DXに活用できる補助金の種類と条件〜【最大1億円】2021年に補助金で行うべきDXとは?のウェビナーレポート:後編〜 | テクロ株式会社
お問い合わせ 資料請求

DXに活用できる補助金の種類と条件〜【最大1億円】2021年に補助金で行うべきDXとは?のウェビナーレポート:後編〜

昨今、国からも推進を促されている企業のDX化。

そのための補助金制度も充実してきましたが、実際の手続きや申請方法・自分達も補助金の対象となるのか?などを一から学ぶのは大変です。

そこで今回は、2021年2月16日におこなわれたテクロ株式会社主催のオンラインイベント「【最大1億円】2021年に補助金で行うべきDXとは?」のウェビナーレポートをお届けします!

このウェビナーでは使える補助金の限度額や、BtoB企業に必要なDXの詳細な説明など、DXとその補助金に関する疑問にお答えしていきます。

後編の本記事ではアップスマート株式会社 西村公志さんに、2021年のDXに使える補助金についてのお話をうかがいます。

前編はこちらをチェックしてみてください。

BtoB企業に必要なDXと補助金〜【最大1億円】2021年に補助金で行うべきDXとは?のウェビナーレポート:前編〜

講師の紹介

西村公志 (中小企業診断士・経営革新等認定支援機関)
アップスマート株式会社

経済産業省の補助金(ものづくり補助金、IT導入支援事業、小規模事業者持続化補助金など)や東京都の創業助成金などの補助金支援で実績が多数。事業計画策定、事業再生、補助金支援やセミナー講師などの活動をしている。
ものづくり補助金の初年度から申請支援に携わり、他社が通らなかった案件なども事業内容を再構成して採択される。
補助金採択に向けた支援は、「経営者とコミュニケーションをしっかり行いストーリーを作り上げることが重要!!」

天野央登
テクロ株式会社 代表取締役

テクロ株式会社CEO。⼤学2年⽣時に起業。留学メディア「交換留学ドットコム」を1年半ほど運⽤し事業売却。その後はコンテンツマーケティングの知⾒を活かして、Webマーケティングの顧問事業を開始。BtoBマーケティングを中心にSEO・MAツールに詳しい。

2021年のDXに使える補助金とは?

天野:それでは第3部の方に入りますね。

「2021年のDXに使える補助金」のお話なんですが、こちらは補助金の内容によってはうまく調整をしないとDXに使えない場合もございまして……。

その辺りについて、西村さんの方から詳しく説明をいただければと思います。

西村:改めて自己紹介いたします、西村と申します。

今回は補助金支援のお話を持ってきました。

アップスマートは2013年にあった創業補助金を、最初に自分で申請して通したところから動いていますね。

過去の例に「グループ復興補助金」のお話をします。

これは東日本大震災の後、2013年にできた支援ですね。

東北は震災の影響で経済産業の基盤が全部潰れてしまったので、一社ごとではなくてある地域・業界で集まって、そのグループに補助金を出す仕組みでした。

その時に知り合いから声をかけられて「他社で(申請を)出したら落ちてしまったので、助けてください」と、困っていた理美容グループ23社の支援をおこなうことになりました。

トータル一億円の補助金をストーリーも書き直して申請することになったので、みんなで真摯に対応していきましたね。

そのあとはちょうど安倍内閣が始まったのに合わせて、ものづくり補助金だとかの経済産業省の補助金が復活してきました。

そしてそれに合わせて、声がかかったら申請の支援をしています。

金融機関さんの中でも「中小企業に該当する上場企業」といった不思議なジャンルがあるんですよ。

その上場企業さんから「(申請を)出したけど落ちてしまって……。なんとかならないでしょうか?」と話が来て、改めて話を聞きながらストーリーを再構築し、実際に採択されて感謝された支援もありました。

