日本と海外のDX成功事例49選!重要な戦略や成功のポイントもご紹介
ITテクノロジーの急速な変化にともない、ビジネスシーンでもさまざまな変化が生まれています。
デジタルトランスフォーメーション(DX)という言葉を聞く機会も増えてきたのではないでしょうか。
デジタルトランスフォーメーションは、デジタル化が進む現代において、ビジネスの成長に欠かせない最重要ともいえるキーワードです。
この記事では、いまや企業の成長戦略に欠かせないデジタルトランスフォーメーションの定義や知っておくべきポイント、メリットとデメリットをわかりやすく解説します。
実際に、デジタルトランスフォーメーションを活用して成功した事例を日本・海外併せて50選も紹介しますので参考にしてください。
また、DXの成功事例集を無料配布しておりますので、こちらもご確認ください。
目次
- 1 デジタルトランスフォーメーション(DX)とは
- 2 デジタルトランスフォーメーション(DX)が必要な理由
- 3 日本企業が抱えているデジタルトランスフォーメーション(DX)の課題
- 4 デジタルトランスフォーメーション(DX)のメリット
- 5 デジタルトランスフォーメーション(DX)のデメリット
- 6 DX成功事例で参考にするべきポイント
- 7 デジタルトランスフォーメーション(DX)日本の成功事例37選
- 8 デジタルトランスフォーメーション(DX)海外の成功事例12選
- 9 DXで重要な戦略「守りのDXと攻めのDX」
- 10 デジタルトランスフォーメーション(DX)を成功させるポイント
- 11 デジタルトランスフォーメーションを推進するなら成功事例を把握しよう!
デジタルトランスフォーメーション(DX)とは
事例を見ていく前に、デジタルトランスフォーメーションの意味やガイドラインについて知っておきましょう。
以下で、詳しく紹介します。
デジタルトランスフォーメーションの意味
デジタルトランスフォーメーション(DX)とは「デジタル技術を活用してビジネスに変革をもたらすこと」です。
デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の概念自体は、2004年にスウェーデンのエリック・ストルターマン教授が提唱しました。
元々は「デジタル技術によって人々の生活をより良いものに変革すること」を意味していました。
以降、この概念は世界中のさまざまな分野に広がり、DXという言葉はビジネス全体に浸透しています。
DXはただのデジタル化ではない
デジタルトランスフォーメーションは、単にシステムをアナログからデジタルに変換することではありません。
デジタル技術によってビジネスの仕組みを根本から変革させることが、真のデジタルトランスフォーメーションです。
変革させる対象は、顧客に提供する製品やサービスだけではありません。
価値提供のプロセスや企業の組織体制、従業員の働き方など、ビジネスに関わるあらゆる事象があてはまります。
なお、ビジネスの一部で効率化のためにデジタル技術を導入することを、デジタイゼーション(Digitization)。
プロセス全体をデジタル化し、利便性を生み出すことをデジタライゼーション(Digitalization)と呼び区別されます。
デジタルトランスメーションはさらに先の、ビジネス全体の抜本的な変革を指す概念です。
DXの推進にはデジタルガバナンス・コードへの理解が必要
DXを推進するには、デジタルガバナンス・コードへの理解が不可欠です。
日本では、2018年に経済産業者が「デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会」を設置し、推進ガイドラインを発表しています。
その後経済産業省のDX推進実施体型を踏まえて、DX推進ガイドラインとデジタルガバナンス・コードの統合が実施されました。
経済産業省のガイドラインでは、デジタルトランスフォーメーションは以下の通り定義されています。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。
引用:経済産業省「デジタルガバナンス・コード2.0 」
DXを単なるデジタル化で終わらせないためにも、しっかりと理解しておきましょう。
DXができている状態とは
デジタルトランスフォーメーションはビジネス全体の抜本的な変革を指すものです。
具体的にいえば、表面的なシステムやサービスの一部をデジタル化するだけではなく、企業文化そのものを変化させる必要があります。
新型感染症の拡大を受けて、2020年頃から日本国内のDX化を急加速で進めました。
日々変わりゆくデジタル社会に適応するためには、スムーズに対応できるだけの組織づくりが重要です。
そのためには、企業文化や体制自体を根本から見直し、DX化に向けた取り組みを会社全体として実施する必要があります。
DX化は、一部の部署やサービスをデジタル化するという意味ではありません。
会社全体として抜本的な改革に取り組んだ結果から判断して、DX化が成功したといえます。
デジタルトランスフォーメーション(DX)が必要な理由
大企業だけでなく、中小企業も含めた日本企業全体がDXを推進させるべき理由を解説します。
生産性の向上
生産性の向上には、デジタルトランスフォーメーションが必須です。
日本は少子高齢化で働き手が減少の一途をたどっており、今後も人材の確保が困難だと予想されています。
経済成長を止めないためには、生産性を向上させる努力が欠かせません。
ITシステムやツールを導入することで、業務の効率化につながります。
担当者がバラバラに管理していた顧客情報は、顧客管理システムを導入すれば一元管理が可能です。
RPAを活用すれば事務作業の自動化が実現し、本来集中すべき業務に取り組めます。
業務時間の短縮や長時間労働の是正が期待でき、少ないリソースでも多くの付加価値を生み出すことが可能です。
働き方改革への推進
DXを推し進めることは、働き方改革を推進することを指します。
新型感染症の世界的な影響は、日常生活のみならず人々の働き方のスタイルに変化をもたらしました。
近年はテレワークのような在宅勤務や、オンラインでの商談やミーティングなどが当たり前です。
企業のDX化が進めば、場所や時間に縛られない就業の可能性が拡大します。
デジタル化の潮流は企業が生き抜くだけでなく、労働者にもメリットがある点も見逃せません。
例えば、地方在住や子育て中の女性などの労働参加を促します。
働きたくても働けない人は場所や環境に囚われずに働くことが可能です。
企業競争力の強化
日本の既存企業が生き残るためには、競争力を高めることが求められています。
デジタル化により、世界中の商品やサービスがインターネットを介して消費者に届く時代になりました。
経済産業省が研究会を設置していることからも、デジタルトランスフォーメーションが今日本のビジネス界でいかに重視されているかがうかがえます。
2018年に発行されたガイドラインでは、デジタルトランスフォーメーションの意義について以下のように述べられています。
