物流の業界におけるデジタルトランスフォーメーションの活用法5つ | テクロ株式会社
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物流の業界におけるデジタルトランスフォーメーションの活用法5つ

さまざまな業界で導入が進むデジタルトランスフォーメーション(DX)。

デジタルテクノロジーを取り入れることで、ビジネスに大きな変化をもたらすデジタルトランスフォーメーションですが、物流の業界でもDXの導入は進められています。

そこでこの記事では、物流の業界におけるデジタルトランスフォーメーションの活用法について紹介していきます。

物流の業界が抱える課題や事例に触れつつ、物流の業界でのデジタルトランスフォーメーションの活用法を紹介していくので、ぜひ参考にしてみてください。

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物流業界におけるDXの現状


他業界に比べ、残念ながら物流業界ではDXが思うように進んでいません。

デジタル技術の活用による業務の効率化は思うように進んでおらず、紙や電話、ファクシミリをベースにしたアナログで業務管理しているところがまだ多いです。

日本の物流業界はコストよりも柔軟な対応を重視するため、アナログ対応を好む傾向があり、多くの企業がDXに取り組めずにいる、という事情があります。

大手でもデジタル化には難航しており、業界の大半を占める中小企業はデジタル化から取り残されているのが現状です。

また、矢野経済研究所の『物流17業種に関する調査』によれば、総市場規模はコロナ禍にあっても20兆円を超えています。

しかし業界全体で人員不足の問題がなかなか解決されず、配送フローの各所に下請け業者が関わっています。

さらに各社それぞれが違うシステムを使っているため、業界全体で標準化ができておらず、DXがなかなか進まない理由の一つです。

これからはDXによって、業界全体が効率化されることが期待されています。

物流の業界が抱える5つの課題

物流の業界が抱える5つの課題

新型コロナウイルスの影響で買い物がおこないにくくなっていることが影響して、物流の業界への需要は高まってきています。

そのため、物流の業界は今後も成長が期待されると言えるわけですが、課題を抱えていないわけではありません。

そこでまずは、物流の業界が抱える大きな5つの課題について解説していきます。

課題1. ユーザーの配送スピードに求めるハードルが高くなってきている

物流の配送スピードは、ここ数年で飛躍的に向上しました。

東京や大阪などの大都市の場合だと、注文したその日のうちに商品が手元に届くこともあるほどです。

北海道や沖縄などの地方であっても、ものによっては2〜3日ほどで届くこともあります。

ただ、早く届くのが当たり前になると、ユーザーが求める配送スピードのハードルもどんどん高くなってしまいます。

実際、Amazonなどの大手の通販サイトには、スピーディーな配送を売りにしているところもあるほどです。

その日のうちに商品が届くといった配送サービスを提供しているのは、まだ一部の業者にとどまっている状況ですが、今後はそういった事例が増え、一般的になると予想されます。

そのため、よりスピーディーな配送への需要にどのようにして答えるかが、物流の業界が抱える課題の一つとなっています。

課題2. 小口の配送が増えてきている

ネットで何でも購入できる時代になったことで、爆発的に増加したのが小口の配送です。

小口の配送は、Amazonなどの通販サイトで購入された少量の荷物を一般の家庭に届けるタイプの配送です。

小口の配送が増えたことで業界への需要が高まり、業界がより活気づいたとも言えますが、同時にさまざまな弊害が出てきてしまいます。

小口の配送が増えると配達員の負担が増加しますし、配送にもより時間がかかります。

倉庫から商品をピックアップする手間が増えるのも、小口の配送が増えることによって生じる弊害の一つです。

小口の配送は今後も増えることが予想されるため、今後どのように対応していくかが、物流の業界の課題になっています。

課題3. 人手が足りない

人材が足りていないことも物流の業界が抱える課題です。

国土交通省 総合政策局物流政策課が発行している『最近の物流政策について』によると、物流ビジネスをしている企業の約7割の人手が不足してしまっていると回答しています。