直近だと「IT導入補助金」などをベンダーさんと一緒になって裏側で支援を手伝ったり、「ものづくり補助金」で粛々と件数を積み上げております。

DXに使える2021年度の補助金とは

西村:令和3年の補正予算が1月半ばから末ぐらいに採択されて、中小企業でもいろいろ使える補助金が出てきました。

その中で上手くいけばDXに使えそうな補助金を、皆さんにご紹介していきます。

画像が補助金の全体像になりますね。

項目の上から2番目の項目に記載されている

  • ものづくり補助金
  • 持続化補助金
  • IT導入化補助金

これらの補助金には2,300億円の予算が出ています。

「ものづくり補助金」は設備投資に、「持続化補助金」はサービス業なら従業員5人以下、製造業だったら20人以下の小規模な企業さんが使えるものですね。

販路開拓のための支援ですが、これは6月・10月・2月と公募時期が決まっています。

「持続化補助金」に加点項目があることは、皆さんに知っておいてもらいたいですね。

「経営力向上計画」の書類を3月末までに出しておくと、6月と10月の公募の際に加点され、採択もされやすくなります。

そして申請すると決めた方達は先んじて動かれるので、(申請を)出される予定があれば事前に準備しておくのをおすすめします。

少しDXと文脈は変わりますが、本年度の「IT導入補助金」はパソコンのレンタルも対象になってます。

パソコンレンタルは昨年度から対象になったのですが、今年度も同様に引き続いてくるのでテレワーク用にパソコンを買うのに使えるんじゃないかなと思っています。

天野:すみません、全ての補助金において「経営力向上計画」の書類は加点になるんですか?

西村:これは公募要領に全て書いてあって、今年度は「持続化補助金」には適用されますが(昨年に適用されていた)「ものづくり補助金」はダメですね。

(加点が適応される補助金は)毎年変わってしまうんです。

天野:取りたい補助金によっては書類を出しておけば加点になるのでしょうか。

西村:そうですね。

「3月末までに出された申請書類だけが認められる」と記載があるので、事前に準備を進めたらいいかなと思います。

天野:来年度分は今年の3月までに動かないと加点が入らないってことですか?