あらゆる産業において、新たなデジタル技術を利用してこれまでにないビジネスモデルを展開する新規参入者が登場し、ゲームチェンジが起きつつある。こうした中で、各企業は、競争力維持・強化のために、デジタルトランスフォーメーション(DX: Digital Transformation)をスピーディーに進めていくことが求められている。
引用:経済産業省「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドラインVer. 1.0」
つまり、デジタル技術が急速に進化し続ける現代において、新技術をスピーディーに取り入れて変革できる企業ほど競争優位性を得られます。
一方で今は競争優位性を得ている企業であっても、デジタル技術を活用しないまま既存の体制やビジネスモデルを維持しているだけでは競争社会に置いてかれます。
それどころか、事業継続が不可能になることも考えられるでしょう。
市場状況は変化し、消費者の動向やニーズも従来と比較して多様化かつ複雑化する傾向です。
市場での競争力が強化されれば、円滑にグローバル化に対応できます。
企業が永続的に生き残るためには、デジタル化は欠かせません。
既存ビジネスモデルからの脱却
既存ビジネスモデルから脱却を目指すことは、DXに求められている対応の1つです。
「2025年の崖」を知っていますか。
経済産業省が2018年に発表したDXレポートでは、複雑化・老朽化・ブラックボックス化した既存システムが残存した場合、2025年以降に最大12兆円/年(現在の約3倍)の経済損失が生じる可能性があると予測。
日本の多くの企業は、時代遅れのいわゆるレガシーシステムに関する課題を抱えています。
既存システムの老朽化や開発当時の担当者の不在により、DXを実現できず、セキュリティリスクを背負っている状態です。
企業には一刻も早く、新しいビジネスモデルの確立が求められています。
日本企業が抱えているデジタルトランスフォーメーション(DX)の課題
DX化の必要性が叫ばれる一方で、多くの日本企業が思うようにDXを推進できていません。
企業がデジタルトランスフォーメーションに取り組む上で、抱えがちなよくある課題を紹介します。
DX推進人材の不足
少子高齢化による労働者不足で、DX推進を指揮する人材の不足が課題とされています。
DX推進には、社内にDXスキルを持つ人材が必要不可欠です。
ただし、デジタルスキルを持つエンジニアやIoTやAI分野の技術を習得している人材をDX人材とはいえません。
デジタル技術に精通しており、さらにDX改革をプロジェクト・マネジメントのできる人材がデジタル人材といえます。
また、DX推進は一人の担当者がすべてを実行するわけではありません。
DXを推進するために必要な職種の例は以下を参考にしてください。
職種 | 概要 |
プロダクトマネージャー | DX推進を牽引するリーダー・責任者 |
テックリード(エンジニアリングマネージャー、アーキテクト) | 包括的なシステムの設計を担う技術者 |
データサイエンティスト | 統計学やITの知識を駆使しビッグデータを解析し具体的な行動に反映される者 |
UI/UXデザイナー | システムのUI/UXデザインを担う職種 |
エンジニア/プログラマー | システムの実装や開発、インフラ構築などを担う人材 |
DX人材を社内で確保するには、自社でIT人材を育成しましょう。
自社でリソースの育成が困難であれば、ベンダー企業などにアウトソーシングするのがおすすめです。
DXの理解不足
DXにおける根本的な改革が企業には求められています。
しかし、残念ながら現場では以下のような意見が少なくありません。
- 経営陣のマインドセット変革や体制構築ができない
- ビジネスモデル変革に対応できるだけの余裕が現場にない
- 既存システムやデータの複雑化・老朽化によって刷新負荷が高い
- 検証だけを繰り返して、ビジネス変革まで至らない
具体的な手法がわからなかったり、明確なゴール設定がないまま進めてしまい単なるデジタル化で終わったりするケースもあります。
局所的な業務のデジタル化で終わらせないためにも、DX推進のビジョンや経営戦略を明確にすることが必須です。
そして、具体的な行動に落とし込むことも忘れないでください。
経営層のコミット不足
DXは会社全体が一丸となって取り組む問題です。
そのため経営層がDX推進に向けてブレずに、コミット力を高めることが必須といえます。
しかしデジタル化に関する認識が低く、コミットの必要性を軽視している経営層も少なくありません。
DXに関心が薄ければ、DX推進にあてる予算を十分に確保できず、既存システムを使い続けるリスクを背負います。
経済産業省はデジタルトランスフォーメーションを推進するうえで、「経営のあり方、仕組み」と「ITシステムの構築」の2つの軸を提唱しています。
1.経営のあり方、仕組み
- 戦略・ビジョンを明確に提示する
- トップ自ら強力にコミットメントする
- 新たな挑戦に積極的に取り組める環境をつくる
- 投資の意思決定を適切に実施する
2.ITシステムの構築
- 役割分担・体制を整える
- 全社的なガバナンスを確立する
- 各部門がオーナーシップを持ち要件定義する
- IT資産の現場を分析・評価する
- IT資産の仕分けとプランニングを実施する
DXを推進せずに従来のアナログ文化を維持し続けると、ビジネスにおける競争力の低下を引き起こすかもしれません。
まずは経営陣がしっかりコミットし、明確な戦略・ビジョンを持つことがスタートラインです。
デジタルトランスフォーメーション(DX)のメリット
デジタルトランスフォーメーションは、企業にさまざまなメリットをもたらします。
ここではDX化のメリットについて、5つのポイントに絞って紹介します。
業務効率化と生産性向上が見込める
DX化のメリットとしてまず挙げられるのは、業務効率化と生産性向上が見込めることです。
業務フローのIT化することで人件費を削減したり、システムをデジタル化することで作業時間の圧縮などの効果を得られます。
例えば、営業部門にCRMを導入することも一つのDX化の一例です。
今まで以上に効率的に顧客へのアプローチが可能になるとともに、顧客情報の管理にかかるコストを削減できます。
レガシーシステムから脱却できる
レガシーシステムとは、過去の技術や仕組みを利用して構築されたシステムのことです。
多くの場合は、すでに代替するシステムが存在していますが未だに使用され続けられています。
レガシーシステムは、ほとんどが過去のIT環境で構築されているため、現在のDX化の考えからはすでに過去の遺産とも呼べる存在です。
しかし、長年レガシーシステムを起点として業務を展開している場合は、切り離すことが難しいかもしれません。
体制や業務フローの根本的な見直しをするDX化は、レガシーシステム脱却の転換点といえます。
新しいビジネスを創り出せる
DX化はビジネス全体の根本的な改革をするなかで、新たなビジネスを創り出す機会です。
既存のサービスや製品と最先端のデジタルテクノロジーを組み合わせることで、新たな価値を見いだせる可能性もあります。
自社の培ってきたノウハウや技術とデジタルを組み合わせて、他社にはない強みを生み出しましょう。
市場や消費者の変化に対応できる
市場や消費者の日々の変化に対応するためにもDX化が必要です。
