しましょう。
上記の場合、初期費用の120万円を回収するためには120万円以上の売上をあげる必要がありますが、5月の時点で累計売上が140万円となり、初期費用を回収できます。
上記のように早見表を制作することで、投資を回収できるかどうか判定でき、立ち上げを進めるべきか判断できるでしょう。
また、早期に投資を回収できた場合、さらなる投資でオウンドメディアの新しい事業も立ち上げることが可能です。
何をKPIにするかによって、投資を回収できる時期も変わってくることは注意しましょう。
初期費用をかけすぎてしまうと回収時期が延びてしまう
そして、初期費用をかけすぎてしまうと、回収が遠のき、運営も厳しくなってしまいます。
理想としては、少ない初期費用でオウンドメディアを立ち上げて一定の効果を出すことです。
必要最低限の機能とリソースを集めて、スモールスタートを意識しましょう。
少ない初期費用でオウンドメディアを立ち上げ、徐々に追加投資でオウンドメディアを改善するといった運用方法をしましょう。
オウンドメディアの費用に関する注意点
最後に、オウンドメディアの費用に関する注意点を6つ紹介します。
- 委託費用が安いマーケティング支援会社はサポート内容を要チェック
- 外注する工程によって費用が大きく変わる
- 自社構築・運用でも費用はかかる
- 長期的な視点を持つ
- 自社で立ち上げて運用するのが必ずしも安いとは限らない
- 予算が足りない場合は補助金の活用も検討する
委託費用が安いマーケティング支援会社はサポート内容を要チェック
委託費用が安いことだけを理由に、マーケティング支援会社を決めてしまうことはおすすめしません。
理由は、サポート内容が充実していないことがあるからです。
例えば「WordPressのテンプレートを使ってオウンドメディアを構築するが、デザインや機能の細かい部分は対応できない」といった形です。
また運用面は、こまめなコミュニケーションが取れず、自社の要望を十分に反映してもらえないケースもあります。
費用面も大切ですが、「技術的なサポートやアドバイスが受けられるか」という点にも着目してください。
外注する工程によって費用が大きく変わる
オウンドメディアの構築や運用は、外注する工程によって費用が大きく変わります。
オウンドメディアの費用相場に幅があるのは、自社で賄える工程や用意できる予算などの状況が企業ごとに異なるため、平均額を算出しにくいことが理由です。
例えば、自社にオウンドメディアやWebマーケティングのノウハウがない場合、トータル的にサポートしてくれるマーケティング支援会社を検討すべきでしょう。
この場合では、毎月まとまった額の費用が発生します。
一般的にマーケティングやコンテンツ制作、分析調査などのトータル的なサポートを受ける場合、少なくとも月額30万円程度は必要です。
一方で、自社にオウンドメディアやWebマーケティングのノウハウがある場合、セキュリティや顧客情報管理などの保守だけで済むこともあります。
この場合だと、
- サーバー維持費
- CMS利用料
- 自社担当スタッフの人件費
に加え、最低限の外注費だけでオウンドメディア運用が可能です。
このように、外注する工程によってオウンドメディアにかかる費用は大きく変わります。
まずは自社のノウハウや人的リソースを明らかにし、現状を整理しましょう。
それから、自社で賄って費用を抑える部分と、コストをかけてプロに任せる工程を決めると、効率的な予算設計ができます。
自社構築・運用でも費用はかかる
オウンドメディアを自社で構築・運用する場合でも費用は必要です。
社員の人件費はもちろん、外部に依頼して人材教育を実施する場合はコンサルティング費もかかってきます。
また、通常の業務に加えてオウンドメディアに関する業務が増えるため、社内リソースを圧迫する可能性もあります。
そのため、自社で賄う場合もある程度の予算と人的リソースを確保しておきましょう。
自社で立ち上げて運用するのが必ずしも安いとは限らない
自社でオウンドメディアを立ち上げて運用しても、外注よりコストを抑えられるとは限りません。
自社でオウンドメディアに関するノウハウを有している場合、「内製化してコストを安価に済ませたい」と思うでしょう。
しかし、重要なのはオウンドメディアを運用して自社の目的を達成することです。
コストを抑えられても、結果が出なければ元も子もありません。