西村:2月公募のものは、おそらく9月か12月あたりが期限になるかと思います。

「(書類を3月までに)出せないけれど加点を取りたい」となれば、2月の申請に向けて動いていく必要がありますね。

天野:では今年の夏・秋ぐらいまでに補助金を取るのでであれば、3月までに出しておいた方が無難なんでしょうか。

西村:そうですね、かなり有利になりますよ。

事業再構築補助金の概要と要件

西村:「事業再構築補助金」と呼ばれる制度も出てきました。

いろいろなところで「すごい補助金が出てきた」と話題になっているので、耳にしていることもあるかもしれませんね。

先日タイムリーに最新資料が上がってきたので、その内容について皆さんに共有していきます。

主に「補助金の概要」と「補助金の事例」についてお伝えしていきますね。

西村:概要は画像内の「補助金の目的」に書いてあるんですが、新分野展開や業態転換、事業・業種転換などにチャレンジする際にこの補助金を出しますよ、と書かれています。

今のところ(2021年2月現在)公募要領はまだしっかりと出ていないので、何とも言えないんですが……。

「全ての要件を満たす企業団体」という表現をしています。

なので普段だったらなかなか経済産業省が対象にしなかったような団体さんに対しても、広く手を差し伸べるような仕組みになるのでは、と期待していますね。

そんな補助金対象企業の要件は3点あります。

1点目は申請できる時期は令和3年度中に何回かあること。

6ヶ月間のうち、自分で任意の3ヶ月を指定できます。

ここは飛び飛びでもいいんですね。

例えば

  • 2月
  • 11月
  • 8月

からの売り上げを取ってきて、3ヶ月の売り上げ合計とコロナ以前の2019年11月または2020年1月〜3月からの売り上げと比較する。

そしてその売り上げが10%下がっていれば、使える制度になってます。

2点目は「事業計画」の作成と提出。

これについては「認定経営革新等支援機関」と呼ばれる、経済産業省が認める資格を持ったところと一体となって、支援計画を作る必要があります。

僕ら中小企業診断士や税理士さんが、その資格を持っていますね。

「補助額が3,000万円を超えた場合については、金融機関が必ずその事業計画を作るチームに参画するように」と書かれています。

なので今回の申請で大きな金額を狙う場合には金融機関さんと、ちゃんと提携しながら進めていく必要がありますよ。

3点目は補助事業が終了した後、3〜5年で付加価値額の年平均3%付加価値額を上げなければいけない決まりですね。

たとえば3年間で事業を組んだ場合には、申請する時期と比べて9%付加価値額を上げる必要があります。

付加価値額とは何かと説明すると

  • 営業利益
  • 人件費
  • 減価償却費

の3つです。

資料の中には「達成しなかった場合ペナルティが発生する可能性があります」と記載があります。

ですが他の補助金の傾向から行くと、達成できなかった場合でも理由を立てれば免除されることが多いですね。

事業の計画なので、完全にうまくいくことはありませんし。

とはいえ、実際に申請される時には注意してください。

事業再構築補助金が適用される項目・費用とは?

西村:「事業再構築補助金」の予算は1兆1,485億円です。

「ものづくり補助金」「持続化補助金」「IT導入補助金」は全て足して2,300億円でしたので、そこと比べても5倍くらい(予算額が)違うんですよ。

採択を予定している件数は55,000件で、これは(ほとんど)採択されるのが前提で組まれていますね。

補助事業の期間は令和4年度末までと、おそらく2年間は申請できる仕組みです。

西村:補助金は「基本的には設備投資を支援するもの」と記載がありました。

先ほど天野さんがおっしゃっていたのですが、DXに全部費用を使えるかと思ったら、ストレートに広告戦略などには運用できない決まりになっています。

天野:興味を持たれた企業の方でもいろいろ設備、例えば工場・店舗など様々あるかと思うのですが、設備投資費って具体的にどの辺まで入るんでしょうか?

西村:まさに画像の中央に書いてある、「主要経費」が設備投資の大きな目標になっていますね。

  • 建物の建築・改修に関する経費
  • 建物の撤去費
  • 機械などの設備費
  • システム購入費

こういったものが主要な経費に掲げられていて、これが設備投資の本部分になります。

けれど新規事業・新分野開拓だとか業態転換するにあたって、使用経費で建物の形を変えたって仕事が取れるわけではないですよね。

なので販売開拓しなきゃいけないだとか、技術者のための道具・社員に教育し直す研修費といった関連経費に

  • 外注費
  • 技術研修費
  • 広告宣伝費
  • 販売促進費
  • リース費
  • クラウドサービス利用費
  • 専門家経費

など、こういったところにも(補助金を)使えるようになっていますよ。

DXに使える費用に使える大きな項目は「広告宣伝費・販売促進費」あたりかな、と思っています。

あとは公募要領が出てき次第ですが、先ほど天野さんの話し出てきたようなMAツールを使う場合にも、もしかしたら使用できるかもしれません。

例えば「MAツールで営業に繋げるんだ」と、システム購入と合わせて「外注費・技術研修費でDXを推進する」といった形で、持っていける可能性もあるかと思います。

天野:システム購入費はどこまで入るんでしょうか。

西村:詳細がまだ出てないんですけども、(補助するのは)購入費であって構築費は対象に入っていないと認識してます。

新規で自社システムを構築するのは今回の補助金の対象ではない、と分けられていると思います。

逆に「ものづくり補助金」は新規事業で自社の新しいシステムを構築するのに使えますよ。

この辺りの線引きが、「ものづくり補助金」と「事業再構築補助金」の間でできているのでは、と捉えています。

注意点は画像の「補助対象外」に書いてるんですが、人件費・不動産株式・M&Aで株式を買うのはダメですね。

パソコンなどの汎用品もダメでしたので、この辺りは使えないのだなと認識しておいてください。

事業再構築補助金の種類と中小企業・中堅企業の違いについて

西村:補助金の種類はいろいろな申請枠に分かれています。

まず中小企業と中堅企業の定義が分かれていて、補助率が大きく変わってきますね。

中小企業 補助額 補助率
通常枠 100万〜6,000万円 2/3
卒業枠(400社限定) 6,000万円超〜1億円 2/3

中小企業の場合は通常枠が100万から6000万円で、補助率は3分の2です。

400社限定の卒業枠は、最大で1億円まで出る形で作られているんですよ。

中堅企業 補助額 補助率
通常枠 100万〜8,000万円 1/2(〜4,000万円)
1/3(4,000万円〜)