スマートフォンやインターネットの普及により、消費者が自ら情報を手に入れる機会が多くなりました。
新型感染症の拡大のような社会的な変化は、市場や消費者の動向に大きな影響をもたらしました。
DX化に取り組めば、変化に対応する反応速度を高めて、市場や消費者の動向に合わせた活動ができます。
働き方改革ができる
DX化の導入により一部の事務作業などがデジタル化されることは、働き方の改善にもつながります。
昨今推奨されるリモートワークの導入は、出勤にかかる時間の削減や私生活とのバランスの取り方など働き方に大きな変化をもたらしました。
経費精算システムや勤怠管理システムの導入なども、それぞれのタスクにかかる時間を削減し、より効率的に本業へ取り組むきっかけになります。
デジタルトランスフォーメーション(DX)のデメリット
デジタルトランスフォーメーションに取り組むためには、デメリットとなる部分についても事前に準備しておきましょう。
DX化に関するデメリットを3つ解説します。
社内の協力を得る必要がある
DX化は企業全体のシステムの改革や業務フローの改善が伴うため、社内での協力体制が重要になります。
既存のシステムの入れ替えをする場合は、業務フローに大きな影響が出ることが予想されるため、事前に社内での周知を徹底しておく必要があるでしょう。
DXの重要性を強く押し出し、目標設定や予算確保を実施することが重要です。
ITに関するナレッジを持たない従業員が多い場合は、DX化による業務効率低下を防ぐために教育やフォローを実施する必要もあります。
DX化に取り組む際は各部門と連携し、業務への影響などを十分に考慮して進めましょう。
結果が出るまで時間がかかる
DX化は導入した後すぐに効果を発揮せず、結果が出るまでに時間がかかります。
結果が出ない期間も常にコストがかかることから、DX化に取り組むには企業体力も必要です。
将来的な成長を考えるのであれば、DX化は必須の取り組みといえます。
ただし、DX化に取り組むためには、3〜5年の長期的な目線で予算やリソースの準備が欠かせません。
大規模なシステム移行が必要になる
レガシーシステムが業務フローに大きく関わっている場合は、システムの大規模な移行が必要になります。
基幹システムを入れ替えた場合、従来の業務フローに大きな変化が生じる場合もあるため、かなり慎重に取り組むことが必要です。
システムの入れ替えを検討するときは、あらかじめ業務フローの変更点を取りまとめや既存業務への影響範囲を十分に想定しておきましょう。
社内全体にレガシーシステムから脱却する目標を浸透させて、一丸となって取り組んでください。
DX成功事例で参考にするべきポイント
DXの成功事例をむやみやたらに参考にし、試してもうまくいかないかもしれません。
成功事例を参考にする前に覚えておきたい、見るべきポイントを紹介します。
自社とDXの目的が近い事例を見る
DX成功事例で参考にするべきポイントの1つ目は、自社とDXの目的が近い成功事例を見ましょう。
企業によって、DXの目標や成功の定義は異なります。
DXによる業務プロセスの効率化や生産性アップを目指す企業が、ビジネスモデルの事例を参考にするのは効果的とはいえません。
まずは、自社がDX推進で達成したい目標や何を達成すると成功を位置づけるのかを明確にしましょう。
目標が明確になることで、自社とDXの目的に近い事例を見つけやすくなります。
自社に合わせるように編成する
DX成功事例を参考にするときには、自社の状況に合わせて編成するのも大事なポイントです。
DXにおいて大きな成功を収めた企業の手法やITツールが、必ずしも自社に適しているとは限りません。
会社の規模や予算、人員の数などに大きな差があると、余計な出費が発生したり、不明瞭な戦略になったりするリスクがあります。
最初に自社の事業規模や組織文化、IT人材などさまざまな要素を整理すると、自社の状況を洗い出すことが可能です。
他社の成功事例をすべて模倣するよりは、自社の状況に合わせて適宜適切に作り変えましょう。
デジタルトランスフォーメーション(DX)日本の成功事例37選
デジタルトランスフォーメーションに成功した38社の企業事例を紹介します。
事例1:メルカリ(オンラインフリーマーケット)
引用元:株式会社メルカリ
オンラインでの個人間取引サービスは手間と時間のかかるオークション形式が主流でした。
しかしメルカリは、デジタルトランスフォーメーションによって個人間取引の敷居を下げ、世間の転売への価値観までも変革しました。
デジタル技術を活用してスマートフォン完結の手続き、簡単でわかりやすいUI、匿名取引などを実現し、個人でも商品を手軽に売買できるしくみを確立。
幅広い層に普及させることに成功しています。
またスマホ決済「メルペイ」によって、売買で得た売上金をさまざまなシーンで活用する仕組みができています。
事例2:日本交通(タクシー)
引用元:日本交通株式会社
日本交通はデジタルトランスフォーメーションを牽引する国内企業として、さまざまな取り組みを実施しています。
まず、自社だけでなく他社のタクシーも配車できる日本初のタクシー配車アプリを開発。
タクシー業界全体を活性化させるデジタルトランスフォーメーション事例として注目を集めました。
さらにタクシーにタブレットを設置して動画広告を流したり決済機能を利用したりできる「JapanTaxiタブレット」や「相乗りタクシー」「変動迎車料金」の実験などを実施。
デジタル技術の活用によって既存の枠組みにとらわれないビジネスモデルを開拓し続けています。
事例3:ユニメイト(レンタルユニフォーム事業)
引用元:株式会社ユニメイト
自動採寸アプリによって正確なサイズを把握し、労力や多大なコストを削減することに成功したのがユニメイトです。
ユニフォームのサイズ申請はクライアント企業のスタッフの自己申告で対応していましたが、サイズ違いが起こりやすく、返品や交換に多くのコストがかかることがネックでした。
そこで開発されたのが自動採寸アプリ「AI×R Tailor(エアテイラー)」です。
AIで画像認識し、実際のサイズを予測することで正確なサイズの把握が可能になりました。
新型感染症の影響で手作業の採寸が難しくなった学生服業界からも、問い合わせが来るほど注目されるシステムに成長しています。
事例4:オープンハウス(不動産)
引用元:株式会社オープンハウス
オープンハウスは国内でもいち早くIT部門を設置した、デジタルトランスフォーメーションの牽引企業です。
具体的には、ビッグデータ解析プラットフォームを導入しました。
機械学習を用いて作業のデジタル化を推進し、年間4万2,000時間の工数削減に成功しました。
またチラシの作成を自動化することで、広告審査時間を約900時間削減できています。
紙文化の強い不動産業界において、デジタルトランスフォーメーションにいち早く取り組み結果を出した企業です。
事例5:大塚デジタルヘルス(電子カルテ分析ソリューション)
引用元:大塚デジタルヘルス株式会社
大塚製薬と日本IBMの合弁会社である大塚デジタルヘルスは、デジタルトランスフォーメーションによって医療界に大きな貢献を果たしています。