また、オウンドメディアの構築・運用には、多くのリソースが必要です。
人的リソースに余裕があれば問題ありませんが、兼任するスタッフが増えてしまうと、普段の業務に支障が出ることも考えられます。
場合によっては、外注することでクオリティを担保し、オウンドメディアの立ち上げや運用にかかるコストを削減することも可能です。
適正価格や相場、自社のリソースなど材料にして、入念に検討しましょう。
長期的な視点を持つ
オウンドメディアは短期的に成果を出すことには向いていません。
サイト設計から始める場合、半年〜1年程度時間が必要です。
そのため、長期的な運用を見越して予算を組んでください。
しっかりと計画が練れていればじわじわと流入数が伸びていき、最終的に大きな成果につながるでしょう。
予算が足りない場合は補助金の活用も検討する
国や自治体の補助金を活用すれば、オウンドメディアにかかる費用を抑えられます。
オウンドメディアに活用できる補助金は以下の通りです。
補助金名・助成金名 | 補助額・助成額 | 補助率・助成率 |
IT導入補助金(通常枠) | 5〜450万円 ※プロセス数の要件によって補助額が異なる |
対象経費の1/2まで |
小規模事業者持続化補助金(一般型) | 上限50万円 ※インボイス特例の要件を満たしている場合は上記にプラス50万円 |
対象経費の2/3まで |
働き方改革推進支援助成金 | 100〜730万円 ※目標や条件によって異なる |
以下のいずれか低い方の額 ①成果目標1〜3の上限額および賃金加算額の合計額 ②対象経費の合計額×補助率3/4 ※常時使用する労働者数が30人以下かつ、支給対象の取り組みで6〜9を実施する場合で、その所要額が30万円を超える場合の補助率は4/5 |
事業再構築補助金(成長枠) | 従業員数20人以下:上限2,000万円 21人~50人以下:上限4,000万円 51人~100人以下:上限5,000万円 101人以上:上限7,000万円 |
中小企業の場合は1/2(大規模な賃上げを行う場合 2/3) 中堅企業の場合は1/3(大規模な賃上げを行う場合 1/2) |
ものづくり補助金 | 従業員数5人以下:上限100万円~750万円 6人~20人:上限100万円~1,000万円 21人以上:上限100万円~1,250万円 |
中小企業:1/2 小規模事業者:2/3 |
地方自治体や団体の補助金・助成金 | 各々異なる ※市町村や商工会議所、公益法人のホームページなどを確認 |
各々異なる ※市町村や商工会議所、公益法人のホームページなどを確認 |
オウンドメディアなどのホームページ制作は広報活動、販売支援、業務効率化の取り組みとして、補助金の要件に該当します。
補助金、助成金ともに返還が不要な給付金なので、審査に通れば足りない予算を補うことが可能です。
ただし、申請すればすべての事業者に対して給付されるものではありません。
一定の要件を満たす事業者だけが申請でき、申請書を提出して、審査に通ることで給付されます。
また、補助金の給付は事業化完了し、必要書類がすべて提出された後に行われます。
補助金が給付されるより前に事業に関する支払いを立て替えておく必要があるので、立て替え資金を準備しておかなければならない点に注意してください。
まとめ:オウンドメディアの立ち上げにかかる費用を把握して効率的な運用をしよう!
オウンドメディアを立ち上げる際には、できるだけ費用を抑えることがポイントです。
さまざまな費用がかかるため、費用対効果早見表を作成し、どれくらいで回収できそうか確認するのがおすすめです。
高額に感じるかもしれませんが、「長期的な投資」と考えましょう。
自社の目的を達成できそうか考えながら、立ち上げるか考えてください。
また、立ち上げ・運用の両方において、コストをかける部分と節約する部分を明確にすることも重要です。
重要な部分をコストカットしてしまうと、成果につながらない場合があります。
自社で賄える部分と外注する部分を明確にした上で、効果的なオウンドメディア運用を実現しましょう。
なお、テクロ株式会社では「【BtoBのリード獲得に繋がる】コンテンツマーケティング施策の始め方」を公開しています。
BtoBマーケティングの全体像や施策の優先度、施策の成功パターンなどを凝縮しています。
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