グローバルV字回復枠(100社限定)

8,000万円超〜1億 1/2

中堅企業の方は100万円から8,000万円なのですが

  • 4,000万円までは2分の1
  • 4,000万円以上は3分の1

と、補助率が減らされています。

中堅企業の定義は、現状「資本金10億円未満の会社となる予定」と書かれていますね。

グローバル V 字回復枠は100社限定ですが、同じく1億円ぐらいまでの額で2分の1補助で構成されています。

現状は概算払いを「予定」していると書いてあるので、どんな風に・いくらまで払うのかはまだ詳細が決まっておりません。

ですが、先に補助金を概算で払ってくれる可能性があります。

もう一つは設備投資についての遡及適用も予定、と書かれています。

2月15日にこの概要書が出てきたのですが、その中には「(申請の認可より)先に買うのですが通ったらこれも適用ください、と申請が出せるようになると書かれていました。

ただ絶対に採択されるわけではないので、その点は注意して下さい。

天野:極端な話で「明日オフィスを改築します。」となったとします。

このオフィス改築は補助金の対象になる事業にすることもできるし、落ちてしまった場合でも「別にそれはそれでいいかな」といった使い方もできるのでしょうか。

西村:そうですね。

ただそもそも、オフィス改築が公募要領の中に当てはまらなかったらダメなので、せめて3月の発表までは待った方がいいかなと思います。

店舗の改築など事例で明確になっているものは手をつけてもいいかもしれませんが、怪しいところはまだ何もしない方がいいですね。

緊急事態宣言の影響における補助金「特別枠」とは?

西村:あともう一つですね、(通常枠の他に)特別枠が出てきています。

これは何かと言うと、1月から3月のいずれかの月の売上高が対前年・対前々年のどちらかの同月比から30%以上減と、より経営が厳しくなっている企業さんが使える枠ですね。

メリットは何かと言うと、まず補助率が上がります。

中小企業の場合は3分の2だったのが4分の3に、中堅企業は2分の1だったのが3分の2にアップするんです。

あとは審査・採択が迅速におこなわれるなど、そのあたりも配慮されています。

画像中央に「補助条件あり」と書かれているのは、従業員数によって縛りがあるからなんですね。

  • 5人以下の企業の場合は〜500万円
  • 20人以下の場合は〜1,000万円
  • 21人以上の場合は〜1,500万円

とこの3つが補助額の上限値となっています。

先ほどの(中小企業の)通常枠だと6,000万円まで補助があるのに対し、こちらは500万までしか使えませんが迅速に振り込まれるのが特徴ですね。

もう一つ概要に書かれているポイントがあります。

採択する件数に限りがあるのですが、「ものづくり補助金」の場合は(特別枠に)出したら通常枠の審査は回しませんよ、となってしまうんですよ。

ですがこの「事業再構築補助金」は逆で、特別枠に出したことによってもし採択されなくても通常枠に回してもらえる上に、(特別枠に)出したら加点する旨が記載されています。

資料の中で明確に「通常枠で出される人に比べて、採択率が高くなる可能性が高いです。」と表現されているほどです。

補助額が500万円〜1,500万円と上限はあるんですが、それでも問題なければ特別枠で申請されると、採択は狙いやすいかなと思います。

天野:これって採択が早くても、全部事業を完了してからお金が支払われることには変わりないですよね。

西村:そうですね。

天野:そうすると少なくとも、1年弱くらいはキャッシュフローを見ておかないと危険ってことですよね。
これに申請してお金を使っても、キャッシュフローが無くなってしまったらちょっと危ないですもんね。