IBMが開発した人工知能「Watoson」とクラウドサービスを活用し、アナログな手法で蓄積されていた精神科医療のカルテをデータベース化。
これにより患者の症状や病歴などのデータが手軽に閲覧できるようになり、医療現場の負担を大きく軽減。
データ分析や症例レポート作成も容易になりました。
事例6:トライグループ(教育)
引用元:株式会社トライグループ
「家庭教師のトライ」で知られるトライグループも、デジタルトランスフォーメーションに早くから注力する企業の一つです。
トライが開発したのは、パソコンやスマートフォンなどのデバイスから場所や時間を問わずに授業を受けられる映像学習サービス「Try IT」。
4,000本の授業動画を活用し、自分の好きなタイミングでの学習を可能にしました。
ユーザー目線の使いやすい設計が高評価を獲得し、現在では登録者数100万人を突破する主要サービスに成長しています。
事例7:三菱電機(総合電機)
引用元:三菱電機株式会社
三菱電機は「e-F@ctory」の構想のもと、デジタルトランスフォーメーションに取り組んでいます。
「e-F@ctory」は工場内で生産情報とITを連携させる仕組みのことで、製造現場のデータを分析し、生産性向上やコスト改善を目指すものです。
三菱電機では実際に、以下のことに取り組みました。
- 生産現場のデータとITシステムを接続する
- ロボット技術やセンサー機器を統括制御する
- 大量のデータを高速通信、収集する
結果、データ連携や互換性のあるサービス展開ができました。
事例8:ソニー損害保険(保険)
引用元:ソニー損害保険株式会社
ソニー損保はデジタル技術の活用によって、自動車損害保険のビジネルモデルに変革をもたらしました。
まず2015年に、ドライブカウンターで計測した運転データに基づいて保険料をキャッシュバックする「やさしい運転キャッシュバック型」の販売を開始。
2020年にはAIとスマートフォンアプリを活用して、より正確で使いやすい事故リスク測定システムを確立し、運転特性連動型自動車保険「GOOD DRIVE」にバージョンアップしました。
GOOD DRIVEはスマホアプリで運転データを収集することで運転手の事故リスクを算出し、安全運転をしている運転手には保険料をキャッシュバックする仕組みです。
これにより自動車保険の加入率アップに成功し、さらに自動車事故のリスクを約15%低減させる効果が見込まれています。
事例9:北海道日本ハムファイターズ(プロ野球球団)
北海道日本ハムファイターズは、新規ファンがプロ野球会場により足を運びやすくなることを目的に、富士通が開発した電子チケットサービス「チケットレボリューション」を採用。
これによって観客は最短3ステップで簡単にチケットを購入できるようになり、ファンの満足度が向上。
システムによる自動配席、隣席追加購入なども可能になり、配席業務の工数が大幅に削減されました。
また、北海道日本ハムファイターズはロボットを活用したリモート観戦席「Future Box Seatβ」の実証実験を電通と実施。
デジタルトランスフォーメーションによる新たなスポーツエンターテインメントの創出に、取り組み続けています。
事例10:アスクル株式会社(オフィス用品通販)
引用元:アスクル株式会社
オフィス用品を通信販売するアスクルは、顧客データの分析や非対面の営業によって、DXを推進しています。
2020年の新型コロナウイルス感染拡大による感染予防品不足の際には、医療関係者に優先的に販売でするECの仕組みを2週間で構築し、安定供給を実現しました。
また営業活動を非対面に切り替えたほか、ソーシャルディスタンスに配慮した「置き配」もいち早く導入しています。
事例11:三越伊勢丹ホールディングス(百貨店)
行き詰まりを見せている百貨店業界で、三越伊勢丹ホールディングスはデジタルトランスフォーメーションにより、既存のビジネスモデルからの脱却を図っています。
自社で商品撮影スタジオをつくり、基幹店の全商品をデータベース管理するしくみを構築。
これにより消費者はECサイトや地方店からでも、商品を購入できるようになりました。
また「三越伊勢丹リモートショッピング」によって、チャットやビデオ通話での接客も可能にしており、顧客のファン化につながる挑戦を続けています。
事例12:清水建設(建設)
引用元:清水建設株式会社
清水建設は社内の技術研究所に「デジタルXグループ」を新設するなど、建築分野におけるデジタル技術の活用に特に積極的に取り組んでいる企業です。
なかでも特筆すべきは、建物オペレーティングシステム「DX-Core」です。
- エレベーター
- 空調
- 照明
- 自動ドア
- 警備
- オフィスロボット
上記のような建物内で稼働する、メーカーの違うすべてのシステムを制御可能にしました。
そのほか、建築現場では、AIを搭載した自立型ロボットと建築モデルを連携させた「シミズ・スマート・サイト」を導入し、生産性を大幅に向上。
さらに美術館や展示場では来訪者を自動察知し適切な案内サービスを提供する「インテリジェント・ガイドシステム」を導入するなど、人材不足が深刻な建築業界にデジタル技術で革新をもたらしています。
事例13:みずほ銀行(銀行)
引用元:株式会社みずほ銀行
みずほ銀行はAI技術の活用で、スピーディーかつスマートな融資サービスの提供を実現しています。
従来のビジネスローンは経営者が膨大な書類を持参して銀行に来店して審査するため、融資を受ける側と審査する側の両方にとって、かなりのコストがかかっていました。
この課題を解決するためのサービスが「スマートビジネスローン」です。(2022年10月22日で新規登録は終了)
来店はもちろん、決算書などの書類も不要で、簡単な登録をすればAIが信用力を判定し、最短2営業日で融資が受けられます。
中小企業にとっては、手軽に融資を申し込める画期的なサービスで、みずほ銀行にとっては、取引拡大に繋がる可能性があるサービスです。
両者にメリットをもたらす、DXの好例と言えるでしょう。
事例14:松月産業(ホテル)
引用元:松月産業株式会社
仙台に13店舗のビジネスホテルを展開する松月産業は、東日本大震災の際に手作業での宿泊業務が強いられた経験をきっかけに、ホテルの基幹システムをSaaS(Software as a Service)に完全移行しました。
これによって、売り掛けや消し込みが一元管理され、全店舗の部門別実績・予算対比・前年対比・予約状況などが本部からリアルタイムで、瞬時に把握が可能になりました。
松月産業の事例は「全国中小企業クラウド実践大賞」で審査員特別賞を受賞しています。
事例15:日美装建(業務用空調)
引用元:日美装建株式会社
業務用エアコン事業者の日美装建は、エアコン清掃業務の約10%が赤字化している問題を解決すべく、クラウド技術による情報共有に取り組みました。
これによりスマートフォンで集めた現場の情報をリアルタイムで可視化できるようになり、作業効率が大幅アップ。
赤字案件を、ゼロ件にできました。
また現場情報を共有できたことで、スタッフの分析する意識が高まり、根拠のある数字を持って仕事を進められるようになりました。
日美装建の事例は「全国中小企業クラウド実践大賞」で審査員特別賞を受賞しています。
事例16:資生堂(化粧品)