人手が足りなくなる一方で、先ほど紹介したように物流への需要は高まってきていますし、求められる質もより高くなってきています。

そのため、なんとかして人手が足りていない状況を解消し、質の高さを維持しながら高まる需要に応えることが物流の業界の大きな課題になっているのです。

課題4. 負担増による働く環境の悪化

業界が抱える課題は、

  • ユーザーが配送スピードに求めるハードルが高くなってきている
  • 小口の配送が増えてきている
  • 人手が足りない

の3つをあげましたが、それらの課題によって生じるのが、従業員の負担増による働く環境の悪化です。

物流への需要や求められる質が高まってきているにもかかわらず、人手が足りない状態が続くと、どうしても従業員への負担が増し、環境が悪化してしまいます。

すると魅力的な業界ではなくなってしまうため、新しい人材も入ってきません。

そうなるとますます人手が足りない状況が加速していってしまうため、働いていく環境の悪化を食い止めることも物流の業界が抱える大きな課題の一つです。

課題5.既存のITシステムが古くなっている

「古いITシステム」も、物流業界でDXを進めるうえでの課題です。

現在、多くの物流業者が利用しているのは老朽化した「古いITシステム」であることが多いです。

このようなシステムを使用し続けていると運用フローが複雑になるほか、システムの構造も分かりにくくなります。

AIなどの高度なテクノロジーを導入しても、既存のデータを取り出せずに活用できなかったり、システム同士の連結がうまくいかなかったりするなど、DXの力を100%発揮できません。

むしろ、セキュリティ面での問題が新たに発生し、新システムとの連結や維持に必要な管理費などが余計にかかってしまい、デジタル技術の導入に失敗してしまうリスクもあります。

物流の業界におけるデジタルトランスフォーメーションの活用法5つ

物流の業界におけるデジタルトランスフォーメーションの活用法

物流の業界はさまざまな課題を抱えてしまっている状態ですが、そんな課題を解消してくれる可能性を秘めているのがデジタルトランスフォーメーションです。

物流の業界の課題を解消するためのデジタルトランスフォーメーションの活用法についてみていきましょう。

活用法1. 倉庫システムや商品の管理のデジタル化

物流の課題であるスピーディーな配送を実現するには、倉庫での荷物の搬出にかかる時間や商品の管理にかかる手間を減らすことが重要です。

従来の物流の倉庫では、同じ納品先であっても別の倉庫から出荷をするなど、非効率なシステムが常態化してしまっています。

また、商品の管理や商品のピックアップについてもすべて人の手で作業しているため、従業員にかかる負担の増加にもつながっていました。

デジタルトランスフォーメーションを推進して倉庫システムや商品の管理のシステムをデジタル化すれば、倉庫からの搬出や商品のピックアップ、商品の管理を効率化できるようになりスピーディーな配送が可能になります。

