リードナーチャリングのシナリオ作成の方法とおすすめのツールを紹介
「リードナーチャリングに力を入れているけど、効果を実感できない」というお悩みを抱えていませんか?
リードナーチャリングを成功させるには、リードの行動や状態を考慮したシナリオ設計が重要です。
この記事では、リードナーチャリングのシナリオの作成方法や作成のポイント、シナリオの例などを紹介します。
また、SFAやMAといったツールを用いたリード管理についても解説しています。
リードナーチャリングに課題を抱えている方は、ぜひ参考にしてください。
なお、弊社テクロ株式会社では、企業が抱えるWebマーケティングの課題と解決方法についてまとめた資料「Webマーケティングの教科書」を無料配布しています。
Webマーケティングについて課題を抱えている企業様は、ぜひご活用ください。
目次
リードナーチャリングとは
リードナーチャリングとは、獲得した見込み顧客(=リード)を育成し、自社の売上に貢献させるマーケティング活動のことです。
さまざまな方法で集めたリードに対して適切な情報を提供することで、自社の製品・サービスに対する購買意欲を高めてもらい、将来的に契約へとつなげます。
リードの行動や興味関心などに合わせてアプローチするため、すべての顧客に手当たり次第に営業するよりも、契約や購入につながりやすいのが特徴です。
特に、契約・購入までの検討期間が長くなりやすいBtoBマーケティングにおいては、リードナーチャリングの効果が大きいといわれています。
なお、リードナーチャリングの基本的な内容については、以下の記事で解説しています。
リードナーチャリングの手法やメリット・デメリットが知りたい場合は、ぜひ参考にしてください。
関連記事:リードナーチャリングとは?意味や手法について徹底解説
リードナーチャリングが注目されている理由
現在はリードナーチャリングの重要性が高まり、力を入れる企業が増えています。
ここからは、リードナーチャリングが注目されている理由について解説します。
消費者の購買プロセスが変化しているから
1つ目の理由は、スマートフォンの普及によって、消費者の購買プロセスが変化したことです。
スマートフォンが普及する前は、消費者が情報を得る手段は
- テレビや新聞などのマスメディア
- 友人や知人からの口コミ
など、限られていました。
しかし、スマートフォンが普及してからは、消費者はありとあらゆる情報を簡単に入手できるようになりました。
現在では検索ブラウザやSNSで検索すれば、製品・サービスについて簡単に調べられるうえに、口コミ情報も手に入ります。
このように消費者行動が変化したことで、企業は積極的に消費者との関係を構築・維持する必要がでてきました。
検討期間が長期化しているから
2つ目の理由は、検討期間の長期化です。
インターネットで誰もが簡単に情報収集できるようになったことで、他社製品・サービスとの比較も簡単にできるようになりました。
その結果、消費者の購買プロセスの中に、新しく「情報収集」が追加されたのです。
情報収集によって検討期間が長期化したことにより、他の競合に顧客を取られないために企業は顧客一人ひとりにあったアプローチをとる必要性がでてきました。
しかし、営業担当を増やすとコストがかさんでしまいます。
そのため、消費者を育成するためのコンテンツを用意して接点を増やし、長い時間をかけて顧客化するリードナーチャリングの重要性が増しました。
休眠顧客が増えているから
3つ目の理由は、休眠顧客が増えていることです。
休眠顧客とは、以下のような顧客のことです。
- 商談まで進んだが、契約に至らなかった顧客
- 1度契約したものの、リピートには至らなかった顧客
休眠顧客は1度商談や契約まで進んでいる分、興味関心が高いはずなので、企業にとって大きな財産となります。
改めてアプローチすれば、顧客化できる可能性が十分にあります。
しかし、単に営業するだけでは断られてしまう可能性が高いため、戦略的なアプローチが重要です。
このような休眠顧客を顧客へと変化させるため、リードナーチャリングの重要性が高まりました。
リードナーチャリングにおけるシナリオの重要性
リードナーチャリングにおけるシナリオとは、リードナーチャリングの手順を具体的に決めた設計図のようなものです。
リードに対して、いつ、どのようなアプローチをするか、細かく設定します。
基本的に、リードナーチャリングにおけるシナリオは複数設定します。
リードによって製品・サービスに対する関心度合いや情報ニーズが異なるからです。