引用元:株式会社資生堂
資生堂はデパートでの対面販売に代わる新たな価値提供に、リアルタイムでビューティーコンサルタントとコミュニケーションが取れるライブコマースを実施しています。
また顔認証技術とAI技術を利用したバーチャルメイクアップサービスも活用し、これまで対応できなかった夜の時間帯にも、オンライン上でカウンセリングを受けられるよう整備。
従来では対応できなかった顧客層にもアプローチでき、新たなコミュニケーションの形を実現しています。
事例17:トヨタ自動車(自動車)
引用元:トヨタ自動車株式会社
自動車産業のデジタルトランスフォーメーション事例で知られるのが、トヨタ自動車とソフトバンクが共同開発を進めている「MONETプラットフォーム」です。
MONETプラットフォームは、車両情報や移動ログなどを集約したデータ基盤とさまざまなサービスのAPI(Application Programming Interface)が連携したプラットフォームです。
MaaS( Mobility as a Service)の包括的な支援を目指しています。
車を持っていなかったり公共交通機関がなかったりしても、スマートフォンで手軽にオンデマンドバスを配車が可能です。
さらに、鉄道やバスなどさまざまな交通機関の検索・予約・支払いがシームレスにできます。
他にも天気、観光、地図情報などさまざまなデータやサービスのAPIが実装される予定です。
デジタルトランスフォーメーションによって自動車産業のビジネルモデルを「ハードの提供」から「その先のサービスの提供」に革新させる事例と言えるでしょう。
事例18:住友ゴム工業(タイヤ、スポーツ用品)
引用元:住友ゴム工業株式会社
MaaSが発展しタイヤの管理も自動化が求められる流れを受け、住友ゴム工業はデジタル技術を活用したタイヤ管理ソリューションシステムの構築に取り組んでいます。
名古屋の工場では、タイヤの生産工程データをAIとIoTによって自動で可視化・解析し、これまでのデータ収集・解析時間を9割短縮することに成功。
さらに、情報をタイムリーに把握することでよりスピーディーな意思決定が可能になり、品質と生産性の向上が期待されています。
事例19:富士フイルム(精密化学)
引用元:富士フイルム株式会社
高度経済成長期につくられた建築物の老朽化が問題視されるなか、富士フイルムはデジタル技術を活用した老朽化検知システム「ひびみっけ」を開発。
AIが橋やトンネルなどの幅0.1ミリ以上のひび割れを自動検知し、CADデータを効率的に作成できるサービスで、数百社が点検事業に導入しています。
これにより人手不足が深刻な建築業界の現場工数を減らすことに成功し、インフラ維持管理費の低減にもつながっています。
事例20:日本航空(空運)
引用元:日本航空株式会社
日本を代表する航空会社である日本航空。
同社はDX推進の一環で「JAL Innovation Lab」を設置し、オープンイノベーションの拠点を作りました。
JAL Innovation Labとは、会員のアイデアを素早く形にして検証までできる施設です。
また100社を超える外部パートナーと協力し、新たなサービス開発にも取り組んでいます。
パイロット訓練ノウハウを活用したドローンオペレーターの育成も実施しており、安全に無人航空機を操作できる人材を育てています。
DX推進部門を中心に、さまざまな取り組みがされている企業です。
事例21:グンゼ(インナー)
引用元:グンゼ株式会社
グンゼはNECと共同で、着用者の動きや姿勢の癖、活動量 を計測できる衣料型ウェアラブルシステムを開発。
これにより姿勢の改善や肩こりの予防対策、利用者データの分析が可能になり、美容や健康に関する新たなサービスの創出につながることが期待されています。
さらに自社で全国展開しているスポーツクラブでシステムの実証実験をしており、データの収集および活用を自社で柔軟に実施しながらビジネスの可能性を広げています。
事例22:SOMPOホールディングス(保険)
SOMPOホールディングスではDX推進の一環のプロジェクトで、2016年4月に「SOMPO Digital Lab」を立ち上げています。
ユニークな取り組みなのが、ドローンを活用した損害調査です。
ドローンで損害を受けた家屋や事故現場を調査すると、検証をすばやく実施できるほか、写真や動画を撮影することで、現場を簡単に確認できます。
さらに災害時の不明者創作や被害を未然に防ぐための調査に使われました。
そのほか、ウェアラブル端末を活用して火災事故調査を実施し、高品質なサービスの提供に取り組んでいます。
事例23:ミスミ(機械加工製品)
引用元:株式会社ミスミグループ本社
3千万点にも及ぶ機械部品を提供するミスミは、即時の見積もりと出荷を可能にする部品調達プラットフォーム「meviy」を開発しました。
meviyは顧客がアップロードした設計データを元にAIが工程・納期・価格を自動計算し、さらに設計データから人足を挟まずダイレクトで製造データを生み出すシステム。
これにより作図から見積もり、工数計算などにかかる時間を90%以上削減し、現場業務に変革をもたらしました。
事例24:東海東京フィナンシャル・ホールディングス(証券、商品先物取引業)
グループのプラットフォームにFin Tech機能を搭載し、広く多様な金融ニーズにDXで応えているのが東海東京フィナンシャル・ホールディングスです。
Fin Tech機能により、ロボアドバイザーやおつり投資、デジタル通過や暗号資産、証券取引などを可能にしています。
そのほか、FinTech機能を連携・発展させ、ニュービジネスクリエーションや地方創生、効率化を目指す「東京東海デジタルワールド」を実現すべく、挑戦的な取り組みを実施しています。
事例25:カインズ(ホームセンター)
引用元:株式会社カインズ
ホームセンター事業を展開するカインズは2019年度から戦略の柱の一つに「デジタル戦略」を策定し、国内外から最先端技術を享受できる体制を構築。
特に有名なDXは、アプリの開発です。
ネット注文した商品を店舗で受け取れる「CAINZ Pick Up 」や売り場や在庫確認ができるユーザー向けの「カインズアプリ」などを開発しました。
さらにEC事業にも力を入れ、ロッカー受取サービスなどを活用し、6年続いた赤字を止めています。
さまざまな取り組みで顧客体験を変化させ、ユーザー目線のサービスを提供し続けている企業です。
事例26:伊勢半(化粧品)
引用元:株式会社伊勢半
化粧品総合メーカーの老舗である伊勢半は、インフラ基盤から生産管理、販売管理、原価管理、会計システムを含む基幹業務全体のシステムを導入し、生産業務の効率化に成功しました。
業務アプリケーションにはB-EN-Gの製造業向けSCM統合パッケージ「mcframe 7」を使用。
業務の効率化だけでなく、データの管理基盤を構築してさまざまな情報の可視化と共有を可能にしました。
これまで見えなかった原価情報の問題の発見にも役立てられています。
事例27:グッドイートカンパニー(飲食)
引用元:株式会社グッドイートカンパニー
グッドイートカンパニーはNTTドコモと資本提携することで、店舗の業務コストを削減したり、顧客満足度を向上させたりしています。