活用法2. 従業員の勤務状況の把握と最適化

業界の課題である働く環境の悪化には、従業員の勤務の状況を把握できていない点が大きく影響しています。

勤務の現状を把握しないままでは、働いている環境の改善は実現できません。

デジタルトランスフォーメーションでは、従業員の勤務の状況をリアルタイムで把握できるシステムを構築し、特定の従業員の負担が増加しないよう最適化していきます。

また、働いている状況の把握と最適化で環境が改善され魅力的な業界だと認識されるようになれば、人手が足りなくなることもなくなります。

活用法3. AIの活用による配送方法・配送ルートの最適化

デジタルトランスフォーメーションではAIが活用されることが多々ありますが、物流の業界の場合、配送方法や配送ルートの最適化にAIを活用できます。

働いている状況を把握するシステムと、AIを連携させて最適な人と方法で配送させるようにすれば効率化が可能です。

また、配送ルートもAIに算出してもらうことで、従業員の負担の軽減と配送の効率化につながります。

活用法4. ドローンなど新たな配送方法の導入

業界の課題である人手が足りない負担の軽減を実現してくれるのが、ドローンなどの新たな配送方法の導入です。

新たな配送方法は、はまだ試験的な段階ではありますが、何度も実験が繰り返され、本格的な導入が現実味をおびてきています。

ドローンでの配送は自動でするため、実現すれば従業員の配送における負担が大幅に軽減されますし、ドライバーなどの人手が足りない問題も解消されます。

活用法5.配達先の顧客情報の管理・分析

物流業界では、一人の配達員が効率よく、できるだけたくさんの配達をしなくてはなりません

このような配達効率を上げるため、AIによる配達先の顧客情報の管理や分析も積極的に進められ始めています。

今までの注文データや配送データを分析することで、配送先の方が自宅にいる可能性が高い時間帯を導き出せます。

すると「配達先が不在で配達できなかった」という状況が減り、配達員が効率よく、たくさんの荷物を配達できるわけです。

物流の業界でデジタルトランスフォーメーションに成功した事例

物流の業界でデジタルトランスフォーメーションに成功した事例

物流の業界におけるデジタルトランスフォーメーションが成功した事例にはどういったものがあるのでしょうか?

物流の業界におけるデジタルトランスフォーメーションの成功例を2つ紹介していきます。

事例1. UCCコーヒープロフェッショナルの事例

業務用の食品の卸をしているUCCコーヒープロフェッショナルでは、従業員の業務を見える化できていませんでした。

そんな課題を解決してくれたのがデジタルトランスフォーメーションへの取り組みです。

UCCコーヒープロフェッショナルではモビリティ向けの業務を改善するクラウドシステム「Cariot」を導入して配送ルートの最適化や業務の見直し、20%の効率化を実現しました。

また、さらなるデジタルトランスフォーメーションへの取り組みも進めていて、今後は既存のシステムとの連携を進めて業務の効率化をさらに推し進めていく予定です。

【参考】Cariot「既存システムとの連携を視野に配送業務を効率化する事例」

事例2. 配送マッチングプラットフォーム「PickGo(ピックゴー)」の事例

PickGo(ピックゴー)」は、フリーランスのドライバーと荷主をつなげる配送のマッチングプラットフォームです。

全国約15,000人以上のフリーランスドライバーが登録し、26,000人が荷主側でPickGoを利用しています。

今まで物流の業界では、企業が仕事を受けてフリーランスドライバーに業務を割り振る「多重下請け構造」が、常態化していました。

多重下請け構造で引き起こされていたのが、安い賃金で休みなく働く環境の悪化です。

PickGoは、この物流の業界が抱える問題を解決するために立ち上げられました。

PickGoを利用している荷主が荷物のピックアップを依頼すると、1分ほどで配送ドライバーを見つけられます。

システムによって荷主はフリーランスのドライバーに直接、配送を依頼できるため、多重下請け構造が発生してしまうことがありません。

無理な業務を押し付けられてしまうこともありませんし、中間に業者を挟まないのでドライバーの単価も高くなります。

また、PickGoは個人宅への宅配の業務を効率化してくれるソリューションの開発も進めていて、ドライバー不足の解消にも期待が集まっています。

【参考】Future Stride「ドライバーの労働環境と社会的地位を変える、物流版Uberの正体とは?」

事例3.株式会社梅里物流サービスの事例

株式会社梅里物流サービス」は茨城県に本社を置く物流業者で、東北から九州にかけて8つの拠点を持っています。

先にお伝えしたとおり物流業界ではデジタル技術の導入がなかなか進んでいませんが、同社では2019年9月からRPAツール「ロボパットDX」を導入しました。

RPAは「Robotic Process Automation」の略称で、人が手作業で実施しているルーティン業務を自動化できるツールのことを言います。

こちらでは主にバックオフィス業務で活用されており、

  • 給与振込用データの加工業務
  • 運送データの入力業務

といった業務が自動化・効率化され、作業時間が大幅に圧縮されました。

従業員が定時帰宅できるようになったほか、社員同士のコミュニケーションが増えて業務改善もしやすくなり、現場環境が大きく改善されました。

【参考】RPA Robo-Pat「来たる2025年の崖、『スーパー事務員さん』が私たちを救ってくれる」

事例4.菜鳥ネットワークの事例

菜鳥ネットワーク」は、アリババ傘下の中国の物流会社です。

新型コロナウイルスによって、世界中の物流業者が売上減少や在庫過多などの問題を抱える中、同社は独自のネットワークを使って毎日、数十万点の商品をヨーロッパや北米に届け続けました