西村:概算払いとプラスして、何とか調整していくことになるかなと思います。

各業種における補助金申請が通った事例の紹介

西村:各種の事例も出ております。

飲食業の場合は「居酒屋の経営が苦しくなったので、店舗を閉めてお弁当の宅配事業を新しく始めます」と業態転換した例ですね。

この場合は店舗縮小に関する建物改修費、機器導入費や宣伝広告費などのお弁当を売るための事業に補助金が出た事例です。

西村:次は小売業の事例ですね。

紳士服の販売業をやっていたがダメになってしまったので、店舗の営業を縮小してネット販売やレンタル事業に業態を転換した例です。

紳士服販売は変わっていないのですが、ネット販売といった新分野に展開したりレンタル事業に業態転換していますよね。

こういった店舗縮小に関する改修費だったりとか、オンラインサービス導入によるシステムの構築にも使えます。

西村:次はサービス業の場合です。

高齢者向けデイサービス事業がダメになったので、デイサービス事業を他社に売って別の企業を買い、病院の給食・事務の受託サービスといった新分野に展開していく例ですね。

これも建物を変えなくてはいけないので建物の回収費や機器導入費、そして初めておこなうサービスなのでそれに合わせた、(社員への)研修費なども出ますよ。

西村:次は製造業ですね。

航空機の部品を製造していたけれど、コロナの影響で需要が減少してしまった例です。

「関連設備を廃棄して、新しく医療機器部品の製造事業を立ち上げました」となるので、航空機部品から医療器部品への新分野展開になりますね。

これも設備の撤去費用だとか、新規設備の導入費用に必要なお金が支給されますよと明記されています。

西村:他には画像のような事例が出ていますね。

ヨガ教室が新たにオンライン形式のヨガ教室を運営した事例も対象になる、とありました。

おそらくオンラインシステムの購入費といった、販売促進費のお金が支給されるのかなと思います。

面白いのは右上にある、ガソリン販売の事例ですね。

ガソリン販売を辞めて、新たにフィットネスジム事業を始めるのはまさに新分野展開に該当します。

あくまで事例なので、この内容で書いたら通る訳ではなくて「こういったものが対象となる事業です」といった説明だと思ってください。

あとは和菓子の製造工程で出てくる成分を活用して、新たに商品の製造・販売を開始した和菓子の製造販売業の事例もあります。

「新しい設備を買わなくてはいけないな」だとか「古い設備の一部を無くして新規の設備を増設する」など、こういったものに(補助金を)使えるんだろうな、と想像できますね。

自社のやりたい事に沿わない計画を書いても、(無為に)お金を使うだけになってしまいます。

みなさんのやりたい事業・こんな会社にしたいビジョンが見えてきたら、認定支援機関や補助金のサポートをしてくれる人に相談して、しっかりやり取りしながら計画書を作っていきましょう。

補助金支援を続けて分かってきた申請のポイントとは?

西村:最後に、僕たちがどんな風に補助金の申請を書いているかを少しだけ説明します。

補助金の申請については公募要領が出されるのですが、ここに審査のポイントが明記されています。

ほとんどの補助金は、審査ポイントがしっかりと書かれていることが多いんですよ。

行政がおこなう仕事なので、補助金の対象になるもの・どう審査しているのかなどの項目をしっかり網羅してくれていますね。

今回も概要資料に出てくる中で、画像にある項目が書かれていますよ。

これは「ものづくり補助金」と似てるな、と僕たちは認識しています。

まず一つ目は現状分析ですね。

(「ものづくり補助金」と)少し違うところは、事業再構築の必要性について「しっかりと理論を展開してください」とあることです。

二つ目は「新分野展開や業態転換、事業・業種転換等の取組、事業再編に向けてどんなことをするのか具体的に記述する」と書かれていますね。

補助金の目的に関して「あくまでも既存事業の売り上げを伸ばすためのビジネスではないですよ。そういった補助金の狙いは無いですよ」としっかり書かなくてはいけない、と認識しています。

カッコ内の項目は書く時のポイントになるので、みなさんが自分で申請書を作る時にはこの辺りを参考にしてもらいながら書いていただければいいですね。

三つ目は「上記の事業にむけて、取り組む内容や自社だとなぜできるのかをしっかりと記述する」とあります。

これは何かと言うとカッコ内に書いてある、市場の状況だったりだとか「うちじゃないとできない」といった優位性ですね。

あとは価格の設定で「このようにやります、だから売れるんです」と記載するのもあります。

あとは課題の解決です。

「これは少し難しいんですが、ここをうまく使うとできるんですよ」と記述が入っていると、「そんなに課題を解決する糸口が見えているなら、できそうですね」と解釈してもらえたりします。