キャッシュレス決済やモバイルオーダーによって従業員のレジ打ちや接客業務のコストが圧縮されたほか、待ち時間が減ることで顧客満足度も向上できました。
さらにECサイト「GOOD EAT CLUB」を軸に集客力強化もしています。
デジタル技術を駆使することで顧客体験を変革させると同時に競争優位性も確保しており、飲食業におけるDXの好例の一つと言えるでしょう。
事例28:トライアル(スーパー・ホームセンター)
「スマートショッピングカート」を活用し、DXを推進しているのが食品スーパーのトライアルです。
スマートショッピングカートにはタブレットが搭載されており、商品をカートに入れる際にスキャンすることで、レジで決済することなく買い物ができます。
これによって、レジで待たされることがなくなるので顧客体験が向上するほか、レジ打ちの業務コストも削減されます。
さらに買い物客の動線も記録できるため、レイアウトの最適化にも役立てられている技術です。
事例29:日清食品ホールディングス株式会社(食品)
引用元:日清食品ホールディングス株式会社
即席ヌードルで有名な日清は「サプライチェーン清流化プロジェクト」によってビジネスプロセスの刷新に成功しています。
日清食品では以前、レガシーシステムや個別のシステムにデータが点在ししていることにより、意思決定に時間がかかってしまうことが課題となっていました。
前述のプロジェクトによってサプライチェーンが整備されたほか、一連のフローを全体最適・発展させるチームを置くことで、横断的にKPIをモニタリングすることが可能になりました。
これにより食材の調達先である物流パートナーとの連携強化も実現しています。
事例30:ブリヂストン(タイヤ製造業)
引用元:株式会社ブリヂストン
タイヤの製造業でありながらソリューション事業を展開するブリヂストンは、一過性の流行ではなくDX戦略を推進している企業の1つです。
航空機用タイヤや鉱山・建設車両用タイヤを製造するには、熟練のスキルが求められます。
以前は成型工程の作業は複雑なため、技術継承に課題がありました。
そこで、同社は「技能伝承システム」を開発。
ベテラン技能員の作業ステップをモーションカメラで計測・可視化を実現しました。
少子高齢化による技術継承の課題は、どの業界でも共通です。
デジタル化により効率的に熟練スキルを習得が可能になり、属人化の防止や生産性の向上など業界全体の課題解決に貢献しています。
事例31:味の素(食品メーカー)
引用元:味の素株式会社
味の素は、DXを通じて社会的課題の1つである「食と健康」を推進しています。
2019年にCDO(Chief Digital Officer)を創設し、グループ関連企業を含めグローバルにDX推進を最重要課題として取り組み中です。
研究開発では、計測技術・実験ロボット技術を導入し、自動でビッグデータを高速かつ大量に収集する仕組みを構築しました。
ものづくり革新では、包装工程管理システムの開発・導入によるスマートファクトリー化を実現。
工場に設置したセンサーから取得した温度や物質・成分の濃度のような時系列データや過去に蓄積された生産効率指標のデータをもとに高品質な管理手法を生み出しました。
Webサイトのブログや記事、SNSを解析し、多様化する消費者のニーズにマッチした広告展開も実施しています。
事例32:LIXIL(住宅設備機器)
引用元:株式会社LIXIL
LIXILは先進的なデジタル技術により、既存ビジネスの変革と新規ビジネスの開発、生産性向上に取り組んでいます。
AIを活用したオンラインショールームでは、AI商品レコメンドを導入し、顧客体験の向上や販売プロセスの効率化に成功しました。
LIXILは、新規事業の開発にも熱心なのが特徴です。
IoT宅配ボックス「スマート宅配ポスト」を展開し、ユーザーが荷物の集配を遠隔管理ができるようになりました。
結果、再配達率の低下やCO2排出量の削減に貢献しています。
「LIXIL Data Platform( LDP )」を立ち上げ、さまざまなデータを一元管理するクラウド型のデータ統合基盤を開発。
専門スキルがない従業員でも独自の業務ツールが開発できるように、ノーコード開発ツールを導入しました。
現場で本当に必要なツールを従業員が開発することで、業務効率化を目指しています。
事例33:セブン&アイ・ホールディングス(流通業)
コンビニエンスストアや食品スーパー、金融サービスを展開するセブン&アイ・ホールディングスは、グループを横断したDXを推し進めています。
AIを活用したグループ独自の「ラストワンマイルDXプラットフォーム」を構築しました。
車両やドライバーの差配などを改善し、配送プロセスを効率化。
多様化する購買スタイルに併せて、自宅に居ながら店舗と同じように買い物ができる仕組みを作りました。
結果、攻めのDXによる新たな顧客価値を創造し、カスタマーエクスペリエンス向上に成功しました。
グループ共通の「7iD」会員を資産と位置付け、顧客ファーストのサービス提供の基盤構築にも取り組んでいます。
セキュリティレベルの高い共通インフラ基盤の構築や物流・店舗オペレーションの効率化など守りのDX施策も参考にしてみてください。
事例34:ヤマハ発動機(輸送用機器メーカー)
引用元:ヤマハ発動機株式会社
オートバイを中心に輸送用機器を製造するヤマハ発動機は、経営の重点課題としてDX推進を掲げています。
「Y-DX1(経営基盤改革)」「Y-DX2(顧客との関わりを強化)」「Y-DX3(未来創造)」と大きく3つの軸でDX戦略に取り組み中です。
従来の社内システムは個別最適で作られており、Excelでの統合に膨大な時間がかかる状態でした。
そこで、グローバルで統一したシステムの導入を決断。
経営情報を一元化して可視化するダッシュボード「ヤマハモータービジネスダッシュボード(YBD)」と、グローバル連結会計システムの稼働がスタートしました。
結果、本社と海外に点在する各拠点でさえも同じデータを共有でき、同じ指標をもとに経営の意思決定が可能に。
また、ECサイトやデジタルマーケティングなどによる顧客接点の強化や顧客情報の管理を整備し、新たな顧客経験の提供につなげています。
事例35:りそなホールディングス(銀行)
引用元:株式会社りそなホールディングス
りそなホールディングスは、金融DXを通じて地方創生を目指しています。
従来は店頭やATM、インターネットバンキングを通じて、顧客にサービスを提供していました。
対面や非対面に関わらず顧客のニーズを汲み取り、確度の高い顧客との接点を生み出せないかと課題を抱えていました。
利便性の高いバンキングアプリを開発し、顧客に新しい体験や新しい価値を創出に成功。
オムニチャネルの開発により、データ分析とマーケティング戦略を組み合わせた新たなビジネスチャンスの創出に挑戦しています。
事例36:ソフトバンク(無線通信サービス)
引用元:ソフトバンク株式会社
ソフトバンクはモバイル通信サービスやグループ会社のYahoo!、LINEやPay Payで拡大するユーザータッチポイントの多さが強みです。
社会課題解決につながるDXによる事業創始には、従業員やパートナー企業との連携により積極的に取り組んでいます。