毎日の出荷を可能にした理由の一つが、「インテリジェント化」された同社独自のネットワークです。

荷物のピックアップ〜配達完了までのさまざまな要素をAIが分析し、配送ルートを最適化することで、輸送効率の大幅な向上に成功しています。

また配送状況が可視化されており、店舗や消費者が、商品到着までの全行程を簡単に確認できます。

物流をテクノロジーの力で効率化し、顧客満足度も向上させ、新型コロナウイルスという不足の事態でも物流を維持した菜鳥ネットワークは、物流業界におけるDXの好例と言えるでしょう。

【参考】Future Stride「菜鳥網絡(Cainiao)の物流ネットワークを支えるAI・IoT・デジタルツイン技術を解説」

物流以外のDX成功事例は、弊社別記事「デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?成功事例40選とポイント解説」で詳しく紹介しています。

物流の業界でデジタルトランスフォーメーションを進めていく上で意識したい2つのポイント

物流の業界でデジタルトランスフォーメーションを進めていく上で意識したい2つのポイント

物流の業界で実際にデジタルトランスフォーメーションへの取り組みを推進していく場合、意識したいポイントが2つあります。

これから紹介する2つのポイントを意識せずに取り組んでしまうと、思うような結果を出せない可能性もあるため、把握した上で取り組むようにしてください。

ポイント1. 経営陣と現場のDXの考え方に違いがある

現場で独自のやり方が浸透している業界の場合、DXを推進したい経営陣と従来のやり方を崩したくない現場とで、揉めることが多々あります。

なぜ揉めてしまうのかというと、経営陣と現場のDXに対する考え方が異なるためです。

デジタルトランスフォーメーションを導入すると業務の形がガラッと変わってしまうため、当然ですが現場は混乱します。

そのため、現場は推進をあまり良く思わないわけです。

物流の業界でデジタルトランスフォーメーションを進めていく場合は、推進する人間だけでなく、現場で働く従業員にも正しく理解してもらう必要があります。

どのような取り組みで、現場で働く従業員にどういったメリットがあるのかしっかりと説明してから進めていきましょう。

ポイント2. デジタルトランスフォーメーション人材の確保

デジタルトランスフォーメーションへの取り組みは、導入してからがスタートです。

導入後も継続して取り組み、分析と改善を繰り返しながら推進していくわけですが、そこで必要になってくるのがデジタルトランスフォーメーション人材の確保です。

デジタルトランスフォーメーションへの取り組みは、人材がいないと進められません。

そのため、外部から確保したり社内で育成したりして、デジタルトランスフォーメーションへ対策する必要があります。

デジタルトランスフォーメーション人材の概要や育成方法などについては以下の記事が参考になるので、こちらをぜひチェックしてみてください。

>>デジタルトランスフォーメーション人材に必要な7つのスキルと育成方法

まとめ:物流の課題はデジタルトランスフォーメーションで解決できる

物流業界の課題はデジタルトランスフォーメーションで解決できる

現在、物流業界でのDX導入にはさまざまな課題がたくさんあります。

いくつかの企業では導入が進められていますが、物流業界全体で見ればまだまだと言わざるを得ません。

成功事例でも紹介したとおり、DXは業務を効率化・最適化することで現場環境を改善し、顧客満足度も向上させます。

業務フローが複雑になっていたり、人手不足や従業員の負担増加を感じている場合は、デジタルトランスフォーメーションの導入・推進を検討されてみてはいかがでしょうか。

とはいえ、「IT技術に強い人材がいない」「デジタル技術導入に興味はあるが、何から始めたらいいか分からない」という方もいるはずです。

現在「DX解説本」を無料配布しておりますので、こちらもぜひご活用ください。

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