例えば、
- 初めて自社サイトを訪れたリード
- SNSをフォローしているリード
- 資料請求をしたリード
上記に挙げたリードでは、製品・サービスへの興味関心が異なります。
このような異なるフェーズのリード一人ひとりに対して適切なアプローチをとり、その成果を最大化するためにも、複数のシナリオ設計が重要なのです。
シナリオを設計して確実に実行すれば、リードナーチャリングの効果が高まり、売上増加が期待できます。
リードナーチャリングのシナリオの作成方法
リードナーチャリングのシナリオは、次の3つのステップで作成します。
手順①リードの情報を集めて整理する
まずは獲得したリードの情報を集めて整理します。
対象となるリードのニーズや課題を理解することが目的です。
例えば、セミナー参加者や問い合わせメールなどの情報を整理し、ニーズや課題別に分類します。
手順②カスタマージャーニーマップを作成する
次に、カスタマージャーニーマップを作成します。
カスタマージャーニーマップとは、顧客が製品・サービスを認知してから購買に至るまでのプロセスを時系列でまとめたものです。
各プロセスにおける顧客ニーズを明確化することで、適切なアプローチを整理します。
手順③顧客の行動に合わせたシナリオを作成する
最後に、カスタマージャーニーマップを参考にシナリオを作成します。
「どんな情報があれば次の購買ステップに進むか」を考えて、コンテンツを届けるタイミングを決めましょう。
既存のコンテンツでリードの悩み解決ができない場合は、新しいコンテンツを作ることも検討しましょう。
リードナーチャリングのシナリオの例
ここで、リードナーチャリングのシナリオのよくある例を4つ紹介します。
ケース①資料請求からのシナリオ
1つ目は、製品・サービス紹介やノウハウ提供に関する資料を請求したリードに対するシナリオの例です。
自社の製品・サービスに対して興味はあるものの、まだ検討レベルは低めで、他社と比較検討している段階です。
そのため、自社の製品・サービスについて理解を深めてもらうコンテンツを提供することで、次のステップに進める可能性が高まります。
<シナリオの例>
- 資料請求の直後にお礼メールを配信する
- お礼メール配信の数日後に商品・サービスの導入事例を配信する
- 導入事例を開封した場合、翌日に無料トライアルの案内を配信する
ケース②イベント参加者に向けたシナリオ
ウェビナー等の自社イベントに参加したリードは、自社の製品・サービスに対して、ある程度の関心を持っています。
そのため、継続的なアプローチによって、関係性を深めることを目指します。
<シナリオの例>
- セミナー終了直後〜翌日にお礼メールを配信する
- 数日後、セミナー参加者限定の特別資料や割引プランなどのお得情報を配信する
- さらに数日後、無料の個別オンライン面談の案内メールを配信する
お礼メールからWebアンケートに誘導し、回答によってアプローチを分けるのも1つの方法です。
また、欠席者にはイベントで使用した資料を送ってフォローアップをおこなうなど、参加者とは別シナリオを用意するのも効果的です。
ケース③休眠顧客にアプローチするシナリオ
休眠顧客にはまず自社製品・サービスについて思い出してもらい、具体的なアクションや再検討を促します。
<シナリオの例>
- 現在の状況を伺いつつ、最新情報のリンクを掲載したメールを配信する
- メールのリンクにアクセスした場合、イベントの案内メールを配信する
- イベント案内のメールを開封したら個別オンライン面談を設定し、現在の課題やニーズに関するヒアリングをおこなう
ケース④過去に失注した顧客に向けたシナリオ
過去に失注している顧客にも、リードナーチャリングは有効です。
1度検討していることから、課題感が一致している可能性が高いからです。
例えば、社内体制の都合で検討していたタイミングでは契約できなかった場合、期末や期首などの体制変更によってタイミングが変われば、契約に至る場合があります。
再び必要とされるタイミングで自社製品・サービスを思い浮かべてもらえるように、継続的に最新情報を配信しておきましょう。
例えば、直近1ヶ月で
- メール開封率が30%以上
- メールに掲載したリンクのクリック数が3回以上
といった基準となる数値を設定して、スムーズに次のアプローチにつなげられるような決まりを作り、タイミングを逃さないようにしておくと効果的です。
リードナーチャリングのシナリオ作成のポイント