新しい医療・ヘルスケアを提供する「HELPO」は、医師や看護師、薬剤師に24時間365⽇チャットで相談が可能です。
人流統計データや気象データ、店舗データなどのデータ分析し、店舗ごとの来店客数を予測できる「サキミル」
水不足が予想されているにも関わらず、収入減や管路の老朽化など多くの問題を抱える日本の水道事業には自律分散型水インフラ産業「WOTA」の創出を目指します。
事例37:クボタ(農業機械)
引用元:株式会社クボタ
建設機械メーカーのクボタは、「食料・水・環境」分野における社会課題の解決に取り組んできたグローバル企業です。
売上の過半数以上を海外が占めるクボタは、製品自体の競争力のみならず迅速な対応を求められていました。
しかし、ITのレベルは競合他社に比べると一世代遅れた形で運営されていたのが課題でした。
そこで、2019年4月にグローバルICT本部を設立し、マイクロソフトコーポレーションやアクセンチュアなどと提携を開始。
外部のリソースを吸収しながら、さまざまな経歴を持つDX社員を育成しています。
また、3Dモデル・ARを活用した故障診断アプリ「KubotaDiagnostics」を開発。
故障診断のプロセスの手間を省くことで、効率的な修理が実施できるようになりました。
デジタルトランスフォーメーション(DX)海外の成功事例12選
デジタルトランスフォーメーションに成功した海外企業の事例を12例、紹介します。
事例38:Careem(運送)
引用元:Careem
Careem(カリーム)はドバイを中心に、配車サービスや決済サービスを提供している企業です。
既存の配車サービスの技術を活かしてフードデリバリーサービス「Careem Now」も展開。
のちにUber社に買収されましたが、既存の技術基盤を利用して中東地域にフードデリバリーサービスを定着させました。
事例39:Airbnb(民泊)
引用元:Airbnb
Airbnbはデジタル技術によって、旅行者と宿泊施設のニーズを簡単にマッチングさせることに成功しました。
具体的には、以前は電話やメールでのやりとりが主だった宿泊予約が、アプリ上のデータ通信のみで手軽に実施できるようにしました。
ホテルよりも価格帯が安い民泊でサービスを展開することで、旅行者と宿泊施設双方から高い満足度を獲得。
世界190カ国以上で利用される人気サービスに成長し、民泊利用の普及によって既存の旅行ビジネスの概念を覆しました。
事例40:Amazon.com(ECサイト)
引用元:Amazon.com
全世界で圧倒的な利用率を誇るAmazon.comは、発足当初から書籍のオンライン販売が主でした。
現状に満足せずにデジタルトランスフォーメーションに取り組み、レビュー機能やレコメンデーション機能を充実させながら取扱商品を増やし、ユーザーの支持を得て爆発的なシェア拡大を果たしました。
「この商品を見た人は以下の商品も見ています」「よく一緒に購入されている商品」などのレコメンド表示からもうかがえるように、徹底したユーザーデータの蓄積・分析・活用が成功につながっています。
ほかにも、IT技術を用いた無人店舗「Amazon Go」や、食品配達サービス「Amazon Prime Now」も提供されています。
Amazonのデジタルトランスフォーメーションについて詳しく知りたい方は「先進事例!AmazonがDXに成功した4つの理由を徹底解説」をご覧ください。
事例41:Netflix(映像ストリーミング)
引用元:Netflix
世界最大手の映像ストリーミングサービスであるNetflixは、デジタル通信やクラウド技術を活用して定額制のオンラインデータ視聴サービスを確立しました。
これにより、記憶媒体を物理的に持ち運んだり延滞料金を払うといった手続きがなくなり、映画やドラマなどさまざまな映像作品を手軽に視聴できるようになりました。
映像業界のビジネルモデルを変革しただけでなく、人々の視聴行動にも影響をもたらした事例です。
事例42:BMW(自動車)
引用元:BMW
言わずと知れた外国車メーカーBMWは、AR技術を用いて試乗へとつながる新たな価値を生み出しました。
それはAR世界の中で車を自分好みにカスタマイズし、実物大の車を眺められるものです。
最終的に試乗をして購入の判断をするのはもちろんですが、その前にARというワンクッションがあることで購入を決断するまでが早くなります。
事例43:Uber(配車)
アメリカ発の配車サービスUberは、デジタル技術を活用して配車サービスのしくみを大きく変化させました。
Uberは、ユーザーがスマートフォンのアプリ一つで、配車から料金決済まで手軽に手続きできる仕組みを確立。
さらに革新的だったのが、価格交渉が厄介だった個人ドライバーの配車も明朗会計かつ安全に利用が可能になったことです。
日本では法規制によりサービスが限定されていますが、Uberは今や世界各国で一般的に利用される交通手段の一つです。
事例44:Eko India Financial Services(銀行)
Eko India Financial Servicesは、インドの銀行です。
インドでは現金主義の顧客が多く、送金サービスの競争化が激化していました。
そこで1万5,000人の金融エージェントを採用して、毎月100万人の顧客が家族に送金できるシステムを構築。
さらに2015年にEko Platform Services(EPS)と呼ばれるプラットフォームを開発し、最小限の投資でエージェントの数を大幅に拡大しています。
顧客は、オンライン教育や保険などのサービスへの投資がしやすくなったそうです。
事例45:24 Hour Fitness(フィットネス)
引用元:24 Hour Fitness
アメリカの大手フィットネスチェーン24 Hour Fitnessは、競合他社と比較して自社のパーソナルトレーナー利用が約3%にとどまっていることに悩んでいました。
そこでデジタルトランスフォーメーションの取り組みをはじめ、会員一人ひとりに適切なトレーニングガイダンスをするアプリを開発。
現在は400万人の会員のうち100万人がアプリを利用しており、アプリ利用者はジムへのロイヤリティが高まる傾向が確認されています。
またジムだけではなく、自宅でのワークアウトの進捗管理も可能です。
日常のさまざまなシーンで、顧客と接点を持てる仕組みが構築されています。
事例46:Natuzzi(家具)
引用元:NATUZZI ITALIA
イタリアの大手家具メーカーNatuzziは、マイクロソフトと共同で家具製品のバーチャル展示サービスを開発し、実証実験を実施しています。
このサービスでは、顧客がVIヘッドセット「Microsoft HoloLens」を着用すると仮想ショールームで全製品の実物イメージを確認できます。
店舗では、顧客が家具を自室に配置した際のイメージをホログラフィックプロジェクションで作成し、スマートフォンなどのデバイスでチェックできる仕組みも作りました。
デジタル技術によって顧客の製品購入率が上がり、購入にかかる時間や店舗側の業務コストの軽減が見込まれています。
事例47:Shake Shack(ファストカジュアルレストランチェーン)
引用元:Shake Shack Inc.