このようにいくつかポイントになるところを考えながら、(読む人に)伝える資料を作りましょう。

一番最後は画像の赤字の部分ですね。

これは補助金の申請を支援する側で思うのですが、たくさん計画書を読んでいると

  • 設備が欲しい
  • 古い設備を買い直したい

と(書き手が思っているのが)分かってしまうんですね。

そしてそうなると(申請は)落ちてしまいます。

なので「なぜ古い機械ではなく、新しいものを買うのか」をしっかりストーリーと一貫性を持たせて読む側が納得できるように記述する、ここがポイントになってきます。

みなさんが自分で書かれる時には、この辺りを参考してもらえればいいかなと思いますね。

天野:この申請書を読むのは、基本的にはおじいさんですか?

西村:全国的な規模では分かりませんが、僕の知っている方を浮かべるとおじいさんが多いですね。

天野:IT分野のところは特に注意深く記述しないと、新しすぎて分かってもらえない可能性があるのでしょうか?

西村:そうですね。

あとIT関係は幅も広いので、ストーリーを持たせて記述するものは中学生が読んでも分かるように、とお伝えしています。

天野さんもついDXと言ってしまうと思うんですが、「DXってなんですか?デラックスですか?」といった認識の方が読むかもしれません。

なので「DXとはデジタルトランスフォーメーションの略語で、経済産業省が〜」と書くだけで、納得して読んでいただけますよ。

あともう一つ、裏のポイントがありますね。

補助金の申請なので適正にやってもらうために、相手がしっかりと比較したり他の資料を読み込んでくれるだろう、と思っている方がいます。

ですが基本的には逆で、申請した書類に書いていること以外の情報を読み取ってくれません。

例えば「この技術は新しい」と書いても、本当にその技術が世界で新しいのかを勝手には調べてくれないので、自分たちでちゃんと論拠を立てて説明した方がいいですね。

「書類しか読んでくれない」と思って取り組めば、書く内容・書かなければいけない項目が明確になってくるかなと思います。

天野:あくまでも読み手のことを考えて書くのが大事なんですね。

読み手は、何枚もの紙の束を「一つ一つ見ていかないと……」と思うとすごく憂鬱になる。

なので、答案を書くように「相手に読んでもらいたい」一心で書かないといけないんですね。

西村:おっしゃる通りです。

申請する方は「締め切り後から審査までの時間が遅い」と感じますが、資料を集めてそれを再配布して、見てもらって、集めて、集計して……とやると、たぶん審査する時間は1、2週間ぐらいしかないと思います。

そして10,000件ほど採択するにしても、30,000件ほど申請が来たものを全国にいる人達が一生懸命読むんですよね。

あとは世間でよく言われてることと、全く違うこと書くのもダメですね。

読んでる方も知識があるので、違和感があると「嘘をついてるな」と心証も下がっていきます。

  • ちゃんと正直ベースにしっかり書く
  • 嘘はつかない
  • 計画書の中に情報を収める

これらが大事なポイントです。

質疑応答

天野:それでは第4部の質疑応答に移ってまいります。

西村:一件、質問が来ていますね。

天野:「ECサイトの販売の事例がありましたが、こちらでECを構築する費用は対象にならない認識でよろしいでしょうか。」

これは「事業再構築補助金」についてでしょうか?

システム購入費とシステム構築費の区分が悩ましいと思ってらっしゃるようです。

西村:システム構築の費用については、外注費の項目でいけるのではないかと思います。

主たるものとして外注費で組み立てるのはダメですね。

でも主の業務があった上で「業態転換のためのシステム購入・構築+その開発の部分」を外注費で出すのは、狙えるのではないかと思います。

まだ公募要領が出ていないので言い切れない部分はあるのですが、そのように切り分ければ狙えるチャンスかと。

またもし、ECサイト構築であれば「IT導入補助金」の方で申請する選択肢もあります。

基本たるものを買わなくてはいけないのですが、役務の部分で出来るのでカスタマイズ部分も修正変更してくれます。

そういう狙い方もできるのでは、と思いました。

天野:例えば実店舗があって、その経営が苦しいのでオンライン化してECサイトを作る、といった理由なら「事業再構築補助金」も狙えるのでしょうか?