次に、リードナーチャリングのシナリオ作成で大切なポイントを6つ紹介します。
KGIやKPIを設定する
1つ目のポイントは、KGIとKPIを設定することです。
それぞれの意味は以下のとおりです。
- KGI(Key Goal Indicators):重要業績評価指標。最終的なゴールのこと。
- KPI(Key Performance Indicators):重要業績評価指標。KGIを達成する過程でクリアすべき目標のこと。
例えば、KGIを「年間の売上を前年比で◯%増加する」と設定したとします。
するとKPIは「新規顧客を◯%増やす」「リピート購入を◯%増やす」といったものになるのではないでしょうか。
KGIやKPIを設定することで、やるべきことが明確になります。
また、効果測定の際に、目標の達成度合いも判断できるようになります。
数値を使って具体的なKGI・KPIを設定して、社内の誰が見てもわかるようにしておきましょう。
ペルソナを設定する
2つ目のポイントは、ペルソナを設定することです。
ペルソナとは、自社の製品・サービスを利用している典型的なユーザー像のことです。
性別・年齢・職業といった基本的な情報に加えて、BtoBの場合は以下の項目を設定します。
- 現在の役職
- 抱えている課題
- チームの人数
- 決裁権の有無
- 社内での目標
ペルソナ設定は、具体的な人物がイメージできるくらい詳細に決めることがポイントです。
その理由は、顧客解像度が高まることで、顧客が抱える課題やニーズをより鮮明にイメージできるようになるからです。
もしペルソナがはっきりしていないと、ぼんやりとしたシナリオになってしまい、期待していた結果を得られないリスクがあります。
ペルソナを設定して、顧客のニーズをしっかりと把握しましょう。
セグメントごとにシナリオを分ける
3つ目のポイントは、セグメントごとにシナリオを分けることです。
セグメントとは「区分」や「部分」といった意味の言葉で、マーケティングにおいては、既存顧客やリードの、特定のまとまりを示します。
セグメントに分けることで、それぞれの課題や情報ニーズに合ったシナリオを作りやすくなります。
例えば、
- SNSから流入したリード:魅力的な製品画像などで、ECサイトへと誘導するシナリオ
- 既存顧客:定期的に製品やイベントに関する情報を提供し、リピートへとつなげるシナリオ
といった感じです。
リードの情報を集めて整理していると、似たリードのグループが複数できてくるはずです。
その共通点を元にセグメントを分けて、それぞれに合ったシナリオを作りましょう。
既存顧客の声を参考にする
4つ目のポイントは、既存顧客の声を参考にすることです。
企業側からの一方的なアピールは顧客に引かれてしまい、成果につながらないことがあります。
リードナーチャリングを効果的におこなうには、顧客目線に立ち、「ちょうど良い距離感を保つ」「必要な情報を適切なタイミングで提供する」ことが重要です。
そのために、以下のように既存顧客の声を聴き、施策に反映させましょう。
- お客様アンケートをおこなう
- 購入者へのインタビューを実施する
- 顧客に直接対応している営業担当にヒアリングする
また、新聞やニュース、ホワイトペーパーを使った業界研究にも、必要に応じて取り組んでみてください。
コンバージョンポイントの心理的ハードルを考慮する
5つ目のポイントは、コンバージョンポイントの心理的ハードルを考慮することです。
コンバージョンポイントとは、自社サイトを訪れたリードが資料請求やお問い合わせなどのコンバージョンに至った場所やタイミングを示すマーケティング用語です。
シナリオ作成では、コンバージョンポイントごとに心理的ハードルが異なることを念頭に置く必要があります。
例えば、お問い合わせやアポイント設定などは心理的ハードルが高い部類に入ります。
一方でメルマガ登録や資料請求などは、心理的ハードルが低めです。
まとめると以下のとおりです。
コンバージョンポイント | ハードルの高さ |
アポイント設定、お問い合わせ | 高い |
無料トライアル、ウェビナー等のイベントへの申し込み | 中間 |
資料請求、メルマガ登録 | 低め |
心理的ハードルの高いコンバージョンポイントを達成するには、その手前にハードルを下げたコンバージョンポイントを設定することがポイントです。
例えば、
- 資料請求したリードに対してウェビナー情報を提供する
- ウェビナーに参加した際に課題やニーズを聞き出し、具体的なアポイントへとつなげる
といった具合に、少しずつハードルを上げていきます。