アメリカのハンバーガーチェーンShake Shackは、注文時の顧客とスタッフの手間を効率化できないかと頭を悩ませていました。
スマートフォンで利用する事前注文アプリや自動注文端末、オンライン注文システムを導入。
これにより人件費の大幅な削減に成功したほか、新たなプロモーションの機会を創出したことで顧客単価の向上も同時に実現しています。
事例48:Domino’s Pizza(宅配ピザチェーン店)
引用元:Domino’s Pizza
Domino’s Pizzaは宅配業者であると定義し、2007年にオンライン・モバイルでの注文を導入。
オンライン前払い制度を導入したり、スマートウォッチやTwitter、Slackなどからモバイルオーダーができたりとデジタル化により顧客接点が確立しました。
事例49:Nike(スポーツ関連アパレル)
引用元:Nike
NikeはD2C企業へと変貌を遂げた企業の1つです。
D2Cとは小売企業を介さずに消費者へ商品を届けるビジネスモデルで、Nikeはデジタル化の活用で消費者とのつながりを深めることを目的に制定しました。
Nikeは、デジタル施策の1つであるモバイルアプリに注力しています。
新作や限定商品をアプリで購入できたり、新商品のストリーミングを配信したりと新たな購買体験を顧客に提供しています。
DXで重要な戦略「守りのDXと攻めのDX」
DXで重要な戦略である、攻めと守りの2つの側面について解説します。
守りのDX
守りのDXとは、デジタル技術を駆使して業務プロセスの見直しやデータ可視化を目指し、企業文化や風土に変革をもたらすことです。
具体的には、紙の帳票を電子化したり、データ集計を手動から自動化に切り替えたりするなどが挙げられます。
デジタル化に向けて環境を整備することで、業務効率化や省力化が実現し、企業全体の生産性向上につながります。
攻めのDX
攻めのDXとは、デジタル技術を応用し商品やサービスの付加価値を高めたり、根本的にビジネスモデルを変革したりすることです。
守りのDXが社内で行う変革に対し、攻めのDXは顧客やステークホルダーと外部に向けた変革を指します。
例えば、Uber Eatsは飲食店が個人事業主の配達員に配達をアプリで依頼し、顧客の元へ届けるシステムです。
サービス提供者と利用者をシームレスにつなげた新しいビジネスモデルの1つになりました。
日本企業のDX取り組みは守りのDXが先行し、攻めのDXへの取り組みがまだ不十分な点が目立ちます。
引用元:「日本企業のデジタル化への取り組みに関するアンケート調査」結果速報~日本企業のDXへの取り組み実態、成功企業の特徴について~
守りのDXは業務の効率化・省力化のように簡単にイメージしやすいでしょう。
一方で攻めのDXは、ビジネスの根本的な革新を推し進めるため、明確なビジョンや創造エネルギーが欠かせません。
デジタルネイティブでない経営者なら、DXへのハードルが高いと予測されます。
デジタル化による業務改善の精度を高めつつも、攻めのDXを実践するための組織体制や人材を強化しましょう。
デジタルトランスフォーメーション(DX)を成功させるポイント
国内外の成功事例を幅広く見ていくと、デジタルトランスフォーメーションを成功させるうえで大きく3つのポイントがあります。
各ポイントの概要についてチェックしましょう。
経営層が率先する
DXを成功させるためには、経営層が明確な目標を設計し率先するのが重要です。
DXは、デジタル化により個々の業務を改善するフェーズの話ではありません。
デジタルトランスフォーメーションはビジネスモデル自体を変革させる大きな取り組みだからこそ、現場の努力のみでは実現が難しいです。
資金投資や組織改編が必要なケースが多いため、経営トップが明確な意思をもってプロジェクトを牽引する必要があります。
一定の投資が発生するということは、DXの方向性を決める経営トップの確固たるリーダーシップが必須です。
まずは「なぜDXが必要なのか」「どのような成果を得たいのか」などを経営陣で明確にしましょう。
明確なビジョンや指針を持つことで、新しいビジネスモデルのチャンスを生み出します。
DX推進組織を構築する
DXを推進する組織を構築するのも成功への一歩です。
DXではデジタルに関する専門的な知識やスキルなどが欠かせません。
また、DXは短期的な戦略だと効果がわかりづらいため、長期的に推進する必要があります。
従業員に既存の業務と兼任させると、業務負担による不満が出るかもしれません。
DXを推し進めるときには、専門のチームを設立するなどDX推進組織の構築に注力しましょう。
なお、DXに精通した人材育成も忘れずに実施してください。
DXにはデジタル技術の面だけでなく、変革に対して積極的なマインドを持つ人材が求められます。
大企業では自社内に専門部署を立ち上げるケースも多いですが、目的に応じた人材を適切に雇用しなければ失敗に終わるかもしれません。
デジタルトランスフォーメーションでは、スタートラインで「何から始めていいかわからない」とハードルを感じ、現状の課題分析やビジョン策定のところから立ち止まってしまうケースもあります。
もしDXに長けた人材を確保できないなら、外部の専門家と連携や委託するのがおすすめです。
デジタルトランスフォーメーションの成功体験と知見をもつパートナー企業と相談しながら進めるのが有効といえます。
マインドを社内全体で醸成する
DXに関するマインドを社内全体に共有し、醸成しましょう。
DXは一部の経営層や社員が遂行して完了ではなく、社員一人ひとりの行動が成功に導きます。
マインドを共有する際は、現場の声にも耳を傾けましょう。
経営陣やデジタル部署のみでビジョンを共有しプロジェクトを進めても、最終的にその技術を活用するのは現場です。
現場の状況に適していないデジタルツールを導入しても、DXが失敗につながるかもしれません。
時には、部署や役職の壁を超えて風土づくりに対して意見交換するのもおすすめです。
マインドを社内で共有し、戦略に関する進捗状況や現状の課題などを定期的にすり合わせていきましょう。
「デジタルトランスフォーメーションを導入する前に知っておきたい5つのステップ」では、DX化の導入手順について詳しく解説しています。
ぜひ本記事と合わせて参考にしてください。
デジタルトランスフォーメーションを推進するなら成功事例を把握しよう!
デジタルトランスフォーメーションは、他社競合との差別化や事業継続など企業の成長にとって必要不可欠なものになりつつあります。
DXを成功させるには企業の本質から変えていく必要があり、十分な準備と計画が必要です。
今回紹介した成功事例を、DX化に取り組む際の参考にしてみてください。
弊社・テクロ株式会社ではDX支援を行っております。
DXの成功事例集を配布しておりますので、こちらもぜひご確認ください。