西村:僕だったら実店舗の方を改築して、主たる業務を作りそれに伴って新しく新展開でECサイトを始める、と展開しますね。

そこから改修費とシステム購入費、外注費でシステム購入部分の予算をうまく取ってきます。

天野:その建物費対ECサイトの比率が、何対何にならなきゃいけない決まりなどは出てないんでしょうか?

西村:関連費の部分に関しては「上限がある」と記載されています。

おそらく主たる業務よりも関連費が高くなることはないと想定して考えますね。

それぞれの補助金を選ぶポイントとは?

天野:「『事業再構築補助金』『ものづくり補助金』『IT導入補助金』を使い分ける際、どの補助金を選べばいいかのポイントがあれば教えてください」と質問が来ていますね。

西村:やりたいことによってはどれも使える可能性があります。

新しく新サービスを売り出すのなら「ものづくり補助金」ですね。

「事業再構築補助金」はあくまでも業態展開の予算を再編するためなので、新しい何かを作ってシステム構築をなんとかする話にはしづらいですね。

なので新分野で新しく何か作って、事業を展開するなら「ものづくり」の方が合っています。

「事業再構築補助金」にも新分野展開がありますが、今の業種・業態のままだと苦しくなる理由の説明が必要になってきます。

あとは使えるお金が違うので、システム構築のお金は「ものづくり補助金」か、そもそも申請できないと認識しています。

「IT導入補助金」の場合は、システムの購入が前提になっています。

自社でやりたいことあって購入するシステムも決まっていれば、一番(上記の補助金の中では)申請の書類が簡単なのでおすすめです。

また、これはベンダーさんが申請するルールになっています。

なので自社で資料を用意する必要はありますが、ちゃんとしたベンダーさんなら他の補助金と比べて、申請はスムーズにおこなえますよ。

ただ去年は採択が厳しくて、意外と落ちる補助金でした。

使うものの費用と労力を考えながら選ぶのがおすすめですね。

補助金申請の際に加点される書類とその提出方法

天野:「3月末に何をどこに出すと、加点されるんでしょうか」なんて質問も来ています。

西村:現状分かっているのは、「持続化補助金」だけですね。

「経営力向上計画」を全国に5〜7個ある経済産業局に出すことになります。

東京にお住いの方でしたら「関東経済産業局」ですね。

天野:これは西村さんの方でも支援されてらっしゃるんですか?

西村:あまり個別にはやっていないですね。

補助金の申請を支援する際に「追加で一緒に出しましょう」とやることはありますが……。

けれど手びきなどを読んで進めていただければ、補助金と違い落とすための申請ではないので、通りやすい認識です。

補助金申請に向けて

天野:専門的な用語も多く、もしかしたら難しいと感じられた方もいらっしゃるかもいませんね。

ですが、私自身もテクロ社の補助金申請を2〜3本ほど通したのですが、ひとつひとつ丁寧に書いていけば2〜3時間で書けてしまいますよ。

「数百万円もらえるのなら」と頑張って資料も揃えようと思えます。

人に読んでいただくので下手なものは出せないなと、真摯な気持ちでぜひ面倒臭がらずに書いていきましょう。

確かに書類の不備があったりすると面倒臭かったりしますが、行政の方がちゃんと「○ページのここが間違ってますので修正と再提出を〜」と丁寧に連絡をくださるんですね。

時間はかかるのですが国からお金をいただける以上、その辺りはしっかりやって今年の補助金もぜひ、申請していきましょう。


アップスマート株式会社:https://appsmart.co.jp/

テクロ株式会社:https://techro.co.jp/
天野央登 Twitter:https://twitter.com/amano3569

更に詳しく解説しているお役立ち資料を見る

BtoBマーケティングの入門書

BtoBマーケティングの具体的な施策とテクロが実践している事例を解説していきます。

ダウンロード

Webマーケティングの教科書

企業が抱えるWebマーケティングの課題と解決方法を解説しています。

ダウンロード

Webマーケティングの成功事例集

フェーズごとのWebマーケティングの施策がわかる成功事例集を紹介しています。

ダウンロード