リードのスコアリングをおこなう
6つ目のポイントは、リードのスコアリングをおこなうことです。
スコアリングとは、リードの状況を点数化したものです。
- 資料請求:1点
- SNSをフォローした:1点
- イベントに参加した:2点
などと点数を設定して、リードの行動を記録します。
そして、「5点を超えたらアポイントのメールを送る」など、具体的なアクションを設定します。
スコアリングのメリットは、リードの状況を細かく把握でき、適切なアプローチをしやすくなることです。
ホットリードをスムーズに営業担当につなぐことができ、成果につながりやすくなるでしょう。
リードナーチャリングのシナリオ作成における注意点
次に、リードナーチャリングのシナリオ作成における注意点を紹介します。
シンプルなシナリオから始める
シナリオを作るときは、シンプルなものから始めましょう。
あまり複雑なシナリオを作ってしまうとゴールにたどり着くリードがおらず、優良なリードを抽出しにくくなるからです。
特にBtoBはBtoCに比べてリードが少ないため、シンプルなシナリオ設計が重要です。
まずはシンプルなシナリオを作成して、リードが増えてきた段階でセグメントの細分化や分岐の追加などをしましょう。
シナリオ作成後も効果検証・改善をおこなう
シナリオを作成した後は定期的に効果検証をおこない、結果に応じて改善をおこないましょう。
最初に設計したシナリオが、必ずしも上手くいくとは限りません。
コンテンツ内容や配信タイミングなどに改善点が見つかる場合があります。
また、リードを取り巻く環境やニーズも変化するため、シナリオが時代遅れとなる可能性もあります。
1度設計したシナリオにこだわらず、PDCAを回しながら、精度の高いシナリオへと改善していきましょう。
シナリオ作成後はツールを用いてリード管理するのがおすすめ
シナリオ作成後、多くの方が「リードが多すぎて、一人ひとりへの細かい対応ができない」という悩みを抱えがちです。
そこでおすすめなのが、ツールの活用です。
ここからは、リード管理におすすめのツールを2種類紹介します。
SFAで営業活動を一元管理
SFA(Sales force management system :営業支援システム)とは、マーケティング活動や営業活動を一元管理できるツールです。
リードナーチャリングでマーケティング担当が育成したリードを営業担当に引き継ぎ、契約するまでの活動を管理します。
リードへのアプローチをデータとして蓄積することで、そのリードに対して有効なアプローチを分析できるのがメリットです。
また、データ化によって社内での情報共有も容易になり、引き継ぎが発生した場合でもスムーズに進められるようになります。
MAでマーケティング活動を効率化
MA(マーケティングオートメーション)とは、マーケティング活動を効率化するためのツールです。
自社サイトへのアクセス情報などからリードについて分析し、一人ひとりに最適なアプローチを自動でおこなってくれる機能があるため、社内リソースの負担削減ができます。
また、スコアリング機能があるMAは、ランク分けしたリードごとに異なるアプローチを可能とします。
なお、弊社テクロ株式会社では「メルマガ・MA運用代行サービス」を提供中です。
MAの選定・導入・運用支援を一気通貫でサポートし、メルマガによってコンバージョンにつなげます。
「リードから商談につなげるのに課題を感じている」という企業様は、ぜひご検討ください。
また、以下の記事ではおすすめのMAツールを紹介しています。
具体的なMAツールを知りたい場合は、ぜひ参考にしてください。
関連記事:徹底比較!おすすめのMAツール(マーケティングオートメーション)21選
まとめ:シナリオを作って段階的にリードナーチャリングを進めよう
リードナーチャリングでは、リード一人ひとりの状態に合ったコンテンツを提供することが重要です。
社内で統一したアプローチがとれるように、明確なシナリオを設定しておきましょう。
セグメントごとに明確なシナリオが描けていれば、獲得したリードが育ち、自社の顧客になりやすい環境が作れるはずです。
まずは既存のリードや顧客を分析して、リードの抱える課題や情報ニーズを把握することから始めましょう。
なお、弊社テクロ株式会社では、企業が抱えるWebマーケティングの課題と解決方法についてまとめた資料「Webマーケティングの教科書」を無料配布しています。
Webマーケティングについて課題を抱えている企業様は、ぜひご活用ください。